※本記事は、エブレン株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
エブレンは、社会インフラや産業インフラに組み込まれる組込型コンピュータ(産業用コンピュータ)およびその周辺製品の設計・製造・販売を専業としています。通信・医療・交通・半導体製造装置・FA機器・計測装置・セキュリティーなどのシステムに組み込まれるコンピュータを中心に事業を展開しています。
単体従業員数は87名、連結従業員数は106名です。同社グループのセグメントは単一です。
国内においてはエブレンが生産・販売を一手に担い、海外1社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
エブレンは、産業用・工業用コンピュータの設計・製造・販売を手がける企業です。同社グループは、技術革新に対応できる優秀な人材の確保と育成に力を入れています。多様な人材の登用やワークライフバランスの推進を通じて、従業員が働きがいを感じられる環境づくりを目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、比較的長く勤める従業員が多く、安定した人材構成がうかがえます。平均年齢も高めで、経験豊富なベテラン社員が活躍している傾向にあると言えるでしょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,908,000円 |
| 平均勤続年数 | 13.1年 |
| 平均年齢 | 44.8歳 |
| 単体従業員数 | 87人 |
| 連結従業員数 | 106人 |
| 単体のグループ内比率 | 82.1% |
エブレンは確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方の退職給付制度を採用しています。確定給付型の制度は提出会社に適用され、連結子会社には退職金制度がありません。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、中期的な戦略目標として事業ドメインの拡大を目指しており、その実現には技術者や営業、管理部門に優秀な人材を確保することが不可欠と考えています。そのため、転職サービスやハローワークを活用し、即戦力となる人材の採用を積極的に進めています。
従業員の意識向上と組織の活性化を図るため、労働環境の適正化と適切な給与水準の維持を通じて、優秀な人材の定着を図る方針です。従業員の給与額は、同社グループの業績や物価動向、同業他社の給与水準を考慮して決定され、個別の金額は業務成績や適性を評価して決定されます。賞与の支給総額は業績を強く反映させ、個別の支給金額は貢献度合いに応じて決定される仕組みです。
人材の多様性確保については、能力や適性を総合的に判断する登用制度により、性別・国籍、中途採用・新卒採用の区別なく登用しています。人材育成では、職位・職能ごとに求める能力を定義し、従業員と上司のコミュニケーションを通じて本人に適した目標を設定し育成を実施しています。有用なセミナーや研修制度も積極的に活用できるよう環境を整えており、従業員の働きがいと定着率向上のためにワークライフバランスも重視しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異は、常時雇用する労働者数101人以上300人以下に該当するため、公表項目として選択しておらず、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 4.8% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員一人当たりの有給休暇取得実績平均 | 14.3日 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
エブレンは、社会インフラや産業インフラに組み込まれる組込型コンピュータ(産業用コンピュータ)とその周辺製品の設計、製造、販売を専門とする企業です。高度に情報化された現代社会において、人々の生活や経済活動を支える見えない部分で、同社グループの技術が活用されています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、産業用電子機器や工業用コンピュータに使用されるバックプレーン、システムラック、コンピュータシャーシ、ボードコンピュータなどの設計・製造・販売を一貫して行っています。これらの製品は、通信、医療、交通、半導体製造装置、FA機器、計測装置、セキュリティーといった幅広い分野のシステムに組み込まれています。近年では、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)、HPC(スーパーコンピュータ)、エッジコンピューティング分野のコンピュータハードウェア開発案件も増加傾向にあります。
収益モデルの特徴として、顧客である大手システムメーカーの多様な要求仕様に合わせて設計するカスタム製品の販売が中心となっています。バックプレーン単体だけでなく、電源ユニットやファンなどを組み込んだ完成品としての提供も行っています。社会インフラを支える電子機器に応用されることが多いため、極めて高い品質レベルが求められ、多品種少量・変種生産に柔軟に対応できる生産体制を構築しています。
同社グループは単一セグメントで事業を展開していますが、営業品目の応用分野別売上概況を見ると、通信・放送分野と交通関連分野、防衛・その他分野で新規案件の成約により売上高が増加しました。一方で、主力である計測・制御分野では設備投資の延期、電子応用分野では顧客の在庫調整の影響により、売上高が減少しています。主要な顧客としては、株式会社アバールデータへの販売実績があります。また、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、国内市場が中心となっています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績は、売上高が横ばい傾向にある一方で、利益は変動しながらも回復基調にあることがうかがえます。当連結会計年度の売上高は前期と比較してわずかに減少しましたが、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも前期から増加しました。これは、仕入れ部材の売価への価格転嫁が進んだことや、保険解約返戻金の増加が利益を押し上げた要因となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 39.2億円 | 42.6億円 | 39.9億円 | 40.3億円 | 39.9億円 |
| 経常利益 | 5.3億円 | 6.5億円 | 4.9億円 | 4.8億円 | 5.5億円 |
| 経常利益率 | 13.5% | 15.4% | 12.3% | 11.8% | 13.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3.5億円 | 4.3億円 | 3.3億円 | 3.1億円 | 3.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 228.89 | 282.44 | 220.06 | 207.70 | 241.52 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高と営業利益は、前期と比較して増加傾向にあります。これは、組織全体の効率性や収益性の向上が進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 36.3百万円 | 37.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.2百万円 | 5.0百万円 |
従業員1人あたり売上高は当期に前期よりも増加しており、従業員あたりの収益創出能力が向上していることを示しています。同様に、従業員1人あたり営業利益も当期に前期よりも増加しており、従業員あたりの利益創出能力も改善していることがうかがえます。
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務基盤は、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、高い自己資本比率と潤沢な手元資金によって安定した状態を示しています。自己資本比率は80.1%と、プライム市場の製造業平均と比較して高い水準にあります。ROE(自己資本利益率)は7.4%で、前期から上昇傾向にあります。手元資金である現金及び預金は22.5億円となっており、事業継続に必要な流動性を確保している状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 47.9億円 | 51.0億円 |
| 自己資本比率 | 81.1% | 80.1% |
| ROE(自己資本利益率) | 6.7% | 7.4% |
| 現金及び預金 | 27.3億円 | 22.5億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている状況を示しています。営業活動によるキャッシュフローは5.7億円の獲得となり、前期から増加しています。これは税金等調整前当期純利益の増加や仕入債務の増加、棚卸資産の減少が主な要因です。
投資活動によるキャッシュフローは、長期性預金の預入による支出10.0億円が主な要因となり、△10.4億円の使用となりました。これによりフリーキャッシュフローはマイナスとなっています。財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払額0.6億円が主な要因で、△0.6億円の使用となりました。
同社グループは本業で稼いだ資金を成長投資に充てている状況であり、今後の事業拡大が期待される一方で、手元資金の減少傾向には留意が必要です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 3.8億円 | 5.7億円 |
| 投資CF | △3百万円 | △10.4億円 |
| 財務CF | △0.6億円 | △0.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 3.8億円 | △4.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、半導体製造装置関連への販売が多く、市場動向の変動が財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当連結会計年度における販売高において、株式会社アバールデータに対する割合が18.6%となっており、特定の顧客への販売依存に対するリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、事業継続及び拡大のために、技術者や営業部門、管理部門等に優秀な人材を確保する必要があります。計画通りに人材の採用が進まない場合や有能な人材が流出するような場合、財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
エブレンは、エレクトロニクス分野における頭脳・知力の集団として、最高のソリューション提供を目指しています。地球環境保全と持続可能な社会への貢献も重視する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
エブレンは、エレクトロニクス分野における頭脳、知力の集団となることを目標としています。最高のソリューションを提供できるブレインでありたいという社名に込めた思いのもと、事業の拡大に取り組んでいます。
設立以来バックプレーンをベースにビジネスを展開しており、今後はボードコンピュータの開発設計を行うシステムソリューション事業部の機能や中国子会社の拠点を活用し、顧客の幅広いニーズに応えていく方針です。中期的な戦略目標として、ユニット供給を中心に受託範囲を広げ、事業ドメインの拡大を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、顧客からの信頼を重視し、高品質な製品を短納期で提供することで評価を得ています。クオリティ、コスト、デリバリーの全ての面で顧客満足度の向上に努めることを大切にしています。また、「エブレンに任せた方が良い」「エブレンを利用しなければ損である」という評価を定着させ、良好な信頼関係を築くことを目指しています。
地球環境保全への貢献も重要な価値観であり、持続可能な社会の実現に向けた活動を積極的に推進しています。人材登用においては、性別・国籍や中途・新卒の区別なく、能力や適性を総合的に判断する制度を採用しています。従業員の育成では、上司とのコミュニケーションを通じて目標設定を行い、ワークライフバランスの向上にも取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、事業ドメインの拡大を重要な経営課題としています。バックプレーンをコアに、ボードコンピュータや周辺デバイスを含めたシステム提案、受託範囲の拡大、高付加価値化を推進しています。中国子会社の強みを活かし、中国からの部材仕入れや製品販売を強化し、中国ビジネスの拡大も図っています。
また、罹災時の事業継続への取り組みとして、事業継続計画(BCP)を制定し運用しています。重要設備の早期復旧やサプライチェーンの多角化を進め、災害リスク分散のため工場分散化も行っています。企業の社会的責任(CSR)の推進も重点テーマであり、内部統制体制の整備や情報公開の充実により経営の透明性を高めています。環境問題やSDGsへの対応として、ISO14001認証の取得と環境保全製品づくりを推進しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
エブレンでは、株主総会、取締役会、監査役会を設置しており、社外取締役も選任することで、経営の健全性と透明性の確保に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は代表取締役社長の上村正人氏であり、創業家が経営の基盤を支えている資本構成となっています。また、カーム有限会社も上位株主として名を連ねており、創業家およびその関連会社が主要な株主として経営に影響力を持つ傾向が見られます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 上村 正人 | 33.18% |
| カーム有限会社 | 16.57% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 4.67% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性9名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は上村正人氏が務めています。社外取締役比率は16.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 上村 正人 | 代表取締役社長 | 1963年4月 日本電気株式会社入社、1973年10月 同社取締役、1987年5月 同社代表取締役社長より現職。 |
| 清水 旬 | 取締役営業本部長 | 1994年5月 株式会社読売折込センター入社、1995年3月 同社入社、2018年8月 同社取締役営業本部長より現職。 |
| 上村 和人 | 取締役経営企画部長 | 1994年4月 日本電気ソフトウェア株式会社(現NECソリューションイノベータ株式会社)入社、2013年7月 同社入社、2019年6月 同社取締役経営企画部長より現職。 |
| 田中 猛 | 取締役管理部長 | 1986年4月 同社入社、2019年6月 同社取締役管理部長より現職。 |
| 仲山 典邦 | 取締役事業本部長 | 1984年4月 ナショナルコンピューター株式会社入社、1991年10月 株式会社アバールテクノロジー設立取締役、2019年6月 同社取締役事業本部長より現職。 |
社外取締役は、青柳伸幸氏(エーディーアイキューブ代表)です。
同社は監査役会設置会社であり、株主総会、取締役会、監査役会を設置しています。社外取締役は企業経営に関する豊富な知識・経験に基づき、適切な発言を通じて経営の監督機能を果たしています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の取締役の報酬は、固定報酬としての基本報酬と業績連動報酬(役員賞与)により構成されています。報酬の種類ごとの比率の目安は、基本報酬と業績連動報酬等が3対1と定められています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 53百万円 | 10.5百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 6百万円 | 6.5百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 7百万円 | 2.4百万円 |
業績連動報酬は、2025年支給の役員賞与(事前確定届出給与)です。役員賞与(事前確定届出給与)が監査役(社外監査役を除く。)の固定報酬に1,200千円、社外役員の固定報酬に1,000千円含まれております。退職慰労金は、当事業年度に計上した役員退職慰労引当金繰入額です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
💬キャリコネで会社の実態を確認する
決算資料で業績や財務の状況を把握することは、転職の準備として非常に有効です。数字は会社の今の実力と方向性を正直に示しています。
ただ、数字だけでは見えてこないこともあります。職場の雰囲気、上司との関係、実際の残業の実態、昇給のリアル——こうした情報は、現役社員やOB・OGの声から得られます。
企業口コミサイト「キャリコネ」では、社員のリアルな口コミや給与明細、求人情報をまとめて確認できます。決算データと合わせてチェックすることで、応募判断の精度が上がります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。