※本記事は、株式会社ステムセル研究所 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ステムセル研究所グループは、再生医療・細胞治療分野で、さい帯血やさい帯などの周産期組織由来細胞のバンク事業を展開しています。同社グループは、これらの細胞を利用した新たな治療法の開発も進めており、国内だけでなく海外でも事業を推進しています。
単体従業員数は120名、連結従業員数は136名です。セグメントは細胞バンク事業の1つです。
主な国内グループ会社は、(親会社)日本トリム、(連結子会社)ミルケア(ファミリー上清サービスの提供)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ステムセル研究所は、再生医療分野で細胞バンク事業を展開する企業です。専門性の高い事業領域において、従業員の育成と働きやすい環境づくりに注力しています。給与水準や働き方に関する具体的なデータから、同社の職場環境の傾向を把握することができます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均年齢が30代後半であり、平均勤続年数は5年程度となっています。このことから、比較的若手から中堅層の社員が中心となって活躍している傾向がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,129,000円 |
| 平均勤続年数 | 5.2年 |
| 平均年齢 | 37.1歳 |
| 単体従業員数 | 120人 |
| 連結従業員数 | 136人 |
| 単体のグループ内比率 | 88.2% |
同社および連結子会社は、確定拠出型の制度として確定拠出年金制度を採用しています。これは、会社が拠出した資金を従業員が運用するタイプの年金制度です。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人材の確保・育成、組織の強化を重要な経営課題と位置づけ、人的資本の充実に重点的に取り組んでいます。報酬については、継続的な賃金引上げ(ベースアップ)を基本とし、業績に対応して賞与を支給し努力に報いる方針です。各社員のベースアップおよび賞与支給額は、各本部長からの申請を元に社長が決裁し、全体のベースアップ率および支給総額を取締役会に報告されています。
人材育成においては、新卒社員入社研修や階層別キャリア研修の充実を図っています。また、社内環境整備としてデジタル化の推進、育児休暇取得の促進、オフィス環境の改善、リモートワークの推進に取り組んでいます。人材の多様性確保のため、女性役員・女性管理職比率の向上、時差出勤・時短勤務の推進も行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女賃金差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 40.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
グループ全体(連結)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 連結ベースの従業員の女性比率 | 79% |
| 女性管理職比率 | 48.5% |
多様性・経営監視強化
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性役員比率 | 28% |
| 社外役員比率 | 85% |
出産・育児
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 育児後の復職率 | 100% |
| 男性社員の育休取得率 | 100% |
賃上げ率
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 2026年3月期賃上げ率(執行役員除く) | 4.2% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社ステムセル研究所は、再生医療・細胞治療分野において、出産時に採取される「さい帯血」や「さい帯」といった周産期組織由来の細胞を保管するバンク事業を展開しています。国内外の子会社を通じて、海外での細胞保管事業や関連する新規分野の事業も推進しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、妊婦とその家族を主な顧客とし、将来の医療利用に備えた細胞保管サービスを提供しています。収益は、顧客との委託契約に基づき、さい帯血やさい帯の分離料、検査料、登録料、そして長期にわたる細胞保管料から得られるストック型のビジネスモデルが特徴です。特に、新保管プラン「HOPECELL」の導入により、さい帯とさい帯血を合わせた総保管数が大きく伸びており、これが安定した収益基盤となっています。
また、同社グループは細胞保管に関するノウハウとインフラを活用し、卵子保管業務の受託や、多発性骨髄腫患者を対象とした造血幹細胞の保管受託といった医療関連支援事業も手掛けています。さらに、保管されたさい帯組織から間葉系細胞を培養し、その分泌物(培養上清)を製造するサービスも提供しており、利用件数を着実に拡大しています。海外事業としては、シンガポールを中心にさい帯・さい帯血保管事業の立ち上げを進めていますが、現在の売上高の大部分は日本国内の外部顧客によるものです。特定の顧客への売上集中は見られません。
同社グループの売上高は、主に技術料、保管料、その他の3つの構成要素から成り立っています。技術料が最も大きな割合を占め、次いで保管料が続いています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、それ以前の連結経営指標は記載されていません。当連結会計年度は、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益が計上されています。営業利益率は7.2%となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | 28.1億円 |
| 経常利益 | - | - | - | - | 2.2億円 |
| 経常利益率 | - | - | - | - | 7.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | - | 1.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | - | 15.44 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループは当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前期との比較データはありません。当連結会計年度における従業員1人あたり売上高は20.7百万円、従業員1人あたり営業利益は1.5百万円となっています。これらの数値は、同社グループの事業規模と従業員数に基づいた生産性を示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | - | 20.7百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | - | 1.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で資金を生み出しつつも、将来に向けた積極的な投資を行っている段階です。これにより、財務基盤を強化しながら事業拡大を目指している状況がうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は33.0%となっています。これはプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を示しており、安定した財務体質であることがうかがえます。ROE(自己資本利益率)は5.8%であり、プライム市場平均を下回っています。手元資金である現金及び預金は28.3億円を確保しており、事業運営に必要な流動性を維持している状況です。これらの財務状況は、事業の継続性や将来的な成長投資の余力に関わるため、雇用や給与の安定性にも影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 26.3億円 | 30.7億円 |
| 自己資本比率 | - | 33.0% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 5.8% |
| 現金及び預金 | 32.4億円 | 28.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは74百万円のプラスとなっています。これは主に税引前当期純利益の計上や前受金の増加があった一方で、売上債権が増加したことによるものです。投資活動によるキャッシュフローは△7.4億円のマイナスを示しており、シンガポールでの新規施設投資や日本での細胞保管設備、基幹システム刷新のための投資を積極的に行っている状況です。その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは△6.7億円のマイナスとなっています。財務活動によるキャッシュフローは2.3億円のプラスであり、シンガポール子会社への非支配株主からの払込収入があった一方で、自己株式の取得による支出がありました。これらの資金の流れは、同社グループが事業拡大に向けた先行投資を行っている成長フェーズにあることを示しており、将来的な事業成長が雇用や給与の安定性につながる可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | 74百万円 |
| 投資CF | - | △7.4億円 |
| 財務CF | - | 2.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | △6.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、現在研究が進められている再生医療の治療効果が確認されないリスクや、他に有効な治療法が出現するリスクを挙げています。これにより、「さい帯血」及び「さい帯」の保管サービスの訴求力に影響し、新規保管者が減少する可能性があります。また、少子化の進行により、主要事業である「細胞バンク事業」のマーケットが縮小するリスクも認識しています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、代表取締役である清水崇文氏が経営方針や事業戦略において重要な役割を担っているため、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めています。しかし、何らかの事情で同氏が離職した場合、事業や業績に重要な影響を及ぼす可能性があると認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ステムセル研究所は「あたらしい命に、あたらしい医療の選択肢を。」をコーポレートスローガンに掲げ、再生医療・細胞治療分野で社会貢献を目指しています。人々の健康と未来に貢献する事業を通じて、持続的な成長を追求する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「あたらしい命に、あたらしい医療の選択肢を。」をコーポレートスローガンに掲げ、再生医療・細胞治療を目的とした「さい帯」や「さい帯血」等の周産期組織由来の細胞バンク事業を展開しています。
国内市場における細胞バンク事業の安定的な成長と、シンガポールを起点とした東南アジア市場の開拓を成長戦略の二本柱と位置付けています。これらの事業基盤を活用し、再生医療・細胞治療分野における新たな治療法の開発に加え、関連領域における事業開発や投資にも取り組む方針です。事業領域の拡大と収益機会の多様化を図り、グローバルかつサステナブルな成長と社会への貢献を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、E(Environment:環境)、S(Social:社会)、G(Governance:ガバナンス)を「E×S×G=サスティナブル」と認識し、この取り組みに注力しています。特に「S」の人材の多様性・女性活躍・職場環境改善、そして「G」のガバナンスの強化を主軸に据え、持続的な企業価値向上を図る方針です。
コーポレート・ガバナンス強化の取り組みとして、社外役員の充実等による意思決定プロセスの透明化を図っています。また、役職員に対しては、コンプライアンス意識を高めるための啓蒙活動を継続しています。人材の増強と組織の強化を重要な経営課題と捉え、人的資本に重点的に取り組む方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中期経営戦略を推進するにあたり、「国内事業基盤の強化」「海外展開の推進」「臨床応用・利用拡大」の3点を重点課題と捉え対処しています。国内事業基盤の強化に向けては、医療機関との連携の一層の強化、Web・SNSを活用したオンラインマーケティング、リアルイベントの全国展開等を推進しています。
また、基幹システムの老朽化対応及び業務効率化のため、システムのリプレースを2027年3月期に実施する予定です。さい帯・さい帯血の臨床応用・利用拡大においては、大学等との共同・協力による先進的な研究開発・臨床研究に継続的に取り組んでいます。
具体的には、国際医療福祉大学医学部眼科学教室及び医療法人社団栄和会と共同で、さい帯間葉系細胞由来培養上清を用いた新たな眼疾患治療の開発を進めています。加えて、株式会社iPSポータルと共同で、自家さい帯血由来iPS細胞の製造・保管サービスの実用化に向けた検討を進めるほか、さい帯由来培養上清液の美容・自由診療領域での利用拡大にも取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ステムセル研究所の取締役会は社外取締役を多く含み、監査役会、経営会議、倫理委員会といった多様な機関が連携して、透明性の高い組織運営を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ステムセル研究所の筆頭株主は事業会社である日本トリムです。同社は発行済株式の7割以上を保有しており、ステムセル研究所の経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本トリム | 71.24% |
| 名古屋中小企業投資育成 | 1.67% |
| 山 本 邦 松 | 0.90% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性5名・女性2名)で構成され、女性役員比率は28.0%です。代表取締役社長は清水崇文氏が務めています。社外取締役比率は75.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 清水 崇文 | 代表取締役社長 | 1998年9月㈱日本トリム入社、2006年8月PT.Super Wahana Tehno(インドネシア)副社長、2010年4月同社経営企画部長、2013年4月同社執行役員海外及び経営企画担当、2013年9月同社取締役、2016年6月同社代表取締役社長より現職。 |
社外取締役は、山田智男氏(元豊国工業常務取締役)、安藤公秀氏(㈱安藤公秀代表取締役)、大久保由美氏(島田法律事務所パートナー)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会における社外取締役の比率を3分の1以上とすることを基本としています。これにより、経営の意思決定と監督機能の強化を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ステムセル研究所の役員報酬は、基本報酬、短期インセンティブ報酬としての賞与、中長期インセンティブ報酬としてのストック・オプションで構成されています。社外取締役については、経営への監督機能を有効に機能させるため、基本報酬のみとしています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 1名 | 50百万円 | 50.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 26百万円 | 4.3百万円 |
なお、退職慰労金には、当事業年度に計上した役員退職慰労引当金繰入額が含まれています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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