※本記事は、株式会社セルム の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
セルムグループは、「人と組織」の側面から企業固有の経営課題にアプローチし、創造性豊かな社会の実現を目指しています。組織・人材開発事業とステークホルダーリレーション事業の2つのセグメントで、顧客企業を伴走支援しています。
単体従業員数は135名、連結従業員数は245名です。セグメントは組織・人材開発事業、ステークホルダーリレーション事業の2つです。
主な国内グループ会社は、ファーストキャリア(組織・人材開発事業)、KYT、アリストテレスパートナーズ(その他事業)などです。
セルムグループは、2024年12月にKYT、2024年1月にヒューマンストラテジーズジャパンを完全子会社化し、多言語対応や適性予測の知見を取り込み事業領域を拡大しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
セルムは、組織・人材開発事業を主軸に、顧客企業の経営課題解決を支援しています。同社グループは、外部の専門家との連携を強みとし、社員の成長機会を重視する働き方を推進しています。人材の育成と多様性を経営戦略の中核に据え、社員一人ひとりの専門性向上に注力している企業です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
セルムの従業員は、平均年齢が30代後半であり、比較的若い組織構成となっています。平均勤続年数は7年と、中長期的なキャリア形成が可能な環境であることがうかがえます。多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できるような体制を整えていることが特徴です。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,975,000円 |
| 平均勤続年数 | 7.0年 |
| 平均年齢 | 38.1歳 |
| 単体従業員数 | 135人 |
| 連結従業員数 | 245人 |
| 単体のグループ内比率 | 55.1% |
同社グループは、一部の連結子会社において確定給付型の退職給付制度を採用しています(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度)。この制度は国内のグループ会社に適用されています。
退職一時金制度も存在しますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
セルムは、人的資本を事業競争力の源泉と位置づけ、経営戦略と一体の人材戦略を推進しています。外部プロフェッショナルタレントとの連携を強みとする事業モデルを通じて、社員が経営的な視点や視座を獲得できる成長機会を提供しています。
給与等の決定方針は、中長期的な経営目標と人材戦略に連動しており、固定的ではなく経営アジェンダとして継続的に検討されます。評価対象となるパフォーマンス基準を組織内で共有し、マネージャー層の育成責任を明確化することで、評価結果が処遇に適切に反映される仕組みを運用しています。給与水準は、外部労働市場の状況や事業戦略上の重点人材像、社員の市場価値との整合性を継続的に検証し決定されています。
具体的には、新規採用者が早期に活躍できるよう、オンボーディング施策と採用戦略を連動させた強化サイクルを運営しています。これには、パフォーマンス基準の明確化、探索可能な環境整備、マネージャー層の育成責任明確化、育成課題の採用要件への反映、立ち上がり期間の短縮といった観点が含まれます。また、2027年3月期には、AIを活用したDXを含むオペレーション基盤の刷新・高度化・次世代化など、事業基盤の質的変革に向けた抜本的な投資を進める方針です。
資本市場との価値共有を進めるため、業績条件付有償ストック・オプションや譲渡制限付株式報酬制度を導入し、社員の中長期的な業績貢献に対する報酬構造の整備も進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。これらの指標は、女性活躍推進法および育児介護休業法に基づき算出されています。パート・有期労働者の男女賃金差異は公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 21.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 59.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 59.8% |
人材育成・エンゲージメント
同社グループは、人的資本投資の効果を検証する生産性指標として、従業員一人当たりEBITDAを継続的に開示しています。第10期連結会計年度の実績は6.8百万円であり、第11期連結会計年度の目標は5.8〜6.2百万円水準とされています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員一人当たりEBITDA | 6.8百万円 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社セルムは、「ヒューマネスの力で、ビジネスをより“らしく”、より“いきいき”と。」というパーパスのもと、企業が抱える経営課題に対し、人と組織の側面から本質的な解決策を提供する企業です。顧客企業への伴走支援を通じて、創造性豊かな社会の実現に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、企業固有の経営課題に「人と組織」の側面からアプローチし、企業活動を推進しています。顧客企業に対し伴走支援する領域別に事業セグメントを構成しており、「組織・人材開発事業」と「ステークホルダーリレーション事業」の2つを報告セグメントとしています。同社グループの収益は、主にこれらの事業におけるサービス提供から得られています。
組織・人材開発事業
この事業では、経営理念や経営戦略を起点とした組織構築と人材育成に関する包括的な伴走支援を提供しています。企業経営やコンサルティングファームでの実務経験を持つ外部プロフェッショナルタレントとの協働を通じ、多様な専門知見を掛け合わせたテーラーメード型のソリューションを提供していることが特徴です。収益は、経営幹部・ミドルマネジメント層への組織・人材開発支援、若手人材育成支援、適性予測データに基づく組織戦略支援から得ています。運営は、セルム、升励銘企業管理諮詢(上海)有限公司、CELM ASIA Pte, Ltd.、ファーストキャリア、ヒューマンストラテジーズジャパンが行っています。
ステークホルダーリレーション事業
この事業では、グローバル企業の事業活動において生じるコミュニケーション課題の解決や、重要なコミュニケーションの場における伴走支援を行っています。多言語対応領域において、同時通訳・逐次通訳・翻訳サービス、常駐通訳/翻訳者派遣サービスを提供しています。収益は、グローバル企業向けの多言語対応支援サービスから得ています。運営は、KYTが行っています。
同社グループの売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えており、国内市場が主要な収益源となっています。また、特定の顧客への売上高が総売上高の10%以上を占める相手先はありません。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 組織・人材開発事業 | 76.8億円 | 78.5億円 |
| ステークホルダーリレーション事業 | 5.0億円 | 24.6億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は継続的に増加傾向にあります。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、変動はあるものの堅調に推移している状況です。特に直近の連結会計年度では、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期から増加しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 64.7億円 | 72.7億円 | 75.0億円 | 81.8億円 | 103億円 |
| 経常利益 | 7.0億円 | 9.2億円 | 10.1億円 | 9.6億円 | 10.3億円 |
| 経常利益率 | 10.8% | 12.7% | 13.4% | 11.7% | 10.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 3.7億円 | 5.4億円 | 6.3億円 | 5.5億円 | 5.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 14.31 | 21.54 | 27.31 | 25.18 | 26.94 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加しており、組織全体の生産性が向上している傾向が見られます。これらの指標の改善は、同社グループが効率的な事業運営と収益性の向上を図っていることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 32.9百万円 | 42.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.3百万円 | 4.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定した資金を生み出し、財務基盤を堅固にしています。これにより、将来に向けた事業展開の余力も確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が前期から増加し、42.0%となっています。これはプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)も20.6%と、プライム市場平均を上回る水準で推移しています。手元資金である現金及び預金も増加しており、不況時への耐性も確保されている状況です。これらの財務指標は、事業の安定性を示すものとなっています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 28.1億円 | 31.2億円 |
| 自己資本比率 | 36.9% | 42.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 19.3% | 20.6% |
| 現金及び預金 | 17.0億円 | 18.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが10.3億円のプラスとなっています。これは主に税金等調整前当期純利益によるものです。投資活動によるキャッシュフローは△15百万円のマイナスで、無形固定資産の取得による支出が主な要因となっています。この結果、営業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは10.1億円のプラスとなっており、本業で生み出した資金で投資を賄い、なお余剰資金がある優良な状態を示しています。財務活動によるキャッシュフローは△8.8億円のマイナスで、長期借入金の返済や配当金の支払いが主な要因です。これらの資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を行いながら、財務の健全性を維持していることを示しており、将来の成長に向けた基盤が整っている状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 10.6億円 | 10.3億円 |
| 投資CF | △24.9億円 | △15百万円 |
| 財務CF | 11.5億円 | △8.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △14.3億円 | 10.1億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業は、国内外の経済情勢や景気動向に影響を受ける可能性があります。景気の減速等により顧客企業の人材開発予算が削減される場合、業績に影響を及ぼすリスクがあります。また、組織・人材開発事業においては、多数の競合が存在し、人的資本経営への関心の高まりにより競争が激化する可能性があります。同社グループの競争力の源泉であるビジネスモデルの優位性が低下した場合、業績に影響を及ぼすリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、今後の企業価値向上のため、人材の確保が重要であると認識しています。人材の確保が想定通りに進まない場合や、優秀な人材の社外流出が発生した場合、事業活動および業績に影響を及ぼす可能性があります。また、社員の育成が想定以上に遅れた場合にも、事業活動に影響を及ぼすリスクがあります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
セルムは、「ヒューマネスの力で、ビジネスをより“らしく”、より“いきいき”と。」というパーパスを掲げ、企業固有の経営課題に「人と組織」の側面からアプローチしています。創造性溢れる豊かな社会の実現を目指し、企業活動を推進している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「ヒューマネスの力で、ビジネスをより“らしく”、より“いきいき”と。」というパーパスのもと、企業活動を推進しています。顧客企業の永続的な成長に不可欠な「リーダー人材開発」と「企業カルチャーの革新」を主軸に、伴走型で支援を行っています。社会にとって存在価値の高い企業を目指し、ステークホルダーの利益に貢献していくことを掲げています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、コーポレートスローガン「Activate Your Potential(可能性が動き出す)」の実現を目指しています。定型の組織・人材開発プログラムを持たず、外部プロフェッショナルタレントの専門性を組み合わせたテーラーメイド型のサービス体制を特長としています。多種多様な個人の専門性や価値観をかけあわせたダイバーシティ型の組織構成を重視し、市場環境に柔軟に対応できるビジネスモデルを構築しています。
また、従業員が経営を疑似的に体験する機会を創出し、優秀な人材の成長を促しています。多種多様なキャリアを持つ中途採用者を積極的に受け入れ、早期活躍のためのオンボーディング施策と採用を連動させた育成強化サイクルを整備しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、人と企業の可能性を広げる新たな事業・市場創造に挑むことを掲げています。そのための課題として、顧客企業内のあらゆる経営課題に精通し、サービス提供サイクルを築きあげられるフロント人材の確保と育成の強化に取り組んでいます。
また、事業の成長と業容の拡大に合わせた経営管理体制の充実・強化も課題として認識しています。株主をはじめとするステークホルダーに信頼される企業となるため、コーポレート・ガバナンスへの積極的な取り組みや、内部統制システムの適切な運用、法令遵守の徹底を進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
セルムグループは、経営の効率化、健全性、透明性を高め、株主価値の向上を重視したコーポレート・ガバナンスを基本方針としています。同社は2023年6月29日の定時株主総会の決議に基づき、監査等委員会設置会社へ移行しており、監査等委員会は全員が社外取締役で構成されています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
セルムの株主構成を見ると、筆頭株主は代表取締役加島禎二氏の資産管理会社であるアイランドプラスです。代表取締役である加島禎二氏個人も上位株主として名を連ねており、創業家が同社の経営に深く関与している資本構成となっています。上位の株主には、創業家やその関連会社が複数含まれており、特定の株主グループが経営に強い影響力を持つ傾向が見られます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| アイランドプラス | 16.97% |
| 加島 禎二 | 14.89% |
| 加藤 友希 | 7.38% |
| PINE RIVER | 7.38% |
| 若鍋 孝司 | 6.46% |
なお、株式会社アイランドプラスは、代表取締役加島禎二氏の資産管理会社です。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は加島禎二氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 加島 禎二 | 代表取締役社長 | 1990年4月 リクルート映像入社、1998年5月 旧セルム入社、2010年4月 代表取締役社長、2016年8月 同社代表取締役社長より現職。 |
| 井上 卓哉 | 代表取締役副社長 | 2000年4月 ビジネスコンサルタント入社、2012年7月 ウィル・シード取締役、2019年3月 同社入社、2026年4月 同社代表取締役副社長より現職。 |
| 吉冨 敏雄 | 取締役 | 1994年4月 あさひ銀行入行、2008年8月 フォトクリエイト取締役、2017年4月 同社入社、2024年4月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、渡邊龍男氏(ソレイルソウル代表取締役・監査等委員)、広野清志氏(広野総合会計事務所所長・公認会計士・監査等委員)、新谷美保子氏(TMI総合法律事務所パートナー・弁護士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員会は全員が社外取締役で構成されています。これにより、独立した立場から取締役の職務執行を監査し、経営の健全性と透明性を確保する体制が構築されています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
セルムの役員報酬は、固定報酬である基本報酬、業績連動の単年度賞与、そして中長期インセンティブとしての株式報酬で構成されています。基本報酬が約75%、単年度賞与が約15%、株式報酬が約10%となるよう設計されており、連結EBITDAを業績連動指標とすることで、事業年度ごとの業績向上への意識を高めることを目指しています。報酬諮問委員会が報酬等の決定方針を審議し、取締役会で決議するプロセスを通じて、公正性・透明性・客観性を確保しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 4名 | 1.2億円 | 29.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 19百万円 | 6.3百万円 |
なお、上記非金銭報酬等は、譲渡制限付株式報酬として当事業年度に費用計上された額です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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