※本記事は、株式会社ASNOVA の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ASNOVAは持株会社であり、単体従業員数は156名、グループ連結従業員数は231名です。
同社グループは、日本国内でクサビ緊結式足場のレンタル及び販売を行う国内足場レンタル事業を主軸とし、海外ではクサビ式足場のレンタルや仮設トイレ等のレンタルサービスを展開しています。連結子会社2社とともに、M&Aを通じて事業領域を拡大し、高収益のグローバルなレンタルビジネス企業群を目指しています。
国内においてはASNOVAが生産・販売を一手に担い、海外2社の連結子会社を通じてグローバルに事業を展開しています。
直近では、2025年4月にシンガポールのQool Enviro Pte.Ltd.を連結子会社化し、仮設トイレ等のレンタルサービスを開始しました。これに伴い、報告セグメントも従来の単一セグメントから3区分に変更されています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社グループは、価値創造の源泉を人的資本に求め、その投資を重要な経営課題と位置付けています。社会環境の変化に対応するため、統制や管理中心の旧来型組織から、社員一人ひとりの主体的な行動と協働を促す「自走型組織」への進化を目指しています。対話と共感を基盤に信頼関係を育み、組織内外にソーシャルキャピタルを蓄積することで、事業推進力を高める方針です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は若手から中堅層が中心となっており、平均年齢は30代後半を示しています。平均勤続年数は比較的短めであり、人材の流動性が見られる傾向です。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,809,000円 |
| 平均勤続年数 | 4.6年 |
| 平均年齢 | 39.0歳 |
| 単体従業員数 | 156人 |
| 連結従業員数 | 231人 |
| 単体のグループ内比率 | 67.5% |
同社グループは、退職給付に充てるため、確定拠出制度及び複数事業主制度の厚生年金基金制度に加入しており、これらは確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)として会計処理されています。この制度は国内および海外のグループ会社に適用されます。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「「カセツ」の力で、社会に明日の場を創り出す。」というパーパスを体現するため、中長期的な視点で価値創出を担う高度な専門人材の育成とエンゲージメント向上・定着を目的に「ASNOVA WAY」を定めています。給与制度は、社員が安心して挑戦し、主体的な行動と協働を通じて継続的な価値創出に取り組める環境整備を目的として設計されています。給与水準は、期待される役割と能力に基づく処遇を基本としつつ、外部労働市場における競争力、従業員の生活への配慮、および中長期的な持続的成長との均衡を勘案して決定されます。
正社員の給与は基本給、賞与、諸手当等で構成され、基本給は月給制で等級・役職に応じた役割の大きさや職務遂行能力を踏まえて決定されます。賃金改定は原則年2回実施され、賞与は会社の業績等を勘案して原則年2回支給されます。処遇への反映には「チャレンジ評価」「徳目評価」「バリューズ評価」の三軸からなる評価制度が用いられ、挑戦のプロセスや行動、価値観の体現を多面的に捉えることで、公平性・一貫性・納得性を確保しています。
人材育成においては、パーパスを土台として基礎能力を高め、個人および組織の可能性を拡大する「社員が成長できる場」を提供しています。具体的には、推薦図書による基礎教養の習得支援、社内輪読会「MOKKEI」による人間学の学習機会、大学院通学や資格取得の学費支援による専門人材の育成に取り組んでいます。また、部門横断での価値創出を加速するため、通常業務から離れた合宿を実施し、多様なメンバーが参加して課題や将来像をテーマに議論することで、創造性・対話力・推進力の向上を図っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男女賃金差異(非正規雇用)は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 66.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 74.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 73.5% |
育児・介護支援
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 育児休業取得率(女性) | 100.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ASNOVAグループは、建設現場などで使用される仮設機材のレンタルを主軸に事業を展開している持株会社です。国内の足場レンタルを基盤としつつ、M&Aを通じて海外での足場レンタルや仮設機材以外のレンタル事業も手掛けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
ASNOVAグループは、仮設機材全般を取り扱う企業グループであり、主に建設現場で使われる足場のレンタル及び販売を行っています。国内の足場レンタル事業を安定した収益基盤とし、M&Aを通じて新たなレンタル事業領域へ展開することで、高収益のグローバルなレンタルビジネス企業群を目指しています。収益は、主にレンタルサービスと販売から得ています。
国内足場レンタル事業
日本国内で戸建住宅や中低層マンション向けのクサビ式足場レンタルサービスを、全国の中小足場施工業者に提供しています。近年の改修需要増加や工事の繁閑変動により、仮設機材レンタルへのニーズが高まっています。収益は、クサビ式足場のレンタルと販売から得ています。
海外足場レンタル事業
ベトナム社会主義共和国において、クサビ式足場のレンタル等を行っています。ベトナムの経済成長やインフラ投資拡大を背景に、建設需要の中長期的な成長を見込んでいます。収益は、クサビ式足場のレンタルと販売から得ています。運営は、ASNOVA VIETNAM CO., LTDが行っています。
海外その他レンタル事業
シンガポール共和国において、仮設トイレ及び衛生用品のレンタルサービスを展開しています。建設現場やイベント会場での衛生環境整備のニーズに対応しています。収益は、仮設トイレ及び衛生用品のレンタルと販売から得ています。運営は、Qool Enviro Pte.Ltd.が行っています。
地域ごとの売上高を見ると、当連結会計年度は日本が最大の収益源であり、次いでシンガポール、ベトナムが続いています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 国内足場レンタル事業 | 42.0億円 | 40.9億円 |
| 海外その他レンタル事業 | - | 7.9億円 |
| 海外足場レンタル事業 | 67百万円 | 31百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で増加傾向にあります。一方で、経常利益は変動が大きく、当連結会計年度は経常損失を計上しています。親会社株主に帰属する当期純利益も同様に変動し、当連結会計年度は純損失となっています。営業活動によるキャッシュ・フローは継続して収入を確保しており、本業でのキャッシュ創出力は維持している状況です。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | 31.4億円 | 37.9億円 | 42.7億円 | 49.2億円 |
| 経常利益 | - | 2.1億円 | 3.2億円 | 46百万円 | △85百万円 |
| 経常利益率 | - | 6.8% | 8.6% | 1.1% | △1.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | 1.4億円 | 2.1億円 | △25百万円 | △1.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | 11.79 | 16.99 | △1.99 | △11.74 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期と比較して減少しています。従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から減少しており、当連結会計年度はわずかな利益となっています。これらの数値は、事業規模の拡大に伴う従業員数の増加や、一時的な費用増加が影響している可能性があります。従業員一人ひとりの生産性向上が今後の課題となることが示唆されます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 25.7百万円 | 21.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.3百万円 | 0.0百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定した資金を生み出している一方で、将来に向けた投資を積極的に行っている状況です。そのため、現時点では手元資金を使いながら成長を目指している段階にあると言えます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、自己資本比率は前期から改善し、当期はプライム市場の非製造業平均と比較してやや高い水準となっています。しかし、ROE(自己資本利益率)は当期、前期ともにマイナスを示しており、収益性には課題がある状況です。手元資金である現金及び預金は前期から減少しており、不況時の耐性については注視が必要な状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 29.8億円 | 29.7億円 |
| 自己資本比率 | 23.0% | 26.0% |
| ROE(自己資本利益率) | -0.8% | -4.9% |
| 現金及び預金 | 31.8億円 | 8.8億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、17.8億円の収入となりました。これは主に減価償却費があった一方で、税金等調整前当期純損失や法人税等の支払、EC事業に関連する棚卸資産の増加があったことによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、20.2億円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少や長期借入金の返済による支出が、長期借入による収入を上回ったため、20.9億円の支出となっています。
これらの結果、自由に使える資金を示すフリーキャッシュ・フローは当期もマイナスであり、本業で得た資金を上回る投資を行っている状況です。これは将来の成長に向けた積極的な投資フェーズにあることを示しており、今後の事業拡大が期待される一方で、資金の効率的な運用が継続的な成長と雇用安定性につながると考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 14.8億円 | 17.8億円 |
| 投資CF | △29.6億円 | △20.2億円 |
| 財務CF | 37.2億円 | △20.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △14.8億円 | △238百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの業績は、建設用仮設機材のレンタルを主たる事業としているため、建設投資動向の影響を受ける傾向にあります。建設投資動向が変動し、レンタル需要が落ち込んだ場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、ASEANでの事業拡大を戦略の一つとしていますが、為替リスクに加え、政情不安、経済動向の不確実性、法規制、商慣習等、海外事業に内在するリスクを負っています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループでは、一層の成長を支える優秀な人材を確保することが重要だと考えています。雇用情勢の変化等により、計画通りに人材が確保・育成できない場合には、事業運営や経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ASNOVAグループは、「『カセツ』の力で、社会に明日の場を創りだす」というパーパスを掲げ、レンタル事業を通じて循環型社会の実現に貢献することを目指しています。人的資本を価値創造の源泉と捉え、社員一人ひとりの主体的な行動と協働を促す「自走型組織」への進化を目指している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ASNOVAグループは、『「カセツ」の力で、社会に明日の場を創りだす』というパーパス(存在意義)のもと、レンタル事業を通じて循環型社会の実現に貢献することを目指しています。国内足場レンタル事業を安定した収益基盤とし、そこで培ったノウハウを活かして海外展開や新たなレンタル事業領域への展開を進めています。
2030年のありたい姿として、足場レンタル事業を確固たる収益基盤とする、高収益のグローバルなレンタルビジネスのエクセレントカンパニーとなることを掲げています。その実現に向け、既存事業の収益力向上に加え、M&Aを通じた非連続的な成長、グループ経営体制の整備、財務規律を踏まえた成長投資を推進しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、価値創造の源泉を人的資本に求め、人的資本への投資を重要な経営課題と位置付けています。社員一人ひとりの意思や感性を尊重し、主体的な行動と協働を促す「自走型組織」への進化を目指しています。対話と共感を基盤として信頼関係を育み、組織内外にソーシャルキャピタルを蓄積することで、組織能力の向上につなげています。
人事評価制度は、社員の挑戦を後押しし、長期的に信頼される人材と組織文化を形成するため、「チャレンジ評価」「徳目評価」「バリューズ評価」の三軸で構成されています。これにより、変化と挑戦を促し、日々の振る舞いを磨き、同社が大切にする価値観の体現度を確認しています。成果・行動・価値観を立体的に捉えることで、挑戦と品性・価値観の両立を図ることを重視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、事業成長を支える人材の確保・育成と、グループとしてのガバナンス及び管理体制の高度化を重要な経営課題と認識しています。人材面では、業容拡大に対応できる組織体制の整備と育成機会の拡充を進め、社員のスキル向上と共通価値観の浸透を図っています。
管理体制面では、「コンプライアンス・マニュアル」の整備、法令・企業倫理の徹底、損失の危険の管理に関する体制整備、内部統制の実効性向上に取り組んでいます。また、持株会社となるASNOVA Companiesの設立により、グループ経営の規律とスピードを両立させる体制整備を進め、持続的な成長を支える人材・組織基盤の強化に取り組んでいます。建設仮設業界の活性化への貢献として、オウンドメディア「カケルバ」やYouTubeチャンネル「あすのばチャンネル」での情報発信も行っています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ASNOVAは持株会社であり、監査役会設置会社として、取締役会による監督と監査役による監査の二重のチェック機能を持つ体制を採用しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ASNOVAの株主構成を見ると、筆頭株主は一般社団法人ニチレンであり、代表取締役社長である上田桂司氏が第2位の株主となっています。このように、特定の株主が上位を占める資本構成となっており、経営に対する影響力が大きいことがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 一般社団法人ニチレン | 41.26% |
| 上田 桂司 | 31.97% |
| SBI証券 | 1.72% |
| 中村 真一郎 | 0.96% |
| ASNOVA従業員持株会 | 0.80% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性7名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は上田桂司氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 上田桂司 | 代表取締役社長 | 1999年4月株式会社三栄コーポレーション入社、1999年9月上田建機株式会社入社、2007年4月同社専務取締役。2013年12月同社設立より現職。 |
| 加藤大介 | 取締役 | 2007年4月ガステックサービス株式会社(現サーラエナジー株式会社)入社、2010年4月株式会社プロトコーポレーション入社。2020年11月同社取締役就任より現職。 |
| 森下哲 | 取締役仮設事業本部長 | 1997年4月株式会社三共入社、2017年4月同社営業部長。2021年6月同社取締役仮設事業本部長就任より現職。 |
社外取締役は、梅下翔太郎氏(株式会社T.K.R代表取締役、セレンディップ・ホールディングス株式会社インベストメント担当執行役員、セレンディップ・フィナンシャルサービス株式会社取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会による監督と監査役による監査の二重のチェック機能を持つ体制を採用しています。取締役4名のうち1名が社外取締役であり、社外の第三者の視点から取締役会への助言および監視を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ASNOVAの役員報酬は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブとして機能するよう設計されています。取締役の報酬は固定報酬としての基本報酬が支給され、役位や職責、他社水準、同社の業績、従業員給与の水準を総合的に考慮して決定されます。監査役の報酬は独立性確保の観点から固定報酬のみとなっており、監査役間の協議により決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 52百万円 | 17.4百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 5百万円 | 5.4百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 12百万円 | 4.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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