ひろぎんホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ひろぎんホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ひろぎんホールディングスは東京証券取引所プライム市場に上場し、傘下の広島銀行を中心に銀行業務、リース業務、金融商品取引業務などを展開する地域総合サービスグループです。直近の業績では、資金運用収益の増加により増収を達成し、親会社株主に帰属する当期純利益も増益となり、2年連続で過去最高益を更新しています。


※本記事は、株式会社ひろぎんホールディングスの有価証券報告書(第6期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ひろぎんホールディングスってどんな会社?


同社は広島銀行の単独株式移転により設立された持株会社で、地域社会に貢献する総合金融サービスを提供しています。

(1) 会社概要


2020年10月に広島銀行の単独株式移転により持株会社として設立され、同時に東京証券取引所市場第一部に上場しました。また、広島銀行の子会社であった証券、リースなどを直接出資会社として再編しました。2021年にはひろぎんITソリューションズなどを子会社化し、2022年4月にプライム市場へ移行しています。

従業員数は連結で3,708名、単体で15名です。大株主の構成は、筆頭株主が信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位も同様に信託業務を行う日本カストディ銀行(信託口)、第3位は生命保険事業を展開する明治安田生命保険となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 12.95%
日本カストディ銀行(信託口) 4.90%
明治安田生命保険 2.71%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.1%です。代表取締役社長は部谷俊雄氏が務めており、社外取締役比率は45.5%です。

氏名 役職 主な経歴
池田 晃治 代表取締役会長 1977年広島銀行入行。総合企画部長や福山営業本部本部長などを経て、2012年より代表取締役頭取。2020年より現職。
部谷 俊雄 代表取締役社長 1983年広島銀行入行。総合企画部長や本店長などを経て、2018年より代表取締役頭取。2020年より現職。
清宗 一男 取締役専務執行役員 1986年広島銀行入行。大手町支店長や呉支店長などを経て、2020年より常務執行役員。2022年より現職。
横見 真一 取締役専務執行役員 1989年広島銀行入行。総合企画部長などを経て、2020年より同社経営企画部グループ長。2024年より現職。
廣江 裕治 取締役専務執行役員 1989年広島銀行入行。人事総務部長や呉支店長などを経て、2022年より常務執行役員。2024年より現職。


社外取締役は、新免慶憲(元日本銀行京都支店長)、松村はるみ(元アンリ・シャルパンティエ代表取締役)、谷宏子(元あずさ監査法人社員)、北村俊明(元富士通)、大隈郁仁(元東急不動産代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業」「リース業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 銀行業


預金業務、貸出業務、有価証券投資業務および為替業務などの金融サービスを提供しています。地域社会や顧客の課題解決を重視し、個人向けおよび法人向けの幅広いニーズに対応した総合的なサービスを展開しています。

顧客からの預金や各種手数料を主な収益源としています。これらの金融サービスの運営は広島銀行が行っています。

(2) リース業


法人顧客を中心に、各種機械設備や車両などのリース業務、オートリース業務などを提供しています。地域の企業が抱える設備投資ニーズや経営の効率化に貢献するサービスを展開しています。

顧客からのリース料や手数料などを主な収益源としています。このリース事業の運営はひろぎんリースが行っています。

(3) その他


金融商品取引、債権の管理・回収、コンサルティング、投資、IT関連、信用保証、クレジットカードなど、多様な非金融・周辺金融分野のサービスを提供し、顧客の多様なニーズに対応しています。

各事業における手数料やコンサルティング料などを主な収益源としています。運営はひろぎん証券、しまなみ債権回収、ひろぎんITソリューションズなどのグループ各社がそれぞれ行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、経常利益は2023年3月期に一度減少したものの、その後は増益基調に転じ、2026年3月期には620億円へと大きく成長しています。一方で当期利益は2025年3月期まで順調に増加していましたが、2026年3月期には67億円へと減少しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
経常利益 271億円 188億円 342億円 522億円 620億円
当期利益(親会社所有者帰属) 82億円 158億円 193億円 218億円 67億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、営業利益は前期から大きく減少しています。この要因として、販売費および一般管理費の増加などが影響しているとみられ、収益構造に変化が見られます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業利益 218億円 69億円


販売費及び一般管理費のうち、給与・手当が15億円(構成比47%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の経常収益を見ると、主力である銀行業が貸出金利息などの増加により順調に拡大し、全体の成長を牽引しています。リース業およびその他の事業も前期から増収となっており、全事業において安定した成長を遂げています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
銀行業 1,671億円 2,144億円
リース業 227億円 235億円
その他 116億円 133億円
連結(合計) 2,014億円 2,512億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


末期型(事業拡大に伴う資産増加)
なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に貸出金の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -8,974億円 -3,452億円
投資CF -2,025億円 -2,028億円
財務CF -177億円 -209億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.2%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も4.7%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、パーパスおよび経営理念を掲げ、「地域社会および地域のお客さまへの更なる貢献」と「同社グループの持続的成長および企業価値の向上」の実現を目指しています。グループ一体経営や連携を強化し、各社の強みを活かすことでシナジーの最大化を図りながら事業を展開しています。

(2) 企業文化


同社は「<地域総合サービスグループ>」として、地域活性化につながる取組みを強化する価値観を重視しています。既存業務のクオリティ向上である「業務軸の深化」に加え、地域や顧客のニーズに対応するため新事業への積極的な投資を伴う「業務軸の拡大」など、新たなリスクテイクに挑戦する姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2024年4月から2029年3月までの5年間を計画期間とする「中期計画2024」を策定し、地域の発展に積極的にコミットしています。最終年度である2028年度の経営目標として、以下の指標を掲げています。

・連結ROE 11.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、価値創造に向けた取組みとして個人分野での資産形成支援や、法人分野における事業性評価を起点としたソリューション提案を強化しています。さらに「地域開発ビジネス」を注力分野と位置づけ、不動産関連ファイナンスや行政等へのコンサルティングを軸に、グループ横断での推進体制を強化して事業機会の拡大を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、「人を最も重要な経営資源である『人財』」と位置付け、効果的な採用・育成・配置により全ての従事者の能力と意欲を最大限に引き出す方針です。これからの時代に求められる人間力をベースに、「専門性とマネジメント能力を持ち合わせたゼネラリスト」および「ソリューションを生み出すスペシャリスト」の育成を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 50.4歳 25.4年 11,177,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 17.7%
男性育児休業取得率 114.0%
男女賃金差異(全労働者) 47.7%
男女賃金差異(正規) 64.1%
男女賃金差異(非正規) 47.7%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、一人当たり人的資本投資額(241千円)、障がい者雇用率(3.2%)、エンゲージメント指数(3.9pt)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 気候変動リスク


台風や豪雨等の自然災害の頻発による物理的リスクや、環境規制強化に伴う移行リスクがあります。顧客の被災や経営悪化に伴う信用リスクの増大、同社の営業活動の停滞等により、業績や自己資本比率に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 信用リスク


世界経済や国内景気の動向、不動産価格、原材料価格高騰などにより、貸出先の経営状況が悪化する可能性があります。これにより不良債権が増加し、与信費用の増加や貸倒引当金の積み増しが必要となることで、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 市場リスク


同社は有価証券投資をはじめ多様な金融商品での運用を行っており、金利、為替レート、株価、債券価格の変動リスクを負っています。国内外の金利上昇によるポートフォリオ価値の低下や、株価の大幅下落による減損等が発生する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。