ひろぎんホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ひろぎんホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の銀行持株会社。広島銀行を中核に、リース、証券、コンサルティング等の金融サービスを展開する地域総合サービスグループです。直近の業績は、貸出金利息や有価証券利息配当金の増加等により資金運用収益が伸び、増収増益となりました。


※本記事は、株式会社ひろぎんホールディングス の有価証券報告書(第5期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ひろぎんホールディングスってどんな会社?


広島銀行を中核とする地域総合サービスグループです。銀行業務に加え、リース、証券等を展開しています。

(1) 会社概要


2020年10月、広島銀行の単独株式移転により持株会社として設立され、東証一部に上場しました。2021年にはひろぎんITソリューションズおよびひろぎんリースを完全子会社化し、グループ体制を強化。2023年にひろぎんクレジットサービスを発足させ、2024年にはひろぎんライフパートナーズを設立しています。

連結従業員数は3,689名(単体17名)です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、第2位も同様に日本カストディ銀行(信託口)です。第3位には事業会社である明治安田生命保険相互会社が名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 13.15%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 6.45%
明治安田生命保険相互会社 2.69%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名、計11名で構成され、女性役員比率は18.1%です。代表取締役社長は部谷 俊雄氏です。社外取締役比率は45.5%です。

氏名 役職 主な経歴
池田 晃治 代表取締役会長 1977年広島銀行入行。総合企画部長、福山営業本部本部長等を歴任。2012年同行代表取締役頭取、2018年同行代表取締役会長を経て、2020年10月より現職。
部谷 俊雄 代表取締役社長 1983年広島銀行入行。総合企画部長、本店営業部本店長等を歴任。2018年同行代表取締役頭取を経て、2020年10月より現職。
清宗 一男 取締役専務執行役員 1986年広島銀行入行。執行役員呉支店長兼呉市役所出張所長、常務執行役員等を歴任。2022年4月より現職。広島銀行代表取締役頭取を兼務。
横見 真一 取締役専務執行役員 1989年広島銀行入行。総合企画部長、経営企画部経営企画グループ長兼サステナビリティ統括室長等を歴任。2024年6月より現職。
廣江 裕治 取締役専務執行役員 1989年広島銀行入行。人事総務部長、執行役員呉支店長兼呉市役所出張所長等を歴任。2024年6月より現職。
熊野 達朗 取締役(監査等委員) 1988年広島銀行入行。リスク統括部理事、常勤監査役を経て、2023年6月より現職。


社外取締役は、新免 慶憲(元日本銀行検査役)、松村 はるみ(元アンリ・シャルパンティエ代表取締役)、谷 宏子(公認会計士)、北村 俊明(広島市立大学名誉教授)、大隈 郁仁(元東急不動産代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業」「リース業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 銀行業


広島銀行の本店および支店等において、預金業務、貸出業務、有価証券投資業務および為替業務等を行っています。地域社会や顧客への金融サービスの提供を主軸としています。

収益源は、貸出金利息、有価証券利息配当金、各種手数料等です。運営は主に株式会社広島銀行が行っています。

(2) リース業


顧客に対し、リース業務等を提供しています。設備投資ニーズに対応したファイナンス機能や物件管理機能を提供しています。

収益源は、リース料収入等です。運営はひろぎんリース株式会社が行っています。

(3) その他


金融商品取引業務、債権の管理・回収業務、コンサルティング業務、投資業務、IT関連業務、信用保証業務、クレジットカード業務等を行っています。

収益源は、手数料収入、投資収益、保証料収入等です。運営はひろぎん証券株式会社、しまなみ債権回収株式会社、ひろぎんキャピタルパートナーズ株式会社、ひろぎんITソリューションズ株式会社、ひろぎんクレジットサービス株式会社などが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

当期は増収増益となりました。これは、貸出金利息および有価証券利息配当金の増加により資金運用収益が増加したことが主な要因です。一方、資金調達費用や営業経費が増加したものの、貸倒引当金繰入額の減少によりその他経常費用が減少したことから、連結経常費用は前期比で減少しました。その結果、連結経常利益は大幅に増加し、親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高益を記録しました。過去数年間においては、経常収益は着実に増加傾向にあり、当期は特に顕著な利益の伸びを示しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
経常収益(億円) 11,548 14,609 16,023 18,607 20,137
経常利益(億円) 3,104 2,707 1,878 3,415 5,218
当期純利益(億円) 2,157 2,291 1,251 2,769 3,584

(2) 損益計算書

当期は、貸出金利息及び有価証券利息配当金の増加により資金運用収益が増加したことから、経常収益は前期比で増加しました。経常費用は、資金調達費用や営業経費が増加したものの、貸倒引当金繰入額の減少によりその他経常費用が減少したことから、前期比で減少しました。その結果、経常利益は大幅に増加し、当期純利益も増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
経常収益 18,607 20,137
経常費用 15,192 14,919
経常利益 3,415 5,218
当期純利益 2,769 3,584

(3) 役務取引等収益の内訳

当期の役務取引等収益合計は259億円となり、前期比で増加しました。役務取引等収益のうち、最も規模が大きいのは預金・貸出業務であり、当期は169億円となりました。次いで大きいのは為替業務で、当期は38億円でした。

区分 2024年3月期 2025年3月期
役務取引等収益 合計 240 259
預金・貸出業務 153 169
為替業務 36 38
証券関連業務 3 3
代理業務 12 12

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ひろぎんホールディングスは、預金等の増加により総資産を拡大させています。営業活動によるキャッシュ・フローは、コールマネー等の減少や貸出金の増加により支出超過となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得が売却・償還を上回ったため支出超過となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより支出超過となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業活動によるキャッシュ・フロー 7,833 △8,974
投資活動によるキャッシュ・フロー △1,194 △2,025
財務活動によるキャッシュ・フロー △159 △177

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「地域社会および地域のお客さまへの更なる貢献」と「当社グループの持続的成長および企業価値の向上」の実現を目指しています。グループ一体経営およびグループ内連携を強化し、各社の特長・強みを活かすことでグループシナジーの最大化を図ることを基本方針としています。

(2) 企業文化


「お客さま本位の業務運営」をすべての基本とし、一人ひとりの悩みやニーズに即したきめ細やかなサービスの提供を通じて信頼に応えることを重視しています。また、「褒める文化・チャレンジする風土」の醸成に向け、ビジネスコンテストの開催や若手・中堅社員によるワーキンググループの設置など、前向きな挑戦を推奨する風土づくりに取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


「中期計画2024」(2024年4月から2029年3月までの5年間)の前半として、2028年度を最終年度とする経営指標を掲げています。

* 連結ROE:9.5%以上
* 連結BPS:2,000円以上
* 連結PBR:1倍以上

(4) 成長戦略と重点施策


「中期計画2024」では、地域・顧客の課題解決と地域の発展へのコミットメントを掲げ、「価値創造」「経営基盤強化」「各種X(トランスフォーメーション)」の3つを柱としています。

価値創造では、行政や地元企業との連携による新産業創出や地域開発への関与、海外ビジネス支援、非金融分野でのソリューション拡大(人材紹介等)に取り組みます。各種Xとしては、SX(サステナビリティ)での脱炭素化支援やDE&I推進、DX(デジタル)でのAI活用やデータ利活用基盤の構築、AX(アライアンス)での他社との連携強化を進めていきます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人財」を最も重要な経営資源と位置付け、各種研修やリスキリング支援、外部派遣等の人的資本投資を強化しています。求める人材像として「専門性とマネジメント能力を持ち合わせたゼネラリスト」と「ソリューションを生み出すスペシャリスト」を掲げています。人事制度を抜本的に改定し、年次によらない昇格・昇進や、職務内容に応じた処遇強化、グループ間での処遇差異の縮小等を進め、多様な人材が活躍できる環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 48.1歳 22.9年 10,395,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.7%
男性育児休業取得率 101.2%
男女賃金差異(全労働者) 42.2%
男女賃金差異(正規雇用) 58.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 57.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性マネジメント職比率(19.3%)、キャリア採用(62人)、障がい者雇用率(2.8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 気候変動による社会・環境等の変化


脱炭素社会への移行に伴う対応費用の増加や、異常気象による設備毀損・サプライチェーン寸断などが、地元取引先の経営悪化を招き、与信費用やリスク・アセットの増加につながる可能性があります。また、社会的要請への対応遅延による信用低下のリスクもあります。

(2) 米国の関税引き上げ


米国の関税政策変更により、各国の対米輸出が減少した場合、経済活動の停滞や取引先企業の業績悪化を招き、同社グループの与信費用やリスク・アセットが増加する可能性があります。

(3) 急速なデジタル化


デジタルプラットフォーマーなど他業態による金融業務への参入が進む中、競争環境の変化により収益機会を喪失するリスクがあります。また、同社グループ自身のデジタル転換への対応が遅れた場合、成長機会を逸する可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。