ココペリ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ココペリ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ココペリは東証グロース市場に上場し、地域金融機関と連携した中小企業向け経営支援プラットフォーム「Big Advance」などのBtoB・SaaS事業を展開しています。直近の業績は、新規海外事業への先行投資等の影響により減収および経常赤字となっています。中小企業のDX推進や地方創生に注力する企業です。


※本記事は、ココペリの有価証券報告書(第19期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ココペリってどんな会社?


同社は、地域金融機関と強固に連携し、中小企業の事業成長やDX化を支援するビジネスプラットフォームを展開しています。

(1) 会社概要


2007年に設立され、中小企業向けのアウトソーシング事業等を経て、2018年に主力サービス「Big Advance」の提供を開始しました。2020年に東証マザーズ(現グロース市場)へ上場を果たし、近年はM&Aによる事業領域拡大や、海外ビジネスマッチング市場への参入など、継続的な成長投資を行っています。

現在の従業員数は連結で118名、単体で88名となっています。株主構成については、筆頭株主は創業者であり代表取締役CEOを務める近藤繁氏です。第2位および第3位も個人株主となっており、創業者およびその関係者を中心とした資本構成であることが窺えます。

氏名 持株比率
近藤 繁 31.80%
森垣 昭 5.10%
近藤 淳 3.70%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.0%です。代表取締役CEOの近藤繁氏をはじめとする経営陣は以下の通りです。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
近藤 繁 代表取締役CEO 2002年みずほ銀行入行、イー・ステージを経て、2007年に同社を設立し代表取締役CEOに就任。以来、同社の経営を牽引し現職。
兼子 真人 取締役 ケイビーエムジェイ入社。エス・エム・エス等を経て2017年同社入社。2021年取締役就任。ソリューション事業部ゼネラルマネージャーとして事業を統括。
馬庭 興平 取締役 2003年スルガ銀行入社、プロシップ取締役管理本部長等を経て、2020年に同社入社。コーポレート事業部長を経て、2024年より取締役コーポレート事業部ゼネラルマネージャー。


社外取締役は、松尾幸一郎(松システム取締役)、松本直人(複数企業の社外取締役・代表取締役等)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ビジネスプラットフォーム事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) Big Advance事業


日本全国の地域金融機関と連携し、その取引先である中小企業に向けて提供する経営支援プラットフォーム「Big Advance」を展開しています。全国の会員企業情報を連携し、広域でのビジネスマッチング、補助金情報検索、ホームページ自動作成などの多彩な機能を提供し、企業の課題解決を支援しています。

収益源は、金融機関から受け取る初期導入費用および月額固定の運用・保守費と、金融機関が中小企業から受け取る月額利用料に対するレベニューシェアで構成されるサブスクリプション型のモデルです。同社が主体となって開発・運営を行っています。

(2) DX Solutions事業


地域金融機関のDX化と業務効率化を支援するツール群や、中小企業向けのコンサルティングを提供しています。専門性AI FAQサービス「SAF」やファイル送受信サービス「WebFile」、金融機関向けマッチング管理「BMポータル」などを幅広く展開しています。

各サービスの導入および利用に伴うシステム利用料や保守運用料を金融機関等の顧客から受け取っています。また、補助金活用コンサルティングにおける成功報酬等も得ており、これらは同社および子会社のココペリ経営サポートが運営を担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近4期間の業績を見ると、売上高は着実な成長を続けていましたが、直近の事業年度においては減収に転じています。また利益面でも、安定した黒字を維持していましたが、海外展開などの先行投資や減損損失の計上により、直近では経常利益・当期利益ともに赤字となっています。

項目 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 18億円 18億円 20億円 18億円
経常利益 1億円 0.4億円 2億円 -2億円
利益率(%) 3.7% 2.2% 10.0% -11.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.2億円 1億円 1億円 -4億円

(2) 損益計算書


新サービスの立ち上げや海外事業への先行投資に伴う原価および販管費の増加により、売上総利益率は低下傾向にあります。これに広告宣伝費などのコスト増が重なり、営業赤字となっています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 20億円 18億円
売上総利益 11億円 8億円
売上総利益率(%) 56.8% 43.5%
営業利益 2億円 -4億円
営業利益率(%) 9.9% -23.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が3億円(構成比29%)、広告宣伝費が2億円(同16%)、外注費が1億円(同9%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社はビジネスプラットフォーム事業の単一セグメントで事業を展開しています。当期は主力サービスの会員数は堅調に推移したものの、大型の補助金採択報酬が剥落したことなどにより、売上高は前期を下回る結果となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
ビジネスプラットフォーム事業 20億円 18億円
連結(合計) 20億円 18億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスとなっており、本業の利益で借入金の返済を進めつつ、将来に向けた投資を手元資金の範囲内で賄う「健全型」のキャッシュ・フロー状態を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 4億円 0.3億円
投資CF -3億円 -3.3億円
財務CF -0.2億円 -0.5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期純損失のため算出されていませんが、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は77.6%で市場平均を大きく上回っており、強固な財務基盤を有しています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「企業価値の中に、未来を見つける。」というミッションを掲げ、日本経済の基盤である中小企業の課題解決を目指しています。また「中小企業にテクノロジーを届けよう。」というビジョンのもと、テクノロジーの力で地域金融機関と中小企業を繋ぎ、地方創生と新しい付加価値の創造に貢献することを方針としています。

(2) 企業文化


同社では4つの行動指針を共通の価値観として大切にしています。具体的には、「Deep User In(ユーザーを知り尽くし、期待を超えよう)」「Commit myself(自分にできる最高の仕事をしよう)」「Big & Speedy(大胆な方針を立て、素早く実行しよう)」「Team is Great(一人ではできないことを成し遂げよう)」を掲げており、高い自律性とチームワークを重視する文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社のビジネスはサブスクリプション型(継続課金型)のストック収益を基盤としているため、プラットフォームに参加するステークホルダーの拡大と定着を重視しています。具体的には、重要な経営指標として「導入金融機関数」「会員企業数」「会員企業の解約率(チャーンレート)」の推移を掲げ、サービスの安定的な成長と収益基盤の強化を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


既存事業の磨き込みとして、複数のAI技術を組み合わせて中小企業の伴走支援を行う「AIエージェント」の実装を進め、サービスの付加価値を高めます。さらに新規事業として、金融機関向けのDX支援サービスを拡販するとともに、タイなどへの海外プラットフォーム展開(グローバル戦略)を推進し、新たな収益構造の構築と非連続な成長を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材を最大の経営資源と位置づけ、次世代リーダーやマネジメント人材の戦略的育成を進めています。「エキスパートコース」と「マネジメントコース」の明確なキャリアパスを提示し、外部セミナーや資格取得の補助等を通じて個人の自律的な成長を支援しています。また、オンボーディングの充実やバリュー浸透施策により、チームワークを発揮できる環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 36.7歳 3.1年 6,146,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.5%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規雇用) -
男女賃金差異(非正規雇用) -


同社および連結子会社は従業員規模が300人以下のため、有報には一部項目の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定サービスへの依存

同社は「Big Advance」を主力サービスと位置付けており、事業展開の主軸としています。そのため、競争環境の激化や技術革新への対応遅れなどにより同サービスの競争力が低下した場合、あるいは顧客の継続率(チャーンレート)が悪化し単価向上が進まなかった場合、同社の業績や財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(2) クラウドインフラへの依存とシステム障害

同社のサービスは外部のクラウドサーバーを利用して提供されています。これまでに重大なトラブルは発生していませんが、自然災害やサイバー攻撃、想定外のシステム障害等によってインフラが停止した場合、サービスの提供が困難となり、顧客からの信頼低下や損害賠償を通じて同社の事業運営に深刻な影響を与えるリスクがあります。

(3) 提携金融機関とのパートナーシップの維持

同社は全国の地域金融機関と連携して「Big Advance」を展開し、金融機関を通じて中小企業会員を獲得するビジネスモデルを採用しています。今後、金融機関側の戦略変更や連携の解消、あるいは新規会員開拓における支障が生じた場合、サービスの普及ペースが鈍化し、同社の成長シナリオや業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。