※本記事は、サワイグループホールディングス株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
サワイグループホールディングスは持株会社であり、単体従業員数は110名、グループ連結従業員数は3,630名です。
同社グループは、医薬品の製造・販売を行う国内外の子会社の株式を保有し、その事業活動を管理・支援する持株会社です。連結子会社6社で構成され、医療用医薬品及び一般用医薬品の製造・販売を主な事業としています。
主な国内グループ会社は、沢井製薬(医療用医薬品・の製造販売)、メディサ新薬(医療用医薬品・の販売)、FrontAct(医療用機器等の・製造販売等)などです。
同社グループは、2024年4月2日に米国事業の持株会社であるSawai America Holdings Inc.の全株式を譲渡しており、米国事業を非継続事業に分類しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社グループはジェネリック医薬品事業を中核とし、人々の健康に貢献することを目指しています。持株会社体制のもと、グループ全体の人材戦略を通じて、従業員の成長と働きがいを重視する環境を整備しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、平均勤続年数が8.8年、平均年齢が43.7歳となっており、比較的長期にわたってキャリアを築く従業員が多い傾向が見られます。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,377,000円 |
| 平均勤続年数 | 8.8年 |
| 平均年齢 | 43.7歳 |
| 単体従業員数 | 110人 |
| 連結従業員数 | 3,630人 |
| 単体のグループ内比率 | 3.0% |
同社グループは、退職後給付制度として確定拠出制度(会社が拠出した資金を従業員が運用する)を採用しています。この制度は国内の従業員に適用されます。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、企業理念「なによりも健やかな暮らしのために」のもと、人財を最も重要な経営資源の一つと位置づけています。人事理念「個を育て、個を活かす」のもと、「従業員がイキイキとする活気ある会社」を目指し、経営戦略に連動した人財の確保・育成、多様な人財の活躍支援、データに基づく戦略的人事マネジメントを基本方針としています。
特に、製造・品質保証・品質管理、高付加価値ジェネリック医薬品の開発、新規事業開発、次世代の経営を担うリーダー層を「必要人財」と定義し、計画的な登用・育成、ID&E(インクルージョン・ダイバーシティ・エクイティ)の推進、賃金の適正配分といった人財強化施策を展開しています。また、社内公募制度やキャリアデザイン研修を通じた主体的なキャリア形成、育児・介護休業制度や在宅勤務制度の推進による両立支援と健康経営にも取り組んでいます。
給与は、役割・等級・能力に基づく基本給と、会社業績および個人の成果に応じた賞与、諸手当により構成されています。同社グループは、従業員給与を人的資本への重要な投資と位置づけ、役割、能力、成果、成長への期待を適切に反映し、「成果を上げた人に報いる」納得感のある処遇を目指しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
グループ全体(連結)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 9.8% |
| 男性育児休業取得率 | 108.2% |
多様性・登用
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 障がい者雇用率 | 3.14% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 社内公募応募者数 | 14名 |
| キャリア相談利用者数 | 39名 |
| エンゲージメント指標 | 3.6 |
| 離職率 | 2.95% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
サワイグループホールディングスは、医薬品の製造・販売を行う国内外の子会社の株式や持分を保有し、グループ全体の事業活動を管理・支援する持株会社です。同社グループは、人々の健康に貢献し続ける存在感のある会社を目指し、ジェネリック医薬品事業を主軸に据えています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、医療用医薬品および一般用医薬品の製造と販売を主な事業としています。国内の販売会社、卸売店、医療機関など多様な顧客に製品を提供しており、製品販売を通じて収益を上げています。
同社グループの事業は「医薬品等の製造及び販売」の単一セグメントで構成されています。中核会社である沢井製薬が医薬品の製造と販売を担い、メディサ新薬、化研生薬、トラストファーマテックも医療用医薬品の製造・販売を、FrontActは医療用機器等の製造販売を行っています。
同社グループの収益は主に国内市場から得られており、外部顧客への売上収益の大部分を本邦が占めています。薬効別では循環器官用薬が最も大きな割合を占めており、中枢神経系用薬、その他の代謝性医薬品がこれに続いています。
また、同社グループはPHR(パーソナルヘルスレコード)事業、治療アプリ(DTx)の開発・販売、医療機器事業といった新たなヘルスケア領域への投資も進めています。主要な販売先は株式会社メディセオとアルフレッサ株式会社であり、特定の顧客への収益集中が見られます。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上収益は変動しつつも直近2期は増加傾向にあります。税引前利益と親会社の所有者に帰属する当期利益は、過去に大きな損失を計上した期がありましたが、その後は回復基調にあります。
直近の連結会計年度では、売上収益は前期から増加し、営業利益と税引前当期利益は大幅に増加しました。これは、前期に計上された訴訟損失引当金などの非経常的な費用が減少したことが主な要因となっています。一方で、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期から減少しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度において収入が減少しました。これは、安定供給力強化のための棚卸資産購入・製造に係るキャッシュ・アウトや、当社製品に関する訴訟の賠償金支払いが影響しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 1,938億円 | 1,637億円 | 1,769億円 | 1,890億円 | 2,017億円 |
| 税引前利益 | △362億円 | 158億円 | 183億円 | 31.6億円 | 143億円 |
| 税引前利益率 | △18.7% | 9.7% | 10.3% | 1.7% | 7.1% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | △283億円 | 127億円 | 137億円 | 120億円 | 104億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △215.18 | 96.42 | 104.22 | 96.54 | 90.39 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上収益は前期から減少する傾向にあります。一方で、従業員1人あたり営業利益は前期から増加しており、これは前期に発生した一時的な費用が減少した影響が考えられます。これらの指標は、同社グループが事業環境の変化に対応しつつ、生産性の改善に取り組んでいる状況を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 57.1百万円 | 55.6百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 1.2百万円 | 4.4百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
サワイグループホールディングスは、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた積極的な投資を行っている段階にあります。これは、事業の持続的な成長を目指す姿勢を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均を上回っており、安定した状態にあると言えます。ROE(自己資本利益率)はプライム市場の製造業平均を下回っていますが、自己資本の厚みは確保されています。手元資金は前期から減少していますが、事業活動を支える一定の現金及び現金同等物を保有しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 1,739億円 | 1,786億円 |
| 自己資本比率 | 49.0% | 49.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 6.2% | 5.9% |
| 現金及び現金同等物 | 388億円 | 290億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは収入となりましたが、前期と比較すると減少しています。これは、安定供給力強化のための棚卸資産購入・製造に係るキャッシュ・アウトや、当社製品に関する訴訟の賠償金支払などが主な要因です。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得や無形資産の取得による支出が主因となり、支出超過となっています。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れや社債の発行による収入が主因となり、収入超過となりました。全体として、本業で得た資金を将来の成長に向けた設備投資や無形資産への投資に充てている状況がうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 278.5億円 | 74.3億円 |
| 投資CF | 64.8億円 | △228.9億円 |
| 財務CF | △327.0億円 | 55.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 343.3億円 | △154.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、薬価制度及び医療制度の変更による影響を受ける可能性があります。国の定める薬価基準への収載や薬価改定、医療保険制度の改革議論が財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
また、ジェネリック医薬品市場への多数メーカー参入による価格競争の激化や、先発医薬品メーカーのオーソライズドジェネリック投入による市場シェア低下もリスクとして認識されています。競合他社の研究開発力向上も、同社グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
少子高齢化に伴う中長期的な人手不足は、同社グループの事業に影響を与えるリスクとして認識されています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
サワイグループホールディングスは、人々の健やかな暮らしに貢献することを企業理念に掲げ、信頼される企業として社会とともに持続的に発展することを目指しています。ジェネリック医薬品事業を中核に、品質と安定供給を重視する企業風土が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは「信頼に値する企業」を目指すことを第一に掲げています。長期ビジョン「Sawai Group Vision 2030」では、「より多くの人々が身近にヘルスケアサービスを受けられ、社会の中で安心して活き活きと暮らせる世界」を創りたい世界像としています。
また、「個々のニーズに応じた、科学的根拠に基づく製品・サービスを複合的に提供することで、人々の健康に貢献し続ける、存在感のある会社」でありたい姿としています。同社グループはジェネリック医薬品業界のリーディング・カンパニーとして、品質・安定供給・情報提供においてトップレベルの水準を維持し、持続的な成長を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは「なによりも健やかな暮らしのために」という企業理念を掲げ、ジェネリック医薬品事業を通じて人々の健康に貢献し、サステナブルな社会の実現を目指しています。すべてのステークホルダーとの継続的なエンゲージメント(相互信頼に基づく絆の構築)に努め、社会とともに絶え間ない進化を遂げることを基本方針としています。
品質の確保と信頼性の向上を最重要責務とし、企業風土改革プロジェクトやGMP(製造管理・品質管理基準)教育の再実施を通じて、信頼回復と向上に取り組んでいます。コンプライアンス体制の強化、リスク管理の充実、内部統制の整備・拡充といったコーポレート・ガバナンスの強化も図っています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、信頼性の向上を最重要課題の一つとしています。沢井製薬の行政処分を受け、企業風土改革プロジェクトの実施やGMP教育の再実施、人材確保推進などの再発防止策に取り組んでいます。
安定供給の維持・確保も重要な使命であり、生産能力の増強や原材料の確保、BCP(事業継続計画)に基づく災害対策を進めています。情報提供の充実も課題としており、マルチチャネルを活用した迅速かつ正確な情報提供力の強化を図っています。
企業体質・経営管理の強化では、企業理念の浸透、コンプライアンス委員会の活動強化、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでいます。人財の育成やダイバーシティへの取り組みも強化し、新規事業基盤の構築・強化として、既存事業以外の新規領域や周辺ヘルスケア分野への展開も進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
サワイグループホールディングスは、監査等委員会設置会社として、経営の意思決定機能と業務執行機能を分離した体制を採用しています。社外取締役が経営の監督機能を担い、透明性の高い経営を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの株主構成を見ると、日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行といった信託銀行が上位を占めています。一方で、代表取締役会長兼社長である澤井光郎氏をはじめ、創業家やその関連会社が上位株主として名を連ねています。これにより、創業家が同社グループの経営に一定の影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 17.21% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 11.89% |
| 澤井光郎 | 2.74% |
| BNYM AS AGT/CLTS 10 PERCENT | 2.57% |
| NORTHERN TRUST CO. (AVFC) RE SILCHESTER INTERNATIONAL INVESTORS INTERNATIONAL VALUE EQUITY TRUST | 2.54% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性5名・女性3名)で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役会長兼社長グループCEO兼グループCOOは澤井光郎氏が務めています。社外取締役比率は62.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 澤井 光郎 | 代表取締役会長兼社長グループCEO兼グループCOO | 1982年協和発酵工業株式会社入社、1989年沢井製薬株式会社入社。2008年同社代表取締役社長、2020年同社代表取締役会長。2021年同社代表取締役会長、2023年同社代表取締役会長兼社長より現職。 |
| 横田 祥士 | 取締役専務執行役員グループ研究開発統括役員 | 1982年山之内製薬株式会社入社。2016年沢井製薬株式会社入社。2019年同社常務執行役員研究開発本部長。2023年同社取締役専務執行役員グループ研究開発統括役員より現職。 |
社外取締役は、小原正敏氏(きっかわ法律事務所パートナー・筆頭独立社外取締役・指名・報酬等ガバナンス委員会委員長)、三津家正之氏(元田辺三菱製薬代表取締役社長)、相徳泰子氏(Tomo Value Healthcare Solutions代表)、谷口悦子氏(谷口悦子公認会計士事務所代表・監査等委員)、Nose Yukiyo氏(社長のための経営事務所所長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役が経営の監督機能を担う体制を採用しています。経営の意思決定機能と業務執行機能の分離を図り、執行役員制度を導入することで、迅速かつ効率的な経営を目指しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社グループの役員報酬は、基本報酬である固定報酬、業績連動報酬としての賞与、そして中長期的なインセンティブとしての譲渡制限付株式報酬で構成されています。譲渡制限付株式報酬には、勤務継続型と業績連動型の2種類があります。基本報酬と賞与の割合は概ね3対1を目安とし、譲渡制限付株式報酬は総報酬額の10%以上を目安に付与されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 97百万円 | 48.5百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 14百万円 | 14.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 5百万円 | 5.0百万円 |
| 社外役員 | 8名 | 48百万円 | 6.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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