株式会社オーケーエム転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社オーケーエム の有価証券報告書(第61期、自 2021年4月1日 至 2022年3月31日、2022年6月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. オーケーエムってどんな会社?
建築、発電、造船等の幅広い業界で使用されるバタフライバルブなど、流体制御機器を製造販売する企業です。
■(1) 会社概要
1902年に奥村清太郎が鋸切製造所を創業し、1952年にバルブコック専門工場へ転換しました。1962年に法人を設立し、1990年にマレーシア、2003年に中国へ進出しました。2020年12月に東京証券取引所市場第二部に上場し、2022年4月にスタンダード市場へ移行しました。
2022年3月31日現在、従業員数は連結326名、単体233名です。筆頭株主は従業員持株会で、第2位は創業家一族の資産管理会社と思われる有限会社クローバー通商、第3位は代表取締役社長の奥村晋一氏です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| OKM従業員持株会 | 10.22% |
| 有限会社クローバー通商 | 10.14% |
| 奥村 晋一 | 6.42% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は奥村晋一氏です。社外取締役比率は約28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 奥村 晋一 | 代表取締役社長執行役員 | 1991年横河電機入社。1997年同社入社。生産統括本部長、国際統括本部長、管理統括本部長などを経て2021年6月より現職。 |
| 村井 米男 | 取締役会長執行役員 | 1970年同社入社。技術部長、企画統括本部長を経て2009年代表取締役社長に就任。2021年6月より現職。 |
| 木田 清 | 取締役上席執行役員管理統括本部長 | 1986年同社入社。大阪支店長、東京支店長、営業統括本部長を経て2021年4月より現職。 |
| 福地 正晴 | 取締役上席執行役員生産統括本部長 | 1982年同社入社。バルブ技術部長、滋賀工場長などを経て2021年6月より現職。 |
| 谷口 登 | 取締役(監査等委員) | 1981年同社入社。システム部長、経営企画部長、内部監査室長を経て2020年6月より現職。 |
社外取締役は、西村猛(元有限責任監査法人トーマツ)、杉野博昭(元株式会社テクノスマート取締役管理本部長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「バルブ製造販売事業」を展開しています。単一セグメントですが、市場区分として「陸用」と「舶用」に大別されます。
■(1) 陸用市場向け事業
建築設備、化学、電力ガス、鉄鋼、紙パルプ、水処理業界など、幅広い産業分野の顧客に対し、工場や建築市場のニーズに対応した流体制御機器(バタフライバルブ、ナイフゲートバルブ等)を提供しています。超高層ビル「あべのハルカス」の空調設備等にも採用されています。
収益は、これらの産業用バルブ製品を顧客へ販売することで得ています。標準製品では対応できないニッチ市場を開拓し、顧客ニーズに合わせたカスタマイズバルブの開発・製造・販売を、主にオーケーエムが行っています。
■(2) 舶用市場向け事業
国内外の各造船所に対し、船舶市場向けのバルブ製品を納入しています。特に環境規制(IMOのNOx3次規制)に対応した船舶排ガス用バルブに注力しており、世界的なライセンサーから製造販売認証を取得しています。また、バラスト水処理装置用バルブなども手掛けています。
収益は、造船所や船舶エンジンメーカー等への製品販売から得ています。船舶排ガス用バルブ市場では過半のシェア獲得を目指しており、運営はオーケーエムおよび海外子会社(OKM VALVE(M)SDN.BHD.、蘇州奥村閥門有限公司等)が連携して行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2019年3月期から2022年3月期の業績を見ると、売上高は80億円台後半で推移していましたが、直近ではやや減少傾向にあります。経常利益は変動がありつつも黒字を維持しています。2022年3月期は減収減益(経常利益ベース)となりましたが、当期純利益は特別利益の計上により増加しました。
| 項目 | 2019年3月期 | 2020年3月期 | 2021年3月期 | 2022年3月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 86億円 | 89億円 | 88億円 | 85億円 |
| 経常利益 | 13億円 | 8億円 | 10億円 | 7億円 |
| 利益率(%) | 15.4% | 9.6% | 11.7% | 8.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 9億円 | 6億円 | 7億円 | 9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は減少しましたが、当期純利益は増加しました。売上総利益率は低下しており、営業利益も減少しました。一方で、当期純利益は、中国子会社の移転に伴う補助金収入等の特別利益が寄与し、高い水準となりました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 88億円 | 85億円 |
| 売上総利益 | 35億円 | 31億円 |
| 売上総利益率(%) | 39.7% | 36.4% |
| 営業利益 | 10億円 | 7億円 |
| 営業利益率(%) | 11.5% | 7.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が7.0億円(構成比29.0%)、賞与引当金繰入額が1.1億円(同4.5%)を占めています。売上原価は54億円で、売上高に対する原価率は63.6%でした。
■(3) セグメント収益
陸用市場では国内半導体工場の増産投資等により受注が回復し売上が増加しましたが、舶用市場では造船所のスロー建造化等の影響で売上が減少しました。全体としては舶用の減少が響き、減収となりました。なお、同社は単一セグメントのため、利益は連結数値を記載しています。
| 区分 | 売上(2021年3月期) | 売上(2022年3月期) |
|---|---|---|
| 陸用 | - | 43億円 |
| 舶用 | - | 42億円 |
| 連結(合計) | 88億円 | 85億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFと財務CFはマイナスで、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」を示しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 11億円 | 10億円 |
| 投資CF | -19億円 | -2億円 |
| 財務CF | 12億円 | -7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は68.9%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「独創的な技術」「最高の品質 最低の資源消費」「余裕ある生活と豊かな心」「地域社会に貢献する」を社是として掲げています。他社に真似のできない製品・サービスを創り続け、顧客・社会の発展に貢献すること、また持続可能な社会づくりに貢献し、地域にとって必要とされる会社となることを目指しています。
■(2) 企業文化
すべての仕事に「こだわり・工夫・改善」を積み重ね、強みを連携させることを重視しています。採算意識を持って最高の仕事をすることで無駄を最小にし、利益を最大化する姿勢や、社員の物心両面の幸福を追求し、健康に活躍できる職場づくりを行う文化があります。
■(3) 経営計画・目標
世界の新市場開拓や既存商品力の強化により業容拡大を図り、生産性向上と原価低減活動を通じて収益性を向上させることを目標としています。具体的には、ROE(自己資本当期純利益率)8%以上を経営指標として掲げています。
* ROE 8%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
成長市場に対応できる新商品開発と販売体制の確立、および既存商品力の強化を重要課題としています。船舶排ガス用バルブ市場でのシェア拡大や、ポスト船舶排ガス用バルブを見据えた事業展開を進めるほか、既存バルブのリニューアルや最新生産技術(IoT、ロボット等)の導入による競争力強化を図ります。
* 翌連結会計年度売上高:95億円
* 翌連結会計年度営業利益:6.3億円
* 翌連結会計年度親会社株主に帰属する当期純利益:4.3億円
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人が会社を創っていくことを基本とし、新たな市場開拓、商品開発、生産性向上に貢献できる人材の確保と育成を目指しています。そのために、制度整備、職場環境整備、人材育成プログラムを構築し、社員満足を向上させる方針です。また、ワーク・ライフ・バランスを推進し、仕事と子育ての両立や多様な労働条件の整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | 40.7歳 | 10.8年 | 5,265,814円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) カントリーリスク
主要な海外生産拠点はマレーシア及び中国であり、当該国の経済、政治、法律・税制、規制、災害等により、材料等の供給停止や遅延のリスクがあります。また、海外売上高比率が約3割を占めるため、各国の政治的施策や感染症拡大等により顧客の操業が停止し、販売活動が停滞する可能性があります。
■(2) 自然災害リスク
大地震等の大規模な自然災害が発生した場合、同社グループの資産の毀損、滅失、物流網への被害により、事業活動の停止や復旧遅延が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。特に東南海沖を中心とした大規模地震や巨大台風による水害等が想定されます。
■(3) 需要先に関するリスク
製品の多くは受注生産であり、主要需要先は造船業界、建設業界、電力業界等のプラント業界です。これらの業界動向や経済情勢の変動により、同社グループの業績が影響を受ける可能性があります。販売先の分散化や新規分野開拓に注力していますが、リスクは存在します。
■(4) 原材料高騰リスク
バルブ生産に伴い、銅、ステンレス、アルミ、鉄等の金属素材を調達しており、市況の急騰や確保困難のリスクがあります。原材料価格の高騰を製品価格へ転嫁することが遅れたり困難であったりする場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。