※本記事は、株式会社オーケーエムの有価証券報告書(第65期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. オーケーエムってどんな会社?
同社は、建築や造船など幅広い業界の流体配管に使用される流体制御機器の製造と販売を展開しています。
■(1) 会社概要
1902年に鋸切製造所として創業し、1952年にバルブコック専門工場へ転換しました。1962年に奥村製作所を設立し、1993年に現在のオーケーエムへと社名変更しています。2019年に中国へ製造販売子会社を設立したほか、2020年には東証二部への上場(現在はスタンダード市場)を果たし、事業基盤を拡大させています。
現在の同社グループは、連結従業員数371名、単体従業員数265名の体制で事業を運営しています。大株主については、筆頭株主が有限会社クローバー通商で、第2位はオーケーエム従業員持株会、第3位は奥村晋一商会となっています。これらは主に従業員や役員の資産管理、持株組織として機能しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社クローバー通商 | 10.41% |
| OKM従業員持株会 | 8.29% |
| 奥村晋一商会 | 6.59% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は奥村晋一氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 奥村晋一 | 代表取締役社長執行役員 | 横河電機を経て1997年オーケーエム入社。取締役生産統括本部長などを経て2021年6月より現職。 |
| 木田清 | 取締役常務執行役員管理統括本部長 | 1986年オーケーエム入社。大阪支店長、東京支店長、取締役営業統括本部長等を経て2026年4月より現職。 |
| 福地正晴 | 取締役上席執行役員滋賀事業所長兼技術本部長 | 1982年オーケーエム入社。生産統括本部滋賀工場長、取締役生産統括本部長等を経て2025年4月より現職。 |
| 谷口登 | 取締役(監査等委員) | 1981年オーケーエム入社。システム部長、経営企画部長、内部監査室長等を経て2020年6月より現職。 |
社外取締役は、西村猛(公認会計士)、菅野秀夫(元南海化学代表取締役社長執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「バルブ製造販売事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■バルブ製造販売事業
バタフライバルブをはじめとする流体制御機器の製造および販売を行っています。工場や建築設備、石油化学業界向けの「陸用」市場と、造船所などに納入する「舶用」市場の2つを主要なターゲットとしています。特に舶用市場においては、環境規制に対応した船舶排ガス用バルブの販売などに注力しています。
顧客ニーズに合わせた10万種類以上のカスタマイズ製品を提供し、標準品では対応できないニッチ市場を開拓することで収益を確保しています。製造や販売の運営は、親会社であるオーケーエムを中心に、マレーシア法人のOKM VALVE(M)SDN.BHD.や中国法人の奥村閥門(江蘇)有限公司などが連携して行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の売上高は一貫して右肩上がりで推移しており、堅調な成長を続けています。経常利益と当期利益については一時的な増減がありましたが、直近の期においては大幅な増収増益を達成し、利益率も11.6%へと大きく改善しました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 85億円 | 92億円 | 95億円 | 104億円 | 111億円 |
| 経常利益 | 7億円 | 9億円 | 7億円 | 7億円 | 13億円 |
| 利益率(%) | 8.6% | 9.5% | 7.9% | 7.1% | 11.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 6億円 | 11億円 | 5億円 | 4億円 | 6億円 |
■(2) 損益計算書
直近の期は、LNG用バルブなどの高付加価値製品の販売増加により、売上高が順調に伸長しました。それに伴い、売上総利益と営業利益がいずれも大幅に増加し、収益性が大きく向上しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 104億円 | 111億円 |
| 売上総利益 | 35億円 | 41億円 |
| 売上総利益率(%) | 33.4% | 36.7% |
| 営業利益 | 8億円 | 13億円 |
| 営業利益率(%) | 7.5% | 11.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が9億円(構成比31%)、賞与引当金繰入額が1億円(同5%)を占めています。
■(3) セグメント収益
陸用市場は、一部の受注減少などにより減収となりました。一方の舶用市場は、新造船需要の高まりや環境規制への対応を背景に、船舶排ガス用バルブやLNG用バルブの販売が大きく伸長し、全体業績の成長を力強く牽引しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 陸用 | 50億円 | 47億円 |
| 舶用 | 54億円 | 64億円 |
| 連結(合計) | 104億円 | 111億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」の傾向を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 11億円 | 20億円 |
| 投資CF | -1億円 | -1億円 |
| 財務CF | -4億円 | -7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.6%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も81.0%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「いい流れをつくる。」というパーパス(存在意義)を掲げています。これは、持続的な企業価値の向上を図りながら、グループが一丸となって社会や顧客の課題解決に寄与する製品やサービスを提供していくという使命を表現したものです。
■(2) 企業文化
創業の精神として、「売り手よし・買い手よし・世間よし」という近江商人の三方よしの価値観を受け継いでいます。メーカーとして技術と品質を最も重視する考え方と、同社グループに関わるすべてのステークホルダーに対する誠実な姿勢を社是として表現し、日々の業務の基盤としています。
■(3) 経営計画・目標
中長期ビジョン「Create200」において、2031年3月期までに達成すべき具体的な数値目標を設定しています。また、その実現に向けた第2次中期経営計画を策定し、売上拡大だけでなく収益性にも重点を置く経営への転換を目指しています。
* 売上高200億円(2031年3月期)
* 営業利益20億円(2031年3月期)
* 売上高132億円(中期経営計画最終年度)
* 営業利益率10%以上
* ROE8~10%
■(4) 成長戦略と重点施策
国内外における安定的な収益基盤の構築と事業の多角化を目指し、3つの基本戦略を掲げています。既存領域では脱炭素関連製品と高付加価値化で深掘りを進め、海外市場では船舶排ガス用バルブなどを軸にグローバル展開を加速します。さらに、バルブ技術の応用領域拡大やIoTを活用した新たなサービスの事業化にも挑戦します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、事業を持続的に成長させるうえで人材が重要な経営資本であると位置づけています。「社員教育の充実と社員が誇りを持てる会社づくり」を目指し、「OKMアカデミー」を通じた自律型人材の輩出を推進しています。また、ワーク・ライフ・バランスの推進や多様な働き方を支援する職場環境の整備にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 42.9歳 | 11.6年 | 6,223,046円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.9% |
| 男性育児休業取得率 | 87.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 73.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 76.4% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 51.4% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料高騰と調達遅延のリスク
バルブ生産に必要な各種金属素材の国内・国際市況の急騰や、マレーシアおよび中国等からの部品供給が遅延するリスクがあります。これに対し、新規サプライヤーの開拓による安定供給元の確保や、設計見直しによる原材料使用量の低減、代替調達ルートの整備などに取り組んでいます。
■(2) 需要先への依存に関するリスク
同社製品の多くは受注生産であり、主要な需要先が造船業界、建設業界、プラント業界などに集中しているため、これらの業界動向に業績が左右される可能性があります。販売先や新規需要分野を分散・開拓することで、リスクの軽減を図っています。
■(3) 製品認証の更新に関するリスク
船舶排ガス用バルブの製造・販売には、ライセンサーからの製品認証を定期的に更新する必要があります。何らかの理由で認証が更新できない場合、業績に重大な影響を及ぼすため、品質管理体制を充実させライセンサーとの緊密な連携を強化しています。



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