ドリームベッド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ドリームベッド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場のベッド・マットレス・ソファ等の製造販売メーカー。「Serta(サータ)」や「ligne roset(リーン・ロゼ)」等の海外有名ブランドとライセンス契約を結び、国内製造を行う。直近の業績は、ホテル需要の回復や新商品効果により、売上高18.5%増、経常利益89.8%増と大幅な増収増益です。


※本記事は、ドリームベッド株式会社 の有価証券報告書(第68期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ドリームベッドってどんな会社?


複数の海外ブランドと提携し、マットレスやインテリア家具を国内自社工場で製造・販売する企業です。

(1) 会社概要


1950年に広島で創業し、駐留軍の払い下げ物品を用いたベッド修理販売からスタートしました。1957年に設立後、1978年に米国の「Serta(サータ)」、1981年に仏国の「ligne roset(リーン・ロゼ)」とライセンス契約を締結し、海外ブランドの国内製造販売権を取得しました。2021年に東証二部(現スタンダード市場)へ上場し、2024年には新たに米国の「KING KOIL」ともライセンス契約を締結しています。

2025年3月31日現在、従業員数は単体で378名となっており、連結子会社はありません。筆頭株主は従業員の持株会であり、第2位は投資事業組合、第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
ドリームベッド従業員持株会 11.09%
ブルーインベストメント投資事業有限責任組合 8.46%
渡辺 靖子 6.47%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は三宅弘人氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
三宅 弘人 代表取締役社長 三井不動産を経て2021年に入社。事業企画統括本部長などを歴任し、2024年6月より現職。
髙橋 浩幸 常務取締役 1984年入社。生産部門を歩み、生産部長、生産本部長などを経て、2025年6月より常務取締役生産統括本部長。
小尻 泰史 取締役 広島銀行出身。人事総務部長や執行役員東京支店長などを歴任し、関連会社社長を経て2024年6月より現職。
武田 浩伸 取締役 1989年入社。営業部門を中心にキャリアを重ね、東日本営業部長やベッド事業部長などを経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、三島豊(株式会社ミシマホールディングス代表取締役社長)、濱田芳弘(濱田芳弘税理士事務所所長・元あずさ監査法人代表社員)です。

2. 事業内容


同社は、「家具販売店向け」、「商業施設向け」、「ショップ/ショールーム」、「ハウスメーカー向け」および「その他」事業を展開しています。

(1) 家具販売店向け


全国の家具販売店を通じて、一般消費者向けにマットレス、ベッドフレーム、ソファ等を販売しています。「Serta(サータ)」や「dream bed(ドリームベッド)」等のブランド製品を提供し、売り場プロデュースなどの支援も行っています。

収益は、家具販売店への製品卸売による対価を受け取ります。運営は同社が行っています。

(2) 商業施設向け


全国のホテルや宿泊施設に対し、ベッドやインテリアを直接販売しています。ラグジュアリーホテルから宿泊特化型ホテルまで、ニーズに応じた提案を行い、企画から施工までプロジェクト全体をプロデュースしています。

収益は、ホテル等の事業者からの製品販売代金および施工等に係る対価を受け取ります。運営は同社が行っています。

(3) ショップ/ショールーム


直営の「リーン・ロゼショップ」およびショールームにおいて、一般消費者へ製品を直接販売、または家具販売店等を通じて販売しています。東京、大阪、名古屋、福岡などに店舗・ショールームを展開しています。

収益は、来店した一般消費者への製品販売代金、または指定業者を通じた販売代金を受け取ります。運営は同社が行っています。

(4) ハウスメーカー向け


ハウスメーカーが主催する催事やフェアにおいて、住宅購入者などの一般消費者へ製品を販売しています。モデルルームへの展示や、住宅環境に適した商品の提案を行っています。

収益は、ハウスメーカーを通じた製品販売代金を受け取ります。運営は同社が行っています。

(5) その他


ベッド製造メーカー向けのOEM商品の販売や、ウォーターベッドの設置料、アフターメンテナンス等を行っています。

収益は、OEM供給先からの製品代金や、消費者からのメンテナンス料等を受け取ります。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移において、売上高は90億円台後半から110億円台へ伸長しました。特に当期は売上高が115億円を超え、利益面でも大幅な改善が見られます。経常利益は一時的な減少傾向から回復し、当期は5.8億円となりました。当期純利益も前期の2.5億円から4.2億円へと大きく増加しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 90億円 95億円 98億円 97億円 115億円
経常利益 7.3億円 6.8億円 4.6億円 3.1億円 5.8億円
利益率(%) 8.1% 7.1% 4.7% 3.2% 5.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 5.2億円 4.5億円 4.4億円 2.5億円 4.2億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、売上総利益も拡大しました。売上総利益率は52.1%へ上昇し、高い収益性を維持しています。営業利益は前期の約1.9億円から約6.0億円へと3倍以上に増加しており、営業利益率も改善しました。増収効果に加え、利益率の向上が顕著です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 97億円 115億円
売上総利益 50億円 60億円
売上総利益率(%) 51.2% 52.1%
営業利益 1.9億円 6.0億円
営業利益率(%) 2.0% 5.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が11億円(構成比21%)、販売促進費が6.2億円(同11%)、営業運賃が4.8億円(同9%)を占めています。売上原価においては、材料費が21億円(構成比38%)と最も大きな割合を占めています。

(3) セグメント収益


全ての主要販売経路で売上が増加しました。「家具販売店向け」は新商品効果等で堅調に推移し、「商業施設向け」はホテル需要の回復と大口案件獲得により大幅増となりました。「ショップ/ショールーム」も主力商品の好調により伸長しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
家具販売店向け 72億円 81億円
商業施設向け 8.0億円 15億円
ショップ/ショールーム 13億円 15億円
ハウスメーカー向け 2.7億円 2.8億円
その他 1.2億円 1.1億円
連結(合計) 97億円 115億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ドリームベッド社は、事業運営に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、製品製造や販売費・一般管理費等の営業費用を賄うための資金を生み出しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資等に充てられる資金の動きを示しています。財務活動によるキャッシュ・フローは、運転資金や設備資金を、内部資金または借入によって調達する際の資金の動きを表しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 11億円 4.8億円
投資CF -15億円 -3.4億円
財務CF 5.5億円 -0.6億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「夢をはぐくむひとりひとりに、快適で美しいくらしを提供します」を基本理念とし、お客様のニーズに応える新たな「空環(空間と環境)」創りを目指す「空環創造宣言」を掲げています。技術力や企画力を磨き、高品質な製品を提供することで、社会貢献と企業価値の向上を図ることを使命としています。

(2) 企業文化


「DCS組織(Double Customer Satisfaction)」を人材育成方針とし、「個客」に支えられる最適組織を目指しています。「人材(スピリットと挑戦)」「ソウルフル(誠意・情熱・開拓者精神)」「こだわり(プロ意識)」を重視し、コミットメント、コラボレーション、シンプル、スピードを行動様式としています。

(3) 経営計画・目標


2031年までに「空環創造宣言企業」を目指し、現在は中期経営計画「Dreambed2025 Change & Challenge Plan」の最終年度にあたります。持続的な成長のため、資本コストや株価を意識した経営を推進し、以下の指標の向上を目標としています。

* 営業利益
* EBITDA
* ROE
* 配当性向

(4) 成長戦略と重点施策


マルチブランド戦略の強化と販売チャネルの拡大を軸に成長を目指しています。「Serta(サータ)」等の既存ブランドに加え、新たなブランドの導入や、ECサイト開設による販路拡大、海外市場への輸出販売を推進します。また、新工場設備による生産効率化や、人的資本への投資、サステナビリティ経営の実現にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「働きやすい組織づくり」を掲げ、労働環境の整備や長時間労働の削減、有給休暇取得促進に取り組んでいます。また、求める人材像とのギャップを埋めるための採用・育成施策を強化し、役割や成果に応じた新人事制度の運用を通じて、従業員満足度(ES)とエンゲージメント(EG)の向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.2歳 12.2年 4,635,732円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -%
男性育児休業取得率 60.0%
男女賃金差異(全労働者) 64.9%
男女賃金差異(正規雇用) 71.8%
男女賃金差異(非正規) 62.8%


※女性管理職比率については、算出値の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業環境の変動リスク


家具・インテリア業界およびホテル等のコントラクト事業は、国内景気、個人消費、旅行需要、訪日外国人の動向等の影響を受けやすい性質があります。市場需要が減少した場合、同社の業績に影響を与える可能性があります。

(2) ライセンス契約継続のリスク


「Serta」や「ligne roset」等、複数の海外ブランドとライセンス契約を締結し製造販売を行っています。良好な関係構築に努めていますが、契約解消やロイヤリティ料率の大幅な変更が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 原材料調達リスク


原材料の一部には特定の仕入先からのみ入手可能なものや代替困難なものが含まれます。気候変動や地政学リスク等による需給変化で、価格高騰や供給遅延・中断が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。

(4) 物流コスト等の上昇リスク


製品が大型であるため運賃コストの割合が高く、ドライバー不足や燃料高騰によるコスト増が懸念されます。また、光熱費高騰や為替変動による調達コストの上昇も、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。