ドリームベッド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ドリームベッド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ドリームベッドは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、マットレスやベッドフレーム、ソファなどのホームファニシング事業を展開する企業です。自社ブランドに加え、海外提携ブランドのライセンス生産も行っています。直近の業績は、ホテル向けやショップ販売が好調に推移し、増収増益を達成しています。


※本記事は、ドリームベッドの有価証券報告書(第69期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ドリームベッドってどんな会社?


マットレスやベッドフレーム、ソファ等のデザイン開発から製造、販売までを一貫して手掛ける企業です。

(1) 会社概要


1957年に広島ベッド商会の製造部門を分離し、広島市でドリームベッドとして設立されました。1978年に米国のサータ、1981年にフランスのリーン・ロゼとライセンス契約を締結し、海外ブランド製品の製造販売を拡大しました。2021年に株式を上場し、2024年には米国のキングコイルとも契約を結んでいます。

現在の従業員数は単体で376名です。筆頭株主はドリームベッド従業員持株会であり、第2位はブルーインベストメント投資事業有限責任組合、第3位は渡辺靖子氏となっています。従業員持株会が筆頭株主となっている点が特徴的であり、ファンドや個人株主も上位に名を連ねています。

氏名 持株比率
ドリームベッド従業員持株会 11.97%
ブルーインベストメント投資事業有限責任組合 7.06%
渡辺靖子 6.53%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は三宅弘人氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
三宅弘人 代表取締役社長 1989年三井不動産入社。2021年同社入社、経営企画部顧問。2022年取締役事業企画統括本部長などを経て、2024年より現職。
髙橋浩幸 常務取締役生産統括本部長 1984年同社入社。2011年生産部長、2012年生産本部長、2017年取締役生産本部長などを経て、2025年より現職。
小尻泰史 取締役管理本部長 1984年広島銀行入行。同社取締役常務執行役員、ひろぎんビジネスサービス代表取締役社長などを経て、2024年より現職。
武田浩伸 取締役営業統括本部長 1989年同社入社。2010年執行役員東日本営業部長、2022年執行役員ベッド事業部長などを経て、2025年より現職。


社外取締役は、三島豊(元三島食品社長)、濱田芳弘(元あずさ監査法人理事)です。

2. 事業内容


同社は、「ホームファニシング」事業の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) 家具販売店向け事業


全国の家具販売店を通じて、一般消費者に対してマットレスやベッドフレーム、ソファなどを提供しています。自社ブランド「ドリームベッド」に加え、海外の有力インテリアブランドである「サータ」や「キングコイル」などのライセンス製品も展開しています。

収益源は、全国の家具販売店に対する卸販売による売上です。運営は同社が行っており、単なる商品の卸販売にとどまらず、販売店ごとに商品の販売コンセプトに対応した売り場のプロデュースを含め、きめ細やかな支援を行っていることが特徴です。

(2) 商業施設向け・直営店舗事業


全国のホテル等宿泊施設への直接販売と、直営の「リーン・ロゼショップ」やショールームを通じた一般消費者への販売を行っています。ホテル向けでは、企画段階から参加し、提案から施工まで空間全体をプロデュースしています。

収益源は、宿泊施設からのベッド・インテリアの導入代金、および直営店舗・ショールームでの一般消費者からの製品購入代金です。これらに加え、ベッド製造メーカー向けのOEM商品の販売や、アフターメンテナンス等による収益も得ており、運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一時的な足踏みがあったものの、全体として増加傾向にあります。特に2025年3月期以降はホテル等の商業施設向けやショップ販売が好調に推移し、2026年3月期には売上高が122億円に達しています。経常利益についても、原材料価格高騰などの影響を受けた時期から回復し、直近では増益基調となっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 95億円 98億円 97億円 115億円 122億円
経常利益 6.8億円 4.6億円 3.1億円 5.8億円 6.9億円
利益率(%) 7.1% 4.7% 3.2% 5.1% 5.6%
当期純利益 4.5億円 4.4億円 2.5億円 4.2億円 4.8億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益ともに増加しています。マルチブランド戦略や高付加価値商品の投入により、利益率の改善も進んでおり、収益性の向上が確認できます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 115億円 122億円
売上総利益 60億円 64億円
売上総利益率(%) 52.1% 52.3%
営業利益 6.0億円 7.0億円
営業利益率(%) 5.2% 5.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が12億円(構成比21%)、販売促進費が6.7億円(同12%)、営業運賃が5.3億円(同9%)を占めています。売上原価(58億円)は、材料費が22億円(構成比38%)、当期商品仕入高が20億円(同34%)などを中心に構成されています。

(3) セグメント収益


主力の家具販売店向けは、新商品の投入や新規ライセンスブランドの販売開始により堅調に推移しています。商業施設向けは、インバウンド需要の高まりを背景としたホテルの新規・入替需要を捉え、売上を大きく伸ばしました。ショップ販売や海外向けのOEM輸出も順調に拡大しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
家具販売店向け 84億円 85億円
商業施設向け 15億円 18億円
ショップ/ショールーム 15億円 17億円
その他 1.1億円 1.7億円
合計 115億円 122億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 4.8億円 1.1億円
投資CF -3.4億円 -5.9億円
財務CF -0.6億円 3.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は42.1%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「空環創造宣言『夢をはぐくむひとりひとりに、快適で美しいくらしを提供します』」をミッションとして掲げています。また、「世界のブランドを、日本の技術で、すべてのお客様に届ける、空環創造マルチブランドカンパニー」をビジョンとし、高品質なインテリア用品の提供を通じて、人々の暮らしを支え社会に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、常に時代の先を読み、お客様のニーズに応えられる新たな「空環(空間と環境)」創りを目指すという価値観を重視しています。また、持続可能な社会の実現に向けてサステナビリティ経営を深化させ、環境負荷の低減や多様な人材が活躍できるDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の推進にも積極的に取り組む文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2027年3月期から2029年3月期までの3か年中期経営計画「Creating Value for Dreams」を策定し、持続的な成長による企業価値の向上を目指しています。具体的な経営指標として、以下の数値を掲げています。

* ROE11.0%の達成
* PBR1.0倍以上の達成
* 総還元性向40%程度を目途とした株主還元の拡充

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、既存事業の「深化」と成長領域の「探索」を両輪で推進しています。既存事業では、基幹ブランドの高付加価値化や家具販売店との連携強化によりシェア拡大を図ります。新規成長事業としては、ホテル市場への深掘りや東南アジア市場へのOEM輸出の本格化、直営拠点整備を加速させます。また、工場DXや物流網の再編による効率化も推進しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「エンゲージメント向上による企業価値の増大」を人材戦略の目的に掲げ、「自己実現と、幸福な人生という夢を支える職場」の提供を重視しています。公平で透明性の高い人事制度の整備を進めるとともに、階層別・職能別研修などの教育投資を拡充し「バリュー創造人材」を育成します。また、多様な人材が活躍できる職場環境の整備や健康経営にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 40.1歳 12.0年 4,766,372円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.6%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 65.2%
男女賃金差異(正規労働者) 70.5%
男女賃金差異(非正規労働者) 64.2%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 消費動向や市場需要の変動


同社の事業は家具・インテリア業界やホテル業界を主要な販売先としているため、国内景気、個人消費、旅行需要、訪日外国人の動向等の影響を強く受けます。物価高による消費者マインドの冷え込みやインバウンド需要の減少により市場の需要が低下した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 海外ブランドとのライセンス契約の変更・解消


同社は「サータ」「リーン・ロゼ」など複数の海外ブランドと独占的ライセンス契約を結び、自社製造を行っています。長年にわたり良好な関係を構築していますが、何らかの事情により契約が解消されたり、ロイヤリティ料率などの条件が大幅に変更されたりした場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 原材料調達の困難化と価格高騰


原材料や商品を国内外から調達しており、中には特定の仕入先からのみ入手可能なものや代替が困難なものが含まれます。気候変動や国際的な需要拡大、地政学リスク等により需給動向が変化し、調達競争の激化、購入価格の高騰、資材供給の遅延・中断が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 輸送費や光熱費などのコスト上昇


大型の製品を取り扱っているため、運賃が営業コストの相当部分を占めています。ドライバー不足や燃料費の高騰による運賃の値上げが予想されます。また、工場等の光熱費の高騰や協力会社の加工費値上げ、円安による輸入原材料価格の高騰も、収益性に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。