※本記事は、株式会社BlueMeme の有価証券報告書(第19期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. BlueMemeってどんな会社?
ローコード技術と独自のアジャイル手法を活用し、日本企業のシステム開発内製化を支援するDX推進企業です。
■(1) 会社概要
2006年に設立され、2012年にローコード開発基盤「OutSystems」の日本初の販売代理店契約を締結しました。2021年に東京証券取引所マザーズへ上場し、2022年には三井情報と資本業務提携を行っています。2025年1月には福岡を拠点とするマイクロコートを買収し、事業基盤を拡大しています。
同社の従業員数は連結166名、単体127名です。筆頭株主は資本業務提携先であるシステムインテグレーターの三井情報で、第2位は創業者の資産管理会社であるBMトラスト、第3位は創業者の松岡真功氏となっており、経営陣と提携先が主要な持分を有しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 三井情報 | 21.67% |
| BMトラスト | 10.79% |
| 松岡真功 | 9.16% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は松岡真功氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松岡真功 | 代表取締役社長 | 1998年システム・クリニック入社。SAPジャパン等を経て、2009年同社へ出向。2010年5月より現職。 |
| 宮脇訓晴 | 取締役 | 1997年日本総合研究所入社。SBIモーゲージ執行役員CTO等を経て、2022年同社入社。2025年1月より現職。 |
| 辻口真理子 | 取締役 | 2006年日本総合研究所入社。2010年同社入社。コンサルティングセールス部長等を経て、2018年2月より現職。 |
| 朱未 | 取締役 | 1999年テクニカル・マーケティング・リサーチ入社。日本オラクルを経て、2010年同社入社。2018年2月より現職。 |
| 市川玲 | 取締役 | 1998年ぎょうせい入社。デロイトトーマツコンサルティング等を経て2010年同社入社。2020年10月より現職。 |
社外取締役は、川根金栄(クロスポイント・コンサルティング代表取締役)、松島健太郎(三井情報取締役上席執行役員CTO)です。
2. 事業内容
同社グループは、「DX事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) プロフェッショナルサービス
「AGILE-DX」という独自のアジャイル開発手法を用い、顧客企業のシステム内製化を支援する受託開発サービスやコンサルティングを提供しています。また、顧客企業の技術者向けに、ローコード開発ツールのトレーニングサービスも実施しています。中堅・大手事業会社の販売管理や生産管理など、基幹業務システムの開発が中心です。
収益は、顧客企業からの受託開発費用やコンサルティング料、トレーニング受講料からなります。運営は主にBlueMemeが担当し、連結子会社のOPENMODELSやマイクロコートも連携してサービス提供を行っています。
■(2) ソフトウェアライセンス販売
ローコード開発プラットフォーム「OutSystems」やノーコードプラットフォーム「Creatio」、API連携基盤「Workato」などのソフトウェアライセンスを販売しています。顧客が自らシステム開発を行う際に必要なツール群を提供し、企業のDX推進を技術面から支えています。
収益は、顧客企業からのソフトウェアライセンス使用料(サブスクリプション形式等)です。運営はBlueMemeが行っており、OutSystems社認定の正規販売代理店として、日本国内およびアジア地域でトップクラスの導入実績を持っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は20億円台前半から中盤で推移してきましたが、直近の2025年3月期は減収となりました。利益面では、2022年3月期から2024年3月期までは10%前後の経常利益率を維持していましたが、直近で利益率が大きく低下し、当期純利益は赤字に転じています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 21億円 | 19億円 | 23億円 | 25億円 | 23億円 |
| 経常利益 | 1.7億円 | 3.6億円 | 3.5億円 | 2.5億円 | 0.2億円 |
| 利益率(%) | 8.3% | 18.3% | 15.5% | 10.2% | 0.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.3億円 | 2.6億円 | 2.6億円 | 1.7億円 | -0.2億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は減少しましたが、売上原価の減少率は売上高の減少率と同程度にとどまり、売上総利益が減少しました。一方で、販売費及び一般管理費は増加しており、営業利益は大幅に減少しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 25億円 | 23億円 |
| 売上総利益 | 13億円 | 12億円 |
| 売上総利益率(%) | 50.5% | 50.7% |
| 営業利益 | 2.5億円 | 0.3億円 |
| 営業利益率(%) | 10.1% | 1.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が4.1億円(構成比36%)、役員報酬が1.5億円(同13%)を占めています。売上原価の内訳については、詳細な金額開示はありませんが、労務費や外注費が主な構成要素となっています。
■(3) セグメント収益
同社はDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の詳細な増減分析はありませんが、サービス区分別の売上高を見ると、主力の受託開発サービスが減少し、ソフトウェアライセンス販売は増加しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| DX事業(受託開発等) | 21億円 | 19億円 |
| DX事業(ライセンス販売) | 4.0億円 | 4.1億円 |
| 連結(合計) | 25億円 | 23億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業活動によるキャッシュ・フローが減少に転じましたが、これは主に売上債権の増加や法人税等の支払いによるものです。投資活動では、投資有価証券の取得により資金を使用しました。財務活動では、長期借入による収入があったものの、自己株式の取得等により資金を使用しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.5億円 | -3.5億円 |
| 投資CF | -1.1億円 | -0.9億円 |
| 財務CF | -1.4億円 | -0.8億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「新たな価値を創造し、常識を変え、文化を進化させる」という経営理念を掲げています。社名の「Blue」は光り輝くという意味、「Meme」は人から人へ文化を伝える情報を意味しており、常識に囚われず新しい文化を形成するための価値創造を目指しています。ミッションとして「日本企業の国際的競争力を向上させる」ことを掲げ、情報システムを開発する技術にフォーカスしています。
■(2) 企業文化
人事・育成におけるコア・コンピテンシーとして、「信頼(嘘をつかない、約束を守る)」「真摯(アドバイスを真剣に聞き、全力で理解し行動する)」「行動(何事にも信じて行動する)」「反省(常に失敗を受け入れる)」「継続(何事もあきらめずに継続することができる)」を掲げています。これに基づき、偏見や古い固定概念に捉われず革新を生み出す企業風土の醸成を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は持続的な成長と企業価値向上のため、以下の経営指標を目標として掲げています。
* 売上高:2026年3月期に33.0億円
* 営業利益:2026年3月期に1.5億円
■(4) 成長戦略と重点施策
内製化というニーズに対応するため、ローコード技術やアジャイル手法の改良・拡張を継続します。また、次世代技術として量子コンピュータの研究開発や、複数のローコードを操作できる「デジタルレイバー」の開発を推進し、人材不足の解消と収益構造の変革を目指しています。
* デジタルレイバー技術への投資と実用化
* 非IT人材の採用・育成による新たなDX人材の創出
* 量子コンピュータ技術に関する産学連携の推進
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
IT人材不足に対応するため、「アジャイル手法への転換」「多能工化の実現」「ビジネスアーキテクチャの活用」を戦略として掲げています。独自の教育制度(アカデミー制度)により、非IT人材を短期間で技術者として育成することに注力しています。また、多様性を重視し、性別や国籍を問わない採用を行うとともに、フレックス勤務やテレワークなどの柔軟な就業環境を整備しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 34.0歳 | 3.8年 | 5,560,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 28.5% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 98.6% |
| 男女賃金差異(正規) | 98.6% |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員に占める女性の割合(34.0%)、従業員に占める外国籍者の割合(8.4%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) OutSystemsソフトウェアへの依存
同社の売上の大部分は、OutSystems製品に関連するものです。競合製品の台頭や技術革新の遅れにより市場規模が縮小する場合や、OutSystemsジャパン社との販売代理店契約が解除された場合、同社の業績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人材の確保・育成
事業拡大には技術者の確保が不可欠ですが、IT人材は不足傾向にあります。必要な人材を十分に採用・育成できない場合、顧客の需要に応えられず機会損失となり、業績に悪影響を与える可能性があります。同社は独自のアカデミー制度などで対策を行っていますが、リスクは残ります。
■(3) プロフェッショナルサービスの提供
受託開発において請負契約を締結する場合、仕様変更や不具合発生により工数が増加し、納期遅延やコスト増が発生するリスクがあります。これにより、検収時期がずれ込み業績変動要因となる可能性があります。同社は準委任契約の推進などでリスク低減を図っています。



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