※本記事は、ミアヘルサホールディングス株式会社の有価証券報告書(第5期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. ミアヘルサホールディングスってどんな会社?
医薬・子育て支援・介護の3事業を連携させ、地域包括ケアシステムの構築を目指す企業です。
■(1) 会社概要
同社のルーツは1984年に設立された日本生科学研究所に遡り、調剤薬局事業からスタートしました。その後、1999年に介護事業、2011年に保育事業へと参入し、福祉・医療分野でのサービス網を広げてきました。2021年に単独株式移転により持株会社である同社が設立され、上場を果たしています。
同社グループの従業員数は連結で1,838名です。筆頭株主および第2位株主は創業家関連の資産管理会社が占めており、第3位には事業会社であるグリーンホスピタルサプライが名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| スリーユ | 29.83% |
| ブルーツリー | 19.52% |
| グリーンホスピタルサプライ | 3.56% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は青木文恵氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 青木文恵 | 代表取締役社長 | 1975年給食普及会入社。2009年日本生科学研究所取締役副社長。2021年同社取締役副社長を経て2022年より現職。 |
| 高橋雅彦 | 取締役(財務担当) | 1980年松下電器産業入社。2016年日本生科学研究所へ転籍し取締役管理本部本部長。2024年より現職。 |
| 青木友紀 | 取締役(事業担当) | 2019年ミアヘルサ入社。同社保育事業本部本部長などを経て2024年より取締役子育て支援事業本部本部長、2025年より現職。 |
社外取締役は、皆川尚史(元厚生労働省大臣官房審議官)、遠山典夫(遠山典夫税理士事務所代表)、原正雄(中島経営法律事務所パートナー代表社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「医薬事業」「子育て支援事業」「介護事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 医薬事業
「日生薬局」「ミアヘルサ薬局」の屋号で、首都圏を中心に45店舗の調剤薬局を運営しています。大型総合病院前の門前薬局や医療モールへの出店を通じ、かかりつけ薬局として服薬指導や在宅医療支援など、地域に密着した医療サービスを提供しています。
医療機関が発行する処方箋に基づき、患者から一部負担金を受け取り、残額を国民健康保険団体連合会などに請求する収益モデルです。運営はミアヘルサが行っています。
■(2) 子育て支援事業
認可保育所51園、認証保育所4園、公立保育園の指定管理1園、学童クラブ等22ヵ所を運営しています。大都市圏における待機児童問題や多様化する保育ニーズに対応するサービスを展開しています。
認可保育所においては、国や自治体からの施設型給付(補助金)および保護者からの負担金として収益を得ています。運営はミアヘルサが行っています。
■(3) 介護事業
首都圏において、サービス付き高齢者向け住宅、居宅介護支援、訪問介護・看護、通所介護などの多様な介護サービスを提供しています。高齢者の住まいに各種介護サービスを併設し、包括的に提供する事業モデルを展開しています。
介護保険法に基づき利用者から一部負担金を受け取り、残額を国民健康保険団体連合会に請求します。賃料や食事代等の保険外サービスは利用者から直接受け取ります。運営はミアヘルサが行っています。
■(4) その他(食品事業)
公立小中学校への給食用食材や、保育園・介護施設などへの食材卸売業を行っています。また、宅配寿司チェーン「銀のさら」のフランチャイズ店舗を展開しています。
食材の卸売による販売代金やフランチャイズ店舗での顧客からの代金を収益源としています。運営はミアヘルサが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は右肩上がりで順調に推移しており、5期連続で増収を達成しています。経常利益も売上拡大に伴い増加基調にあり、利益率も徐々に改善傾向を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 195億円 | 222億円 | 227億円 | 238億円 | 249億円 |
| 経常利益 | 0.2億円 | 2億円 | 4億円 | 6億円 | 8億円 |
| 利益率(%) | 1.0% | 0.8% | 1.6% | 2.7% | 3.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.6億円 | 0.6億円 | 0.9億円 | 0.8億円 | 1.1億円 |
■(2) 損益計算書
直近の損益計算書を見ると、増収効果に加えて売上総利益率の改善が進み、営業利益も堅調に伸びています。利益を確保しやすい事業体質への移行が伺えます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 238億円 | 249億円 |
| 売上総利益 | 24億円 | 27億円 |
| 売上総利益率(%) | 10.0% | 10.7% |
| 営業利益 | 6億円 | 8億円 |
| 営業利益率(%) | 2.7% | 3.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が6億円(構成比34%)、役員報酬が2億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
医薬事業は新規店舗の処方箋枚数増加により増収となりました。子育て支援事業は公定価格の増額改定が寄与し、堅調に推移しています。介護事業は既存事業所の安定稼働により前期と同水準の売上を確保しました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 医薬事業 | 96億円 | 99億円 |
| 子育て支援事業 | 97億円 | 103億円 |
| 介護事業 | 35億円 | 35億円 |
| その他 | 10億円 | 11億円 |
| 連結(合計) | 238億円 | 249億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
当期のキャッシュ・フローは、営業活動で得た資金と借入等の財務活動による資金を元手に、将来の成長に向けた積極的な投資を行っている「積極型」の状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 10億円 | 9億円 |
| 投資CF | -5億円 | -4億円 |
| 財務CF | -9億円 | 24億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.2%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は25.1%であり、いずれも市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「子どもから高齢者まで全世代が繋がり、お互いを支え合う地域づくりに貢献する」というパーパスを掲げています。0歳から高齢者までの健康と生活を守る企業として社会に貢献し、「健康・安心・絆のライフライン」を構築することを存在意義としています。
■(2) 企業文化
人事理念として「従業員は会社の根幹であり、最大の財産です。従業員一人ひとりの成長こそが会社の成長です。」と掲げ、社員の成長を重視する文化があります。社員自らが前向きかつ積極的に考えて行動する企業風土の醸成に取り組んでいます。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画の基本方針として「国の2大福祉政策である『子育て支援』・『高齢者支援』を地域に展開する」ことを掲げています。事業部間連携によるシナジー効果の発揮を通じて成長戦略を加速させ、営業利益率の向上による経営基盤の強化を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
医薬、子育て支援、介護事業の3事業の連携により、「地域包括ケアシステム」の担い手としてまちづくりを推進します。行政や大手デベロッパーと協力し、高い収益性を確保できる複合的なサービスを一体提供する施設の開発に注力しています。
* 在宅処方件数やかかりつけ薬剤師指導料算定件数の増加
* ドミナント方式によるサービス付き高齢者向け住宅の展開
* ブランド力強化と業務のIT化による効率化
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「多様な人材が能力を最大限に発揮し、チームとして協力し合いながら、組織目標を達成し、会社とともに成長する職場をつくります」「社員一人ひとりが誇りをもって、健康で活き活きと働くことができる職場をつくります」という2つのテーマのもと、人材への投資を強化しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 35.7歳 | 5.8年 | 4,565,000円 |
※上記は主要子会社であるミアヘルサの数値です。平均年間給与は賞与等一時金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 46.2% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 85.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 80.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 93.8% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員の有給休暇取得率(57.6%)、正社員の一月当たりの平均残業時間(10.3時間)、正社員女性の平均勤続年数(5.4年)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 有資格者の確保難による事業運営への影響
医薬・子育て支援・介護の各事業において、薬剤師、保育士、介護福祉士などの有資格者の採用が不可欠です。これらの人材確保が困難になった場合、新規事業所の開設遅延や既存施設の運営に支障が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 事業所開設遅延や立地確保の困難化
事業所の立地が業績を大きく左右するため、採算性を満たす出店候補地の確保が重要です。適切な立地が確保できない場合や、自治体の保育園開設公募が需要減により減少した場合、事業所開設計画に遅れが生じるリスクがあります。
■(3) 国の政策変更や各種報酬の改定
同社の事業は健康保険法や介護保険法などの適用を受けています。国の財政難や少子高齢化を背景とした調剤報酬や介護報酬の引き下げ、または認可保育園の補助金制度の変更が行われた場合、収益性が低下する可能性があります。



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