※本記事は、TREホールディングス株式会社の有価証券報告書(第4期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
TREホールディングス転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
1. TREホールディングスってどんな会社?
廃棄物処理・再資源化、金属リサイクル、バイオマス発電などを手掛ける総合環境企業です。
■(1) 会社概要
2021年10月、タケエイおよびリバーホールディングスの共同株式移転により、両社の完全親会社として設立されました。同年、東京証券取引所市場第一部に上場しました。その後、2022年4月にプライム市場へ移行し、ガラス再資源化やプラスチックリサイクルなど環境関連企業のグループ化を進めています。
2025年3月31日現在、連結従業員数は2,393名、単体従業員数は67名です。筆頭株主は信託銀行等の機関投資家ですが、第3位には創業家出身でタケエイの代表取締役会長を務める三本守氏が名を連ねています。また、ベステラなどの事業会社も大株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 14.25% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 5.99% |
| 三本守 | 3.99% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役会長は松岡直人氏、代表取締役社長は阿部光男氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松岡直人 | 代表取締役会長 | 三菱商事に入社。メタルワン建材社長、メタルワン社長を経て、スズトクホールディングス(現リバー)社長に就任。2021年10月より現職。 |
| 阿部光男 | 代表取締役社長 | 協和銀行(現りそな銀行)に入社。りそな銀行常務執行役員などを経て、タケエイに入社し社長に就任。2021年10月より現職。 |
| 鈴木孝雄 | 取締役 | 鈴木徳五郎商店(現リバー)に入社。同社社長、会長などを歴任し、日本鉄リサイクル工業会会長も務めた。2021年10月より現職。 |
| 三本守 | 取締役 | 武栄建設興業(現タケエイ)に入社し社長、会長を歴任。TRE SDGs推進財団代表理事も務める。2021年10月より現職。 |
| 青山美和 | 取締役 | 七十七銀行を経てタッグに入社。同社常務、専務を経て社長に就任。2024年6月より現職。 |
| 上川毅 | 取締役(監査等委員) | 日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)、シティバンク銀行を経てタケエイ入社。同社常務、専務、監査役などを歴任。2024年6月より現職。 |
社外取締役は、大村扶美枝(弁護士)、末松広行(元農林水産事務次官)、荒牧知子(公認会計士・税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「廃棄物処理・再資源化事業」、「資源リサイクル事業」、「再生可能エネルギー事業」および「その他」事業を展開しています。
■廃棄物処理・再資源化事業
建設現場等から排出される産業廃棄物の収集運搬、中間処理(選別・破砕・圧縮等)、再資源化、および最終処分を行っています。また、災害廃棄物処理支援も手掛けます。
処理料等は排出事業者から受け取ります。運営は主に株式会社タケエイ、株式会社ギプロ、株式会社北陸環境サービス等のグループ会社が行っています。
■資源リサイクル事業
鉄スクラップ・非鉄金属のリサイクル、自動車リサイクル、家電リサイクル等を展開しています。金属スクラップの加工・販売や使用済自動車・家電の適正処理を行います。
収益は金属原料の販売代金やリサイクル処理料等です。運営は主にリバー株式会社が担っています。
■再生可能エネルギー事業
森林資源を燃料とする木質バイオマス発電所の運営、電力の販売、発電用燃料の製造、森林経営等を行っています。
電力会社等への売電収入が主な収益源です。運営は株式会社津軽バイオマスエナジー、株式会社タケエイグリーンリサイクル、市原グリーン電力株式会社等が行っています。
■その他
環境装置・プラント・特殊車輌の開発・製造・販売を行う環境エンジニアリング事業や、環境コンサルティング事業を展開しています。
製品販売代金や分析・調査料等が収益となります。運営は富士車輌株式会社、株式会社アースアプレイザル等が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
連結業績の推移は以下の通りです。第3期までは売上高900億円台で推移していましたが、第4期に大幅な増収となり1,000億円を突破しました。利益面でも、第4期は災害廃棄物処理等の影響で大きく伸長し、利益率も向上しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 682億円 | 907億円 | 929億円 | 1,187億円 |
| 経常利益 | 75億円 | 76億円 | 78億円 | 225億円 |
| 利益率(%) | 11.1% | 8.4% | 8.4% | 18.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 47億円 | 52億円 | 36億円 | 123億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成は以下の通りです。売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益率および営業利益率が大きく改善しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 929億円 | 1,187億円 |
| 売上総利益 | 193億円 | 362億円 |
| 売上総利益率(%) | 20.8% | 30.5% |
| 営業利益 | 78億円 | 230億円 |
| 営業利益率(%) | 8.4% | 19.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が46億円(構成比34%)、のれん償却額が6億円(同4%)を占めています。
■(3) セグメント収益
各セグメントの収益状況です。廃棄物処理・再資源化事業は災害廃棄物処理支援等が寄与し、大幅な増収増益となりました。資源リサイクル事業は取扱量減少等の影響があったものの、金属相場の高位推移等により増益を確保しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 廃棄物処理・再資源化事業 | 267億円 | 519億円 | 41億円 | 197億円 | 38.0% |
| 資源リサイクル事業 | 434億円 | 424億円 | 28億円 | 35億円 | 8.2% |
| 再生可能エネルギー事業 | 143億円 | 136億円 | 12億円 | 1億円 | 0.8% |
| その他 | 84億円 | 108億円 | 6億円 | 8億円 | 7.6% |
| 調整額 | -4億円 | -12億円 | -8億円 | -11億円 | - |
| 連結(合計) | 929億円 | 1,187億円 | 78億円 | 230億円 | 19.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、財務活動において長期借入れによる収入が、長期借入金の返済や自己株式の取得、配当金の支払いを上回ったことで、資金調達は順調に進んでいます。営業活動では、災害廃棄物処理支援事業の拡大や新規事業の開始により、売上債権及び契約資産が増加したことが収入に大きく寄与しました。一方で、投資活動では固定資産の取得による支出がありました。これらの活動の結果、現金及び現金同等物は増加しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 122億円 | 198億円 |
| 投資CF | -168億円 | -121億円 |
| 財務CF | 16億円 | 15億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「地球の環境保全に貢献する。」を企業理念として掲げています。地球規模での環境破壊や気候変動の影響に対し、高度循環型社会および脱炭素社会の実現に貢献し、自然との調和や地域の生態系との共生を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、廃棄物や使用済み製品を循環資源に変革する「WX(Waste Transformation)」をコンセプトに掲げています。サステナビリティ経営を実践し、既存事業の強靭化と新分野への挑戦を通じて、環境事業分野における革新的な企業体を目指す文化があります。
■(3) 経営計画・目標
第2次中期経営計画『「WX環境企業」への挑戦』を策定しています。財務目標として、自己資本利益率(ROE)10%以上、総還元性向35%~40%、自己資本比率40%以上の維持を設定しています。また、2030年までに再資源化率93%以上達成等の非財務KPIも掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
再資源化・リサイクル事業の深化、再生可能エネルギー事業の推進、新分野への挑戦を基本戦略としています。具体的には、千葉県市原市や福島県相馬市での環境複合事業構想の推進、動脈企業との提携、プラスチックリサイクル新技術の実装、M&Aや海外展開による業容拡大に注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様な人材が能力を発揮できる職場環境の実現を目指しています。階層別・キャリア研修やeラーニングによる人材育成、従業員の希望を尊重した配置、女性活躍推進や育児・介護支援制度の拡充に取り組んでいます。また、安全対策の強化や人的資本への投資も推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 47.8歳 | 10.8年 | 8,510,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.4% |
| 男性育児休業取得率 | 85.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 72.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 72.3% |
| 男女賃金差異(非正規) | 38.0% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済環境の変化によるリスク
建設廃棄物を多く扱うため、建設業界の動向や景気変動の影響を受けやすい側面があります。また、資源リサイクル事業における鉄・非鉄スクラップ等の相場変動や、原材料の発生量減少により、業績や財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
■(2) 事業に対する法的規制・許認可リスク
廃棄物処理法や家電リサイクル法など、多くの法的規制の下で事業を行っています。法令違反による行政処分や、許可の取消・更新不許可等は事業継続に重大な影響を与えます。また、環境規制の強化に伴う設備投資負担が増加する可能性もあります。
■(3) 廃棄物最終処分場および設備災害リスク
最終処分場の残余容量には限界があり、新規開発が計画通り進まない場合、コスト増の要因となります。また、収集運搬車両や処理施設での事故、火災、あるいは自然災害等により操業が停止した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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