TREホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

TREホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

TREホールディングスは東京証券取引所プライム市場に上場し、廃棄物処理や再資源化、資源リサイクル、再生可能エネルギー発電などの環境ビジネスを展開する企業です。直近の業績は、売上高が前期比で微増の増収となる一方、人件費等の増加により営業利益は減益、親会社に帰属する当期純利益は増益で着地しています。


※本記事は、TREホールディングス株式会社の有価証券報告書(第5期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. TREホールディングスってどんな会社?


廃棄物処理・再資源化事業を中核に、金属等の資源リサイクルや再生可能エネルギー事業を展開する総合環境企業です。

(1) 会社概要


2021年10月にタケエイとリバーホールディングスの共同持株会社として設立され、上場しました。グループ内の組織再編を経て、2025年7月に北海道を地盤とするイーアンドエムを子会社化し、同年10月にはみずほリースと資本業務提携を締結するなど、事業基盤とパートナーシップの強化を推進しています。

現在の従業員数はグループ全体で2,425名、単体で73名となっています。大株主の構成を見ると、筆頭株主は資産管理業務等を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位にはみずほ証券、第3位には日本カストディ銀行が名を連ねており、機関投資家や金融機関が高い持ち株比率を占めているのが特徴です。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 12.99%
みずほ証券 5.87%
日本カストディ銀行(信託口) 5.74%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性3名の計7名で構成され、女性役員比率は42.9%です。代表取締役会長を松岡直人氏、代表取締役社長を阿部光男氏が務めており、社外取締役の比率は42.9%となっています。

氏名 役職 主な経歴
松岡直人 代表取締役会長 三菱商事入社、メタルワン代表取締役社長、リバー代表取締役社長などを経て、2021年10月より現職。
阿部光男 代表取締役社長 協和銀行入社、りそな銀行常務執行役員、タケエイ代表取締役社長などを経て、2021年10月より現職。
青山美和 取締役 七十七銀行入社、タッグ入社、同社常務取締役や専務取締役などを経て、2024年6月より現職。
上川毅 取締役(監査等委員) 日本債券信用銀行入社、富士車輌代表取締役社長、タケエイ執行役員などを経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、大村扶美枝氏(市ヶ谷国際法律事務所弁護士)、末松広行氏(元農林水産事務次官)、荒牧知子氏(荒牧公認会計士事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、廃棄物処理・再資源化事業、資源リサイクル事業、再生可能エネルギー事業およびその他の事業を展開しています。

廃棄物処理・再資源化事業


建設現場等から排出される産業廃棄物等の収集運搬、中間処理工場での精選別・破砕・圧縮・再資源化、最終処分場での埋立運営のほか、災害廃棄物の復旧・復興支援業務を提供しています。顧客は総合建設業やハウスメーカー、地方自治体などが中心です。

顧客から廃棄物の処理や収集運搬に対する処理委託料等を受け取る収益モデルです。事業の運営はタケエイを中心に、プラテック相馬や門前クリーンパーク、グリーンアローズ関東など、全国各地に拠点を置く複数のグループ企業が密接に連携して行っています。

資源リサイクル事業


鉄や非鉄金属スクラップ、使用済自動車、家電、産業廃棄物の中間処理および再資源化を行っています。生産工場や建物・自動車解体業者、家電量販店などから仕入れた素材を破砕・選別し、新たな金属原料やリサイクルパーツとして再資源化し販売しています。

仕入れた金属スクラップ等を加工し、再生原料としてメーカー等へ販売する代金のほか、廃家電や産業廃棄物については引取時の処理・管理料を受け取ります。運営は主にリバーが行い、サニーメタルやイツモなどのグループ各社が連携して事業を展開しています。

再生可能エネルギー事業


主に森林資源を燃料とする木質バイオマス発電所の運営を行っています。地域の森林組合等と連携した発電用燃料チップの製造から、再生可能エネルギーによる電力の創出、さらには付帯する森林経営に至るまで、脱炭素社会の実現に貢献する事業を展開しています。

発電所で創出した電力を電力需要家や卸業者、電力市場に対して販売し、その対価を収益として得るモデルです。運営はタケエイグリーンリサイクルや津軽バイオマスエナジーなどの発電会社が行い、タケエイでんきが電力の小売や供給業務を担っています。

その他事業


環境装置やリサイクルプラント、特殊車輌の開発・製造・販売を行う環境エンジニアリング事業や、有害廃棄物の調査・分析等を担う環境コンサルティング事業、能登半島における地域復興の事業化検討を行う地域貢献事業を展開しています。

顧客仕様の環境プラントや特殊車輌の製造請負代金、アスベスト等の分析業務に伴う業務委託料などが主な収益源です。運営は環境エンジニアリング事業を富士車輌が、環境コンサルティング事業をアースアプレイザルが、地域貢献事業をヨバレがそれぞれ担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、経営統合や組織再編等の効果もあり売上高は着実に拡大を続けており、特に直近2期間は大きく事業規模が飛躍しています。利益面では一時的なコストや減損損失等の影響を受ける年もありますが、全体として高い水準を維持して推移しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 682億円 907億円 929億円 1,187億円 1,192億円
経常利益 75億円 76億円 78億円 225億円 218億円
利益率(%) 11.1% 8.4% 8.4% 18.9% 18.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 25億円 22億円 22億円 20億円 51億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、売上高は微増ながら堅調に推移し、売上総利益率も向上しています。一方で営業利益については、人材確保に向けた人件費の増や成長投資に伴うコストの増加により、前期比でわずかに減益となりました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,187億円 1,192億円
売上総利益 362億円 368億円
売上総利益率(%) 30.5% 30.9%
営業利益 230億円 223億円
営業利益率(%) 19.4% 18.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が51億円(構成比34.9%)、役員報酬が11億円(同7.7%)、のれん償却額が3億円(同1.7%)を占めています。

(3) セグメント収益


セグメント別の売上動向を見ると、災害廃棄物処理の進捗や単価改定が寄与した「廃棄物処理・再資源化事業」および、相場上昇が追い風となった「資源リサイクル事業」が堅調です。また「再生可能エネルギー事業」も電力販売量の拡大により増収を牽引しました。一方「その他」事業は大型案件の反動等で減収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
廃棄物処理・再資源化事業 519億円 528億円
資源リサイクル事業 424億円 432億円
再生可能エネルギー事業 136億円 147億円
その他 108億円 85億円
連結(合計) 1,187億円 1,192億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローの状況は、本業で安定的な現金を創出し、その資金で積極的な設備投資と借入金の返済等をバランス良く賄っている「健全型」のパターンを示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 198億円 285億円
投資CF -121億円 -188億円
財務CF 15億円 -64億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.9%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は48.4%となっており、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「地球の環境保全に貢献する。」という企業理念を掲げています。自然との調和や地域の生態系との共生を図る「WX(Waste Transformation:廃棄物を循環資源に変革していく事業コンセプト)環境企業」として、リサイクル事業の深化や再生可能エネルギー事業の推進に取り組むとともに、新たな技術開発にも挑戦し、持続可能な高度循環型社会および脱炭素社会の実現を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、株主、従業員、取引先、地域社会など多様なステークホルダーとの健全な信頼関係を重視する文化を持っています。激動する環境下にあっても、持続的に成長する経済社会の実現に貢献するための「サステナビリティ経営」を組織全体で実践しており、コンプライアンス意識の徹底とガバナンス体制の強化を基盤とした透明性の高い業務執行を徹底しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、企業理念の実現に向けた「TRE中期経営計画2030」を策定し、収益性向上と成長戦略の推進、バランスの取れた財務基盤の安定化を目指しています。主な中長期の財務目標として以下の数値を掲げています。

* 事業利益率(営業利益+持分法投資損益 / 売上高):10%
* 総還元性向:35%~40%
* 自己資本比率:40%以上の維持

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、中期経営計画において「既存事業の強靭化」「新分野・新事業への挑戦」「連携機能の強化」を基本戦略に掲げています。具体的には、グループシナジーの発揮に加え、千葉県市原市における「TRE環境複合事業」構想や福島県相馬市での「相馬サーキュラーパーク」構想など、産学官連携による大型プロジェクトを推進しています。あわせて、M&Aや資本提携を活用するパートナーシップ戦略やDX戦略も加速させています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、人材を最大の資本であり価値創造の源泉と位置付け、中長期的な企業価値向上に向けた人的資本の強化に取り組んでいます。人的資本戦略として「現場人材基盤の強化」「経営人材・管理職候補の育成」「採用力強化と定着率改善」「ダイバーシティ&インクルージョンの推進と基盤整備」の4本柱を掲げ、多様な人材が能力を最大限に発揮できる働きがいのある職場環境づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 48.3歳 10.8年 8,894,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.9%
男性育児休業取得率 66.7%
男女賃金差異(全労働者) 66.9%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 70.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 40.0%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 建設業界の景気動向と価格競争リスク

同社の廃棄物処理事業は、建設現場から排出される建設系産業廃棄物の取り扱いが多く、総合建設業やハウスメーカーへの依存度が高い傾向にあります。そのため、不動産市況の悪化や建設工事量の減少が発生した場合、需要減による同業者との価格競争が激化し、適正な再資源化事業が評価されず、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) リサイクル資源の相場変動リスク

資源リサイクル事業における鉄スクラップや非鉄金属等の仕入・販売価格は、資源相場や金属製品価格の影響を直接受けます。同社は相場変動に応じた仕入価格の調整を行っていますが、急激な相場変動や低迷が長期化した場合には、利ざやの縮小や在庫価値の下落が生じ、グループの収益性に影響を与える可能性があります。

(3) 環境規制の強化と許認可リスク

廃棄物処理やリサイクル事業は、廃棄物処理法や家電リサイクル法など多岐にわたる法的規制の対象となります。同社は適切な環境保全設備を整備し法令遵守に努めていますが、万一の法令違反による事業停止や許認可の取消し、あるいは将来的な環境規制のさらなる強化に伴う多額の設備改修費用が発生するリスクを抱えています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。