※本記事は、株式会社STG の有価証券報告書(第43期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. STGってどんな会社?
マグネシウム合金やアルミニウム合金を用いた軽量化金属部品の製造加工を手掛けるグローバルメーカーです。
■(1) 会社概要
1975年に創業し、アルミニウムダイカストの仕上加工を開始しました。1982年に法人化され、中国・タイ・マレーシアに生産拠点を拡大しています。2019年にTOKYO PRO Marketへ上場後、2024年3月に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。近年はマレーシア企業の買収などを通じ、事業基盤を強化しています。
連結従業員数は670名、単体では56名体制です。筆頭株主は代表取締役社長の佐藤輝明氏で、第2位は同氏が株式を保有する資産管理会社の三輝となっており、創業家及び経営陣が安定的に株式を保有するオーナー系企業の特徴を持っています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 佐藤 輝明 | 14.63% |
| 三輝 | 14.63% |
| 林 健一 | 4.24% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は佐藤輝明氏が務めています。社外取締役比率は22.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐藤 輝明 | 代表取締役社長 | 1989年日通商事入社。1994年三輝ブラスト(現同社)入社。香港子会社董事長などを経て、2009年4月より現職。 |
| 森田 泰成 | 専務取締役 | 1993年TOSEI入社。同社専務取締役を経て、2015年同社専務取締役就任。2024年4月より現職。 |
| 林 忠德 | 専務取締役 | 1997年三輝ブラスト(現同社)入社。香港子会社総経理などを経て、2023年6月より現職。 |
| 白井 芳弘 | 専務取締役 | 1989年紀陽銀行入行。2017年同社へ出向し管理本部長就任。2024年6月より現職。 |
| 佐々木 智一 | 取締役 | 1994年長瀬産業入社。2006年佐々木化学薬品代表取締役就任。2015年6月より現職。 |
| 鈴木 昭彦 | 取締役 | 1982年加賀電子入社。1993年ネクストン設立し代表取締役就任。2022年6月より現職。 |
社外取締役は、佐々木智一(佐々木化学薬品代表取締役)、鈴木昭彦(ネクストン代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「金属部品鋳造及び加工事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
**金属部品鋳造及び加工事業**
マグネシウム合金やアルミニウム合金を用いた軽量化金属部品の製造を行っています。主な製品は、ミラーレスカメラやプロジェクター等の精密機器、自動車部品、監視カメラ、ドローン等の部品です。特に実用金属で最も軽いマグネシウムの加工を得意とし、金型設計から鋳造、機械加工、仕上げ、化成処理、塗装、組立までを一貫して行える体制を構築しています。
収益は、主に電機メーカーや自動車関連メーカー等の顧客に対する製品の販売によって得ています。運営は、日本国内ではSTGが担当し、海外では中国の三輝特殊技研(香港)有限公司および深圳市参輝精密五金有限公司、タイのSANKI EASTERN (THAILAND) COMPANY LIMITED、マレーシアのSTX PRECISION (JB) SDN. BHD.が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近の業績を見ると、売上高は右肩上がりで成長を続けており、特に直近では大幅な増収を達成しています。利益面でも、経常利益率が上昇傾向にあり、収益性が向上しています。当期純利益も順調に推移しており、全体として好調な業績拡大トレンドにあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 20億円 | 35億円 | 47億円 | 52億円 | 64億円 |
| 経常利益 | -0.4億円 | 1.6億円 | 2.9億円 | 3.0億円 | 5.1億円 |
| 利益率(%) | -2.2% | 4.5% | 6.1% | 5.7% | 8.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.2億円 | 0.7億円 | 1.9億円 | 2.0億円 | 3.9億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も拡大しています。利益率も改善傾向にあり、効率的な事業運営が進んでいることがうかがえます。営業利益は前年から大きく伸長しており、本業の収益力が強化されています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 52億円 | 64億円 |
| 売上総利益 | 12億円 | 15億円 |
| 売上総利益率(%) | 22.3% | 23.7% |
| 営業利益 | 3.0億円 | 4.9億円 |
| 営業利益率(%) | 5.7% | 7.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3.7億円(構成比36%)を占めています。売上原価については、材料費や外注費などの製造コストが主たる構成要素となっています。
■(3) セグメント収益
同社は単一セグメントのため、全体の業績が増減に直結しています。前期と比較して売上高は22.6%増加しており、自動車関連部品や精密機器向け部品の受注が好調に推移したことが主な要因です。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 金属部品鋳造及び加工事業 | 52億円 | 64億円 |
| 連結(合計) | 52億円 | 64億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
**健全型**
本業で得たキャッシュ(営業CFプラス)を用いて、設備投資(投資CFマイナス)や借入金の返済(財務CFマイナス)を行っている、財務的に健全な状態です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.4億円 | 5.4億円 |
| 投資CF | -3.8億円 | -3.6億円 |
| 財務CF | 2.1億円 | -2.1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は36.4%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「3つの輝き(お客様の輝き・働く仲間の輝き・社会全体の輝き)」を経営理念として掲げています。顧客と従業員の双方が満足し、社会に貢献できる事業運営を行うことで、事業の発展を遂げることを目指しています。
■(2) 企業文化
期待以上の製品提供で顧客に喜んでもらうだけでなく、社員一人ひとりが能力を発揮できる舞台を提供し、やりがいのある「輝ける場所」を作ることを重視しています。また、健全な経営のためのガバナンスを適正に行うことを企業価値向上の不可欠な要素として位置づけています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画「Challenge 100」(2025年度~2027年度)を策定しています。長期目標として連結売上高300億円・連結営業利益30億円を掲げ、計画終了時の数値目標を設定しています。
* 連結売上高:100億円
* 連結営業利益:8億円
■(4) 成長戦略と重点施策
「Challenge 100」のもと、独自の技術力を基盤に事業拡大を目指します。具体的には、マグネシウム合金部品を中心とした電動車軽量化ソリューションの提供や、周辺領域企業のM&Aによるシナジー創出を推進します。生産能力向上と人員確保のため、設備投資や海外拠点の整備も積極的に行う方針です。
* 生産能力の向上、人員の確保(設備投資、新拠点整備、M&A)
* 収益力を維持拡大させるための技術の継承(金型設計力・鋳造技術力の強化)
* 課題を解決させるための資金戦略(多様な資金調達、自己資本比率30%以上の維持)
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
グローバル人材や工場地域での優秀な人材の獲得・育成を重視しています。入社時研修や階層別研修などの教育プログラムを実施するとともに、資格取得支援を行っています。また、「幅広い人材の登用」「社会的弱者への雇用機会創出」「高齢者の雇用」を掲げ、多様な人材が活躍できる環境整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 47.0歳 | 11.7年 | 4,551,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 市場環境について
同社グループは各種製品の軽量化を目的とした金属部品の製造を行っていますが、主要顧客である精密機器メーカーの開発予算圧縮やスケジュール変更等の影響を受ける可能性があります。このため、自動車分野など裾野の広い産業からの受注を拡大し、特定分野への依存リスクを低減する方針です。
■(2) 為替変動について
グローバルに事業を展開しているため、在外子会社の財務諸表換算時や外貨建取引において為替変動の影響を受けます。円高進行時には円換算額が減少する可能性があります。これに対し、各生産拠点での取引を極力現地通貨建てにするなど、リスク低減に努めています。
■(3) 原材料価格について
製品の主原料であるマグネシウム合金やアルミニウム合金の市場価格変動リスクがあります。価格変動分は販売価格への転嫁を目指しますが、タイムラグが発生するため、原材料価格の上昇局面では経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 工場の環境整備について
廃棄物削減や有害物質処理などの環境規制を受けており、環境整備活動を推進しています。しかし、不測の環境汚染や新たな規制への対応により多額の費用が発生した場合、または規制を遵守できなかった場合には、事業運営や業績に影響を与える可能性があります。



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