※本記事は、株式会社坪田ラボ の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
坪田ラボは、慶應義塾大学医学部発のベンチャー企業として、近視、ドライアイ、老視、脳疾患といったアンメット・メディカル・ニーズの高い領域で新たな治療法の創出を目指す研究開発事業を展開しています。
単体従業員数は22名です。同社の事業は研究開発事業に特化しており、単一の事業セグメントで構成されています。
坪田ラボは、独自の研究開発コンセプト「Co-Creation Core (CCC)」に基づき、大学・研究機関やパートナー企業との共創を通じて知的財産を確立し、契約一時金やマイルストーン、ロイヤリティ収入を得る循環型のビジネスモデルを展開しています。保険医療領域の医薬品・医療機器開発に加え、一般市場向け製品の企画・研究開発・販売も手掛けるクロスドメイン戦略も採用しています。
当事業年度において、新規事業としてハーバード大学での研究を基盤とした基礎化粧品ブランド「aeonia」の日本国内における独占販売契約を締結し、販売を開始しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
坪田ラボは、慶應義塾大学医学部発のヘルスケア・ベンチャーとして、研究開発を中核に事業を展開しています。少数精鋭の組織体制のもと、社員一人ひとりの専門性と主体性を重視する働き方が特徴です。
在宅勤務やフレックス制度といった柔軟な働き方を支援する環境が整備されており、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる土壌があります。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
坪田ラボでは、平均年齢が比較的高めである一方で、平均勤続年数は短めの傾向が見られます。これは、専門性の高い人材がプロジェクトごとに集まり、成果を追求する研究開発型企業の特徴を反映していると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,178,000円 |
| 平均勤続年数 | 2.1年 |
| 平均年齢 | 48.0歳 |
| 単体従業員数 | 22人 |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
坪田ラボは、「VISIONary INNOVATIONで未来をごきげんにする」というパーパスの実現に向け、人材を競争力の源泉と位置付けています。少数精鋭の組織として、社員一人ひとりが高い専門性と主体性を発揮し、研究開発や事業開発、知的財産、コーポレート機能において価値創出に取り組んでいます。
人材マネジメントにおいては、画一的な年功的運用ではなく、個々の能力、成果、期待役割、市場価値を踏まえた処遇を基本としています。評価は給与決定だけでなく、社員の成長と組織全体の業績向上につなげることを重視しており、OKR(Objectives and Key Results)を活用して組織目標と個人目標の整合を図り、主体的な挑戦と成長を促進しています。
同社では「自分から、ごきげんを拡げる。- Spread GOKIGEN.」を中核に、「笑顔、親切、寛容であれ。- Lead with Kindness.」「学び続け、共に創る。- Keep Learning, Create Together」「考え、迷わず、すぐに動く。- Think Big! Move Fast!」を“Value Action”として定め、挑戦、共創、学習、迅速な実行を促す組織文化の醸成に取り組んでいます。また、社員一人ひとりが自身の専門性を深化させつつ、専門以外の分野にも幅広く関心を持ち、知識を広げていく「T型戦略」を推進しています。
国内外から研究者を招聘し、オープンイノベーションによって外部の技術やアイデアを取り入れることで、既存事業の深化と新規事業の探索を目指しています。国籍、性別、バックグラウンド、年齢を問わず、幅広く門戸を広げ、在宅勤務やフレックス制度など、社員が個々の事情に合わせて働きやすい環境づくりに注力しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
株式会社坪田ラボは、慶應義塾大学医学部発のベンチャー企業として、アンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域における新たな治療法の創出を目指しています。同社は、研究開発成果をパートナー企業へ導出し、収益を得るビジネスモデルを展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
坪田ラボは「VISIONary INNOVATIONで未来をごきげんにする」をパーパスに掲げ、近視、ドライアイ、老視、脳疾患といったアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域で、新たな治療法の創出を目指す研究開発型企業です。慶應義塾大学医学部眼科学教室の研究成果を社会に届け、医療分野でのイノベーション実現を目的としています。
同社のビジネスモデルは、独自の研究開発コンセプトであるCo-Creation Core (CCC) を基盤としています。大学や研究機関、企業との共創により創出された研究成果を知的財産として確立し、パートナー企業との共同研究開発契約や実施許諾契約を通じて収益を獲得しています。収益源は契約一時金、マイルストーン、そしてパイプラインの上市後に得られるロイヤリティ収入であり、現在は契約一時金とマイルストーン収入が中心です。
事業は基礎研究から初期の臨床試験段階までを担い、その成果をパートナー企業へ導出するB2B型のビジネスモデルを志向しています。研究開発の実務は高度な専門性を持つ外部研究者との連携により遂行され、効率的かつ柔軟な体制を構築しています。保険医療領域の医薬品や医療機器研究開発に加え、疾患特性に応じて一般市場向け製品(コンシューマー製品)の企画・研究開発・販売も並行して進めるクロスドメイン戦略を採用しています。また、コンサルティング業務による収益源の多様化にも取り組んでいます。
経営戦略の基本方針として「深化」と「探索」の両軸から成るT型戦略を取り入れています。研究予算の約70%を既存研究の深掘りやプロジェクト推進、知財強化に充てる「深化」に、約30%を新領域の基礎研究や新規知財創出に充てる「探索」に配分し、短期的成果と中長期的成長の両立を図っています。
主な研究領域は近視、ドライアイ、老視、脳疾患です。近視領域では、バイオレットライト技術を用いた医療機器「TLG-001」や点眼薬「TLM-003」「TLM-023」の開発を進めています。ドライアイ領域では、マイボーム腺機能を回復させる点眼薬「TLM-001」や、眼表面を修復・維持する幹細胞の働きを高める点眼薬「TLM-017」の開発に取り組んでいます。老視領域では、水晶体の老化メカニズムに着目した代謝調節による医薬品や関連製品の研究開発を推進しています。脳疾患領域では、バイオレットライトが脳内血流促進効果をもたらす可能性に着目し、「TLG-005」としてうつ病やパーキンソン病、軽度認知障害を対象とした臨床研究を実施しています。その他、後眼部疾患への応用や月経不順治療機器「TLG-021」、ペット医療への展開も視野に入れています。
同社の単年度の売上高は、契約締結や開発進捗の状況に応じて変動する特性があります。中長期的なマイルストーン及びロイヤリティ収入を継続的に積み上げることを目指しています。販売実績は、日本、中国、フランスの顧客から得られており、当事業年度においてはロート製薬株式会社とマルホ株式会社への販売が主要な割合を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高が前期から大きく減少しました。これに伴い、営業利益、経常利益、当期純利益はそれぞれ損失を計上する結果となりました。前期は大型の導出契約に伴う契約一時金収入がありましたが、当期はその反動に加え、研究開発投資を継続的に実施したことが主な要因となっています。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
坪田ラボは、研究開発型企業として、医薬品や医療機器の開発に先行投資を行っています。そのため、収益計上の時期が変動しやすく、財務状況もその影響を受ける特性があります。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
坪田ラボの財務基盤を見ると、自己資本比率は当期に65.5%となっており、前期の63.4%から増加しています。これはプライム市場の製造業平均46.8%や非製造業平均24.2%と比較して高い水準を示しています。
手元資金である現金及び預金等は、前期の15.4億円から当期は9.7億円に減少しています。研究開発投資が先行する事業特性を考慮すると、手元資金の動向は今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産合計 | 15.9億円 | 8.6億円 |
| 自己資本比率 | 63.4% | 65.5% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | 15.4億円 | 9.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
坪田ラボは、研究開発費用が先行して発生し、収益はライセンス契約等に基づく契約一時金やマイルストーン収入により計上される事業特性を持っています。そのため、営業キャッシュフローは大きく変動する傾向があります。
当期は営業活動によるキャッシュフローが△5.8億円の支出となり、前期の△3.2億円から支出額が増加しています。これは主に、売上債権の増減額や税引前当期純損失などが要因となっています。投資活動によるキャッシュフローは△8百万円の支出であり、有形固定資産の取得による支出が主な要因です。財務活動によるキャッシュフローは17百万円の収入となり、株式の発行による収入があった一方で、長期借入金の返済による支出がありました。フリーキャッシュフローは当期に△5.9億円の支出となっており、本業の資金創出力が投資を賄いきれていない状況を示しています。同社は翌事業年度の営業黒字化を見込んでおり、今後も事業進捗に応じた費用管理を実施する方針です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △3.2億円 | △5.8億円 |
| 投資CF | △15百万円 | △8百万円 |
| 財務CF | △12百万円 | 17百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △3.3億円 | △5.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
当事業年度において重要な営業損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象または状況が存在しています。しかし、同社は複数の導出実績と研究開発パイプラインを有しており、翌事業年度の営業黒字化を見込んでいます。また、今後1年間の事業活動に必要な資金は確保できていると判断しています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
医薬品及び医療機器の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、各パイプラインの開発が必ずしも成功するとは限りません。研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止の判断を行う可能性があります。また、共同研究開発契約及び実施許諾契約の成否や契約条件は、研究開発の進捗や市場環境など様々な要因に影響されるため、収益計上時期や金額が年度ごとに大きく変動する可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は少数精鋭の組織体制で事業を運営しており、役職員一人ひとりが高度な専門性を有しています。今後の事業拡大と持続的な成長のためには、専門性を有する人材の採用、育成、定着が重要であると認識しています。必要な人材を適時に確保または育成できない場合や、主要な役職員が業務遂行困難となった場合には、研究開発や事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
坪田ラボは、社会課題の解決を企業活動の原動力とし、革新的なソリューションの創出を通じて未来をより良くすることを目指す研究開発型ベンチャーです。長期的な視点から社会貢献と企業成長を両立させることを重視し、多様な人材とオープンな連携を大切にする企業風土を築いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
坪田ラボは「VISIONary INNOVATIONで未来をごきげんにする」をパーパスに掲げています。同社は近視、ドライアイ、老視、脳疾患など、アンメット・メディカル・ニーズ(UMN)の高い疾患領域で革新的なソリューションの創出を目指しています。慶應義塾大学医学部発の研究開発型ベンチャーとして、社会課題に真正面から取り組み、企業価値の向上を図ることを目指しています。
短期的な利益にとらわれず、社会課題の解決という本質的な目標に対し、長期的な視点から真摯に取り組むことを基本方針としています。特許に繋がる独自の発明(Invention)と、パートナー企業との協働による社会実装(Implementation)を掛け合わせることで、確実なイノベーションの創出を目指しています。CSV経営(Creating Shared Value:共有価値の創造)に基づき、社会課題の解決を企業活動の原動力とし、持続可能なかたちで企業価値の最大化を図っています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
坪田ラボは、社会課題の解決と企業の持続的成長の同時実現を目指すCSV経営(Creating Shared Value:共有価値の創造)を基本方針としています。同社はOKR(Objectives and Key Results)を導入し、ビジョン・ミッションに直結した目標設定と進捗管理体制を構築しています。これにより、個人と組織の目標を明確に結びつけ、戦略と現場の一体化、意思決定の迅速化、成果の可視化を図っています。
同社は「科学で社会に貢献する企業」として、ステークホルダーとともにサステナブルな未来の実現を目指しています。国籍、性別、バックグラウンド、年齢を問わず、多様な人材が活躍できる環境を重視しており、女性活躍をはじめとするダイバーシティの推進も行っています。社員一人ひとりが専門性を深化させつつ、専門以外の分野にも関心を持ち、知識を広げていく「T型戦略」を実践しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
坪田ラボは、優先的に対処すべき課題として、組織・文化・人材・社会的責任に関わるテーマを挙げています。企業体質の強化として、OKR(Objectives and Key Results)の仕組みを通じて組織全体の目標達成能力を高めています。
経営体制の強化においては、国内外から多様なバックグラウンドを持つ優れたビジネス人材の確保・登用を進めています。柔軟かつ機動的に対応し得る戦略的な経営体制の構築を通じて、持続的な企業価値の向上を目指しています。
コーポレート・ガバナンスの強化も重点テーマです。管理部門の人員体制および内部統制機能の強化に加え、内部監査人と監査役との連携を通じて、業務執行の適法性および妥当性の監視機能を高めています。健全かつ透明性の高い経営体制の構築を推進し、法令遵守・情報開示・リスク管理の強化を通じて、社会的責任を果たす企業としての基盤を一層強固なものとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
坪田ラボは監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会が経営の意思決定と監視を担っています。取締役会は社外取締役を含んで構成され、監査役会は全員が社外監査役です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
坪田ラボの株主構成を見ると、代表取締役社長である坪田一男氏が筆頭株主となっています。また、同氏の資産管理会社である坪田も上位株主として名を連ねています。このように、創業者が経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 坪田 一男 | 46.23% |
| 坪田 | 12.41% |
| 大高 功 | 7.13% |
| ロート製薬 | 2.48% |
| 竹村 敬司 | 1.19% |
(注) 株式総数に対する所有株式数の割合は、小数点以下第3位を四捨五入しております。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は坪田一男氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 坪田 一男 | 代表取締役 社長 | 1980年慶應義塾大学医学部眼科学教室入局後、東京歯科大学眼科助教授・教授、慶應義塾大学医学部眼科学教室教授を歴任。2012年に同社の前身を設立し、2019年2月より同社代表取締役社長を務めています。 |
| 久保田 恵里 | 取締役 事業開発本部長 | 1993年全国朝日放送情報局に入局。その後、2005年にメディプロデュース、2011年にメディプロダクトを設立し代表を務めました。2023年6月より同社取締役事業開発本部長を務めています。 |
| 森島 健司 | 取締役 研究開発本部長 | 1984年参天製薬に入社し、研究開発本部製剤開発センター長や執行役員などを歴任。2025年1月に同社に入社し研究開発本部長となり、同年6月より取締役研究開発本部長を務めています。 |
社外取締役は、小泉信一氏(Medicinal Creation Advisor代表社員・AskAt取締役・MabGenesis取締役・報酬委員会委員長)です。
同社は監査役会設置会社であり、経営の意思決定機関である取締役会と、独立した監査役会が経営監視機能を担っています。社外取締役の選任と全員が社外監査役である監査役会により、外部からの客観的かつ中立な経営監視機能の確保に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
坪田ラボの役員報酬は、株主総会で決定された総額の範囲内で、取締役会または監査役会で個別に決定されます。業績連動報酬制度は採用していませんが、中長期的な企業価値向上へのインセンティブとして、取締役に対して新株予約権を付与する制度を導入しています。また、報酬決定の公正性・透明性・客観性を強化するため、報酬委員会を設置しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 91百万円 | 30.4百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 18百万円 | 4.6百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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