※本記事は、PHCホールディングス株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
PHCホールディングスは持株会社であり、単体従業員数は145名、グループ連結従業員数は8,647名です。
同社グループは、医療機器、ヘルスケアITソリューション、臨床検査サービス、創薬支援サービスなどをグローバルに展開する持株会社です。糖尿病マネジメント、ヘルスケアソリューション、診断・ライフサイエンスの3つの事業ドメインを軸に、国内16法人、海外63法人を含む計79法人で構成されています。
主な国内グループ会社は、PHC、LSIメディエンス(ヘルスケアソリューション)などです。
同社グループは、2026年1月1日付で持続血糖測定(CGM)システムの販売事業をSenseonics Holdings, Inc.へ譲渡しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
PHCホールディングスは、ヘルスケア・ライフサイエンス領域で事業を展開する同社グループの持株会社です。同社グループは、人的資本を最大の経営資源と位置づけ、多様な専門性を持つ人材が活躍できる組織・環境構築を目指しています。グローバルな視点での人材マネジメントと次世代リーダー育成に注力し、持続的な企業価値向上を推進しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
PHCホールディングス単体では、平均勤続年数が長く、従業員の定着傾向が見られます。平均年齢も比較的高く、経験豊富な人材が中心となって業務を遂行していることがうかがえます。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,834,195円 |
| 平均勤続年数 | 17.5年 |
| 平均年齢 | 49.0歳 |
| 単体従業員数 | 145人 |
| 連結従業員数 | 8,647人 |
| 単体のグループ内比率 | 1.7% |
なお、直近の主要子会社のデータは以下の通りです。
| 会社名 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 株式会社LSIメディエンス | 44.0歳 | 14.8年 | 5,626,552円 |
| PHC株式会社 | 47.7歳 | 19.7年 | 7,275,153円 |
【退職給付制度】
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を有しています。適用範囲は国内グループ会社です。
退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、中期経営計画2027の完遂と持続的な企業価値向上に向け、人的資本を最大の経営資源と位置づけています。国内外の多様な専門性を持つ従業員が、ビジョン達成に向けて活躍できる組織・環境構築を目指しています。
人事戦略では、HRテクノロジーを活用した戦略的人材マネジメント基盤を構築し、全従業員のスキル・経験・キャリア志向を可視化しています。これにより、データに基づいた最適な人材配置を推進し、事業実行力の最大化を図っています。
また、グループ独自の経営幹部育成プログラム「PHCアカデミー」を中核とした次世代リーダー及び専門人材の育成を強化しています。各事業分野における高度な専門能力開発を支援するリスキリングプログラムも展開し、グローバル市場での競争優位性を確保しています。
給与方針は、多角的な事業ポートフォリオに対応し、各事業の市場特性や成長フェーズに適合した報酬体系を基本としています。役割と成果に基づく適正な処遇を重視し、職務の重要度やミッションの大きさに応じて報酬を決定する「役割等級」の考え方を採用しています。経営視点を持つ人材の登用と報奨にも力を入れ、次世代リーダーの育成と組織の活性化を推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。集計対象は原籍が提出会社の従業員です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割(%) | 25.8% |
| 男性労働者の育児休業取得(%) | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(%)全労働者 | 79.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(%)正規雇用労働者 | 83.7% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ PHC株式会社
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割(%) | 8.0% |
| 男性労働者の育児休業取得(%) | 63.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(%)全労働者 | 78.9% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(%)正規雇用労働者 | 78.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(%)パート・有期労働者 | 80.6% |
▼ 株式会社LSIメディエンス
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割(%) | 16.0% |
| 男性労働者の育児休業取得(%) | 81.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(%)全労働者 | 72.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(%)正規雇用労働者 | 76.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(%)パート・有期労働者 | 79.8% |
▼ ウィーメックス株式会社
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割(%) | 11.3% |
| 男性労働者の育児休業取得(%) | 58.6% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(%)全労働者 | 71.2% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(%)正規雇用労働者 | 52.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(%)パート・有期労働者 | 67.8% |
グループ全体(連結)
| 指標 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
|---|---|---|---|---|
| 経営陣女性比率 | 18.2% | 18.2% | 30.0% | 27.3% |
| 経営陣外国人比率 | 27.3% | 27.3% | 30.0% | 18.2% |
多様性の尊重
| KPI | 目標値 | 2024年度実績値・進捗 | 2025年度実績値・進捗 |
|---|---|---|---|
| 国内外、法人・事業部の人財交流 | グループ全体のシナジー強化に向け、今後、海外から日本への出向・赴任数の拡大を目指すと共に、国内の人財交流も含めて戦略的人財ローテーションを促進 | グループ間の海外赴任・出向者数は、26名(日本から海外:24名) | グループ間の海外赴任,出向者数は、26名(日本から海外:25 名) |
| 採用強化、多様な能力・経験を持つ人財活躍の環境充実 | 女性の採用を充実し、多様性を前提とした中長期的な会社・社員の成長を図る 今後は外国籍社員の採用についても検討 | ・国内主要会社全体で287名の採用 ・新卒:50%、キャリア:50% ・男性:57%、女性:43% ・新卒採用は男性48%、女性52% | ・国内主要会社全体で279名の採用 ・新卒:35%、キャリア: 65% ・男性:52%、女性:48% ・新卒採用は男性46%、女性 54% |
連携の基盤づくり
| KPI | 目標値 | 2024年度実績値・進捗 | 2025年度実績値・進捗 |
|---|---|---|---|
| グローバルシステム導入 | グループ会社全体へのグローバルシステムの導入完了 | ・グローバル全体の導入率60% ・国内主要会社の導入率46% ウィーメックス株式会社へ導入完了 | ・グローバル全体の導入率63% PHC上海有限会社へ導入完了 ・国内主要会社の導入率51% |
| スキルデータベースの活用 | スキルデータベースを活用した新規事業の創出や新製品の市場投入能力の強化 | FY23グループ全体の技術人財のスキルデータ可視化に加え、PHCホールディングス株式会社及びPHC株式会社全従業員を対象にスキル登録を実施 | FY23 グループ全体の技術人財のスキルデータ可視化実現後、PHCホールディングス株式会社、PHC株式会社、ウィーメックス株式会社にて全従業員を対象にスキル登録を実施・運用 |
活力のある組織文化の醸成
| KPI | 目標値 | 2023年度実績値・進捗 | 2024年度実績値・進捗 | 2025年度実績値・進捗 |
|---|---|---|---|---|
| 管理職のジェンダーダイバーシティ | 2030年までに女性30%以上 | - | 24.3% | 21.6% |
| 従業員エンゲージメントサーベイスコア | 前年比1ポイント以上改善 | 62ポイント | 67ポイント 前年比 +5pt | 68ポイント 前年比 +1 |
人財の活性化
| KPI | 目標値 | 2024年度実績値・進捗 | 2025年度実績値・進捗 |
|---|---|---|---|
| グループ統一のエンゲージメントサーベイの実施と向上施策の打ち出し | 毎年1ポイント向上 | ・参加者6,335名、回答率88% ・グループ全体スコア67:前年比5ポイントアップ | ・参加者9,345名、回答率87% ・グループ全体スコア64:前年比3ポイントダウン(前年と同対象の場合は「68」(前年比:1ポイントアップ) |
| 自律的な人財育成と個々の成長支援 | 2027年度を目途に全管理職の10%程度の幹部候補プールの確立 | 経営幹部育成プログラム「PHCアカデミー」の設立と導入により役員後継者を自社内で養成 ① Potential Successor Candidates 参加人数:19名(国内12名海外7名) ② Next Generation 参加人数:25名(国内16名海外9名) グループリーダーシップ研修 参加者:644名 研修満足度:92% | 経営幹部育成プログラム「PHCアカデミー」では以下計42名が各プログラム修了 ① Potential Successor Candidate 第1期19名(国内12名海外7名)は2025年6月にプログラム修了 ② Next Generation 第1期23名(国内15名海外8名)は2026年3月にプログラム修了 グループリーダーシップ研修 参加人数: 534名 研修満足度: 87% |
| 主体的に学ぶ環境の整備と機会の提供 | 個人のチャレンジ・成長を支援するためのシステムを継続して活用 | 自律型研修システム「Udemy Business」の利用促進 ・登録率:12%(登録者231名) | 自律型研修システム「Udemy Business」の利用促進 ・登録率:5.3%(登録者111名) |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
PHCホールディングスは、ヘルスケア分野で多角的な事業を展開する持株会社です。糖尿病マネジメント、ヘルスケアソリューション、診断・ライフサイエンスの3つの事業ドメインを通じて、世界中の人々の健康を支える製品やサービスを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、血糖測定システムから臨床検査サービス、医療IT製品、ライフサイエンス研究・医療支援機器まで、幅広いヘルスケア製品とサービスを提供しています。特に糖尿病マネジメントドメインでは、センサ等の消耗品の継続販売を通じて収益を創出するビジネスモデルを強みとしています。同社グループの売上収益の過半数は外貨建て取引であり、為替相場の変動が経営成績に影響を与える可能性があります。特定の顧客への収益集中は見られません。
糖尿病マネジメント
糖尿病マネジメントドメインでは、血糖測定(BGM)システムを中心とした糖尿病ケア製品の開発、製造、販売を行っています。高精度かつ簡便な検査機器を提供し、主にセンサ等の消耗品の継続販売を通じて収益を得ています。運営は、PHC、Ascensia Diabetes Care Holdings AG(ADCHD)およびその販売子会社、PT PHC Indonesia(PHCI)が行っています。当期はBGM事業の販売が堅調に推移し、為替の好影響もあり増収となりました。
ヘルスケアソリューション
ヘルスケアソリューションドメインは、臨床検査サービス、レセプトコンピュータや電子カルテシステムなどの医療IT製品の開発・販売、非臨床試験受託やバイオアナリシス等の創薬支援サービスで構成されています。収益は、これらの幅広いサービス提供から得ています。運営は、株式会社LSIメディエンス(LSIM)、ウィーメックス、メディフォードが行っています。当期はLSIM事業の遺伝子分野の検査売上やヘルスケアITソリューション事業の電子カルテ・レセプト関連売上が増収に寄与しましたが、CRO事業は減収となりました。
診断・ライフサイエンス
診断・ライフサイエンスドメインでは、病理用機器や消耗品、保存機器や培養機器、バイオハザード対策用キャビネット等のライフサイエンス研究・医療支援機器、体外診断機器、電動式医薬品注入器、臨床検査機器や試薬等の開発製造販売を行っています。収益は、これらの多岐にわたる製品の提供から得ています。運営は、Epredia Holdings Ltd.(Epredia)傘下の子会社、PHC、PHC Corporation of North America、PHC Europe B.V.、PHC上海有限会社、SciMed (ASIA) Pte Ltd、PT PHC Sales Indonesia、Epredia Laboratory Products Manufacturing (Shanghai) Co., Ltd.が行っています。当期は主に米国を中心とした市況停滞等の影響を受け減収となりました。
| セグメント | 売上収益(2025年3月期) | 売上収益(2026年3月期) | セグメント利益(2025年3月期) | セグメント利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ヘルスケアソリューション | 1,283億円 | 1,284億円 | 92.7億円 | 62.3億円 | 4.9% |
| 診断・ライフサイエンス | 1,309億円 | 1,283億円 | 72.5億円 | 38.9億円 | 3.0% |
| 糖尿病マネジメント | 987億円 | 1,016億円 | 139億円 | 201億円 | 19.8% |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上収益は、直近5年間で緩やかな増加傾向にあります。営業利益は変動が見られるものの、直近2期はほぼ横ばいで推移しました。税引前利益および親会社の所有者に帰属する当期利益は、直近の期で大幅な減少となりました。これは主に為替差損の計上や、子会社の資本の払い戻しに伴う税額、繰延税金負債の計上などが要因となっています。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは安定してプラスを維持しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 3,405億円 | 3,564億円 | 3,539億円 | 3,616億円 | 3,644億円 |
| 税引前利益 | 30.0億円 | 1.8億円 | △132億円 | 188億円 | 63.9億円 |
| 税引前利益率 | 0.9% | 0.1% | △3.7% | 5.2% | 1.8% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | △84.6億円 | △32.2億円 | △129億円 | 105億円 | 4.9億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △70.78 | △25.84 | △102.48 | 83.13 | 3.90 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上収益(連結)は前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から増加しており、収益性の改善を示しています。これらの指標の向上は、組織全体の効率化が進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 40.0百万円 | 42.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.5百万円 | 2.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動で得た資金を投資に回しつつ、手元資金を確保している状態です。これにより、安定した事業運営と将来に向けた成長投資の両立が図られています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は前期から増加し、当期は29.8%となっています。これはプライム市場の非製造業平均(24.2%)を上回る水準です。ROE(自己資本利益率)は当期に0.3%となり、前期から減少しました。これはプライム市場平均の9.4%を下回る水準となっています。手元資金である現金及び現金同等物は398億円を確保しており、事業運営の安定性を示す要素の一つです。これらの財務状況は、事業の継続性や将来の成長投資の基盤となり、結果として雇用や給与の安定性にもつながる状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 1,416億円 | 1,617億円 |
| 自己資本比率 | 26.6% | 29.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.5% | 0.3% |
| 現金及び現金同等物 | 396億円 | 398億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローが425億円のプラスとなり、本業で安定的に資金を生み出していることを示しています。これは前期から5億円の増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは△84.5億円のマイナスで、主に有形固定資産及び無形資産の取得による支出が要因です。これは将来の成長に向けた投資を継続している状況を示しています。
その結果、営業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュ・フローは340億円のプラスとなっており、事業活動で得た資金が投資を上回る状態です。財務活動によるキャッシュ・フローは△398億円のマイナスで、主に長期借入金の返済や配当金の支払いが要因となっています。これらの資金の流れから、同社グループは本業で安定した資金を創出し、成長投資を行いながらも、財務の健全性を維持している状況がうかがえます。これは、入社後の雇用や給与の安定性、そして会社の持続的な成長に繋がる基盤となっています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 419億円 | 425億円 |
| 投資CF | △84.7億円 | △84.5億円 |
| 財務CF | △391億円 | △398億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 335億円 | 340億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、BGM事業への利益依存度が高い状況にあり、先進国市場での販売戦略が計画通りに進まない場合、収益が減少する可能性があります。また、外貨建て取引が売上収益の過半数を占めるため、為替相場の変動が経営成績に影響を及ぼすリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、高度な専門人材の確保・育成が計画通りに進まない場合、経営や研究開発、サービス提供に支障を来す可能性があると認識しています。また、M&Aによる事業拡大に伴い、組織文化や制度の統合が遅れることで、業務効率や事業推進に悪影響を与えるリスクも挙げています。
④ 雇用安定性・リストラ
同社グループは、当期末にリストラクチャリング引当金として893百万円を計上しています。この費用は事業再編・拠点統廃合・人員削減等に伴うものであり、転職先を検討する際に留意すべき情報です。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
PHCホールディングスは、ヘルスケアの未来を切り拓くリーダーを目指し、精緻な技術とモノづくりを強みとしています。健康を願うすべての人々に新たな価値を創造し、豊かな社会づくりに貢献することを経営理念としています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「わたしたちは、たゆまない努力で健康を願うすべての人々に新たな価値を創造し、豊かな社会づくりに貢献します」を経営理念に掲げています。また、「精緻な技術でヘルスケアの未来を切り拓くリーダーとなる」をビジョンとして設定しています。
高品質な医療を誰もが身近に享受できる未来の実現に向けて、強みである精緻な技術を基盤としています。医療従事者や研究者との共創を通じて、健康を願うすべての人々のためにヘルスケアの未来を切り拓くことを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、これまで培った高品質・高性能なモノづくりに加え、内製の製造・開発体制、グローバルでの規制対応力、及びセンサ技術などのコア技術を強みとしています。これらの技術基盤を事業間で横断的に活用し、事業推進に取り組んでいます。
サステナビリティ経営を推進しており、取締役会監督のもと、サステナビリティ委員会を四半期ごとに開催しています。事業継続・競争力の確保とグループの成長に資する取り組み、法令順守、顧客対応、ESG評価向上を優先的に取り組む事項としています。
人材育成方針として「多様性の尊重」「連携の基盤づくり」「人財の活性化」を掲げています。多様な能力や経験を持つ人財が活躍できる環境の充実、グローバル人事システムによる人財連携や次世代幹部の育成、自律的な人財育成と働きがいの向上を重視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、2030年を目標に「精緻な技術でヘルスケアの未来を切り拓くリーダーとなる」という新しいビジョンを定めています。このビジョンのもと、2030年までを2つのPhaseに分け、中長期的な成長と資本効率の向上を両立させることを基本方針としています。
Phase1である「中期経営計画2027」では、「成長に向けた基盤構築」を位置づけています。重点施策として「収益基盤強化のための構造改革」「ポートフォリオ管理強化」「診断・ライフサイエンス領域への注力」を定めています。
サステナビリティ経営の強化を加速させることを宣言しており、グローバルに取り組む重要課題(マテリアリティ)の特定と見直しを進めています。マテリアリティの見直しにおいては、経営戦略との整合強化、財務影響評価の精緻化、及び施策・KPI体系の再整理を主な観点としています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
PHCホールディングスは監査役会設置会社であり、経営と執行を分離した体制を採用しています。取締役会は経営全般に対する監督機能を持ち、監査役会が執行および経営の適法性・妥当性を監査することで、持続的な企業価値向上を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
PHCホールディングスの筆頭株主はKKR PHC INVESTMENT L.P.であり、プライベート・エクイティ・ファンドが主要な資本基盤となっています。これに三井物産や三菱ケミカルといった事業会社が上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| KKR PHC INVESTMENT L.P. | 37.94% |
| 三井物産 | 14.68% |
| 三菱ケミカル | 9.72% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性8名・女性3名)で構成され、女性役員比率は27.3%です。代表取締役社長CEOは出口恭子氏が務めています。社外取締役比率は62.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 出口 恭子 | 代表取締役社長CEO | ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド入社、ディズニー・ストア・ジャパン、日本GEプラスチックス、Janssen Pharmaceuticals、ヤンセンファーマ、日本ストライカー、株式会社ベルシステム24、アッヴィ合同会社等を経て、2024年4月より同社代表取締役社長CEOより現職。 |
| 佐藤 浩一郎 | 代表取締役副社長COO・CSO | 三井物産入社、Novus International, Inc.、株式会社ミスミ等を経て、三井物産ヘルスケア事業部医療事業第一室長、MBK HEALTHCARE MANAGEMENT PTE. LTD. Hong Kong Branch Chief Executive Officer等を経て、2024年7月より同社代表取締役副社長COO・CSOより現職。 |
| 山口 快樹 | 取締役CFO | 株式会社三井住友銀行入行、大和証券SMBC株式会社、三井物産等を経て、2021年6月より同社執行役員経営企画部長、常務執行役員CSO、常務執行役員CFOを経て、2025年6月より同社取締役専務執行役員CFOより現職。 |
社外取締役は、平野博文氏(KKRジャパン代表取締役社長)、谷田川英治氏(KKRジャパンパートナー)、イヴァン・トルノス氏(Zimmer Biomet Group Chairman, President and Chief Executive Officer)、デイビッド・スナイダー氏(Simpson Thacher & Bartlett LLP Partner)、山下美砂氏(ビジネスコーチ社外取締役)です。
同社は監査役会設置会社を採用しており、取締役8名のうち5名が社外取締役、監査役3名のうち2名が社外監査役となっています。社外役員は、企業経営や医療機器業界、法務、人事など多様な専門知識と経験に基づき、客観的な視点から経営に対する助言・監督を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
PHCホールディングスの役員報酬は、固定報酬である月額報酬、変動報酬である短期業績連動報酬、株式報酬、および退職慰労金で構成されています。株式報酬には、株主との価値共有を目的とした事後交付型業績連動型株式報酬(PSU)制度と事後交付型株式報酬(RSU)制度が導入されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 4.0億円 | 1.35億円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 24百万円 | 12.0百万円 |
| 社外取締役 | 3名 | 1.1億円 | 37.3百万円 |
| 社外監査役 | 3名 | 25百万円 | 8.3百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。社外取締役の員数には、無報酬の社外取締役2名の員数を除いて記載されています。
個人別報酬が開示されている役員は、出口恭子氏(2.03億円)、佐藤浩一郎氏(1.31億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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