※本記事は、株式会社長栄 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
長栄は、不動産管理事業と不動産賃貸事業を両輪として展開する企業です。同社グループは長栄と子会社3社で構成され、11都府県で事業を営んでいます。
単体従業員数は261名です。セグメントは不動産管理事業、不動産賃貸事業の2つです。
長栄は、不動産管理事業において入居者管理、ビルメンテナンス、リフォーム工事、賃貸仲介などのサービスを提供しています。また、不動産賃貸事業では自社物件やサブリース物件の賃貸を行っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
長栄は、不動産管理事業を主軸に、賃貸不動産に関する幅広いサービスを提供しています。同社は人的サービスを重視しており、社員一人ひとりの成長と働きがいを大切にする企業文化が特徴です。社員が能力を最大限に発揮できる環境づくりに注力しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数と平均年齢から、比較的若年層からキャリアを築き、長く活躍する社員が多い傾向が見られます。社員の定着を重視し、長期的な視点での人材育成に取り組んでいることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,051,000円 |
| 平均勤続年数 | 8.4年 |
| 平均年齢 | 35.5歳 |
| 単体従業員数 | 261人 |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
長栄は、不動産管理事業において人的サービスの質が事業価値を大きく左右すると認識し、人材を重要な経営資源と位置付けています。持続的な成長と企業価値向上に向けた人材戦略を経営課題の一つとし、「自ら創意工夫することができる人材」を目指すべき社員像として掲げています。
給与は、職務遂行能力や役職、資格手当を考慮して支給され、賞与や表彰制度を通じた各種インセンティブ制度も運用されています。今後は、全社戦略や求める人材像と連動した、創意工夫や主体的な取り組みを適切に評価できる体系的な報酬制度の構築を目指しています。
同社は、人材の多様性を含む人材育成と社内環境整備を重視しています。具体的には、性別や国籍、新卒・中途採用に関わらず多様な人材が活躍できる環境を提供し、「自ら創意工夫することができる人材」の育成に取り組んでいます。社員相互のコミュニケーション促進、資格取得支援を通じた自己成長支援、育児休暇中社員への情報提供による職場復帰サポート、予防接種費用補助や空調服支給による社員の病気予防など、多角的な施策を実施しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データを示します。管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合は、女性活躍推進法に基づく公表項目として選択しておらず、開示されていません。男女の賃金差異は、業績手当等の割合が大きい総合職における男性の比率が高いことや、男性の平均年齢が高いことによるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 33.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全従業員) | 72.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用従業員) | 65.8% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(非正規従業員) | 79.1% |
指標及び目標
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 平均勤続年数(女) | 8.2年 |
| 平均勤続年数(男) | 8.6年 |
| 平均勤続年数(計) | 8.4年 |
| 賃貸不動産経営管理士 | 64人 |
| 宅地建物取引士 | 36人 |
| 管理業務主任者 | 4人 |
| 建築物環境衛生管理技術者 | 1人 |
| 不動産事業に関する国家資格保持者(合計) | 105人 |
| 育児休暇復帰率 | 100% |
| 労災発生件数 | 5件 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
長栄は、不動産管理事業と不動産賃貸事業の二つの事業を両輪として展開しています。これらの事業は互いに相乗効果を生み出し、安定した収益基盤を築いています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
長栄グループは、長栄と3つの子会社で構成されており、不動産管理事業と不動産賃貸事業を主軸としています。同社は11都府県で事業を展開し、多数の管理センターや賃貸仲介センターを設けています。
不動産管理事業
同社の不動産管理事業は、不動産オーナーの安定した賃貸経営を支援するため、入居者管理、ビルメンテナンス、リフォーム工事、賃貸仲介といった幅広いサービスを提供しています。入居者が長期にわたり住み続けることでオーナーの収益最大化につながるという考えに基づき、入居者満足度向上のための様々な施策を実施しています。具体的には、24時間365日対応の緊急受付窓口や、マンションごとの担当制で入居者をサポートするレジデンシャルクリエイターの配置、入居者向けのイベントやキャンペーンなどを行っています。
収益は、管理受託契約に基づく管理収入のほか、管理業務に付随するリフォーム工事、不動産の売買仲介、賃貸仲介などから得ています。運営は、長栄が行っています。
不動産賃貸事業
同社の不動産賃貸事業は、主にアセットマネジメント本部が担当し、自社物件およびサブリース物件の賃貸を行っています。資産効率が高い比較的築年数が経過した優良物件を中心に取得し、立地や入居率の維持可能性を総合的に考慮しています。物件取得時には費用が発生するものの、不動産管理事業で培ったノウハウを活かしたリニューアルを行うことで、取得物件の入居率を長期にわたり高水準で維持し、高い収益性につなげています。
収益は、入居者からの家賃収入から得ています。運営は、長栄が行っています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 不動産賃貸事業 | 59.5億円 | 65.6億円 |
| 不動産管理事業 | 40.7億円 | 44.5億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高と営業利益が増加傾向にあります。不動産管理事業における管理戸数の増加や、不動産賃貸事業における自社物件の取得が進んだことが寄与しています。一方で、経常利益は減少傾向にあり、当期純利益は前期に計上した固定資産売却益の反動により大幅な減少となりました。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
長栄の単体従業員数は261人です。従業員の平均年齢は35.5歳、平均勤続年数は8.4年となっており、平均年間給与は5,051千円です。これらの数値は、同社の組織規模や従業員の構成を示すものです。
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、不動産賃貸事業を成長戦略の柱とし、積極的な投資を行っています。これにより、財務基盤は成長投資フェーズにあることが示されています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
長栄の財務基盤では、自己資本比率が前期から当期にかけてやや低下しています。これは不動産賃貸事業の成長戦略として、物件取得を借入金により積極的に進めているためです。
一方で、流動負債を大きく上回る現金及び預金を保有しており、手元資金は厚い状態です。同社は事業拡大のための投資を継続しつつも、一定の財務的な安定性を維持していることを示しており、雇用や給与の安定性を判断する上で重要な情報です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産合計 | 119.3億円 | 123.0億円 |
| 自己資本比率 | 17.9% | 16.8% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | 118.6億円 | 119.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
長栄のキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは当期に増加しています。これは主に減価償却費や税引前当期純利益の計上によるものです。
一方で、投資活動によるキャッシュフローは当期に大きく減少しています。これは有形固定資産の取得による支出が主な要因であり、同社が不動産賃貸事業の成長戦略として物件取得に積極的な投資を行っていることを示しています。
この結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは当期もマイナスとなっています。財務活動によるキャッシュフローは当期に増加しており、長期借入れによる収入が主な要因です。
これらの資金の流れは、同社が本業で安定的に資金を生み出しつつも、将来の成長に向けた積極的な投資を継続している状況を示しています。これは、事業の成長性への期待が高まる一方で、投資フェーズにおける資金調達の状況が雇用や給与の安定性に影響を与える情報となります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 18.8億円 | 25.6億円 |
| 投資CF | △42.4億円 | △78.2億円 |
| 財務CF | 41.1億円 | 53.6億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △23.6億円 | △52.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、法令・税制の変更に係るリスクや許認可等に関するリスクを認識しています。また、不動産賃貸事業において、自社物件の採算が悪化した場合、固定資産の減損会計が経営成績に重要な影響を与える要因となる可能性があると認識しています。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
長栄は、「企業を通じて社会に役立つ「人」を育てる」という企業理念を掲げ、人材育成を重視する会社です。人道を重んじ、正義を持って経営を行うことを基本とし、社会貢献と業界の発展を目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
長栄は、「企業を通じて社会に役立つ「人」を育てる」という企業理念を掲げています。また、「人道を重んじ正義を持って経営を行う」ことを経営理念とし、人材育成を重視する姿勢を示しています。同社は、管理業を通じて社会に貢献し、創意と工夫で業界の発展と社会的地位の向上に努めることを経営方針としています。お客様、株主、従業員の信頼と期待に応えることを基本方針に、人間性豊かな企業を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
長栄は、「企業を通じて社会に役立つ「人」を育てる」という企業理念のもと、人間性豊かな企業を目指しています。事業を通じて「環境への配慮・社会への貢献・適切なガバナンスの構築」を実行し、長期的な成長を目指すサステナビリティ基本方針を定めています。公正かつ透明性の高いガバナンスを重視し、社員が能力を最大限に発揮できる環境づくりや働きがいのある組織風土の醸成に注力しています。多様な人材が活躍できる環境を提供するため、社員の自己成長支援や子育て支援、病気予防のための施策に取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
長栄が優先的に対処すべき課題の一つとして、人的資本経営への取り組みを挙げています。同社は、健全な事業活動を継続するために、優秀な人材の確保と育成に積極的に取り組むことを重要視しています。具体的には、社員の自己研鑽に対する支援や子育て支援をはじめとした様々なサポートを通じて、多様な人材が活躍できる環境を強化しています。また、評価制度の見直しを含めた取り組みにより、人材の価値を最大化することを目指しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査役会設置会社として、監督と執行の分離を進めることで取締役会の監督機能強化と業務執行機能の充実を図っています。また、任意の指名・報酬委員会を設置し、取締役の選任や報酬に関する妥当性および透明性の確保に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、創業家が上位を占めていることが特徴です。筆頭株主は創業者の長田 修氏であり、その親族や関連会社が上位に名を連ねています。このことから、特定の株主グループが同社の経営に強い影響力を持っていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 長田 修 | 35.14% |
| 長田 久美子 | 14.82% |
| OSAフィールド | 8.32% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長執行役員は舩井 渉氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 舩井 渉 | 代表取締役 社長執行役員 | 1997年4月同社入社、2007年5月取締役管理部長就任。BellevieClub株式会社代表取締役社長、グリーン保証株式会社代表取締役社長などを歴任し、2025年6月より同社代表取締役社長執行役員。 |
| 長田 修 | 代表取締役 会長執行役員 | 1980年8月長栄創業、1988年4月株式会社長栄設立代表取締役社長に就任。社会福祉法人柊野福祉会理事、公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会理事などを務め、2025年6月より同社代表取締役会長執行役員。 |
| 中澤 和宏 | 取締役 上席執行役員 | 1998年6月同社入社、2019年5月執行役員アセットマネジメント本部長就任。2021年5月上席執行役員アセットマネジメント本部長、2023年6月より同社取締役上席執行役員アセットマネジメント本部長。 |
| 田中 直樹 | 取締役 上席執行役員 | 1993年5月同社入社、2018年5月執行役員本社事業部部長就任。2021年5月上席執行役員統括本部長、2024年6月より同社取締役上席執行役員統括本部長。 |
社外取締役は、田中伸氏(弁護士法人田中・上羽法律事務所代表社員)、石畑成人氏(株式会社RUTILEA取締役)です。
同社は会社法上の機関設計として監査役会設置会社を採用しています。取締役会は6名の取締役で構成され、そのうち2名が独立社外取締役です。取締役会の諮問機関として任意の指名・報酬委員会を設置し、取締役の指名や報酬に関する審議を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、役員報酬規程および役員報酬額基準に基づき、役職別基準金額や代表取締役加算に加えて、前事業年度の業績貢献度、予算達成率、役員経験年数などを総合的に考慮して決定されています。報酬決定プロセスの透明性を確保するため、指名・報酬委員会への諮問を経て取締役会で決定する体制がとられています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 3.8億円 | 75.3百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 8百万円 | 7.8百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 12百万円 | 2.9百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
個人別報酬が開示されている役員は、長田 修氏(1.30億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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