※本記事は、株式会社アップガレージグループの有価証券報告書(第12期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. アップガレージグループってどんな会社?
中古カー・バイク用品のリユース事業を中核に据え、業界のリーディングカンパニーとして成長を続ける企業です。
■(1) 会社概要
同社は1999年に設立され、中古カー用品販売の1号店を出店しました。2004年に東証マザーズへ上場した後、2012年のMBOによる上場廃止を経て、2014年に単独株式移転により現在の持株会社体制へ移行しました。その後、フランチャイズ展開や海外進出を進め、2021年に再上場を果たしています。
現在の従業員数は連結で238名、単体で236名体制です。大株主の状況について、筆頭株主は創業者である石田誠氏の資産管理会社であるE&Eで、第2位は個人株主、第3位は同社の従業員持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| E&E | 71.45% |
| ヨシダ トモヒロ | 1.44% |
| アップガレージグループ従業員持株会 | 1.22% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役会長は石田誠氏が、代表取締役社長は河野映彦氏が務めています。社外取締役は3名選任されています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 石田 誠 | 代表取締役会長 | オートフリーク設立等を経て、1999年に旧アップガレージを設立し代表取締役社長に就任。2014年に現在の持株会社を設立し、2023年より現職。 |
| 河野 映彦 | 代表取締役社長 | 野村證券を経て、2012年に旧アップガレージに入社。2018年に同社代表取締役社長に就任し、2023年より現職。 |
社外取締役は、福島泰三(福島泰三公認会計士事務所所長)、佐藤麻子(弁護士・協同油脂社外監査役)、中山勇(日本食品海外プロモーションセンターCEO)です。
2. 事業内容
同社グループは単一セグメントで事業を展開しており、リユース業態と流通卸売業態で構成されています。
■(1) リユース業態
カー用品やバイク用品を中心に、買取・販売を一貫して行うリユース事業を展開しています。一般の顧客からパーツを買い取り、自社でチェックや修理を行った上で販売する循環型モデルを構築しており、直営店およびフランチャイズ店を通じて全国展開しています。また、専用のECサイト等も活用しています。
収益は、直営店舗やECサイトでの商品販売売上のほか、FC加盟店からの加盟金やロイヤリティ、EC手数料等で構成されています。運営は親会社のアップガレージグループおよび、海外子会社のUP GARAGE USA Co.,Ltd.がアメリカ国内での店舗運営やEC事業などを担っています。
■(2) 流通卸売業態
新品タイヤを中心とした流通卸売事業を行っており、「タイヤ流通センター」などのサービス名で展開しています。また、独自開発した受発注プラットフォーム「ネクスリンク」を活用し、チェーン展開企業や整備工場に向けて、発注から納品、支払管理までを一元化するシステムを提供しています。
収益は、加盟店などの取引先から同社プラットフォームを経由した発注に伴う商品の卸売上によって構成されています。運営はアップガレージグループが主体となって行っており、仕入先である多数のメーカーと加盟店をつなぐことで、業務効率化を支援しながら安定的な卸売取引を拡大しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5年間の業績推移を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、順調な事業拡大が確認できます。経常利益も売上高の成長に連動して増加しており、安定した収益性を維持しています。当期利益は一時的な変動が見られるものの、直近では高水準を保ち、堅調な推移を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 105億円 | 114億円 | 126億円 | 140億円 | 154億円 |
| 経常利益 | 7億円 | 9億円 | 10億円 | 11億円 | 11億円 |
| 利益率(%) | 6.6% | 7.7% | 7.8% | 7.8% | 7.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.1億円 | 2億円 | 20億円 | 8億円 | 8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い売上総利益も順調に拡大しており、売上総利益率は安定して推移しています。人的資本への投資や新規出店に伴う費用が増加したものの、増収効果により営業利益も前期を上回り、着実な本業の成長が確認できます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 140億円 | 154億円 |
| 売上総利益 | 56億円 | 62億円 |
| 売上総利益率(%) | 39.9% | 40.0% |
| 営業利益 | 10億円 | 11億円 |
| 営業利益率(%) | 7.5% | 7.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が12億円(構成比25%)、地代家賃が5億円(同11%)を占めています。
■(3) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の健全型パターンを示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5億円 | 12億円 |
| 投資CF | -6億円 | -5億円 |
| 財務CF | -3億円 | -4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.0%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は69.4%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「Good Mobility, Happy Life」をブランドスローガンに掲げ、「Mobility Parts取引のリーディングカンパニーとして、取引の利便性を高め、国内外での場や機会を増やすことで、市場を拡大する」というビジョンを定めています。また、「パーツの買取や販売、取付、また、それらを企業向けにサポートするサービスによって、モビリティライフの充実を推進する」ことをミッションとしています。
■(2) 企業文化
行動様式・価値観として、「カスタムによる高揚感や楽しさ、充実した時間と空間を提供することで、リユースでのパーツの売買をライフスタイルとして定着させる」ことをバリューに定めています。自動車やバイク関連事業における様々な革新や市場環境の変化に対して機動的に対応し、企業理念を実践することで持続的な成長を実現する文化を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
中長期的に目指す姿として「循環型社会におけるMobility Partsの中核的サービスプロバイダー」を掲げています。その実現に向けた成長の礎づくりとして、2029年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、企業価値の向上と成長性の追求を目指しています。
* 売上高:207億円
* 営業利益:23億円
* 営業利益率:11.0%
* ROE:20.0%
■(4) 成長戦略と重点施策
今後の成長戦略として「マーケットの拡大」「循環モデルの拡張・効率化」「人的資本強化」の3つの行動方針を掲げています。国内での継続的な新規出店や米国での出店加速に加え、システムやDXの強化によって独自の循環モデルを進化させる計画です。また、組織風土の改革やデジタル人材の育成を通じた働きがいの創出にも注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材で経営戦略が決まるという信念のもと、「ポテンシャル採用」「教育・育成」「定着」の3点を人材戦略の柱としています。性別や国籍等を問わずポテンシャル人材を戦略的に採用し、階層別研修やスキル評価シートを用いた客観的な育成体制を構築しています。また、禁煙手当制度や柔軟な有給休暇の取得促進など、健康ファーストな社内環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 33.3歳 | 6.9年 | 6,235,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 14.8% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 65.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 87.0% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 90.0% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性採用比率(12%)、外国籍採用比率(5%)、有給休暇取得率(64%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 古物営業法等の法的規制対応
同社グループは中古カー・バイク用品の買取・販売を営んでおり、古物営業法に基づき都道府県公安委員会の許可を受けています。盗品等の流通に関わるリスクや法令違反による許可取消し・営業停止等の処分を受けた場合、事業運営や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。対策として警察当局との連携や従業員教育を徹底しています。
■(2) 自動車業界の技術革新への対応
自動車業界では自動化や電動化、シェアリングといった技術革新が急速に進展しています。これに伴う顧客のニーズの変化に対して適切な対応が遅れた場合、事業の競争力が低下し業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は新規事業やサービスの開発を継続し、市場環境の変化に機動的に対応する体制を整えています。
■(3) ITシステムの中断および陳腐化リスク
同社はECサイトや受発注プラットフォームなど各種ITシステムに大きく依存しています。サイバー攻撃や情報通信障害によってサービスが長期停止した場合、取引機会の喪失や信用低下を招くリスクがあります。また、適切なIT投資が行われない場合のシステム陳腐化リスクに対し、内製エンジニアの育成やセキュリティ強化を進めています。
■(4) 中古・新品商品の仕入と価格変動リスク
中古品の仕入は一般顧客からの買取が大半を占めており、フリマアプリ等の個人間取引の普及による影響で安定的な仕入が困難になる可能性があります。また、新品商品についても為替や原材料価格の変動、サプライチェーンの混乱による価格高騰や品不足が生じた場合、収益性に悪影響を及ぼすリスクがあります。



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