アップガレージグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アップガレージグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場。中古カー&バイク用品のリユース事業「アップガレージ」の店舗運営・フランチャイズ展開およびECサイト運営を主力とします。また、新品タイヤ等の卸売や受発注プラットフォームも手掛けます。2025年3月期はリユース需要の高まり等を背景に、売上高・各利益ともに前期を上回り増収増益でした。


※本記事は、株式会社アップガレージグループ の有価証券報告書(第11期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アップガレージグループってどんな会社?


中古カー&バイク用品の買取・販売を行う「アップガレージ」を全国展開し、流通卸売やシステム開発も行う企業です。

(1) 会社概要


1999年に中古カー用品販売を目的に設立され、1号店を出店しました。2004年に東証マザーズへ上場しましたが、2012年にMBOにより上場廃止となりました。その後、2014年に持株会社体制へ移行し、2021年にJASDAQ(現スタンダード)へ再上場を果たしました。2023年には連結子会社を吸収合併し、商号を現在のものに変更しています。

連結従業員数は209名、単体では208名です。筆頭株主は代表取締役会長の石田誠氏の資産管理会社である有限会社E&Eで、発行済株式の71.63%を保有しています。第2位はアップガレージグループ従業員持株会、第3位は代表取締役社長の河野映彦氏となっており、経営陣および従業員による持株比率が高い構成です。

氏名 持株比率
E&E 71.63%
アップガレージグループ従業員持株会 1.26%
河野映彦 1.00%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は河野映彦氏が務めています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
石田誠 代表取締役会長 1999年4月旧アップガレージ設立代表取締役社長。日本リユース業協会副会長などを歴任し、2023年4月より現職。
河野映彦 代表取締役社長 2005年4月野村證券入社。2012年旧アップガレージ入社後、取締役、Croooober事業本部長などを経て2023年4月より現職。


社外取締役は、福島泰三(公認会計士)、佐藤麻子(弁護士)、中山勇(元ファミリーマート社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「リユース業態」「流通卸売業態」および「その他」事業を展開しています。

(1) リユース業態


中古カー用品・バイク用品の買取・販売を行っています。店舗ブランドとして「アップガレージ」「アップガレージ ライダース」等を展開し、ユーザーに対し販売・買取のサイクルを提供しています。ECサイト「upgarage.com」も運営し、店舗とWebの両面で顧客接点を持っています。

収益源は、直営店舗およびECサイトでの商品販売による売上、フランチャイズ加盟店からのロイヤリティや加盟金、EC手数料などです。運営は主にアップガレージグループが行っており、米国では現地法人が事業を展開しています。

(2) 流通卸売業態


新品タイヤ等の卸売を行う「タイヤ流通センター」と、受発注プラットフォーム「ネクスリンク」の運営を行っています。「ネクスリンク」を通じて、メーカーへの発注・納品管理・支払管理などの業務効率化を支援しています。

収益源は、加盟店から同グループへの発注に基づく卸売上や、プラットフォーム利用に伴う取引などです。運営はアップガレージグループが担っており、チェーン展開企業向けのプラットフォーム提供も拡大しています。

(3) その他


自動車業界に特化した人材紹介サービス「BoonBoonJob」を運営しています。業界特有の人材不足や定着率の課題解決を目指し、採用企業に寄り添ったサービスを提供しています。

収益源は、人材紹介成立時の紹介手数料などです。運営はアップガレージグループが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は順調に増加傾向にあり、直近5期間で継続的な成長を見せています。利益面でも、経常利益および当期純利益は増加基調を維持しており、特に直近の当期純利益は前期比で増加しました。利益率は安定して高い水準を保っています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 99億円 105億円 114億円 126億円 140億円
経常利益 5億円 7億円 9億円 10億円 11億円
利益率(%) 4.7% 6.6% 7.7% 7.8% 7.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 4億円 6億円 6億円 8億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い売上総利益も増加していますが、営業利益も堅調に推移しています。売上総利益率は高い水準を維持しており、営業利益率も安定しています。全体として増収増益の傾向が続いています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 126億円 140億円
売上総利益 51億円 56億円
売上総利益率(%) 40.3% 39.9%
営業利益 10億円 10億円
営業利益率(%) 7.7% 7.5%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が11億円(構成比24%)、地代家賃が5億円(同11%)を占めています。売上原価は商品仕入等が大半を占めています。

(3) セグメント収益


リユース業態、流通卸売業態ともに売上が増加しており、全社的な増収に寄与しています。特にリユース業態の規模が大きく、グループ全体の成長を牽引しています。その他事業も規模は小さいながら成長しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
リユース業態 76億円 83億円
流通卸売業態 49億円 57億円
その他 0.3億円 0.5億円
連結(合計) 126億円 140億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.2%で市場平均を大きく上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は69.9%で市場平均を上回っています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 12億円 5億円
投資CF -4億円 -6億円
財務CF -3億円 -3億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「Good Mobility, Happy Life」をブランドスローガンに掲げ、「Mobility Parts取引のリーディングカンパニーとして、取引の利便性を高め、国内外での場や機会を増やすことで、市場を拡大する」ことをビジョンとしています。パーツの買取・販売等を通じてモビリティライフの充実を推進することをミッションとしています。

(2) 企業文化


「カスタムによる高揚感や楽しさ、充実した時間と空間を提供することで、リユースでのパーツの売買をライフスタイルとして定着させる」というバリューを定めています。市場環境の変化に機動的に対応し、企業理念の実践を通じて持続的な成長を目指す姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


「UP GARAGEのある生活」が人々の「あたりまえ」となり、循環型社会におけるMobility Partsの中核的サービスプロバイダーとなることを目指しています。2029年3月期に向けた中期経営計画では、以下の数値目標を掲げています。

* 売上高:207.4億円
* 営業利益:22.8億円
* 営業利益率:11.0%
* ROE:20.0%
* ROIC:17.0%

(4) 成長戦略と重点施策


国内店舗の出店加速、米国での循環サイクル確立による出店加速、取扱商品の拡大(自転車等)、および高付加価値サービスの事業化を推進します。また、独自の循環モデルをシステム・DX強化により進化させ、人的資本の強化にも注力します。

* 国内年間出店:20店舗(2027年3月期以降)
* 米国:年間1店舗の新規出店計画
* サイクルズ:年間5店舗の新規出店計画

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


社員一人ひとりを「人的資本」と捉え、「人材で経営戦略が決まる」という考えの下、多様性を重視した戦略を推進しています。具体的には、新卒を中心とした「ポテンシャル採用」、階層別研修や若手への権限委譲による「教育・育成」、そして透明な評価制度と健康的な職場づくりによる「定着」を柱としています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 33.4歳 7.2年 6,011,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 11.5%
男性育児休業取得率 57.0%
男女賃金差異(全労働者) 68.0%
男女賃金差異(正規雇用) 81.0%
男女賃金差異(非正規) 91.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、エンジニア内製化(正社員比率)(80%)、ポテンシャル採用(総採用人数)(32人)、デジタル人材比率(19%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制について


中古カー用品等の買取・販売には古物営業法の許可が必要であり、盗品等の判明時には無償回復義務が生じます。また、フランチャイズ展開における中小小売商業振興法や独占禁止法、ECサイト運営における特定商取引法などの規制を受けます。これらに違反した場合、許可の取消しや営業停止等の処分を受け、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 個人情報保護について


各事業を通じて多くの個人情報を保有しており、個人情報保護法等の義務を負っています。外部からの不正アクセスや内部要因により個人情報の流出が発生した場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜を招き、事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。プライバシーマーク取得やセキュリティ対策等で管理を徹底しています。

(3) 自動車関連技術や気候変動について


自動車業界の技術革新(自動化、電動化等)による顧客ニーズの変化や、暖冬等の気候変動によるスタッドレスタイヤ等の需要変動が業績に影響を与える可能性があります。常に業界動向を注視し、新規事業開発や天候影響を受けにくいサービスの展開等により対応しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。