※本記事は、Institution for a Global Society株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
Institution for a Global Societyは、「人を幸せにする評価と教育で、幸せを作る人、をつくる。」というビジョンのもと、AIを活用した人材評価・教育支援、人的資本データの可視化、予測市場、ブロックチェーン関連サービス及び日本企業のグローバル人材・事業展開支援を行っています。個人の能力や可能性を多面的なデータで可視化し、企業や学校、自治体の人的資本経営や教育改善を支援しています。
Institution for a Global Societyの単体従業員数は38名、連結従業員数は38名です。セグメントはHR事業、教育事業、グローバルプラットフォーム事業の3つです。
主な国内グループ会社は、ONGAESHI匿名組合(プラットフォーム/Web3事業)などです。
同社グループは、グローバルプラットフォーム事業において、転職支援サービス「ONGAESHIプロジェクト」から戦略的に撤退し、予測市場プラットフォーム「Signals」のローンチなどブロックチェーンコンサルティング事業への経営資源集中を進めています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
Institution for a Global Societyは、社会貢献と事業成長を両立させながら、従業員の能力を最大限に引き出す働き方を重視しています。人的資本を経営戦略の核と位置づけ、個人の成長を支援する環境づくりに力を入れていることが特徴です。AI活用やグローバル展開といった先進的な取り組みを通じて、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、中堅層が中心となって事業を推進している組織です。平均勤続年数から見ると、比較的短期間でキャリアを形成する傾向があることがうかがえます。これは、組織の成長フェーズや事業特性に応じた人材の流動性を示している可能性があります。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,255,000円 |
| 平均勤続年数 | 4.5年 |
| 平均年齢 | 41.4歳 |
| 単体従業員数 | 38人 |
| 連結従業員数 | 38人 |
| 単体のグループ内比率 | 100.0% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、持続的な成長の実現には多様で優秀な人材が不可欠であるとし、人的資本の最大化を最優先課題としています。従業員一人ひとりの成長を支援し、持続可能な社会の実現に貢献することを基本方針としています。
給与等の報酬は、各職位で求められるスキルの発揮を反映した目標設定と、その達成度合いに基づく評価結果によって決定されます。これにより、スキルの発揮と成果が報酬に結びつく設計となっており、人的資本投資のROIと報酬の整合性を図っています。
人材戦略においては、経営戦略と一体で運用され、「人的資本(能力)の最大化」と「人的資本の発揮度(環境)の向上」を両輪として推進しています。具体的には、HR事業の上流シフト、教育事業のチャネル転換、グローバルプラットフォーム事業の展開といった中期経営計画の構造転換に対応する人材の確保・育成に注力しています。また、AI活用による業務再設計を本格化させ、定型業務のAI代替で創出された経営資源を、人が担うコア業務のスキル高度化に再配分する取り組みを進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率は、公表義務の対象ではないため記載を省略しています。男女賃金差異は、正規雇用労働者のみ算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 86.2% |
人的資本(能力)の向上
当社スキルマップにおけるレベル4以上を「ミドルレベル」と定義しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| ミドルレベル以上充足率 | 58.6% |
| 採用充足率 | 87.2% |
人的資本(能力)の発揮度の向上
エンゲージメントスコアは、当社独自のアセスメント「GROW」によって計測した各従業員のコンピテンシーの中でエンゲージメントに関連すると考えられる2つのコンピテンシー「成長」「組織へのコミットメント」の自己評価より計測しています(100点満点)。AI活用研修受講率の対象職種は、エンジニア等を除いた全社的に研修が必要な職種です。AI代替タスク比率は、定型業務・反復業務のうちAI又は自動化ツールによる代替を実施・完了したタスク数の割合を示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異 | 86.2% |
| エンゲージメントスコア | 65.6 |
| AI活用研修受講率(対象職種) | - |
| AI代替タスク比率 | - |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
Institution for a Global Societyは、AIを活用した人材評価・教育支援、人的資本データの可視化、予測市場、ブロックチェーン関連サービス、そして日本企業のグローバル人材・事業展開支援を多角的に展開する企業グループです。個人の能力や可能性を多面的なデータで可視化し、企業や教育機関の意思決定を支援するデータインフラの構築を目指しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、「人を幸せにする評価と教育で、幸せを作る人、をつくる。」というビジョンのもと、AI技術を中核としたサービスを提供しています。収益は、一時点で移転される財またはサービスと、一定の期間にわたり移転される財またはサービスの両方から得ています。主な事業は「HR事業」「教育事業」「プラットフォーム/Web3事業」の3つで構成されています。
HR事業
HR事業では、企業の人材採用・育成・配置・組織開発を支援しています。AIによるバイアス補正技術を活用した人材評価システム「GROW360+」や、人的資本理論の実証化研究会、DX研修などを提供し、データに基づいた戦略人事を可能にしています。当期の売上高は前期から増加しています。
教育事業
教育事業では、AI等の先端技術を活用し、生徒一人ひとりの能力や学びの成果を可視化する教育ソリューションを提供しています。主力サービスは学校・教育機関向けの評価システム「Ai GROW」であり、その他に動画コンテンツ「GROW Academy」やオンライン英語学習プラットフォーム「e-Spire」なども展開しています。当期の売上高は前期から増加しており、同社グループの事業の中で最も大きな規模となっています。
プラットフォーム/Web3事業
プラットフォーム/Web3事業では、予測市場プラットフォーム「Signals」の展開や、インドにおけるGCC(Global Capability Center)設立・活用支援に取り組んでいます。ブロックチェーン技術を活用したコンサルティングも行い、企業の意思決定高度化やグローバル競争力強化を支援しています。当期の売上高は前期から減少しており、同社グループの事業の中では最も規模が小さいセグメントです。
同社グループの売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えており、国内市場が中心となっています。特定の外部顧客への収益集中は見られません。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 教育事業 | 3.1億円 | 3.3億円 |
| HR事業 | 2.4億円 | 2.8億円 |
| プラットフォーム/Web3事業 | 56百万円 | 48百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5期間で変動が見られます。当期は前期から増加に転じました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純損失は継続して損失を計上していますが、当期は前期と比較して損失幅が縮小しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、当期にプラスに転換しました。これは、税金等調整前当期純損失の計上があるものの、投資有価証券評価損の計上や売上債権の減少が主な要因となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | 9.2億円 | 6.0億円 | 6.6億円 |
| 経常利益 | - | - | △21百万円 | △3.0億円 | △1.9億円 |
| 経常利益率 | - | - | △2.3% | △49.1% | △28.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純損失 | - | - | △21百万円 | △3.4億円 | △2.8億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | △4.71 | △74.59 | △61.27 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたり営業利益は、前期から当期にかけて損失幅が縮小しており、生産性が改善傾向にあることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 12.6百万円 | 17.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | △6.3百万円 | △6.0百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
Institution for a Global Societyグループの財務状況を見ると、本業からの資金は得られているものの、将来に向けた投資を積極的に行っている成長投資フェーズにあることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は前期から減少したものの、プライム市場平均と比較して高い水準を維持しており、財務の安定性を示す指標です。一方で、ROE(自己資本利益率)はマイナスとなっており、収益性の改善が課題です。手元資金である現金及び預金は増加しており、事業運営に必要な流動性は確保されています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 7.0億円 | 4.8億円 |
| 自己資本比率 | 88.2% | 73.6% |
| ROE(自己資本利益率) | - | △47.6% |
| 現金及び預金 | 3.2億円 | 4.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当連結会計年度における営業活動によるキャッシュフローは、前期のマイナスからプラスに転換し、0.3億円の資金を獲得しました。これは主に、投資有価証券評価損の計上や売上債権の減少が影響しています。投資活動によるキャッシュフローは△0.4億円の資金を使用しており、ソフトウエア開発に伴う固定資産取得や投資有価証券の取得に資金を投じています。この結果、本業で得た資金と投資活動に使った資金を合わせたフリーキャッシュフローはマイナスとなっており、事業の成長に向けた投資を積極的に行っている状況を示しています。財務活動によるキャッシュフローは1.8億円の資金を獲得しており、長期借入れや転換社債型新株予約権付社債の発行、株式の発行により資金調達を行っています。これらの資金の流れから、同社グループは成長のための投資を継続しており、今後の事業拡大に期待が持てる一方で、資金調達による財務基盤の強化も図っていることがうかがえます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △2.3億円 | 0.3億円 |
| 投資CF | △0.8億円 | △0.4億円 |
| 財務CF | △0.0億円 | 1.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △3.1億円 | △0.1億円 |
※
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
Institution for a Global Societyは、AIエージェント時代における人的資本の価値最大化を目指し、評価と教育を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
Institution for a Global Societyは、「分断なき持続可能な社会を実現するための手段を提供する」ことをパーパスに掲げています。
「人を幸せにする評価と教育で、幸せを作る人、をつくる」ことをビジョンとしています。
AIエージェント全盛時代において、企業と個人の双方を支える「人的資本パートナー」となることを基本方針としています。
同社グループは、人の能力を「測り・育て・予測し・調達し・証明する」まで一気通貫で支援する人的資本のプラットフォーム構築を進めています。
日本を起点に海外への展開を進め、同社グループが構築する人的資本システムを世界標準とすることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
Institution for a Global Societyは、「分断なき持続可能な社会を実現するための手段を提供する」ことを企業パーパスとし、SDGsの目標「4. 質の高い教育をみんなに」「5. ジェンダー平等を実現しよう」「8. 働きがいも経済成長も」「10. 人や国の不平等をなくそう」を優先課題としています。
同社グループは、人的資本の最大化を最優先課題とし、従業員一人ひとりの成長を支援することで持続可能な社会の実現に貢献するとしています。
人材戦略として、人材の育成に関する方針「人的資本(能力)の最大化」と、社内環境整備に関する方針「人的資本の発揮度(環境)の向上」を一体で推進しています。
企業価値への貢献を「人的資本(能力)」と「人的資本の発揮度(環境)」の掛け合わせと捉え、効果的な人材戦略を進めています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、優秀な人材の確保・育成を重要な課題としています。生成AIによる代替が可能な業務領域と、人による能力向上が競争力の源泉となる領域を切り分け、後者へリスキリング投資を集中配分しています。
また、サービス開発とテクノロジー基盤の強化も重点テーマです。生成AIやブロックチェーン等の先端技術を取り込んだ新サービスを適時・迅速に開発し、市場へ提供しています。
組織体制の強化では、業務執行体制の効率化と意思決定の迅速化、海外事業展開に対応したコンプライアンス及びリスク管理体制の構築を進めています。グローバル事業の確立も課題であり、インドでの事業展開の立ち上げや国際機関との連携を通じた新規案件創出に注力しています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
Institution for a Global Societyは監査役会設置会社であり、社外取締役と社外監査役を配置することで、経営の客観性と透明性の確保を図っています。取締役会は経営の基本方針や重要事項の決定、業務執行の監督を行っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
Institution for a Global Societyの株主構成を見ると、代表取締役会長CEOである福原正大氏が筆頭株主となっています。その他、証券会社や複数の個人株主が上位に名を連ねており、多様な主体によって支えられている資本構成です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 福原 正大 | 11.86% |
| SBI証券 | 11.33% |
| 岩永 泰典 | 6.81% |
| ウィザス | 6.08% |
| 楽天証券共有口 | 5.99% |
発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合は、小数点以下第3位を切り捨てております。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性5名・女性2名)で構成され、女性役員比率は29.0%です。代表取締役会長CEOは福原正大氏が、代表取締役社長COOは中里忍氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 福原 正大 | 代表取締役会長CEO | 1992年4月株式会社東京銀行(現株式会社三菱UFJ銀行)入行、2010年5月同社設立 代表取締役社長就任、2024年6月同社 代表取締役会長CEO就任より現職。 |
| 中里 忍 | 代表取締役社長COO | 1999年4月千代田生命保険相互会社入社、2014年7月株式会社オールアバウト入社、2016年8月同社入社、2024年6月同社 代表取締役社長COO就任より現職。 |
| 中江 史人 | 取締役 | 1974年4月株式会社三菱銀行入行、1999年7月スタンダードチャータード銀行入行、2022年6月同社 取締役就任より現職。 |
社外取締役は、幸田博人氏(京都大学経営管理大学院特別教授)です。社外監査役は、稗田さやか氏(弁護士・表参道総合法律事務所入所)、小林武氏(名古屋商科大学ビジネススクール教授)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役1名と社外監査役2名を選任しています。社外役員は、専門的な知見に基づき、経営の客観性と透明性の確保に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
Institution for a Global Societyは、役員の報酬等の算定方針を定めていませんが、経営状況や財務状況、経済情勢、重要な兼職を考慮し、役位・職責に応じて報酬を設定しています。取締役の報酬は年額100,000千円以内、監査役の報酬は年額20,000千円以内と株主総会で決議されており、固定報酬が支給されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 48百万円 | 15.9百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 6百万円 | 6.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 12百万円 | 4.0百万円 |
同社グループの役員報酬等の総額は65.7百万円であり、対象となる役員数は合計7名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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