プロクレアホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プロクレアホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の銀行持株会社。2022年に青森銀行とみちのく銀行が経営統合して設立され、2025年1月には子銀行2行が合併し「青森みちのく銀行」が発足しました。銀行業を中心にリース業なども展開しています。2025年3月期は、貸出金利息の増加等により増収となる一方、経費増や与信費用の計上等により減益となりました。


※本記事は、株式会社プロクレアホールディングス の有価証券報告書(第3期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. プロクレアホールディングスってどんな会社?


青森県を地盤とする地域金融グループの持株会社です。銀行業務を中心に、リース、クレジットカード等の金融サービスを展開しています。

(1) 会社概要


2022年に青森銀行とみちのく銀行が共同株式移転により同社を設立し、経営統合しました。2025年1月には完全子会社である両行が合併し、新たに「青森みちのく銀行」が発足しています。これにより、青森県内における強固な営業基盤を確立し、地域経済への貢献と経営効率化を進めています。

連結従業員数は2,355名、単体従業員数は1名です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位も同様に資産管理を行う日本カストディ銀行です。第3位には青森みちのく銀行行員持株会が名を連ねており、従業員による持株保有が進んでいます。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.49%
日本カストディ銀行(信託口) 4.34%
青森みちのく銀行行員持株会 2.16%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.0%です。代表取締役社長は成田晋氏です。社外取締役比率は35.7%です。

氏名 役職 主な経歴
成田 晋 (代表取締役)取締役社長 1978年青森銀行入行。同行取締役頭取、取締役会長を経て、2022年4月より現職。
藤澤 貴之 (代表取締役)取締役副社長 1990年みちのく銀行入行。同行取締役頭取を経て、2022年4月より現職。
石川 啓太郎 (代表取締役)取締役副社長 1984年青森銀行入行。同行取締役頭取を経て、2023年6月より現職。
田村 強 取締役 1985年青森銀行入行。同行取締役専務執行役員等を経て、2022年4月より現職。
森 庸 取締役 1986年青森銀行入行。同行取締役専務執行役員等を経て、2022年4月より現職。
白鳥 元生 取締役 1989年青森銀行入行。同行専務執行役員等を経て、2022年4月より現職。
須藤 慎治 取締役 1992年みちのく銀行入行。同行取締役専務執行役員等を経て、2022年4月より現職。
大川 英幸 取締役 1989年みちのく銀行入行。同行取締役常務執行役員等を経て、2023年6月より現職。


社外取締役は、三國谷勝範(元金融庁長官)、樋口一成(元ユーシーカード社長)、岩木川雅司(元SMBC日興証券副社長)、若槻哲太郎(弁護士)、石田深恵(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業」および「リース業」、「その他」事業を展開しています。

(1) 銀行業


中核となる事業であり、預金業務、貸出業務、有価証券投資業務、内国・外国為替業務などを行っています。地域社会や顧客のニーズに応じた金融仲介機能を担っています。

収益は主に顧客からの貸出金利息や手数料、有価証券の運用益等から得ています。運営は主に株式会社青森みちのく銀行が行っており、同グループの中心的部門と位置づけられています。また、連結子会社1社が不動産管理・賃貸業務を行っています。

(2) リース業


地域の企業や個人に対して、機械・器具備品等のリース業務を行っています。

収益は顧客からのリース料収入等から得ています。運営は主に株式会社あおぎんリースおよび株式会社みちのくリースが行っています。

(3) その他


銀行業およびリース業以外の金融関連サービスを展開しています。具体的には、クレジットカード業務、信用保証業務、コンサルティング業務、債権管理回収業務などが含まれます。

収益はクレジットカードの加盟店手数料や会員年会費、信用保証料、コンサルティング報酬等から得ています。運営は、あおぎんカードサービス株式会社、みちのくカード株式会社、あおぎん信用保証株式会社、みちのく信用保証株式会社、あおもり創生パートナーズ株式会社などが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

当期は経常収益が増加したものの、経常費用も増加したことから、経常利益は減少しました。これは、主にmda_narrativeに記載されているように、経常収益の増加要因と経常費用の増加要因が影響した結果です。過去からの趨勢を見ると、当期は経常収益が増加傾向にある一方で、経常利益は減少傾向にあります。

項目 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
経常収益(億円) 777 768 709
経常利益(億円) 51 41 24
当期純利益(億円) 4,896 28 12

(2) 損益計算書

当期は経常収益が前期比で増加しましたが、経常費用も増加したため、経常利益は前期比で減少しました。これは、mda_narrativeに記載されているように、収益増加の主因と費用増加の主因がそれぞれ影響した結果です。当期純利益も前期比で大きく減少しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
経常収益 768 709
経常費用 728 822
経常利益 41 24
当期純利益 28 12

(3) 役務取引等収益の内訳

同行の非金利収益である役務取引等収益合計は、当期は前期比で減少しました。当期において最も大きい収益源は「預金・貸出業務」であり、次いで「代理業務」となっています。

区分 2024年3月期 2025年3月期
役務取引等収益 合計 111 107
預金・貸出業務 57 60
為替業務 21 19
代理業務 30 26

(4) キャッシュ・フローと財務指標

プロクレアホールディングスは、営業活動によるキャッシュ・フローが大きく増加しました。これは主に貸出金の減少によるものです。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得支出増加により減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得支出減少により、前連結会計年度に比べて減少幅が縮小しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業活動によるキャッシュ・フロー 6 4,703
投資活動によるキャッシュ・フロー 1,043 △1,906
財務活動によるキャッシュ・フロー △220 △14

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「地域の未来を創る」「お客さまと歩み続ける」「一人ひとりの想いを実現する」を経営理念としています。地域の課題や可能性に挑戦し、専門性を高めて期待を超えるサービスを追求することで、顧客の信頼に応え、多様な個性を力に変えて自信と誇りに満ちた組織を築くことを目指しています。

(2) 企業文化


同社は「ふるさとの地域課題を解決し 彩り豊かな未来を創造する」というミッションのもと、地域経済を持続的に支えていく姿勢を重視しています。また、ジェンダー等の属性や多様な価値観を認め合い、尊重できる組織風土づくりを進め、職員と会社が対等な関係で互いに成長し続けることを目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2028年3月までを計画期間とする第2次中期経営計画『挑戦と創造 2nd stage』を策定しています。計画最終年度である2027年度の数値目標として以下を掲げています。

* 連結当期純利益:80億円以上
* 連結ROE:4.0%以上
* 連結自己資本比率:8.0%程度

(4) 成長戦略と重点施策


「地域課題の解決」「収益力の強化」「経営基盤の強化」「人的資本経営の実践」「株主価値の向上」の5つを基本戦略としています。統合シナジーの本格発揮期間と位置づけ、コンサルティング機能の強化や事業領域の拡大、経営の合理化・効率化を通じて、地域とともに持続的に成長する好循環を創出する仕組みの構築に取り組んでいます。

* 青森県の一人あたりGDP:継続的増加
* 青森県の人口の社会増減率:減少率の改善
* 青森県のGHG排出量:2013年度比▲51.1%(2030年度目標)

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材を最大の経営資源と捉え、「自律を促す」「多様性を活かす」「エンゲージメントを高める」を人材戦略のフレームワークとしています。職員一人ひとりが専門性を磨き、自ら考え行動できる自律人材を育成するとともに、多様な価値観を尊重し合える組織風土づくりや、働きやすい環境の整備に注力しています。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 21.8%
男性育児休業取得率 105.7%
男女賃金差異(全労働者) 50.6%
男女賃金差異(正規雇用) 62.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 69.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、サステナブルファイナンス実行額(709億円)、創業・新事業支援件数(578件)、事業承継・M&A支援件数(556件)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経営統合に関するリスク


2022年の設立後、店舗統廃合や人員配置の最適化を進めていますが、当初期待した統合の相乗効果を十分に発揮できない場合、グループの財政状態や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。顧客との関係悪化や対外的信用の低下等が、収益面での統合効果の実現を妨げる要因となる恐れがあります。

(2) 市場関連リスク


銀行業務の運営は、経済動向、金利、為替などの変化から大きな影響を受けます。保有する有価証券の価格下落による評価損の発生、金利変動による債券ポートフォリオ価値への悪影響、円高による外貨建て投資の価値減少などが、業績や自己資本比率に悪影響を与える可能性があります。

(3) 感染症拡大のリスク


新型コロナウイルス等の感染症が流行した場合、役職員の出勤困難による業務縮小や、経済活動への悪影響による取引先の業績悪化を通じた信用リスクの増加などが想定されます。これらにより、同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。