プロクレアホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プロクレアホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プロクレアホールディングスは、東京証券取引所プライム市場に上場する金融持株会社です。青森銀行とみちのく銀行が統合して誕生し、銀行業を中心にリース業やクレジットカード業などの周辺金融サービスを幅広く展開しています。直近の業績では、資金運用収益の増加等により、経常利益および当期純利益ともに増益を達成しました。


※本記事は、株式会社プロクレアホールディングスの有価証券報告書(第4期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. プロクレアホールディングスってどんな会社?


青森銀行とみちのく銀行の経営統合により誕生し、地域に根ざした総合金融サービスを展開する企業です。

(1) 会社概要


2021年に青森銀行とみちのく銀行が経営統合に関する基本合意書を締結し、2022年に共同株式移転によりプロクレアホールディングスが設立され、東京証券取引所プライム市場へ上場しました。その後、2025年に傘下の両行が合併し、青森みちのく銀行が発足しています。

同社グループは連結で2,197名、単体で1名の従業員を擁しています。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位も同様に信託業務を行う日本カストディ銀行(信託口)、第3位は青森みちのく銀行行員持株会となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 13.11%
日本カストディ銀行(信託口) 3.75%
青森みちのく銀行行員持株会 2.13%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.0%です。代表取締役社長は成田晋氏が務めており、役員全体に占める社外取締役の割合は35.7%となっています。

氏名 役職 主な経歴
成田晋 (代表取締役)取締役社長 1978年に青森銀行に入行し、法人部長、審査部長などを経て頭取に就任。2022年より現職。
藤澤貴之 (代表取締役)取締役副社長 1990年にみちのく銀行に入行し、経営企画部長や営業本部長などを経て頭取に就任。2022年より現職。
石川啓太郎 (代表取締役)取締役副社長 1984年に青森銀行に入行し、人事部長や総合企画部長などを経て頭取に就任。2023年より現職。
森庸 取締役 1986年に青森銀行に入行し、人事部長や本店営業部長などを歴任。2022年より現職。
白鳥元生 取締役 1989年に青森銀行に入行し、法人営業部長や本店営業部長などを歴任。2022年より現職。
須藤慎治 取締役 1992年にみちのく銀行に入行し、経営企画部長や常務、専務などを歴任。2022年より現職。
大川英幸 取締役 1989年にみちのく銀行に入行し、審査部長や常務などを歴任。2023年より現職。
木立晋 取締役 1989年に青森銀行に入行し、総合企画部長などを経て経営企画部長に就任。2025年より現職。


社外取締役は、三國谷勝範氏(元金融庁長官)、樋口一成氏(元ユーシーカード社長)、岩木川雅司氏(元SMBC日興証券副社長)、石田深恵氏(石田法律事務所弁護士)、河田喜照氏(元東奥日報社社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業」「リース業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 銀行業


青森みちのく銀行の本支店において、預金業務、貸出業務、内国為替業務、外国為替業務、有価証券投資業務などを提供し、地域や顧客の多様な金融ニーズに応えています。

主に顧客からの貸出金利息や手数料、および有価証券による運用益を収益源としています。運営は青森みちのく銀行が担っており、同社の不動産管理や賃貸業務などの周辺業務を青銀甲田がサポートしています。

(2) リース業


地域密着型のリース事業を展開しており、機械や器具備品などの多様なリース取引を通じて、地域企業の設備投資や事業拡大をサポートしています。

顧客から支払われるリース料などを主な収益源としています。運営は、あおぎんリースとみちのくリース(2026年に合併し青森みちのくリースとしてスタート予定)が行っています。

(3) その他


クレジットカード業務、住宅ローンの信用保証業務、コンサルティング業務、そして債権管理回収業務など、銀行業やリース業を補完する多様な周辺サービスを提供しています。

クレジットカードの利用手数料、信用保証料、コンサルティングフィー、債権回収に伴う手数料などを収益源としています。運営は、あおもり創生パートナーズなどの連結子会社が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去4期間の業績推移を見ると、経常利益は2025年3月期まで減少傾向にありましたが、直近の2026年3月期には大きく反発し、増益に転じています。当期利益についても同様に、減少傾向から直近で回復を見せており、収益力の改善が伺えます。

項目 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
経常利益 51.1億円 40.9億円 24.3億円 65.6億円
当期利益(親会社所有者帰属) 32.9億円 17.6億円 13.6億円 17.5億円

(2) 損益計算書


営業利益の推移を見ると、直近2期間で着実な増加を示しています。コスト管理や収益力強化の取り組みが奏功し、本業の儲けを示す営業利益が拡大していることが分かります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業利益 11.5億円 16.1億円

(3) セグメント収益


セグメント別の売上動向を見ると、主力の銀行業が順調に推移し、全体の成長を牽引しています。また、リース業やその他の事業も底堅い推移を見せており、各事業領域において着実に収益を確保していることが確認できます。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
銀行業 700.6億円 799.3億円
リース業 133.0億円 135.1億円
その他 20.2億円 20.6億円
調整額 -7.1億円 -2.2億円
連結(合計) 846.7億円 952.8億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的状態にあることを示します。なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に借用金の減少(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 4,702.6億円 -2,078.6億円
投資CF -1,905.5億円 -1,188.2億円
財務CF -14.4億円 -16.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も2.8%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「地域の未来を創る」「お客さまと歩み続ける」「一人ひとりの想いを実現する」という3つの経営理念を掲げています。金融仲介機能の強化や事業領域の拡大を通じて地域や顧客と共通の価値を創造し、金融システムの安定や地域産業の発展、地域住民の生活向上に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、経営理念を体現するために、健全性を堅持しながら地域の課題や可能性に積極的に挑戦する姿勢を重視しています。また、専門性を高め期待を超えるサービスを追求することで顧客の信頼に応えるとともに、自主性を尊重し多様な個性を力に変えることで、自信と誇りに満ちた組織を築く文化を育んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社は、2025年から2028年を計画期間とする第2次中期経営計画「挑戦と創造 2nd stage ~地域の好循環を目指して~」を推進しており、最終年度の2027年度に向けて以下の財務目標を掲げています。

* 連結当期純利益:80億円以上
* 連結ROE:4.0%以上
* 連結自己資本比率:8.0%程度

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、構造的な地域課題の解決と金利上昇などの環境変化への適応を両輪として進めつつ、地域資源の活用やデジタル技術の進展を成長の原動力と位置づけています。本部組織の強化や専門部署の新設を通じ、地域事業者の海外展開支援や青森県との協働による所得向上・労働力確保など、地域発のビジネス創出に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、価値創造の源泉を「人」と捉え、職員一人ひとりがプロフェッショナルとしての専門性を磨き、自律的に能力を発揮できる人材の育成を目指しています。「自律を促す」「多様性を活かす」「エンゲージメントを高める」を人材戦略の軸とし、柔軟な働き方の拡充や多様な成長機会の提供を通じて、人と組織の持続的な成長に取り組んでいます。

(2) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 24.0%
男性育児休業取得率 103.6%
男女賃金差異(全労働者) 51.7%
男女賃金差異(正規雇用) 64.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 70.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(75.0%)、時間外労働時間数(5.9時間)、障がい者雇用率(2.58%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経営統合に関するリスク


青森銀行とみちのく銀行の統合による相乗効果が十分に発揮されないリスクがあります。店舗統廃合や人員配置の遅延、顧客との関係悪化などにより、当初想定した収益面での統合効果が実現できず、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 市場関連リスク


金利や為替、有価証券価格の変動による影響を受けるリスクがあります。保有する有価証券の価格下落による評価損の発生や、金利変動に伴う債券ポートフォリオの価値低下などが、同社グループの業績や自己資本比率に影響を与える可能性があります。

(3) 情報資産リスク


顧客情報をはじめとする多くの情報資産を保有しており、これらの厳正な管理に努めています。しかし、情報資産の漏洩や紛失、改ざん、不正利用などが発生した場合には、同社グループの社会的信用が低下し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。