クリアル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

クリアル 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場する同社は、資産運用プラットフォーム事業を展開しています。主力の不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」が牽引し、当期は売上高が前期比約2倍、経常利益も大幅な増益を達成しました。DXを活用した不動産投資の民主化を推進し、急成長を続けています。


※本記事は、クリアル株式会社 の有価証券報告書(第14期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. クリアルってどんな会社?


不動産投資のプロセスにDXを導入し、1万円から手軽に投資できるオンラインマーケットを運営する企業です。

(1) 会社概要


2011年にブリッジ・シーとして設立され、2018年に主力の不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」を開始しました。2021年に現社名へ変更し、2022年に東証グロース市場へ上場を果たしています。直近では2025年に臼木証券を完全子会社化するなど、事業領域の拡大を進めています。

連結従業員数は225名、単体では156名です。筆頭株主は創業者で会長の徳山明成氏であり、第2位には資本業務提携を結んでいるSBIホールディングスが名を連ねています。第3位は社長の横田大造氏となっており、経営陣が主要株主としてコミットしています。

氏名 持株比率
徳山 明成 24.76%
SBIホールディングス 19.38%
横田 大造 6.59%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は横田大造氏が務めています。社外取締役比率は27.3%です。

氏名 役職 主な経歴
横田 大造 代表取締役社長 アクセンチュア、オリックス等を経て2011年新生銀行入行。2017年4月より同社代表取締役社長。2024年7月よりクリアルホテルズ代表取締役社長を兼務。
徳山 明成 取締役会長 ゴールドマン・サックス証券、カーライル・ジャパンを経て2011年5月同社設立、代表取締役就任。2019年7月より現職。
金子 好宏 取締役副社長 中央青山監査法人、PwCトランザクションサービスを経て2016年同社取締役就任。2017年3月より現職。公認会計士。
太田 智彬 取締役 アクセンチュア、リクルートテクノロジーズを経て2018年7月同社入社。2019年3月より現職。
山中 雄介 取締役 パシフィックマネジメント、ジャパン・リート・アドバイザーズを経て2018年11月同社入社。2020年6月より現職。


社外取締役は、村上未来(somebuddy代表取締役)、定形哲(元電通国際情報サービス執行役員)、谷美由紀(デザイン2シンク代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「資産運用プラットフォーム事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) CREAL


1万円から不動産投資が可能な不動産ファンドオンラインマーケットです。保育園や学校などのESG不動産からレジデンスまで多様な物件に投資でき、手続きはすべてオンラインで完結します。

収益は、ファンド組成時の手数料(アップフロント・フィー)、運用中の管理手数料(アセットマネジメント・フィー)、売却時の手数料(エグジット・フィー)および売却益の一部(プロフィットシェア)から成ります。運営はクリアルが行っています。

(2) CREAL PRO


機関投資家や超富裕層向けの資産運用サービスです。1億円からの投資が可能で、大型不動産への投資を通じて資産運用を行います。仲介業務や私募ファンドの組成・運用が中心となります。

収益は、ファンド組成や仲介時の手数料、物件運用管理による管理手数料、売却時の手数料およびプロフィットシェア等です。運営は主にクリアルが行っています。

(3) CREAL PB


個人投資家向けに、主に首都圏の中古区分レジデンスなどの実物不動産への投資機会を提供するサービスです。AIを活用した物件評価システム等により、効率的な仕入れと販売を行っています。

収益は、投資用不動産を個人投資家に販売することによる売却利益です。運営はクリアルが行っています。

(4) その他


不動産賃貸管理サービスやホテル運営サービスを提供しています。DXツールを活用し、契約管理や入出金管理などの業務効率化を図っています。

収益は、不動産オーナーからの集金代行手数料や契約事務手数料、ホテル宿泊料や運営手数料などです。運営は主に連結子会社のクリアルパートナーズやクリアルホテルズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は急激な右肩上がりで成長を続けており、直近5期間で大幅に規模が拡大しています。利益面でも、経常利益および当期純利益ともに増益基盤を維持しており、高い利益率を確保しつつ事業規模を拡大させることに成功しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 71億円 106億円 164億円 210億円 418億円
経常利益 1.1億円 2.6億円 5.0億円 9.4億円 18億円
利益率(%) 1.5% 2.4% 3.0% 4.5% 4.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.5億円 1.7億円 3.4億円 6.5億円 14億円

(2) 損益計算書


売上高は約2倍に増加し、売上総利益も順調に伸長しています。利益率も高水準を維持しており、効率的な事業運営が継続されています。営業利益も売上拡大に伴い倍増しており、収益性が向上していることが見て取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 210億円 418億円
売上総利益 36億円 57億円
売上総利益率(%) 16.9% 13.5%
営業利益 10億円 20億円
営業利益率(%) 4.7% 4.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が10億円(構成比28%)、その他が10億円(同26%)、広告宣伝費が8億円(同21%)を占めています。売上原価では、不動産仕入高等が大部分を占めています。

(3) セグメント収益


全てのサービスにおいて売上が増加しています。「CREAL」および「CREAL PRO」が大きく伸長し、全社の成長を牽引しました。「CREAL PB」も堅調に推移しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
CREAL 110億円 214億円
CREAL PRO 26億円 117億円
CREAL PB 72億円 83億円
その他 3.2億円 4.7億円
連結(合計) 210億円 418億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業活動によるキャッシュ・フローがプラス、投資活動によるキャッシュ・フローがマイナス、財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスの「健全型」です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -12億円 100億円
投資CF -1.3億円 -12億円
財務CF 29億円 -11億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は30.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は9.8%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「不動産投資を変え、社会を変える」というグループミッションを掲げています。不動産投資のプロセスにDXを推進することで、投資機会の偏在や業務プロセスの非効率性といった社会課題を解決し、誰もが安定的な資産運用を開始できるプラットフォームの提供を目指しています。

(2) 企業文化


同社は、ミッション実現のために役職員全員が守るべき価値観として、「Grit(やり抜く力)」「Imagination(想像力)」「Fairness(公正性)」「Team(チームワーク)」という4つのバリューを定めています。これらを人事評価制度にも組み込み、モチベーション高く働ける環境作りを行っています。

(3) 経営計画・目標


同社は「CREAL」におけるGMV(流通取引総額)を最も重要な経営指標(KPI)としています。また、事業基盤の着実な拡大を把握するため、売上総利益も重視しています。「CREAL」に関しては、登録会員数、累計調達額、リピート投資率も重視しています。

* 2025年3月期連結売上総利益:57億円
* 2025年3月期CREAL GMV:257億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、不動産投資プロセスの変革のため積極的なIT投資を継続し、「CREAL」を資産運用の代表的なサービスとして確立することを目指しています。また、AI等の技術を活用した独自システムの開発により、「CREAL PB」等の他サービスにおいても差別化されたDX戦略を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、事業拡大のために優秀な人材の確保と育成を最重要課題と位置づけています。業界経験者を中心とした中途採用を継続的に行うとともに、社内研修プランに従った教育を実施しています。また、4つのバリューを人事評価や表彰制度に反映させ、社員の自律的な成長を促進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 37.4歳 2.2年 7,504,000円


※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 10.2%


※同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の規定による公表義務の対象ではないため、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異については有報に記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、正社員に占める女性労働者の割合(44.7%)、有給休暇取得率(70.8%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 不動産市場の動向


同社グループの事業は、景気、金利、地価などの不動産市場動向の影響を受けます。不動産価格の下落による棚卸資産の評価損や、価格高騰による仕入困難、収益性低下などが業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 劣後出資による損失可能性


「CREAL」では、同社が劣後出資を行うことで投資家の元本安全性を高めています。しかし、対象不動産の売却時に損失が発生した場合、劣後出資額を上限として同社が優先的に損失を負担するため、不動産市況によっては損失が発生する可能性があります。

(3) 運営事業者のリスク


ホテルや老人ホームなどのオペレーショナルアセットにおいて、運営事業者の運営能力や与信状況が悪化した場合、収益の減少や物件価値の毀損が生じ、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。