※本記事は、エフビー介護サービス株式会社の有価証券報告書(第39期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. エフビー介護サービスってどんな会社?
福祉用具のレンタル・販売と、地域密着の介護サービスをワンストップで展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1987年にインテリア商品等の販売を目的に設立され、2000年の介護保険制度施行に伴い介護事業に参入しました。2002年に現社名へ変更し、長野・群馬などで有料老人ホームやグループホーム等を順次開設しました。2022年に東証スタンダード市場へ上場を果たし、同年には企業買収で南関東エリアへも進出しています。
現在の同社グループは、連結従業員数993名、単体従業員数923名の体制で事業を運営しています。筆頭株主は創業者の栁澤秀樹氏であり、第2位には資産管理会社とみられるカントリビューション、第3位にも同様にSUNが名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 栁澤 秀樹 | 14.97% |
| カントリビューション | 12.31% |
| SUN | 8.20% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は栁澤美穂氏が務めており、監査等委員を含む社外取締役の比率は33.3%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 栁澤 美穂 | 代表取締役社長 | アイフル等を経て2004年に同社入社。常務取締役、取締役副社長等を経て2022年より現職。 |
| 栁澤 秀樹 | 代表取締役会長 | フランスベッド販売を経て1987年に同社設立、代表取締役社長。2023年より現職。 |
| 依田 大利 | 取締役IR企画管掌 | 上田商工信用組合を経て2002年に同社入社。介護事業部長等を経て2023年より現職。 |
| 二之宮 修 | 取締役経営管理本部長 | 日本ビジネステレビジョン等を経て2023年に同社入社。経理財務部長を経て2024年より現職。 |
| 寺尾 文孝 | 取締役 | 警視庁等を経て1999年に日本リスクコントロール代表取締役社長。2023年より現職。 |
| 佐々木 秀男 | 取締役(常勤監査等委員) | 医療法人等を経て2019年に同社入社。内部監査室長を経て2023年より現職。 |
社外取締役は、木内均(元衆議院議員)、一宮なほみ(元人事院総裁)、嶋方拓郎(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「福祉用具事業」および「介護事業」を展開しています。
■(1) 福祉用具事業
要介護認定を受けた利用者が自宅で自立した生活を送れるよう、車いすや特殊寝台などの福祉用具のレンタルや販売、住宅改修サービスを提供しています。自社の専用センターでの消毒・メンテナンスによるスピーディーな供給と、一貫専任制の担当者による細やかな提案が特徴です。
収益源は介護保険制度に基づく福祉用具貸与・販売の介護報酬や、利用者からの自己負担金です。事業の運営は主にエフビー介護サービスおよびシルバーアシストが行っています。
■(2) 介護事業
介護付き有料老人ホームやグループホームなどの入居系施設から、小規模多機能型居宅介護、デイサービス、訪問介護などの在宅系サービスまで、地域密着の介護サービスを幅広く提供しています。馴染みのスタッフによるケアや、施設間の連携を活かしたドミナント戦略を推進しています。
収益源は提供した介護サービスに対する介護報酬や、利用者からの自己負担金などです。各施設の運営はエフビー介護サービス、シルバーアシスト、スマートケアタウンが行い、施設への食事提供はルルパが担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の売上高は一貫して増加傾向にあります。経常利益も概ね堅調に推移していますが、直近では物価高騰や人材確保、新規施設開設に伴う初期投資費用等の影響により、利益水準が一時的に変動する局面も見受けられます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 92億円 | 96億円 | 104億円 | 110億円 | 115億円 |
| 経常利益 | 6億円 | 7億円 | 8億円 | 7億円 | 8億円 |
| 利益率(%) | 7.1% | 7.7% | 7.7% | 6.2% | 7.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 4億円 | 5億円 | 5億円 | 4億円 | 4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は着実に伸びており、売上総利益も増加していますが、販管費などのコスト増が利益率を押し下げる要因となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 110億円 | 115億円 |
| 売上総利益 | 17億円 | 18億円 |
| 売上総利益率(%) | 15.5% | 15.4% |
| 営業利益 | 7億円 | 6億円 |
| 営業利益率(%) | 6.0% | 5.5% |
販売費及び一般管理費のうち、租税公課が3億円(構成比26%)、給与手当が2億円(同21%)を占めています。
■(3) セグメント収益
福祉用具事業および介護事業ともに増収となっています。福祉用具事業は新規利用者の開拓や事業譲受により規模を拡大させ、介護事業でも新規施設の開設や既存事業所の営業強化が寄与しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 福祉用具事業 | 46億円 | 50億円 |
| 介護事業 | 64億円 | 66億円 |
| 連結(合計) | 110億円 | 115億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業の営業活動で安定した資金を獲得し、その資金を借入金の返済に充てつつ、将来に向けた投資も手元資金で賄っている「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 11億円 | 13億円 |
| 投資CF | -2億円 | -4億円 |
| 財務CF | -12億円 | -8億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は42.1%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「人生の最終ステージを利用者様の幸せと満足で元気にする」をミッションに掲げています。福祉や介護を通じた社会への貢献を目指し、「すべては利用者様のために」という姿勢のもと、24時間・365日対応し、多様化する介護ニーズに地域密着で応え続けることを経営方針としています。
■(2) 企業文化
同社は「ES(職員満足)向上に向け、全職員一致協力の下、グループ全部門連動体制の確立」を掲げ、従業員を大切にする文化があります。人格・人間性の自己啓発やマナーを重んじ、気配り・目配り・心配りの「三配り」を当たり前に実践することで、質の高いサービスの提供と顧客満足(CS)に努めています。
■(3) 経営計画・目標
同社は中期経営計画(2025年3月期〜2029年3月期)を策定し、介護事業所のローコスト運営とサービス提供地域の拡大を通じた継続的な企業価値の向上を目指しています。
・売上高:150億円(2029年3月期)
・調整後営業利益:10億円(2029年3月期)
■(4) 成長戦略と重点施策
既存エリアでの拠点展開を進めつつ、M&Aや新規開設を通じて首都圏など新たなエリアへの事業拡大(ドミナント戦略)を推進します。また、訪問看護や小規模多機能型居宅介護を中心に、中重度者や医療ニーズの高い要介護者への対応を強化するとともに、専門人材の育成や外国人材の登用によるサービス品質の向上を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、ジェンダー平等や中高齢者・外国人材の積極登用を通じて多様な人材を確保し、組織の活性化を図っています。新人研修やブラッシュアップ研修などの教育制度を充実させ、さらに介護のDX化や柔軟な勤務制度を取り入れることで、従業員の負担軽減と長く働き続けられる環境の整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 45.4歳 | 6.6年 | 4,107,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 46.4% |
| 男性育児休業取得率 | 60.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 70.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 79.8% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 92.9% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 介護保険法などの法的規制リスク
同社の事業は介護保険法に強く依存しており、人員や設備の基準を満たせない場合、事業所の指定取消や停止処分を受けるリスクがあります。また、公費で賄われる介護報酬が改定された場合や、社会保障財政の問題による制度変更が生じた場合、収益性や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 競合激化と新規開設に伴うリスク
高齢化に伴い、同業他社や異業種からの参入が増加し、近隣施設との価格競争が激化するリスクがあります。また、介護施設の新規開設は地方自治体の公募や総量規制による制約を受けるため、計画通りの施設開設ができない場合や、開設後に入居率が低迷した場合、事業計画の達成に影響を与える恐れがあります。
■(3) 専門人材の確保と安全管理リスク
介護現場では有資格者の配置が義務付けられていますが、業界内の人材不足により十分な人員が確保できず、事業拡大の遅れやサービスの質が低下するリスクがあります。また、利用者の事故や施設内での感染症・食中毒などが発生した場合、同社の社会的信用が低下し、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。



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