エフビー介護サービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エフビー介護サービス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場し、長野県・群馬県・埼玉県・栃木県・新潟県・東京都で介護事業および福祉用具事業を展開。2025年3月期は、新規施設の開設や既存事業所の稼働率向上により増収となったものの、物価高騰によるコスト増や補助金収入の減少等が影響し、減益となりました。


※本記事は、エフビー介護サービス株式会社 の有価証券報告書(第38期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エフビー介護サービスってどんな会社?


介護事業と福祉用具事業を柱に、地域密着型のサービスをワンストップで提供する企業です。

(1) 会社概要


1987年に長野県佐久市で設立され、2000年の介護保険制度施行に伴い介護事業へ本格参入しました。その後、北関東・信越エリアを中心に拠点を拡大し、2022年4月に東京証券取引所スタンダード市場へ上場を果たしました。近年では、2022年にシルバーアシスト、2023年にスマートケアタウンを完全子会社化し、南関東エリアへの進出も進めています。

同グループの連結従業員数は1,001名、単体では939名です。筆頭株主は創業者の親族であり、第2位は創業者の資産管理会社となっています。

氏名 持株比率
栁澤 秀樹 14.50%
カントリビューション 11.92%
SUN 7.94%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名、計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は栁澤 美穂氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
栁澤 美穂 代表取締役社長 アイフル、武富士を経て2004年同社入社。ルルパ代表取締役、スマイル薬局代表取締役等を歴任し、2022年9月より現職。
栁澤 秀樹 代表取締役会長 1970年フランスベッド販売入社。1987年同社設立・代表取締役社長。社会福祉法人佐久平福祉会理事長を経て2023年6月より現職。
依田 大利 取締役IR企画管掌 1984年上田商工信用組合入所。2002年同社入社。介護事業部部長、執行役員社長室長、IR企画室長を経て2023年6月より現職。
二之宮 修 取締役経営管理本部長 2000年日本ビジネステレビジョン入社。オンコセラピー・サイエンス管理本部長を経て2023年1月同社入社。2024年6月より現職。
寺尾 文孝 取締役 警視庁退職後、日本ドリーム観光代表取締役副社長等を経て、1999年日本リスクコントロール代表取締役社長(現任)。2023年2月より現職。
佐々木 秀男 取締役(常勤監査等委員) 医療法人研成会、社会福祉法人みまき福祉会等を経て2019年同社入社。内部監査室長を経て2023年2月より現職。


社外取締役は、木内均(銀座パートナーズ代表取締役)、一宮なほみ(一宮なほみ法律事務所代表弁護士)、嶋方拓郎(嶋方会計事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「福祉用具事業」、「介護事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 福祉用具事業


福祉用具のレンタル・販売、住宅改修サービスを提供しています。利用者一人ひとりの状況に合わせた用具選定や住環境の整備を行い、在宅生活の自立支援や介護者の負担軽減を図ります。主な顧客は要介護認定を受けた高齢者です。

収益源は、介護保険制度に基づく福祉用具貸与費や販売費(利用者負担1〜3割、残りは国保連請求)および住宅改修費です。運営は主にエフビー介護サービスおよびシルバーアシストが行っています。

(2) 介護事業


有料老人ホーム、グループホーム、小規模多機能型居宅介護、デイサービス、訪問介護など、施設系および在宅系の介護サービスを多岐にわたり提供しています。また、施設利用者への食事提供サービスも行っています。

収益源は、介護サービス提供に対する介護報酬(利用者負担1〜3割、残りは国保連請求)や、居住費・食費等の利用者自己負担分です。運営はエフビー介護サービス、ルルパ、シルバーアシスト、スマートケアタウンが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は一貫して増加傾向にあり、事業規模の拡大が続いています。一方、利益面では、経常利益や当期利益が増減を繰り返しており、直近の2025年3月期では減益となっています。利益率は比較的安定していますが、成長に伴うコスト増や投資の影響を受けている様子がうかがえます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 94億円 92億円 96億円 104億円 110億円
経常利益 6億円 6億円 7億円 8億円 7億円
利益率(%) 6.5% 7.1% 7.7% 7.7% 6.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 4億円 5億円 5億円 4億円

(2) 損益計算書


売上高は増加していますが、売上原価の増加率がやや高く、売上総利益率は横ばいから微減傾向にあります。営業利益は増加しており、本業の収益力は維持されています。販管費も増加していますが、売上拡大に伴う範囲内に収まっていると言えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 104億円 110億円
売上総利益 15億円 17億円
売上総利益率(%) 14.4% 15.5%
営業利益 5億円 7億円
営業利益率(%) 5.1% 6.0%


販売費及び一般管理費のうち、租税公課が3億円(構成比26%)、給与手当が3億円(同25%)を占めています。売上原価は売上高に対して84.5%を占めています。

(3) セグメント収益


福祉用具事業は、地域密着の営業活動により増収となりましたが、自社レンタル商品の仕入増加等により減益となりました。介護事業は、新規施設の開設や既存事業所の稼働向上により増収となり、運営の見直しや改善により大幅な増益を達成しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
福祉用具事業 44億円 46億円 3億円 3億円 6.8%
介護事業 60億円 64億円 2億円 3億円 5.4%
連結(合計) 104億円 110億円 5億円 7億円 6.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は41.1%で市場平均を下回っています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 11億円 11億円
投資CF -6億円 -2億円
財務CF -5億円 -12億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「人生の最終ステージを利用者様の幸せと満足で元気にする」をミッションとして掲げ、介護サービスを提供しています。福祉、介護を通じて介護改革を実践し、社会に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


「すべては利用者様のために」を合言葉に、「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」という行動指針を持っています。また、当たり前のことを当たり前に行い、「気配り、目配り、心配り」という「三配り」の確立を重視し、マナーやスキルアップ、法令遵守に努める文化があります。

(3) 経営計画・目標


2025年3月期を初年度とする5カ年の中期経営計画を策定しています。最終年度となる2029年3月期には、以下の数値目標を掲げています。

* 売上高:150億円
* 調整後営業利益(営業利益に新設事業所整備補助金を加算したもの):10億円

(4) 成長戦略と重点施策


既存エリアでのドミナント展開を深めるとともに、M&Aや新規開設を通じて首都圏を含む関東エリアへの進出を強化します。また、外国人材の積極採用や社員教育による人材確保・育成、中重度者や医療ニーズの高い要介護者への対応強化、DX推進による業務効率化を重点施策としています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材不足に対応するため、他業種や中高齢者、外国人材を積極的に採用しています。また、社員教育に注力し、価値観を共有する研修や階層別研修を実施しています。人事評価制度の拡充やキャリアプランに関する面談を通じて、職員が満足して働き定着する環境の構築を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均(598万円)を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 45.3歳 6.3年 4,037,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 39.4%
男性育児休業取得率 14.3%
男女賃金差異(全労働者) 70.6%
男女賃金差異(正規) 79.6%
男女賃金差異(非正規) 93.0%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制に関するリスク


介護保険サービスは法令に基づく指定を受ける必要があり、人員基準や運営基準の遵守が求められます。違反による指定取消や停止処分は事業継続に重大な影響を及ぼします。また、3年に1度の介護報酬改定や制度変更が業績に影響を与える可能性があります。

(2) 業界環境に関するリスク


高齢化に伴い需要は高まっていますが、異業種からの参入や同業他社との競争激化のリスクがあります。また、施設開設には自治体の公募選定が必要であり、総量規制等により計画通りの開設ができない場合や、開設後の稼働率が想定を下回る場合、業績に影響する可能性があります。

(3) 事業内容に関するリスク


介護サービスの提供には有資格者の配置が義務付けられており、人材確保が計画通り進まないリスクがあります。また、利用者の事故や感染症の発生、食中毒などは信用低下を招き、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、大規模災害発生時の事業継続リスクも想定されます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。