フルハシEPO 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フルハシEPO 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード・名証メイン上場のフルハシEPOは、建設廃材等の木質廃棄物を再資源化するバイオマテリアル事業と、建設副産物の処理を行う資源循環事業を展開しています。直近決算では、工場新設や販売単価改定などが寄与し、売上高・各利益ともに前期を上回る増収増益を達成しました。


※本記事は、フルハシEPO株式会社 の有価証券報告書(第78期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フルハシEPOってどんな会社?


木質バイオマスの再資源化を主軸に、建設廃棄物の処理や物流機器販売を手掛ける環境ソリューション企業です。

(1) 会社概要


1948年に古橋製函として設立され、1956年に木材チップ製造を開始しました。その後、1997年に建設副産物の再資源化事業を開始し、2008年に現社名へ変更しました。川崎バイオマス発電等の設立にも関わり、2022年に東証スタンダード市場および名証メイン市場へ上場を果たしました。

同社の連結従業員数は443名(単体295名)です。筆頭株主は創業家出身の役員が代表を務めるヤマグチで、第2位は従業員持株会です。

氏名 持株比率
ヤマグチ 41.99%
フルハシEPO従業員持株会 6.02%
清板 大亮 5.08%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.2%です。代表取締役社長は山口 直彦氏です。社外取締役比率は27.3%です。

氏名 役職 主な経歴
山口 直彦 代表取締役社長 1978年同社入社。常務取締役、専務取締役、副社長を経て、1997年より社長。2024年4月より経営戦略本部長を兼務し現職。
山口 昭彦 代表取締役副社長 1980年愛知リコー入社。1984年同社入社。専務取締役営業本部長等を経て、2009年より副社長。2024年4月より生産本部長を兼務し現職。
熊澤 修次 常務取締役営業本部長兼営業企画部長 1984年岐阜県農協運輸入社。2004年同社入社。執行役員資源循環本部長、取締役関東支社長等を歴任。2025年4月より現職。
天野 幹也 取締役生産本部副本部長兼中日本バイオマテリアル生産部長 2000年同社入社。関東支社生産部長、常務執行役員関東営業本部長、生産本部長等を歴任。2025年4月より現職。
上野 徹 取締役管理本部長兼総務部長 1984年協和銀行入行。2016年同社入社。サポートセンター法務部長、執行役員総務部長等を経て、2021年2月より現職。


社外取締役は、水野 信勝(水野信勝公認会計士事務所所長)、織田 直子(アクエリアス・ハート・ヴォイス代表取締役)、井上 理津子(元りそなビジネスサービス執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「バイオマテリアル事業」、「資源循環事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) バイオマテリアル事業


家屋解体や建設現場から排出される廃木材等の木質廃棄物を受け入れ、破砕・切削処理を行うことで木材チップ製品を製造・販売しています。製紙・ボード原料や、バイオマス発電用燃料として供給しており、再資源化による環境負荷低減に貢献しています。

収益は、排出事業者から受け取る産業廃棄物の処理料と、加工した木材チップを製紙会社やバイオマス発電事業者等へ販売する製品売上の双方から得ています。運営は主に同社および株式会社フィニティが行っています。

(2) 資源循環事業


住宅建設現場等から排出される混合廃棄物などの建設副産物を回収し、選別・再資源化処理を行っています。建設現場に回収ボックスを設置して巡回回収を行い、自社工場で中間処理を実施するほか、再資源化が困難なものは外部委託により適切に処理します。

収益は、住宅メーカーや建設会社等の顧客から受領する廃棄物の処理委託料が中心です。再資源化可能な副産物については有価物として売却収入も得ています。運営は主に同社および株式会社フィニティが行っています。

(3) その他


木製パレットなどの物流機器の製造・販売、環境コンサルティング、施設警備および人材派遣サービスなどを展開しています。物流機器では新品販売に加え、中古品の買取・販売やリサイクルも手掛けています。

収益は、物流機器の販売代金やコンサルティング料、警備・派遣料などから構成されています。運営は同社、株式会社フィニティ、海外子会社、株式会社フルハシ環境総合研究所、ASAP SECURITY株式会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


5期間の業績推移を見ると、売上高は毎期増加を続けており、順調な事業拡大が続いています。利益面でも高い利益率を維持しながら成長しており、直近では売上高94億円、経常利益14億円となり、増収増益を達成しました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 77億円 77億円 81億円 88億円 94億円
経常利益 6億円 8億円 10億円 12億円 14億円
利益率(%) 8.1% 10.9% 13.0% 14.2% 15.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 6億円 7億円 3億円 10億円

(2) 損益計算書


売上高は増加し、売上総利益率も高水準で安定しています。営業利益率も12.3%と前年から改善しており、効率的な事業運営が行われていることがわかります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 88億円 94億円
売上総利益 40億円 43億円
売上総利益率(%) 46.0% 45.8%
営業利益 10億円 12億円
営業利益率(%) 11.9% 12.3%


販売費及び一般管理費のうち、運賃及び荷造費が10億円(構成比32%)、給料及び手当が7億円(同21%)を占めています。

(3) セグメント収益


バイオマテリアル事業は新工場の稼働や災害廃棄物受入により増収増益となりました。資源循環事業は住宅市場の低迷等の影響を受けつつも増収となりましたが、利益は減少しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
バイオマテリアル事業 62億円 68億円 9億円 11億円 16.1%
資源循環事業 16億円 16億円 0.8億円 0.7億円 4.5%
その他 10億円 10億円 0.6億円 -0.0億円 -0.2%
調整額 -3億円 -4億円 0.0億円 -0.1億円 -
連結(合計) 88億円 94億円 10億円 12億円 12.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

フルハシEPOは、バイオマテリアル事業、再資源化処理受託、木材チップ販売、資源循環事業などを展開しています。

当連結会計年度は、営業活動により資金が増加しましたが、主に有形固定資産の取得による支出が大きかったため、全体としては資金が減少しました。営業活動では、税金等調整前当期純利益の計上が主な要因となり、資金が増加しました。一方、投資活動では、有形固定資産の取得による支出が大きく、資金が減少しました。財務活動では、短期借入金の借入による収入があったものの、長期借入金の返済や配当金の支払いにより、資金が減少しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 17億円 13億円
投資CF -6億円 -23億円
財務CF -13億円 -3億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「世のため 人のため 地球のため 社員のため 持続可能な社会を創造します」を経営理念として掲げています。地球環境の視点から真に必要なものを製品・サービスとして創り出し、子供たちが安心して暮らせる持続可能な社会の実現を目指しています。

(2) 企業文化


「新しい可能性にチャレンジし、持続可能な社会を実現します」などの5項目からなる行動指針「FULUHASHI Spirits」を定めています。顧客視点、プラス発想、使命感、そしてユーモアを持って仕事に取り組む姿勢を重視する文化があります。

(3) 経営計画・目標


2028年3月期を最終年度とする中期経営計画「Fuluhashi Sustainable Plan 80th」を策定しています。経営指標として売上高、営業利益、売上高営業利益率を重視し、中長期的には株主資本コストを上回るROEを目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


設立80周年に向け、再資源化の「量的拡大」を重要戦略としています。具体的には、中日本・東日本を中心に工場新設やM&Aを推進し、木質バイオマスの取扱量を拡大させます。また、木質バイオマス発電・熱利用事業の拡充による市場開発、コンプライアンス体制の強化、人材育成、DXによる生産性向上に取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「自ら未来を創造する」人材の育成を基本方針とし、多様性・公平性・包括性を確保しつつ、従業員が創造力を発揮できる環境整備を進めています。安全衛生や健康確保に加え、AI・自動設備の導入による省人化・無人化を推進し、生産性と専門性を高める方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.0歳 8.4年 5,210,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(4.8%)、男性育児休暇取得率(83%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 廃棄物処理等の法的規制


主力事業において「廃棄物処理法」等の法的規制を受けており、法令違反による行政処分や許認可の取消しが生じた場合、事業運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、法改正や規制強化への対応が必要となるリスクがあります。

(2) 住宅・建設業界の動向


取り扱う廃棄物の多くは建物解体や新築現場から排出されるため、住宅着工件数などの建設業界の動向に業績が左右されます。景気変動や人口減少等により工事量が減少した場合、廃棄物処理量およびチップ原料供給が減少し、業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) バイオマテリアル事業の需給バランス


廃棄物処理受託とチップ製品販売の双方で収益を得るモデルであるため、両者のバランス維持が重要です。処理受託量の減少による製品供給不足や、チップ販売需要の減少による在庫過多など、需給バランスが悪化した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。