フルハシEPO 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フルハシEPO 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フルハシEPOは、東京証券取引所スタンダード市場及び名古屋証券取引所メイン市場に上場する企業です。木質廃棄物の再資源化や木材チップの販売を担うバイオマテリアル事業、各種建設副産物の再資源化を行う資源循環事業を展開しています。直近の業績は、売上高が増加したものの利益面では減益となる増収減益で推移しています。


※本記事は、フルハシEPO株式会社の有価証券報告書(第79期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フルハシEPOってどんな会社?


木質廃棄物の再資源化や木材チップの販売を中心に、資源循環や環境ソリューションを提供する企業です。

(1) 会社概要


同社は1948年2月に古橋製函として設立されました。1956年12月に木材チップの製造販売を開始してバイオマテリアル事業に参入し、1997年5月には建設副産物の再資源化を目的として資源循環事業を開始しました。2008年4月に現在のフルハシEPOへ商号を変更し、2022年4月に上場を果たしています。

現在の従業員数は連結で487名、単体で339名です。筆頭株主は資産管理会社等とみられるヤマグチで、第2位は同社の従業員持株会、第3位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行となっています。資源循環と環境ソリューションを通じて持続可能な社会の実現を目指し、着実に事業基盤を拡大し続けています。

氏名 持株比率
ヤマグチ 39.33%
フルハシEPO従業員持株会 5.24%
日本マスタートラスト信託銀行 4.06%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表者は代表取締役社長経営戦略本部長の山口 直彦氏で、社外取締役の比率は44.4%となっています。

氏名 役職 主な経歴
山口 直彦 代表取締役社長経営戦略本部長 1978年4月同社入社。1983年1月取締役、1997年10月代表取締役社長を歴任し、2024年4月より現職。
山口 昭彦 代表取締役副社長生産本部長 1984年8月同社入社。1990年11月取締役、2009年1月代表取締役副社長を歴任し、2024年4月より現職。
熊澤 修次 常務取締役営業本部長 2004年2月同社入社。2013年4月取締役営業本部長、2021年5月常務取締役営業本部長等を経て、2026年4月より現職。
天野 幹也 取締役生産本部副本部長兼東日本生産部長 2000年3月同社入社。2016年6月取締役関東支社長代理、2024年4月取締役バイオマテリアル事業部長等を経て、2026年4月より現職。
上野 徹 取締役管理本部長兼総務部長 1984年4月協和銀行(現りそな銀行)入行。2016年4月同社入社。2020年6月取締役管理統括担当兼総務部長を経て、2021年2月より現職。


社外取締役は、水野 信勝(元有限責任監査法人トーマツ代表社員)、織田 直子(アクエリアス・ハート・ヴォイス代表取締役)、苅谷 公平(苅谷公認会計士・税理士事務所代表)、井上 理津子(元りそなビジネスサービス執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「バイオマテリアル事業」、「資源循環事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) バイオマテリアル事業


木造家屋の解体現場や新設時に発生する廃材、廃パレットなどの木質廃棄物を受け入れ、加工・製造した木材チップ製品を提供しています。顧客は廃棄物を排出する建設業者等のほか、木材チップを紙・パルプや建材原料として利用するメーカー、代替燃料として利用するバイオマス発電事業者などです。

収益源は、排出事業者等から受け取る再資源化の処理委託料と、再資源化した木質燃料や原料製品の販売代金の双方から獲得するモデルとなっています。事業の運営は主に同社が担い、木質廃棄物の再資源化処理受託や製品販売を行うほか、子会社のフィニティが収集運搬と木材チップ輸送を展開しています。

(2) 資源循環事業


住宅建設現場等から排出される木質系以外の各種建設副産物(廃棄物)の再資源化処理を受託しています。住宅メーカーや建設会社を顧客とし、建設現場に資材回収ボックスを設置して定期的に巡回・回収を行い、自社工場において選別や再資源化などの中間処理業務を提供しています。

収益源は、ハウスメーカー等の顧客から受け取る建設副産物の再資源化処理の委託料と、再資源化が可能な副産物の資源売却による収入です。事業の運営は主に同社が中間処理業務を担い、子会社のフィニティが廃棄物の収集運搬業務を行っています。再資源化が困難な廃棄物は外部業者へ委託し適切な処理を実施しています。

(3) その他事業


主に木製パレットなどの物流機器の製造・仕入・販売、環境コンサルティング、施設・交通警備および人材派遣サービスを提供しています。物流機器においては新品の仕入販売に加え、中古物流機器の買取販売や廃棄木製パレット等の再資源化を含めたソリューションも展開しています。

収益源は物流機器の販売代金や環境コンサルティングの対価、警備・人材派遣のサービス料などです。国内展開は同社および子会社のフィニティが担い、海外展開はタイとベトナムの現地法人が行っています。また、フルハシ環境総合研究所がコンサルティングを、ASAP SECURITYが警備や人材派遣サービスを運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は右肩上がりで推移しており、直近では100億円に到達しました。一方、経常利益や当期純利益は期によって変動があり、前期に大幅増益となったものの当期は減益となっています。利益率も10%から15%の範囲で推移しており、堅調な売上成長を背景にしつつも、コスト上昇や投資負担の影響を受けています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 77億円 81億円 88億円 94億円 100億円
経常利益 8億円 10億円 12億円 14億円 12億円
利益率(%) 10.9% 13.0% 14.2% 15.3% 11.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 6億円 7億円 3億円 10億円 9億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い売上総利益も拡大していますが、売上総利益率はわずかに低下しています。また、営業利益も微増にとどまっており、営業利益率も前期と比較してやや低下する結果となりました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 94億円 100億円
売上総利益 43億円 44億円
売上総利益率(%) 45.8% 44.3%
営業利益 12億円 12億円
営業利益率(%) 12.3% 11.7%


販売費及び一般管理費のうち、運賃及び荷造費が10億円(構成比31%)、給料及び手当が7億円(同21%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のバイオマテリアル事業が増収を牽引していますが、利益面ではやや減益となりました。資源循環事業およびその他事業は増収増益を達成しており、全体の売上拡大に貢献しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
バイオマテリアル事業 68億円 73億円 11億円 11億円 14.5%
資源循環事業 16億円 17億円 1億円 1億円 5.3%
その他事業 10億円 10億円 -0億円 0.4億円 3.4%
調整額 -億円 -億円 -0億円 -0.1億円 -
連結(合計) 94億円 100億円 12億円 12億円 11.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはプラスの「積極型」です。本業で安定してキャッシュを生み出しながら、将来の成長に向けた設備投資などを借入等による資金調達を交えて積極的に行っている状態を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 13億円 15億円
投資CF -23億円 -19億円
財務CF -3億円 4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.8%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


経営理念として「世のため 人のため 地球のため 社員のため 持続可能な社会を創造します」を掲げています。地球環境の視点からお客様の企業価値向上に役立つ製品を創り出し、持続可能な社会の実現を目指しています。

(2) 企業文化


同社は経営理念に基づき、新しい事業可能性にチャレンジし、持続可能な社会を実現していくことを行動指針としています。具体的には「新しい可能性にチャレンジする」「お客様の立場に立って考える」「プラス発想と行動力で付加価値を高める」「使命感を持って仕事に取組む」「ユーモアを忘れず仕事を楽しみむ」という「FULUHASHI Spirits」を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は、中期経営計画「Fuluhashi Sustainable Plan 2030」を推進し、事業規模拡大と収益性の向上を目指しています。中長期的には株主資本コストを上回るROEを目標とし、最終年度である2030年3月期に向けて以下の数値目標を掲げています。

* 売上高:140億円
* 営業利益:25億円
* ROE:15%超

(4) 成長戦略と重点施策


持続的な成長に向けて、資源循環社会およびカーボンニュートラル社会の実現を成長戦略の軸に据えています。重点施策として、中日本・東日本エリアにおける工場新設などを推進し、再資源化の量的拡大を図ります。また、木質バイオマス発電・熱利用事業による新たな市場開発を進めるほか、業務のAI化や工場の自動化による生産性向上にも注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「自ら未来を創造する人材」の育成を基本方針として掲げ、従業員の意欲向上と能力開発を目的とした教育・研修を拡充しています。また、従業員が「高い安全性、高い生産性、高度な環境技術」を追求できるよう、健康確保や技能取得、多様性の推進など誰もが働きやすい職場づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.0歳 8.4年 5,588,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.5%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 65.9%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 66.3%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 56.7%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率目標(7%)、男性育児休暇取得率目標(100%)、有給休暇取得率(81.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 廃棄物処理等に関する法的規制


同社の事業は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」をはじめとする各種関連法令の規制を受けています。法令に違反する行為があった場合、行政処分や許可の取消しを受ける可能性があり、また、予期せぬ法令等の改正や規制強化により事業運営に制約が生じ、業績や社会的信用に重大な影響を及ぼすリスクがあります。

(2) 住宅及び建設業界等の動向


バイオマテリアル事業などで取り扱う廃棄物の多くは、住宅建設や解体に伴って排出される木質廃棄物です。そのため、国内の住宅着工件数などの動向に影響を受けやすく、経済活動や不動産市況の悪化によって建設工事量が減少した場合、リサイクル処理量や木材チップ製品の供給量が減少し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) バイオマテリアル事業における需給バランス


主力のバイオマテリアル事業は、廃棄物の処理受託と木材チップ販売の双方から収益を得るモデルです。処理受託量が減少すれば製品供給に支障をきたし、逆にチップ販売需要が落ち込めば余剰製品の保管費用などが増加します。両者の需給バランスが著しく悪化した場合、事業の採算性や業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(4) 施設運営における火災や労働災害


木質廃棄物を大量に取り扱う処理施設において、火災事故などが発生した場合、施設の倒壊や停止による損害が生じる可能性があります。また、多数の人員が作業する現場での不測の事故や重大な労働災害が生じた場合にも、一時的な操業停止や対策費用の発生を招き、事業運営や業績に重大な影響を与えるリスクが存在します。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。