※本記事は、ペットゴーの有価証券報告書(第22期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. ペットゴーってどんな会社?
ペットゴーは、犬猫の食事療法食や動物用医薬品等のペットヘルスケア商品を扱うペットコマース事業を主力とする企業です。
■(1) 会社概要
2004年11月にインターネットを介したペット用品の通信販売を目的として設立されました。2005年2月に総合通信販売サイトを開始し、2008年3月からは食事療法食等のペットヘルスケア商品の取扱いを開始しました。2020年4月にDTCブランド「ベッツワン」シリーズを発売し、2022年4月に上場しました。直近の2025年にはFLAFFYやDogHuggyを子会社化し、事業領域を拡大しています。
従業員数は連結で56名、単体で51名です。筆頭株主は創業メンバーであり代表取締役社長の黒澤弘氏で、第2位は青柳和洋氏、第3位は中谷将史氏などの個人株主が上位を占めています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 黒澤弘 | 15.50% |
| 青柳和洋 | 8.70% |
| 中谷将史 | 5.20% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は黒澤弘氏です。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 黒澤弘 | 代表取締役社長(CEO) | 1994年住友商事入社、2000年McKinsey&Company入社。2004年ペットゴー設立に伴い代表取締役社長就任。2025年FLAFFY取締役等を経て現職。 |
| 小出文彦 | 取締役副社長(CTO) | 2001年アルファシステムズ入社、2005年楽天入社。2006年ペットゴー入社、2008年取締役就任。2023年取締役副社長に就任し現職。 |
| 佐藤建史 | 取締役経営企画部長(CF0) | 2009年新日本監査法人入所、ジャパン・ビジネス・アシュアランス等を経て2018年ペットゴー入社。2019年執行役員を経て2023年より現職。 |
社外取締役は、百田功(元IIJ America Inc. CEO & President)、藤池智則(弁護士)、伊藤章子(公認会計士・税理士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ペットコマース事業」および「ペットメディア事業」ならびに「その他」事業を展開しています。
■ペットコマース事業
犬猫を対象とした食事療法食、動物用医薬品、サプリメント等のペットヘルスケア商品を販売しています。自社ECだけでなく、複数の他社オンラインモールやホームセンター等のオフライン店舗を横断するマルチチャネル展開を行っており、動物病院へ行く負担を軽減し、ペットのQOL向上に貢献しています。
収益は主に商品の販売代金から得ており、自社企画のDTCブランド製品や他社ナショナルブランド商品を定期購入(サブスクコマース)等の形態で販売しています。運営は主にペットゴーおよびペットゴープロダクツが行っています。
■ペットメディア事業
SNSアカウントの運用やペットイベントの企画・運営を通じて、ペット用品やペットサービスなどペットとともに楽しめる体験の紹介を行っています。20万人を超える総フォロワーを有するSNSアカウントを基盤に、ペットとの生活を豊かにする情報を発信しています。
収益源は主にクライアント企業からのプロモーション依頼やSNS運用支援の対価、コラボアイテムの発売、イベントでの収益等です。運営は主にFLAFFYが行っています。
■その他事業
近所の愛犬家であるドッグホストと、旅行や出張等で犬の預かりを希望する飼い主をつなぐ、犬の預かりマッチングプラットフォームを運営しています。ペットホテルに代わる家庭的な環境で安心して預けたいというニーズに応えています。
収益は主にドッグホストと飼い主をマッチングする際の手数料等から得ています。運営は主にDogHuggyが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は2023年3月期まで順調に拡大していましたが、近年は一部商流変更等の影響により減少傾向にあります。利益面でも長らく黒字基調を維持していましたが、直近の2026年3月期はDTCブランドへの投資や売上の減少が響き、経常損失を計上する結果となりました。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 96.5億円 | 100.3億円 | 99.1億円 | 90.3億円 | 74.2億円 |
| 経常利益 | 1.5億円 | 2.3億円 | 2.4億円 | 2.1億円 | -2.3億円 |
| 利益率(%) | 1.6% | 2.3% | 2.4% | 2.3% | -3.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.1億円 | 1.5億円 | 1.7億円 | 1.3億円 | -2.7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の減少に伴い、売上総利益は22.7億円に縮小しました。売上総利益率は約31%前後で推移していますが、販売費及び一般管理費が利益水準を圧迫し、直近では営業損失となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 90.3億円 | 74.2億円 |
| 売上総利益 | 28.1億円 | 22.7億円 |
| 売上総利益率(%) | 31.1% | 30.6% |
| 営業利益 | 2.3億円 | -2.0億円 |
| 営業利益率(%) | 2.5% | -2.8% |
販売費及び一般管理費のうち、運賃及び荷造費が6.8億円(構成比27%)、販売手数料が4.2億円(同17%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力であったペットコマース事業は売上高と利益がともに減少しています。一方、当期より新たに連結子会社化した事業からなるペットメディア事業は売上高2.9億円、利益0.6億円を計上し、高い利益率を示して新たな収益源として貢献し始めています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ペットコマース事業 | 90.3億円 | 71.3億円 | 5.9億円 | 1.0億円 | 1.4% |
| ペットメディア事業 | - | 2.9億円 | - | 0.6億円 | 19.7% |
| 連結(合計) | 90.3億円 | 74.2億円 | 2.3億円 | -2.0億円 | -2.8% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業・投資・財務いずれもマイナスで資金繰りが危機的な末期型の状態となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.9億円 | -0.5億円 |
| 投資CF | -0.4億円 | -3.7億円 |
| 財務CF | 3.1億円 | -0.1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-24.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も32.0%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「ハッピーペットライフ・ハッピーワールド〜ペットライフを幸せに・世の中を幸せに」というスローガンを掲げています。また、「ペットライフをハッピーに」をビジョンとし、テクノロジーを活用してペットのQOL(健康で豊かな生活)を最大化していくことが、より豊かな暮らしの実現につながると考えています。
■(2) 企業文化
同社グループでは、スローガンやビジョン、ミッションを一人ひとりが体現できる組織を目指しています。従業員が大切にする行動理念や価値観として「10のコミットメント」を策定しており、人事評価や採用活動、日々の業務判断等においてもこのコミットメントを重視する文化を根付かせています。
■(3) 経営計画・目標
中長期的な企業価値の増大を目指し、持続的な成長を実現するための重要な経営指標を設定しています。具体的には、事業構造転換の進捗や収益力の向上を測るため、以下の指標を重視しています。
・売上高
・DTC売上高
・営業利益
・営業利益率
■(4) 成長戦略と重点施策
従来のナショナルブランド中心・コマース主体の成長モデルから、高収益で持続的な成長が可能な事業構造への転換を進めています。以下の4つの成長ドライバーを軸に展開します。
・既存ECの収益基盤再構築と顧客LTVの向上
・食事療法食等のDTCブランドの品揃えと販売チャネル拡大
・M&Aを通じたメディア・ケア等のコト消費領域への事業拡大
・アライアンスによる新たな顧客接点・収益機会の創出
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
事業戦略と連動した人材の確保、育成および適正配置を人材戦略の基本方針としています。特に、DTCブランドの商品企画、EC運営、デジタルマーケティングやM&A等の専門性の高い人材の確保・育成を課題と位置づけ、中途採用を中心に即戦力人材を獲得し、独自の評価制度を通じて成長を促す方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 45.1歳 | 7.8年 | 5,039,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 50.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用労働者) | - |
※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には一部項目の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) Eコマース普及と特定オンラインモールへの依存
主力であるペットコマース事業はEコマースの発展が前提となりますが、法的規制や技術革新の遅れにより阻害されるリスクがあります。また、売上の約60%が他社EC経由であり、大手オンラインモールの規約変更やシステムトラブル、手数料率の引き上げが業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定の仕入先やナショナルブランド商品への依存
主要仕入先上位2社への依存度が約72%と高く、取引条件の悪化が業績に影響する可能性があります。また、売上の多くを海外のナショナルブランド商品が占めており、経営方針の変更や原材料高騰による大幅な値上げ、長期欠品が発生した場合、安定的な商品供給が困難になるリスクがあります。
■(3) システムトラブルと個人情報の取扱い
受発注から在庫管理、発送に至る多くの業務を独自の業務管理システムに依存しています。自然災害やサイバー攻撃、想定を超えるアクセス増によりシステム障害が発生した場合、事業運営に支障をきたします。また、Eコマース経由で保有する多くの顧客個人情報が流出した場合、社会的信用の低下や損害賠償につながる恐れがあります。



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