ペットゴー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ペットゴー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場するペットゴーは、ペットヘルスケア事業を展開する企業です。ECサイトを通じ、動物用医薬品や食事療法食などを販売しています。直近の決算では、D2Cブランドが伸長したものの、ナショナルブランドの商流変更等の影響により減収減益となりました。


※本記事は、ペットゴー株式会社 の有価証券報告書(第21期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年06月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ペットゴーってどんな会社?


ペットのQOL向上を掲げ、動物用医薬品や食事療法食などのペットヘルスケア商品をECで販売する企業です。

(1) 会社概要


同社は2004年に設立され、ペット用品の通信販売を開始しました。2008年には動物用医薬品等のヘルスケア商品の取り扱いを始め、2020年にはD2Cブランド「ベッツワン」シリーズを発売しました。2022年に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしています。

現在の従業員数は連結・単体ともに48名です。大株主構成を見ると、筆頭株主は創業者で代表取締役社長の黒澤弘氏であり、第2位には株式会社SBI証券が名を連ねています。経営陣による持株比率が高く、オーナーシップの強い体制となっています。

氏名 持株比率
黒澤 弘 15.80%
SBI証券 7.50%
中谷 将史 5.32%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長(CEO)は黒澤弘氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
黒澤 弘 代表取締役社長(CEO) 住友商事、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2004年11月に同社を設立し代表取締役社長に就任。2017年よりペットゴープロダクツ代表取締役社長も兼務。
小出 文彦 取締役副社長(CTO) アルファシステムズ、楽天(現楽天グループ)を経て、2006年に同社入社。2008年取締役、2023年6月より取締役副社長に就任。
佐藤 建史 取締役経営企画部長(CF0) 新日本監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)等を経て、2018年に同社入社。経営企画部長、執行役員を経て、2023年6月より現職。


社外取締役は、百田功(元IIJ America Inc.社長)、藤池智則(弁護士)、伊藤章子(公認会計士・税理士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ペットヘルスケア事業」を展開しています。

(1) ペットヘルスケア事業


同社は、動物用医薬品、食事療法食、サプリメントなどの犬猫用ヘルスケア商品を販売しています。ナショナルブランド商品に加え、自社開発のD2Cブランド「ベッツワン」シリーズも展開しており、従来は動物病院で購入されていた商品をECを通じて提供することで、飼い主の利便性向上とペットのQOL向上を図っています。

収益は、自社オンラインサイト「petgo」および楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなどの他社オンラインモールを通じた商品販売により、一般消費者(飼い主)から代金を受領しています。また、定期購入(サブスクコマース)の仕組みも導入しています。運営は主にペットゴーが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は90億円から100億円前後で推移しています。第21期は減収となりましたが、利益面では黒字を継続しています。利益率は1%〜2%台で安定的に推移しており、D2Cブランドの成長による収益性の改善を目指している段階と言えます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 95億円 97億円 100億円 99億円 90億円
経常利益 1.1億円 1.5億円 2.3億円 2.4億円 2.1億円
利益率(%) 1.2% 1.6% 2.3% 2.4% 2.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.7億円 1.1億円 1.5億円 1.7億円 1.3億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高は減少しましたが、売上総利益は微増しており、売上総利益率は改善傾向にあります。これは利益率の高いD2Cブランド製品の構成比が上昇したことなどが要因です。一方、販売費及び一般管理費は増加しており、営業利益率は横ばいで推移しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 99億円 90億円
売上総利益 28億円 28億円
売上総利益率(%) 27.9% 31.1%
営業利益 2.5億円 2.3億円
営業利益率(%) 2.5% 2.5%


販売費及び一般管理費のうち、運賃及び荷造費が7.3億円(構成比28.4%)、販売手数料が4.4億円(同17.1%)、決済手数料が2.5億円(同9.9%)を占めています。EC事業の特性上、物流関連費や決済・販売手数料が主要なコストとなっています。

(3) セグメント収益


同社はペットヘルスケア事業の単一セグメントですが、販売経路別の売上推移を見ると、自社オンラインサイト、他社オンラインモール等ともに減収となりました。特に他社オンラインモール等の売上減少額が大きく、一部ナショナルブランド商品の商流変更等の影響を受けています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
自社オンラインサイト 34億円 31億円
他社オンラインモール等 65億円 59億円
連結(合計) 99億円 90億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはプラスであり、積極型(営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態)に該当します。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 1.6億円 0.9億円
投資CF -0.0億円 -0.4億円
財務CF -1.0億円 3.1億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は37.0%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「ハッピーペットライフ・ハッピーワールド~ペットライフを幸せに・世の中を幸せに」をスローガンとして掲げ、「ペットのQOL向上」をビジョンとしています。このビジョン達成のために、テクノロジーを駆使してペットの健康寿命を最大化していくことをミッションとしています。

(2) 企業文化


同社グループでは、スローガン、ビジョン、ミッションを従業員一人ひとりが体現できる組織を目指しています。そのために、従業員が大切にすべき行動理念や価値観として「10のコミットメント」を策定しており、人事評価や採用活動、日々の業務判断においてもこの指針を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、中長期的な持続的成長による企業価値の増大を目指しており、重要な経営指標として以下の項目を設定しています。特に、中期成長戦略「D2Cシフト」に基づき、D2Cブランド売上高の拡大を重視しています。

* 売上高
* 営業利益
* 営業利益率
* D2Cブランド売上高

(4) 成長戦略と重点施策


同社は「D2Cシフト」を掲げ、ナショナルブランド主体からD2Cブランド主体の構造への転換を進めています。プロダクト、チャネル、プロモーションの3つの戦略を軸にD2Cブランドを強化し、利益率の改善と持続的な成長を目指しています。また、DXプラットフォームや物流機能の強化にも取り組んでいます。

* プロダクト戦略:新規ウェット製品や周辺商材の開発による品揃え拡充。
* チャネル戦略:D2Cブランドストアの新規出店やオフライン展開の拡張。
* プロモーション戦略:広告販促投資やSNSマーケティングによる認知度・エンゲージメント向上。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、多様性を尊重し、性別や年齢に関係なく様々な人材が活躍できる環境づくりを推進しています。在宅勤務や時短勤務、育児休業取得などを促進し、やりがいを持って働ける組織を目指しています。また、ペットヘルスケア企業としてペット飼育に関する補助も行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 43.4歳 7.8年 4,930,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 41.7%
男性労働者の育児休業取得率 -
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) -
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) -
労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) -


※男性育児休業取得率および男女賃金差異については、有価証券報告書に記載がありませんでした。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、全従業員に占める女性従業員の割合(62.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) EC普及の可能性について


同社はECを主体に事業を展開しており、国内EC市場の成長を前提としています。市場は拡大傾向にありますが、新たな法的規制の導入や技術革新の遅れなど予期せぬ要因によりECの発展が阻害された場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 犬猫の頭数について


取扱商品は犬猫を対象としていますが、近年犬の飼育頭数は減少傾向にあります。今後、動物愛護管理法による規制強化や社会環境の変化等により犬猫の飼育頭数が著しく減少した場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 競争の激化による業績変動について


ペットヘルスケア用品市場には競合他社が複数存在します。同社は独自サービス等で差別化を図っていますが、競争激化による顧客流出や広告宣伝費の増加、販売価格の低下等が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 法的規制等について


同社はペットフード安全法、薬機法、景品表示法などの法的規制を受けています。また、動物用医薬品販売業の許可を得て営業しています。法令違反や規制強化、許可の取消し等が発生した場合、事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。