※本記事は、サークレイス株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
サークレイスは、Salesforce、ServiceNow、Databricks、AWS、Microsoft、Anaplanなど世界最先端のITテクノロジーを活用し、企業のDXを推進する業務変革支援を提供しています。また、自社SaaS型クラウドサービス「AGAVE」も展開しています。
単体従業員数は300名、連結従業員数は370名です。セグメントはコンサルティング事業、アオラナウ事業の2つです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
サークレイスは、AI・データ活用時代に対応できるコンサルタント人材の育成に注力し、多様な働き方を支援する環境整備を進めている企業です。専門性を高めながらキャリアを築きたい方にとって、どのような給与水準や働き方が実現できるのか、具体的なデータから見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、比較的若い年齢層で構成されており、平均勤続年数は中堅どころとなっています。人材の定着を促しつつ、新たな人材の活躍も期待できる環境であると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,240,000円 |
| 平均勤続年数 | 4.4年 |
| 平均年齢 | 39.0歳 |
| 単体従業員数 | 300人 |
| 連結従業員数 | 370人 |
| 単体のグループ内比率 | 81.1% |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、急速に進化するAI・データ活用の時代において、顧客の課題を発見し、経営改革につながる提案ができるコンサルタント人材の育成を重点課題としています。特に、事業現場に常駐し、技術実装と経営改革を一体的に推進するFDE(Forward Deployed Engineer)型人材の輩出を重要な育成目標と位置づけています。Salesforceにとどまらず、Databricks、ServiceNow、Microsoft関連、生成AIエージェントなど、最新テクノロジーをいち早く習得できる人材の確保・育成にも継続的に取り組んでいます。
こうした人材戦略の実践基盤として、顧客へのAI活用提案に先立ち自社がその実践者となる「クライアントゼロ」の考え方のもと、全事業部でAIを活用した業務変革を推進しています。社員数の量的拡大よりも、一人ひとりがAIを活用して複数人分の価値を生み出せる組織への変革を目指し、多様な人材が能力を最大限に発揮できる環境整備を進めています。従業員給与等の決定方針については、職務の難易度・責任範囲を基準としたグレード制度を軸に決定されます。評価においては、技術スキルだけでなく課題発見力・提案力・顧客折衝力を中核的な要素として位置づけ、年1回のプロモーション会議で実績・行動評価を総合的に審査した上で、グレードおよび給与水準を決定しています。会社の業績および市場水準(同業他社・労働市場における賃金動向)を踏まえながら、継続的に処遇水準の適正化を図る方針です。
また、人材育成と社内環境整備に関する方針として、「各種研修制度の確立」「多様な人材の活用」「働きやすい風土づくり」という3つの柱を掲げています。具体的には、新卒新入社員に対する長期研修プログラムの運営や認定資格取得に対する社内トレーニングの充実、全社員への実践的なeラーニング研修の提供を行っています。多様な人材の活用では、女性管理職の積極的登用、高度なスキルや実践経験を有するキャリア採用、外国人採用による異文化交流の推進を進めています。働きやすい風土づくりとしては、ITを活用した効率的なテレワークの活用により、育児や介護と仕事との両立を支援できる勤務体系、有給取得の推進、定期的な全社ミーティングによる理念共有と一体感の醸成などに取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体のデータを示します。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、記載を省略しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 30.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 68.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 71.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 41.9% |
グループ全体(連結)
2026年3月期より、連結子会社であるCirclace HT Co.,Ltd.及びアオラナウ株式会社を含む連結ベースの数値を記載しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| リーダー職に占める女性労働者の割合 | 30.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異 | 65.0% |
| 労働者の平均年齢 | 37.8歳 |
| 労働者の外国籍比率 | 12.2% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
サークレイスは、SalesforceやServiceNowといった最先端のITテクノロジーを活用し、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するソリューションを提供しています。また、自社開発のSaaS型クラウドサービスも展開しており、コンサルティングとプロダクトの両面から顧客企業の課題解決を支援しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、「コンサルティング事業」と「アオラナウ事業」の2つの事業セグメントで構成されています。これらの事業を通じて、企業の業務変革支援やIT運用高度化を推進し、持続的な成長に貢献しています。収益は、主にクラウド導入支援や業務設計・開発・運用支援、および自社SaaS製品の提供から得られています。
コンサルティング事業
コンサルティング事業では、Salesforce、Databricks、AWS、Microsoft、Anaplanなどのクラウドテクノロジーを活用し、顧客企業の業務設計、システム構築、データ活用、組織変革、人材育成などを総合的に支援しています。この事業は「コンサルティングサービス」と「SaaSサービス」の2体系で構成されており、特に生成AIの活用やノーコード/ローコード開発、人材育成支援に注力しています。収益は、クラウド導入支援や開発・運用支援、および海外駐在員管理SaaS「AGAVE」の月額課金から得ています。運営は、サークレイス、合弁会社Circlace HT Co., Ltd.が行っています。
アオラナウ事業
アオラナウ事業では、ServiceNowを用いたITサービスマネジメント領域において、導入・設計・開発・定着支援を一貫して提供しています。顧客企業のIT運用高度化と業務標準化を支援し、組織変革と継続的な業務改善を実現しています。収益は、ServiceNowを活用したコンサルティングおよびシステム導入支援サービスから得ています。運営は、アオラナウが行っています。
同社グループの売上高構成比を見ると、コンサルティング事業が全体の約77%を占め、アオラナウ事業が約23%となっています。コンサルティング事業は前期から堅調に推移し、アオラナウ事業は前期から大きく拡大しています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| コンサルティング事業 | 32.4億円 | 35.0億円 |
| アオラナウ事業 | 5.6億円 | 10.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、直近5年間で売上高が着実に増加傾向にあります。利益面では、過去に一時的な損失を計上した期がありましたが、その後は回復し、当期は売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期を大きく上回る結果となりました。特に、当期は売上高が前期比で約2割増加し、営業利益は約3割増加しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | 29.0億円 | 38.0億円 | 45.4億円 |
| 経常利益 | - | - | △51百万円 | 2.0億円 | 2.6億円 |
| 経常利益率 | - | - | △1.8% | 5.4% | 5.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | △39百万円 | 1.8億円 | 2.1億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | △9.19 | 42.60 | 47.63 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から当期にかけて増加する傾向が見られます。これらの指標は、同社グループの事業規模拡大と効率性の向上が進んでいることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 10.7百万円 | 12.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.6百万円 | 0.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
サークレイスは、事業拡大に向けた投資を積極的に行っている段階にあります。財務基盤と資金の流れから、同社グループの経営状況を見ていきます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
サークレイスの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の非製造業平均を上回る水準にあり、安定した状態を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回っており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。手元資金は前期から減少していますが、事業活動を支える資金は確保されている状況です。これらの財務状況は、従業員の雇用や給与の安定性にも影響を与える要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 9.3億円 | 12.7億円 |
| 自己資本比率 | 54.5% | 68.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 20.7% | 18.3% |
| 現金及び預金 | 8.3億円 | 5.4億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
サークレイスの当期のキャッシュフローを見ると、営業活動によるキャッシュフローは支出となりました。これは主に賞与引当金の減少や売上債権、前払費用の増加、法人税等の支払額があった一方で、税金等調整前当期純利益や減価償却費、買掛金・未払金の増加があったことによるものです。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産や無形固定資産、投資有価証券の取得による支出が主な要因となり、引き続き支出が続いています。
財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金による収入があったものの、転換社債の返還や長期借入金の返済による支出があり、支出となりました。これらの結果、フリーキャッシュフローは支出となっており、事業拡大に向けた投資が活発に行われている状況を示しています。これは、将来の成長を見据えた投資フェーズにあることを示唆しており、長期的な視点での雇用安定性や成長性につながる可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.2億円 | △0.6億円 |
| 投資CF | △2.0億円 | △2.3億円 |
| 財務CF | 4百万円 | △7百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 23百万円 | △2.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、Salesforce等の特定技術領域への依存や競合他社の参入拡大による競争優位性の低下リスクを認識しています。これに対し、既存顧客の活用フェーズにおける価値提供強化やマルチクラウド対応の拡大により、特定分野への依存リスクの低減に努めています。また、生成AIの急速な進展によるビジネスモデルの変化や収益性変動のリスクも認識しており、AI&DATA戦略へのシフトやAI関連サービスの事業化を推進しています。
③ 人材・組織に関するリスク
IT人材の採用競争激化により、市場に求められる最先端技術の知識や経験を持つ人材が不足するリスクを認識しています。同社グループは、戦略的な採用活動に加え、従業員の教育・研修を体系的に実施し、市場に一致した人材維持に努めています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
サークレイスは、「Transforming Tomorrow thru Disruptive Technology!」を企業理念に掲げ、グローバルの最先端テクノロジーを通じて顧客の経営変革と社会課題解決を目指す企業です。データとテクノロジーを駆使し、人と組織の変革を支援するビジョンを掲げています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
サークレイスは、「Transforming Tomorrow thru Disruptive Technology!」を企業理念として掲げています。グローバルの最先端テクノロジーを通じて、顧客と共に経営変革を実現し、社会課題を解決することを目指しています。ミッションとして「データとグローバルの最先端テクノロジーを活用し、人と組織の変革を支援する」ことを掲げています。また、ビジョンは「誰もがデータとテクノロジーを使いこなし、未来に挑戦できる社会を創る」ことです。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、Value(価値観)として「Beyond Borders, Beyond Limits(国境も限界も超えて挑戦する)」、「Enjoy the Challenge(変革・成長を前向きに楽しむ)」、「Co-create the Future(顧客・社会と未来を共創する)」を掲げています。事業を通じて社会問題の解決に寄与し、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。多様性を認め合い、人材育成と社内環境整備を推進する風土づくりに取り組んでいます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、優秀なIT人材の確保と育成を重要な課題としています。SalesforceやServiceNowなどの専門領域において、非IT人材を含めた採用と短期間での実務配属を可能にする育成スキームを強化しています。AI関連資格の取得支援や社内トレーナー制度の導入により、高度人材の社内循環を促進しています。
また、顧客・地域基盤の拡大と社会的インパクトの創出にも取り組んでいます。地域企業へのクラウド導入支援やIT人材のリスキリング、行政・大学との連携を通じたAI・データ人材の育成支援を推進しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
サークレイスは、監査役会設置会社として、経営の健全性・効率性及び透明性の確保を目指しています。社外取締役や社外監査役を多く登用し、客観的な視点を取り入れたガバナンス体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
サークレイスの株主構成を見ると、筆頭株主は海外の機関投資家であり、第2位には事業会社であるパソナグループが名を連ねています。代表取締役会長兼社長の佐藤司氏も上位株主の一人として名を連ねており、多様な主体によって支えられている資本構成となっています。特にパソナグループは同社グループの主要株主であり、事業面でも関係性が見られます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| INTERACTIVE BROKERS LLC | 35.04% |
| パソナグループ | 32.89% |
| 佐藤 司 | 2.85% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は11名(男性10名・女性1名)で構成され、女性役員比率は9.0%です。代表取締役会長兼社長は佐藤司氏が務めています。社外取締役比率は62.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐藤 司 | 代表取締役会長兼社長 | 1997年Ernst & Young LL入社後、Pasona International Inc.代表取締役社長などを歴任。2012年11月株式会社パソナテキーラ(現同社)代表取締役に就任し、2024年7月より代表取締役会長兼社長を務めています。 |
| 古川 光瑛 | 取締役 | 2008年ウィリスタワーズワトソン株式会社入社後、AIG損害保険株式会社、アマゾンジャパン合同会社を経て、2023年4月同社上席執行役員CFOに就任。2024年6月より取締役CFOを務めています。 |
| 大崎 正嗣 | 取締役 | 1999年株式会社NTTデータ関西入社後、日本オラクル株式会社、日本マイクロソフト株式会社などを経て、2023年10月同社上席執行役員CROに就任。2024年6月より取締役CRO事業統括を務めています。 |
社外取締役は、シェイマス・マッキュー氏(TQUILA LIMITED 会長)、松永達也氏(イグニション・ポイント社外取締役・指名委員・報酬委員)、河村芳彦氏(電通グループ独立社外取締役・指名委員・報酬委員)、中田勝已氏(NTT, Inc.常勤監査役・指名委員・報酬委員)、板橋光一氏(パソナグループ常務執行役員)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会および監査役会が経営を監督する体制です。社外取締役5名が経営監視機能の客観性と中立性を確保し、専門的な知見から監督を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
サークレイスでは、取締役の報酬について報酬委員会が決定しています。報酬委員会は、取締役の個人別報酬の内容に関する方針策定や、譲渡制限付株式ユニットなどの非金銭報酬の付与決定を行っており、経営責任とインセンティブのバランスを考慮した報酬体系を構築しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 63百万円 | 21.0百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 14百万円 | 13.8百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 30百万円 | 5.1百万円 |
同社グループの役員報酬総額は107百万円であり、報酬の支給対象となった役員は合計10名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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