いよぎんホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

いよぎんホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

いよぎんホールディングスは、東京証券取引所プライム市場に上場しており、銀行業務を中心にリース業務等の金融サービスを展開する企業グループです。直近の業績では、国内外の金利上昇や貸出金残高の増加などにより資金運用収益が拡大し、増収増益の好調なトレンドを見せています。


※本記事は、株式会社いよぎんホールディングスの有価証券報告書(第4期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月16日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. いよぎんホールディングスってどんな会社?


同社は、伊予銀行を中核として、リース業務や証券業務など、幅広い金融サービスを総合的に提供する持ち株会社です。

(1) 会社概要


同社グループの歴史は、1941年の伊豫合同銀行設立に遡ります。1971年に東京証券取引所市場第1部に上場し、1990年に伊予銀行へと商号を変更しました。その後、環境変化や多様化する顧客ニーズに迅速に対応するため、2022年10月に単独株式移転によりいよぎんホールディングスを設立し、持株会社体制へと移行しました。

現在の従業員数はグループ全体で3,098名、単体で246名です。株主構成については、筆頭株主および第2位の株主が資産管理業務を行う信託銀行であり、第3位には生命保険会社が名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行 11.97%
日本カストディ銀行 6.79%
日本生命保険相互会社 3.06%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.0%です。代表取締役社長の三好賢治氏をはじめとする経営陣が組織を牽引しており、社外取締役の比率は42.9%となっています。

氏名 役職 主な経歴
三好賢治 取締役社長(代表取締役)(グループCEO) 1982年4月伊予銀行入行。同社常務取締役、専務取締役、取締役頭取を経て、2022年10月より現職。
長田浩 取締役専務執行役員(代表取締役)(グループCFO) 1987年4月伊予銀行入行。同社執行役員、常務取締役、専務取締役等を経て、2022年10月より現職。
仙波宏久 取締役常務執行役員 1988年4月伊予銀行入行。同社常務執行役員、常務取締役等を経て、2024年6月より現職。
伊藤眞道 取締役(監査等委員) 1985年4月伊予銀行入行。同社執行役員、常務取締役等を経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、上甲啓二(元愛媛県副知事)、野間自子(三宅坂総合法律事務所パートナー)、田和宏(元内閣府事務次官)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業」「リース業」および「その他」の事業を展開しています。

銀行業


預金業務、貸出業務、有価証券投資業務、為替業務などを提供し、地域に密着した営業活動を展開するグループの中核事業です。

収益は主に預貸金の利ざやや金融サービスの各種手数料から得ています。事業の運営は、伊予銀行およびいよぎん保証、いよぎんキャピタルをはじめとする各種連結子会社が行っています。

リース業


法人等の顧客向けに、機械設備や車両などのリース業務等を提供しています。

収益源は、顧客から受け取るリース料などです。事業の運営はいよぎんリースが行っています。

その他


上記報告セグメントに含まれない事業として、情報処理受託・ソフトウェア開発業および証券業などを提供しています。

システムの開発・運用等に伴う受託料や、証券関連の手数料が主な収益源です。運営はいよぎんコンピュータサービスや四国アライアンス証券などが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近4期間の業績を見ると、売上高(経常収益)は継続して右肩上がりの成長を遂げており、経常利益および当期利益についても着実な増益傾向が続いています。利益率も年々改善しており、収益基盤の強化が進んでいることがうかがえます。

項目 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,730億円 1,928億円 2,319億円 2,661億円
経常利益 424億円 586億円 750億円 992億円
利益率(%) 24.5% 30.4% 32.3% 37.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 88億円 94億円 230億円 374億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益状況を比較すると、売上高の大幅な増加に伴い、営業利益も堅調に伸びています。営業利益率は9.9%から14.1%へと向上しており、効率的な事業運営が実現されています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2,319億円 2,661億円
売上総利益 - -
売上総利益率(%) - -
営業利益 230億円 374億円
営業利益率(%) 9.9% 14.1%


販売費及び一般管理費のうち、主要な費用として給与・手当が10億円を占めています。

(3) セグメント収益


銀行業は、国内金利の上昇や貸出金残高の増加などにより資金運用収益が拡大し、全体の増収増益を強力に牽引しています。リース業およびその他の事業も安定して収益に貢献しており、グループ全体で好調な結果を残しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
銀行業 2,110億円 2,420億円 743億円 982億円 40.6%
リース業 185億円 215億円 6億円 5億円 2.3%
その他 24億円 26億円 207億円 380億円 1,461.5%
連結(合計) 2,319億円 2,661億円 750億円 992億円 37.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に貸出金の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -1,600億円 -1,610億円
投資CF 1,349億円 2,388億円
財務CF -240億円 -342億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.8%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は9.2%であり、いずれも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、グループ企業理念として自らの存在意義を「潤いと活力ある地域の明日を創る」と定めています。地域に根差した企業グループとしての社会的責任を果たしつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図りながら、地域経済の発展に貢献していくことを経営の基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は、「最適のサービスで信頼に応える」という経営姿勢と、「感謝の心でベストをつくす」という行動規範を重視しています。株主や顧客、地域の皆さまおよび従業員等とのゆるぎない信頼を確立し、誠実な事業活動を行う文化を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は「2024年度中期経営計画」において、構造改革のフェーズ1である「基礎構築」を進めています。2026年度に向けた目標として、企業価値向上に向けた財務・非財務のインパクト指標を設定しています。

* 連結ROE(純資産ベース):8.50%以上
* 親会社株主に帰属する当期純利益:770億円
* 連結コアOHR:48%程度

(4) 成長戦略と重点施策


「新たな価値を創造・提供し続ける企業グループ」という長期ビジョンのもと、「稼ぐ力」を向上させるために、「事業ポートフォリオ」と「人財ポートフォリオ」の再構築を中心とした「営業×人財」の構造改革を実行しています。また、積極的な成長投資や政策保有株式の削減を通じた収益基盤の強化にも注力しています。

* 成長投資:100億円

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人財を競争優位の源泉の一つと位置付け、「お客さま起点」を基本としています。「専門性を高めた共創人財」や「領域ごとの専門人財」など多様な人財が能力を最大限発揮できる環境を整備し、全従業員の5つのWell-Being実現を目指して人財育成に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 41.5歳 18.5年 9,873,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 46.5%
男女賃金差異(正規雇用者) 51.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 59.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員エンゲージメントスコア(72)、従業員1人あたりお客さま営業利益(6.1百万円)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 信用リスク

景気動向や不動産価格・株価・為替、貸出先の経営状況が大幅に変動した場合、不良債権および与信関係費用が増加し、業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 市場リスク(金利・為替・株価等)

金利や為替レート、株価などが大きく変動した場合、資金利益の縮小や保有する有価証券の価値下落などが発生し、業績および財政状態に悪影響を与えるリスクが存在します。

(3) オペレーショナル・リスク

不正確な事務や不正、想定外のシステム障害、サイバー攻撃による情報流出、コンプライアンス違反などが発生した場合、業務の停止や損害賠償の負担が生じ、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。