※本記事は、マイクロ波化学株式会社 の有価証券報告書(2026年6月期、2025年4月1日 ~ 2026年6月30日、2026年9月17日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
マイクロ波化学は、環境対応型プロセスのグローバルスタンダード化を目指す技術プロバイダーです。同社は、マイクロ波技術プラットフォームを活用したソリューション事業と、DualPoreSystem(DPS技術)による低濃度貴金属回収事業を展開しています。
単体従業員数は49名です。セグメントはマイクロ波ソリューション事業、その他事業の2つです。
マイクロ波化学は、顧客課題の特定から研究開発、実証、エンジニアリング、事業化・社会実装までを一貫して担う技術プロバイダーとして、ソリューションをワンストップで提供しています。
同社は、2025年9月に株式会社ディーピーエスからDualPoreソリューション事業を譲り受け、当事業年度よりセグメント区分を変更しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
マイクロ波化学は、革新的なマイクロ波化学技術を社会実装することを目指す企業です。専門性の高い技術開発と事業化を推進しており、そのミッションを達成するために、自律的なプロフェッショナル集団の形成を重視しています。このような環境は、専門知識を活かし、新しい価値創造に貢献したいと考える方にとって魅力的なものとなるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、経験豊富な人材が活躍している傾向が見られます。平均勤続年数は比較的短めですが、これは成長途上の企業において、新しい技術や事業領域への挑戦が活発に行われていることを示唆している可能性があります。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,858,196円 |
| 平均勤続年数 | 5.1年 |
| 平均年齢 | 44.6歳 |
| 単体従業員数 | 49人 |
なお、退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、「Make Wave, Make World 世界が知らない世界をつくれ」というミッションのもと、「社会実装を超える」をビジョンに掲げ、その実現のために「自律的なプロフェッショナル集団の形成」を人的資本領域における最重要課題と認識しています。この方針に基づき、人材育成と社内環境整備を進めています。
具体的には、化学、物理(電磁気学)、エンジニアリングなど多様な専門家からなる開発体制を構築するため、継続的に多様な人材の採用と育成を行っています。また、技術を理解し、顧客ニーズとマッチングさせるプロデューサー的な機能を持つ人材や、研究開発から事業化までをマネジメントできるプロジェクトリーダー級の人材の採用・育成にも注力しています。
人事制度においては、社員に期待するスキル・行動・コーポレートValueの要件を記述した「コンピタンス」を独自に定め、これを用いた人事制度を策定・導入しています。従業員の給与その他の給付は、各従業員の役割、職責、能力、経験、成果等を総合的に勘案し、社内規程及び人事制度に基づき決定されます。また、「コンピタンス」と個々のミッションに基づく目標達成状況を評価することで、公正かつ適切な処遇となるよう努めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
同社は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定による公表義務の対象ではないため、提出会社単体の法定開示データは開示されていません。
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員数 | 49人 |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
マイクロ波化学は、独自のマイクロ波技術とDualPoreSystem(DPS技術)を基盤に、環境対応型プロセスの社会実装を目指す技術プロバイダーです。顧客の課題解決に向けたソリューションを提供し、持続可能な社会の実現に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、製造プロセスを革新する技術を提供することで収益を上げています。特に、エネルギー伝達の効率化や資源の循環利用に貢献する技術を強みとしています。
マイクロ波ソリューション事業
この事業は、マイクロ波技術を活用し、製造プロセスの省エネルギー化、高効率化、コンパクト化を実現するプロジェクト型の事業です。重要鉱物に関連する金属製錬や鉱山プロセスへと適用領域を広げています。
収益は、共同開発費や実証機の設計費、プロジェクトマネジメントフィー、設計費、そして同社が所有する知的財産の使用料としてのライセンス収入から得ています。中長期的には、事業化したパイプラインから継続的なロイヤリティ収入を得ることを想定しています。
その他事業
この事業は、DualPoreSystem(DPS技術)を用いて低濃度の貴金属を回収するソリューションを提供しています。顧客の既存排液ラインにDPSカートリッジを設置し、回収した貴金属の価値を顧客とシェアするサブスクリプションモデルを採用しています。
収益は、回収した貴金属の価値に応じた継続的な収入から得ています。運営は、株式会社ディーピーエスが培ってきた技術・ノウハウを承継して行っています。
同社は、特定の顧客への販売実績も確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、マイクロ波技術を基盤としたソリューション事業を展開しており、将来の成長に向けた研究開発投資を積極的に行っています。現在の財務状況は、事業拡大フェーズにおける資金の流れを示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤を見ると、自己資本比率はプライム市場の平均と比較して低い水準にあります。また、ROE(自己資本利益率)はマイナスとなっており、当期純損失を計上している状況です。手元資金は一定の残高を維持していますが、今後の事業展開における資金調達の動向が注目されます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | - | 1.5億円 |
| 自己資本比率 | - | 10.9% |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金 | - | 4.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
当事業年度は決算期変更に伴う15か月の変則決算であり、前事業年度との比較は行われていません。同社の営業活動によるキャッシュ・フローは459百万円の支出となりました。これは主に税引前当期純損失の計上、契約負債の減少額、仕入債務の減少額によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは87百万円の支出となりました。これは主に有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出によるものです。財務活動によるキャッシュ・フローは441百万円の収入となりました。これは主に長期借入れによる収入と株式の発行による収入によるものです。結果として、フリーキャッシュ・フローは547百万円の支出となっており、営業活動と投資活動による資金流出を財務活動で補っている状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年6月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | △459百万円 |
| 投資CF | - | △87百万円 |
| 財務CF | - | 441百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | △547百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
同社は当事業年度において、売上高が当初予想を下回り、営業損失、経常損失及び当期純損失を計上しました。また、純資産が減少し、自己資本比率が低下しているため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しています。同社は顧客基盤及び収益源の多様化、並びに事業推進に必要な流動性の確保に取り組んでおり、当該事象又は状況は解消又は改善される見込みであると判断しています。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社のマイクロ波ソリューション事業における収益は、共同開発契約に伴う開発一時金の収受が中心であるため、計上時期や金額によっては事業収益が不安定に推移する可能性があります。また、売上単価が大きいフェーズ2以降の案件において、現時点では特定の取引先からの売上が一定の割合を占めています。同社は顧客基盤及び収益源の多様化を進めていく方針です。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は当事業年度末現在、従業員51名(臨時雇用者含む)と小規模な組織です。業務上必要な人員の増強及び内部体制の充実を図っていく方針ですが、必要な人材を獲得できない場合や人材流出が生じた場合、事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
マイクロ波化学は、独自技術を社会に実装することを使命とし、持続的な企業価値の向上を目指しています。技術革新を通じて、製造業が抱える課題解決に貢献する企業風土が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は「Make Wave, Make World 世界が知らない世界をつくれ」をミッションとして掲げています。独自技術を産業の現場で稼働する設備及び事業へと変えること、すなわち社会実装そのものを事業と位置付けています。
また、技術をスケールアップし、事業として成立させ、その先で社会・産業に根付かせるという意思を込めて「社会実装を超える」をビジョンとしています。同社の競争力の源泉は、特定の技術そのものではなく、独自技術を社会実装する一貫した機能にあると考えています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、人的資本領域における最重要課題として「自律的なプロフェッショナル集団の形成」を掲げています。これに沿った人材育成方針及び社内環境整備方針を採用しており、多様な人材の確保とプロジェクトリーダーの育成を重視しています。
社員に期待するスキル・行動・コーポレートValueの要件を記述した「コンピタンス」を独自に定め、これを用いた人事制度を策定・導入しています。従業員の給与その他の給付については、各従業員の役割、職責、能力、経験、成果等を総合的に勘案し、コンピタンスとミッションに基づく目標達成状況を評価して決定しています。
経営の規模拡大と健全性・透明性の確保を両立させるため、コーポレート・ガバナンスの強化・充実を重要課題と認識しています。全社の活動において内部統制を有効に機能させることを目指しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、顧客基盤及び収益源の多様化、経営管理体制の強化、人材確保を全社共通の事業上の課題としています。特に、マイクロ波ソリューション事業においては、技術開発体制と事業開発体制の継続的な強化が課題です。
DualPoreソリューション事業では、対象とする貴金属の拡大や適用範囲拡大に向けた技術開発、国内外の顧客・業界ニーズを踏まえた事業開発体制の構築・強化に取り組んでいます。これらの課題に対し、継続的な取り組みを通じて自社ノウハウを蓄積し、強固な組織づくりを進める方針です。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は、取締役会、監査等委員会、会計監査人を設置し、企業統治体制の強化を図っています。取締役会は社外取締役を含む複数の取締役で構成され、迅速な意思決定と業務執行の効率化を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、代表取締役社長CEOの吉野巌氏と代表取締役CSOの塚原保徳氏が上位を占めており、創業者が主要な株主であることが特徴です。また、事業会社である三井化学も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 吉野 巌 | 7.90% |
| 塚原 保徳 | 6.90% |
| 三井化学 | 4.90% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長CEOは吉野巌氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 吉野 巌 | 代表取締役 社長 CEO | 1990年三井物産入社、2002年カリフォルニア州立大学バークレー校経営大学院修了。ナラプロ・テクノロジーズ代表取締役社長、マイクロ波環境化学(現同社)設立代表取締役社長、ティエムティ代表取締役を経て、2023年6月同社代表取締役社長CEOより現職。 |
| 塚原 保徳 | 代表取締役 CSO | 2004年大阪大学大学院理学研究科博士後期課程修了。大阪大学大学院工学研究科特任准教授、マイクロ波環境化学(現同社)取締役CSO、ティエムティ取締役を経て、2024年6月同社代表取締役CSOより現職。 |
社外取締役は、浦田興優氏(日本材料技研代表取締役社長)、髙橋祐子氏(ヒューリック社外取締役・LINEヤフー社外取締役・監査等委員)、齊藤修一氏(一般財団法人八三財団代表理事・ベルク社外取締役・17LIVE社外監査役・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会、監査等委員会、会計監査人を設置しています。社外取締役は経営者や専門家としての豊富な経験と幅広い見識に基づき、客観的な視点から取締役の職務執行を監督・助言する役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、取締役(監査等委員である取締役を除く)に対しては固定額の月例報酬を基本としています。これは、同社の持続的な企業価値向上への動機付けとなるよう、業績や各取締役の職責、貢献度を総合的に考慮し、株主総会で承認された報酬枠内で決定されます。監査等委員である取締役の報酬は、株主総会で承認された枠内で監査等委員間の協議により決定される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 30百万円 | 15.0百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 12百万円 | 11.5百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 22百万円 | 7.5百万円 |
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