※本記事は、ウェルネス・コミュニケーションズ株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ウェルネス・コミュニケーションズは、疾病予防と健康増進の領域でウェルネスソリューションを提供する企業です。大規模企業や健康保険組合向けに、健康診断サービスと健康管理クラウドサービスを展開しています。
単体従業員数は128名、連結従業員数は263名です。セグメントは健診ソリューション事業、健康管理クラウド事業、医療機関等支援事業の3つです。
主な国内グループ会社は、あしたのチーム(サービス業)などです。
2026年2月27日付で株式会社あしたのチームの株式を取得し連結子会社化したことに伴い、当連結会計年度より連結決算に移行しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ウェルネス・コミュニケーションズは、従業員の健康と成長を重視し、働きがいのある環境づくりに力を入れています。多様なキャリアパスの提供や柔軟な働き方の支援を通じて、個々の能力を最大限に引き出すことを目指しています。
同社グループの給与水準や在籍傾向、人的資本データから、どのような働き方ができるのかを具体的に見ていきましょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
ウェルネス・コミュニケーションズでは、平均勤続年数と平均年齢から、比較的若く、新しい人材が活躍している傾向が見られます。従業員の成長を促し、長期的なキャリア形成を支援する環境が整っていることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,105,000円 |
| 平均勤続年数 | 5年1ヶ月 |
| 平均年齢 | 40歳1ヶ月 |
| 単体従業員数 | 128人 |
| 連結従業員数 | 263人 |
| 単体のグループ内比率 | 48.7% |
ウェルネス・コミュニケーションズは、確定給付型と確定拠出型の両方の退職給付制度を採用しています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。同社は複数事業主制度の企業年金基金に加入しており、国内の制度が対象となっています。
退職一時金制度もあり、退職給付として給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。なお、複数事業主制度の退職給付債務の期末残高は52.7億円のマイナスとなっています。簡便法を適用した確定給付制度の退職給付に係る負債の期末残高は2百万円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ウェルネス・コミュニケーションズは、人材を最も重要な経営資源と位置付け、経営戦略と一体となった人的資本経営の高度化を推進しています。2026年4月からは事業単位ごとの責任と権限を明確にするため、事業オーナー制を導入する方針です。外部から高い専門性を持つ人材の採用や、各分野における教育・研修を通じて、組織全体の人材強化を図っています。
人事評価制度にはMBO制度を導入しており、期初に設定した個人目標の達成度合いに応じて職位や報酬に反映されます。マネジメントへのキャリアアップを目指す給与体系だけでなく、専門領域でスペシャリストを目指す給与体系も有しており、従業員の意欲を高め、パフォーマンス向上を支援しています。報酬制度の高度化として、株式報酬制度、ストックオプション、従業員持株会等にも取り組み、給与水準の向上を図っています。
次世代マネジメント人材の育成や、多様で持続可能な人材ポートフォリオの構築も重点テーマです。採用強化、ミドルマネジメント育成、女性管理職の登用促進などに取り組んでいます。また、研修・能力開発の充実、資産形成支援、福利厚生の拡充を通じて、個人の成長と企業価値向上の好循環を生み出すことを目指しています。
従業員一人ひとりが高いエンゲージメントを持ち、挑戦し続けることができる環境を整備するため、健康経営の推進と柔軟な働き方の整備にも力を入れています。具体的には、有給休暇取得促進、健康診断受診率の維持・向上、仕事と治療の両立支援などの施策を展開しています。同社は健康経営推進チームを有し、2019年から5年連続で健康経営優良法人に認定されています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定に基づき算出したものであり、パート・有期労働者において男性労働者が不在のため、記載を省略しております。提出会社単体の法定開示データを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 26.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 69.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 74.0% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 株式会社あしたのチーム
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の規定に基づき算出したものであり、パート・有期労働者において男性労働者が不在のため、記載を省略しております。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 0.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 85.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 86.1% |
健康・安全
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 健康診断の受診率 | 100.0% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 有給休暇取得率 | 92.4% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ウェルネス・コミュニケーションズは、企業や健康保険組合の健康管理を支援する事業を展開しています。労働安全衛生法に基づき企業に義務付けられている健康診断やストレスチェック、産業医の選任といった職域における健康管理の課題に対応するサービスを提供しています。同社グループの事業は、継続的な利用を前提としたストック型の収益モデルが特徴です。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に「健診ソリューション事業」と「健康管理クラウド事業」を展開し、これに「医療機関等支援事業」を加えています。主力である健診ソリューション事業と健康管理クラウド事業は、高いストック売上高比率と契約継続率を誇り、安定的な収益基盤を築いています。特定の顧客に収益が集中することはありませんが、健診ソリューション事業が同社グループの売上高の大部分を占めています。海外の外部顧客への売上高は連結売上高の90%を超えないため、国内市場が中心です。
健診ソリューション事業
企業や健康保険組合が行う健康診断の予約手配から精算代行、健康診断結果の一元化までをワンストップで提供するネットワーク健康診断サービスです。全国の医療機関と提携し、顧客の健康診断に関する煩雑な業務を効率化しています。収益は、健康診断の受診費用とi-Wellness利用を含む事務手数料を基本利用料とするストック型課金から得ています。
健康管理クラウド事業
健康管理クラウドサービス「Growbase」を提供しています。企業の健康診断結果や就労データ、ストレスチェックデータなどを個人単位で一元管理・可視化し、健康管理や健康経営を支援します。収益は、顧客企業の対象従業員数に応じたシステムの基本利用料やデータ保管料、セキュリティ認証利用料といったストック型課金が主です。
医療機関等支援事業
地域中核病院へのPET検査用の建物・装置等の賃貸借を行うPET関連事業と、協会けんぽや総合健康保険組合に加入している企業を対象とした健康診断のBPOサービスを提供しています。PET関連事業は2026年3月をもって契約期間満了を迎えています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 健診ソリューション事業 | - | 130億円 |
| 健康管理クラウド事業 | - | 15.2億円 |
| 医療機関等支援事業 | - | 2.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、それ以前の期間との比較はできません。当連結会計年度においては、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益が計上されています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | 148億円 |
| 経常利益 | - | - | - | - | 11.6億円 |
| 経常利益率 | - | - | - | - | 7.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | - | 8.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | - | 68.13 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は56.2百万円、従業員1人あたり営業利益は4.5百万円となっています。連結財務諸表の作成が当期からであるため、前期との比較はできません。これらの数値は、同社グループの事業規模と従業員数に基づいた生産性を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | - | 56.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | - | 4.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ウェルネス・コミュニケーションズは、安定した財務基盤を構築しています。本業で着実に資金を生み出し、成長に向けた投資も行いつつ、財務基盤を強化している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループは、強固な財務基盤を構築しています。自己資本比率は高い水準にあり、ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回る水準を示しています。手元資金も潤沢に確保されており、事業運営の安定性につながる状況です。このような財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にも良い影響を与える傾向があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 34.6億円 | 58.3億円 |
| 自己資本比率 | - | 59.9% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 14.1% |
| 現金及び預金 | 27.9億円 | 52.6億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループの当期のキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが11.0億円のプラスとなっています。これは主に税金等調整前当期純利益や減価償却費による資金の増加が要因です。投資活動によるキャッシュフローは△1.1億円のマイナスとなっており、無形固定資産の取得や事業譲受による支出があった一方で、有形固定資産の売却による収入もありました。
この結果、本業で得た資金で投資を賄い、余剰資金を生み出すフリーキャッシュフローは9.9億円のプラスとなっています。財務活動によるキャッシュフローは14.9億円のプラスで、上場に伴う公募増資や第三者割当増資による株式発行収入が主な要因です。これらの資金の流れは、同社グループが安定した事業活動で資金を生み出し、成長に向けた投資も行いつつ、財務基盤を強化している状況を示しており、雇用や給与の安定性、将来の成長性につながる傾向があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | 11.0億円 |
| 投資CF | - | △1.1億円 |
| 財務CF | - | 14.9億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | 9.9億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、市場動向として健康保険組合の財政悪化やPHR/EHRの推進、健康管理クラウド事業における市場環境の激化による影響を受ける可能性があります。また、競合他社の技術開発力や価格競争力、営業力によっては、販売競争で劣勢に立たされるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、長期的な安定成長を牽引する優秀かつ多様な人材の確保・育成が計画通りに進まなかった場合、または多くの人材が退社した場合に、今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ウェルネス・コミュニケーションズは、「ウェルネス・データで、未来をつくる。」というパーパスを掲げ、企業の健康経営と人的資本経営の高度化に貢献することを目指しています。データ活用を軸に、企業と従業員の健康を支援するサービスを提供しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「ウェルネス・データで、未来をつくる。」をパーパスに掲げています。企業や健康保険組合、その従業員に対し、健康診断と健康管理に関するサービスを一体的に提供しています。また、医療機関を重要なパートナーと位置付け、健康診断に係る業務効率化と安定運営を支援しています。主力サービスである「Growbase」を中核としたデータ活用型のプラットフォーム構想を推進し、「企業と人を元気にする。」というビジョンの実現を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、多様な人材が働きがいをもって活躍できる環境と仕組みの整備を重視しています。性別や年齢を問わず、意欲的な従業員が活躍できる組織の構築に取り組んでいます。成果に応じてキャリアプランや報酬に反映するMBO制度を採用し、マネジメントだけでなく専門領域のスペシャリストを目指す給与体系も有しています。在宅勤務制度や兼業許可規程制度を導入し、働き方の多様性を高めることにも注力しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、成長を支える組織改革と人材育成を重要な課題と認識しています。事業拡大に対応するため、2026年4月から事業オーナー制を導入し、組織全体の実行力向上を図っています。また、非連続成長を牽引するCFOや高度人材の起用を進め、専門人材の採用と育成を継続的に強化しています。中長期的な成長を支える人材基盤の構築に向けて、人材採用、適材適所の配置、積極的な登用、人材育成・研修制度の拡充を進めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ウェルネス・コミュニケーションズは、取締役会及び監査役会を設置しています。社外役員が経営の監督機能を強化する体制を採用しており、透明性の高い経営を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
ウェルネス・コミュニケーションズは、SOMPOホールディングスを筆頭株主とし、複数の事業会社や投資ファンドに支えられています。筆頭株主であるSOMPOホールディングスは、同社グループの経営に深く関与していることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| SOMPOホールディングス | 32.08% |
| LHP Holdings, L.P.(常任代理人 イントリム) | 28.65% |
| アドバンテッジ リスク マネジメント | 4.37% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性6名・女性2名)で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は松田泰秀氏が務めています。社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松田 泰秀 | 代表取締役社長 | 1998年伊藤忠商事入社後、伊藤忠保険サービス等に出向。2006年同社に出向し取締役、2012年同社取締役を経て、2016年より同社代表取締役社長。 |
| 佐々木 雅之 | 取締役 | 2005年伊藤忠エレクトロニクス入社。2006年同社に出向し、2010年同社に転籍。法人事業部部長代行、データソリューション事業部部長、CRM推進部部長、経営企画管掌執行役員等を歴任し、2024年より同社取締役。 |
社外取締役は、並木洋平氏(SOMPOホールディングス執行役員)、尾西祥平氏(弁護士・SmartHR社外取締役監査等委員・任意の指名報酬委員会構成員)、武田雅子氏(カルビー常務執行役員CHRO・SmartHR社外取締役・任意の指名報酬委員会構成員)です。
ウェルネス・コミュニケーションズは監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会を設置しています。社外取締役と社外監査役が独立した立場から経営の監督機能を強化する体制を採用しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
ウェルネス・コミュニケーションズの役員報酬は、固定報酬、業績連動型報酬、役員退職慰労金で構成されています。社外取締役には固定報酬のみが支給されます。報酬の決定にあたっては、任意の指名報酬委員会が諮問機関として機能しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 2名 | 65百万円 | 32.5百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 27百万円 | 4.5百万円 |
報酬等の総額は92百万円であり、対象となる役員の総数は8名です。なお、業績連動報酬には役員賞与21,796千円が含まれており、取締役の報酬総額には役員退職慰労引当金繰入額6,000千円が含まれています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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