ちゅうぎんフィナンシャルグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ちゅうぎんフィナンシャルグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場。岡山県を地盤とする中国銀行を中核に、リース、証券などの金融サービスを展開。2025年3月期の連結業績は、貸出金利息や有価証券利息配当金の増加等により、経常収益は前期比14.6%増、経常利益は22.8%増、親会社株主に帰属する当期純利益は28.2%増の増収増益となりました。


※本記事は、株式会社ちゅうぎんフィナンシャルグループ の有価証券報告書(第3期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ちゅうぎんフィナンシャルグループってどんな会社?


中国銀行を中核とする総合金融グループです。銀行業務を中心に、リース、証券、クレジットカード等のサービスを展開しています。

(1) 会社概要


2022年10月、株式会社中国銀行の単独株式移転により持株会社として設立されました。中核の中国銀行は1930年に設立され、岡山県を中心に事業を展開しています。グループとしては、1982年に中銀リース、2009年に中銀証券(旧津山証券)を子会社化し体制を拡充。2023年には地域エネルギー会社を設立するなど、非金融分野へも進出しています。

2025年3月31日時点の従業員数は、連結で3,015名、単体で43名です。大株主構成は、筆頭株主が資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(13.87%)、第2位が同様に資産管理を行う株式会社日本カストディ銀行(4.95%)、第3位が倉庫業を営む岡山土地倉庫(2.99%)となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社 13.87%
株式会社日本カストディ銀行 4.95%
岡山土地倉庫株式会社 2.99%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は加藤貞則氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
加藤 貞則 取締役社長(代表取締役) 1981年中国銀行入行。システム部長、人事部長等を歴任。2019年同行取締役頭取に就任。2022年10月より現職。
原田 育秀 取締役副社長(代表取締役) 1985年中国銀行入行。人事部長、常務取締役等を歴任。2025年4月同行取締役副頭取に就任。2025年4月より現職。
山本 総一 取締役専務執行役員(代表取締役) 1988年中国銀行入行。リスク統括部長、東京支店長等を歴任。2025年4月同行取締役専務執行役員に就任。2025年4月より現職。
谷口 晋一 取締役常務執行役員 1987年中国銀行入行。総合企画部長、常務取締役等を歴任。2024年6月より現職。
福原 賢一 取締役 1976年野村證券入社。ベネッセホールディングス社長、副会長等を歴任。2023年6月より現職。
八剱 洋一郎 取締役 1978年日本アイ・ビー・エム入社。SAPジャパン社長、ワークスアプリケーションズ副社長等を歴任。2024年6月より現職。
大原 浩之 取締役(監査等委員)(常勤) 1985年中国銀行入行。融資部長、常務取締役等を歴任。2022年10月より現職。


社外取締役は、福原賢一(元ベネッセHD社長)、八剱 洋一郎(ジオテクノロジーズ社長)、清野幸代(弁護士)、人見康弘(元シマノ取締役)、生越 栄美子(公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業」「リース業」「証券業」および「その他」事業を展開しています。

銀行業


中核事業として、預金、貸出、有価証券投資、為替、信託等の銀行業務全般を行っています。岡山県を中心とした国内店舗網に加え、海外拠点も有し、地域経済の中枢機能を担っています。また、信用保証業務や銀行事務の受託業務も含まれます。

収益は、貸出金利息や有価証券利息配当金、各種手数料収入等から構成されています。運営は主に株式会社中国銀行が行っており、その他、株式会社CBSや中銀事務センター株式会社、中銀保証株式会社が関連業務を担っています。

リース業


岡山県内外の企業に対して、機械設備や情報関連機器などのリース事業を展開しています。企業の設備投資ニーズに対応し、物件の賃貸借を通じた金融サービスを提供しています。

収益は、リース契約に基づくリース料収入等が主な源泉です。運営は主に中銀リース株式会社が行っています。

証券業


株式、債券、投資信託などの金融商品の販売や仲介を行っています。顧客の資産形成や資産運用ニーズに対応した証券サービスを提供しています。

収益は、金融商品の売買に伴う委託手数料や投資信託の販売手数料、信託報酬等が主な源泉です。運営は主に中銀証券株式会社が行っています。

その他


クレジットカード業務、投資顧問業務、ファンド運営、人材紹介、コンサルティング、地域エネルギー事業など多角的に展開しています。地域商社やDX支援なども含み、金融以外の領域でも地域課題の解決に取り組んでいます。

収益は、カード手数料、投資顧問料、コンサルティング料、売電収入など多岐にわたります。運営は、中銀カード株式会社、中銀アセットマネジメント株式会社、株式会社ちゅうぎんエナジーなどが各事業を行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

当期は、国内金利の上昇に伴う資金運用収益の大幅な増加を主因として増収増益となりました。経常収益は、前年同期比で14.6%の増加を記録しました。一方、経常費用は、資金調達費用や与信コストの増加により、同13.0%増加しました。その結果、経常利益は同22.8%増益、親会社株主に帰属する当期純利益は同28.2%増益となりました。過去数年間の業績を見ると、経常収益、経常利益ともに増加傾向で推移しています。

項目 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
経常収益(億円) 1,799 1,847 2,117
経常利益(億円) 296 312 383
当期純利益(億円) 205 214 274

(2) 損益計算書

当期は、国内金利の上昇などを背景とした資金運用収益の増加により、経常収益が前期比で増加しました。経常費用も、資金調達費用や与信コストの増加などにより増加しましたが、収益の増加がそれを上回ったため、経常利益は前期を上回る結果となりました。当期純利益も同様に増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
経常収益 1,847 2,117
経常費用 1,535 1,734
経常利益 312 383
当期純利益 214 274

(3) 役務取引等収益の内訳

当期の役務取引等収益合計は、前期比で増加しました。その中でも、信託報酬が最も大きく、次いで預金・貸出業務が続きます。信託報酬は、投資信託の信託報酬増加を主因として増加しました。

区分 2024年3月期 2025年3月期
役務取引等収益 合計 220 242
預金・貸出業務 93 101
為替業務 48 50
証券関連業務 22 28
代理業務 23 27
信託報酬 220 238

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ちゅうぎんフィナンシャルグループのキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローは債券貸借取引受入担保金の残高増加などによりプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは有価証券の取得を主因としてマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは社債の発行などによりプラスとなりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業活動によるキャッシュ・フロー 1,156 469
投資活動によるキャッシュ・フロー △1984 △2651
財務活動によるキャッシュ・フロー △79 42

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「地域・お客さま・従業員と分かち合える豊かな未来を共創する」を長期ビジョンに掲げています。地域社会やお客さまに必要とされ続ける企業グループを目指し、金融を中心とした総合サービス業へ進化することで、地域全体の付加価値向上とグループの企業価値向上を追求しています。

(2) 企業文化


「ちゅうぎんバリュー」や「企業行動規範」のもと、地域社会やお客さまと相互に発展するビジネスモデルの確立を重視しています。また、従業員の自律的な行動を促し、多様な人材が活躍できる環境づくりを推進しています。法令遵守や高い倫理観に基づいた誠実な行動を基本とし、持続可能な社会の実現に貢献する姿勢を持っています。

(3) 経営計画・目標


長期経営計画『Vision 2027「未来共創プラン」』および中期経営計画『未来共創プラン ステージⅢ』(2023年度~2026年度)を推進しています。最終年度である2026年度の主なKPIとして以下を掲げています。

* 親会社株主に帰属する当期純利益:400億円以上
* ROE:7%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「地方創生SDGsの深化」「イノベーションの創出」「グループ経営基盤の強化」の3つを成長戦略として定義しています。地域応援活動やサステナブルファイナンスの強化、DX戦略による地域インフラの利便性向上、ユニット制導入による経営資源の戦略的配分などに取り組んでいます。

* サステナブルファイナンス累計実行額(2026年度まで):1.5兆円
* 人的資本投資額(2025年度以降):10億円に倍増

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「地域・お客さま・従業員と分かち合える豊かな未来を共創する」理念のもと、性別や年齢を問わず個性的でやる気のある従業員が活躍できる環境を目指しています。多様なキャリアパスの提供や専門性を持った人材の育成、自律的な挑戦をサポートする仕組みづくりを推進し、人的資本への投資を拡大しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.3歳 15.4年 8,342,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.0%
男性育児休業取得率 98.7%
男女賃金差異(全労働者) 48.5%
男女賃金差異(正規雇用) 52.5%
男女賃金差異(非正規雇用) 70.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(51.4%)、障がい者比率(2.56%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 信用リスク


信用供与先の財務状況悪化等により資産価値が減少し損失を被るリスクです。地域経済の低迷、特定の与信先や業種への集中、ストラクチャードファイナンス等の複雑化する与信においてリスクが顕在化する可能性があります。厳正な審査やモニタリングによる予兆把握、分散投資等により管理しています。

(2) 市場リスク


金利、為替、株式等の市場変動により資産・負債の価値や収益が変動するリスクです。国内外の金利上昇や株価下落、低金利の長期化等が影響を及ぼす可能性があります。リスク量の計測や限度額管理、ストレステストの実施等により、リスクとリターンのバランスに配慮した運営を行っています。

(3) オペレーショナル・リスク


事務ミス、システム障害、サイバー攻撃、役職員の不適切な行動、災害等により損失を被るリスクです。事務リスク、システムリスク、人的リスクなど6つに分類して管理しています。特にサイバー攻撃への対策強化や、災害時の事業継続計画(BCP)の策定・訓練等を通じて、リスクの低減に努めています。

(4) その他経営に重大な影響を及ぼすリスク


規制変更、風評被害、事業戦略の失敗、感染症のまん延、気候変動、マネー・ローンダリング対策の不備などが業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に気候変動リスクについては、移行リスクや物理的リスクの影響を分析し、ガバナンス体制の整備や取引先への支援を通じて対応を進めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。