ちゅうぎんフィナンシャルグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ちゅうぎんフィナンシャルグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場するちゅうぎんフィナンシャルグループは、中核の中国銀行をはじめ、リース業、証券業など幅広い金融サービスを展開しています。直近の業績は、資金運用収益の増加などを背景に、前年度比で増収増益と好調に推移しており、地域社会の発展と企業価値の向上の好循環を目指しています。


※本記事は、ちゅうぎんフィナンシャルグループの有価証券報告書(第4期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月15日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ちゅうぎんフィナンシャルグループってどんな会社?


同社グループは、銀行業を中核として、リース業や証券業など地域密着型の総合金融サービスを展開しています。

(1) 会社概要


同社は2022年10月、中国銀行の単独株式移転により持株会社として設立されました。同年に中国銀行を完全子会社化した後、2023年4月にちゅうぎんエナジー、2024年10月にちゅうぎんエナジーファンド投資事業有限責任組合、2025年7月に合同会社ちゅうぎんエナジー1号を設立し事業を拡大しています。

従業員数は連結で3,025名、単体で47名となっています。筆頭株主および第2位の株主は資産管理業務などを行う信託銀行であり、第3位の株主には地域企業の岡山土地倉庫が名を連ねています。金融サービスを通じて地域社会との関係構築を深め、グループ全体での総合的なサービス提供を推進する体制です。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行 13.33%
日本カストディ銀行 5.45%
岡山土地倉庫 3.05%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は加藤貞則氏が務めており、社外取締役が過半数を占める構成となっています。

氏名 役職 主な経歴
加藤貞則 取締役社長(代表取締役) 1981年中国銀行入行。システム部長、人事部長等を歴任し、2019年同頭取に就任。2022年10月より現職。
原田育秀 取締役副社長(代表取締役) 1985年中国銀行入行。人事部長、常務等を経て、2025年4月同副頭取に就任。2025年4月より現職。
山本総一 取締役専務執行役員(代表取締役) 1988年中国銀行入行。リスク統括部長等を経て、2025年4月同取締役専務執行役員に就任。2025年4月より現職。
大原浩之 取締役(監査等委員)(常勤) 1985年中国銀行入行。融資部長、人事部長等を経て、2022年6月同取締役(監査等委員)に就任。2022年10月より現職。


社外取締役は、福原賢一(元ベネッセホールディングス社長)、八剱洋一郎(ジオテクノロジーズ社長)、清野幸代(きよの法律事務所弁護士)、人見康弘(元シマノ取締役)、生越栄美子(生越公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業」「リース業」「証券業」および「その他」事業を展開しています。

銀行業


中国銀行などを通じて預金業務、貸出金業務、有価証券投資業務、各種代理業務や投資銀行業務などの金融サービスを展開しています。個人および法人顧客に対し、地域に根ざした金融インフラとソリューションを提供し、グループ業務の中核を担っています。

収益源は、顧客からの貸出金利息や有価証券利息配当金、役務取引等収益などです。運営は主に中国銀行が担い、CBSや中銀事務センターが銀行事務の受託・代理業務を、中銀保証が信用保証業務を行っています。

リース業


岡山県内外の企業に向けてリース事業を展開しています。顧客の設備投資や資金調達ニーズに応えるため、各種機械設備や情報通信機器などのリースや割賦販売を通じたファイナンス機能を提供しています。

収益源は、顧客からのリース料や割賦手数料などです。運営は中銀リースが行っており、グループの金融サービスと連携して地域企業の設備導入や経営課題の解決をサポートしています。

証券業


金融商品仲介業務などの証券業務を展開しています。個人および法人顧客に対して、多様な金融商品の提供や資産運用に関するコンサルティングサービスを行い、資産形成ニーズに対応しています。

収益源は、有価証券の売買や投資信託の販売などに伴う手数料です。運営は中銀証券が行い、銀行業との連携を深めることでグループ全体の提案力を強化しています。

その他


クレジットカード業務、投資顧問業務、ファンド運営、人材紹介、コンサルティング、地域エネルギー・脱炭素関連業務など、金融周辺および非金融領域の多様なサービスを展開し、地域の課題解決を支援しています。

各サービスの利用料や手数料、配当金などが収益源です。運営は中銀カード、中銀アセットマネジメント、ちゅうぎんキャピタルパートナーズ、ちゅうぎんエナジーなど複数のグループ企業が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近4期間の業績推移を見ると、経常利益と当期利益ともに順調な成長基調を描いています。特に直近の事業年度では、資金運用収益の増加などにより利益が大きく伸長し、大幅な増益を達成しています。安定した収益基盤と戦略的な資産運用が業績拡大に寄与しています。

項目 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 - - - -
経常利益 296億円 312億円 383億円 560億円
利益率(%) - - - -
当期利益 90億円 71億円 188億円 375億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益を見ると、営業利益が190億円から376億円へと倍増し、強い収益力の向上を示しています。これは良質なアセットの拡大と市場金利上昇に伴う資金利益の増加が大きく貢献した結果であり、本業の儲けが着実に拡大していることが伺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 - -
売上総利益 - -
売上総利益率(%) - -
営業利益 190億円 376億円
営業利益率(%) - -

(3) セグメント収益


セグメント別の経常収益(売上高)を見ると、主力である銀行業が前年度から大きく成長し、全体の増収を牽引しています。証券業やその他事業も増収となっており、グループ一体となった金融・非金融サービスの提供が順調に推移していることが確認できます。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
銀行業 1,902億円 2,261億円
リース業 146億円 144億円
証券業 39億円 50億円
その他 31億円 36億円
連結(合計) 2,117億円 2,491億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


キャッシュ・フローの状況は、営業CFがプラス、投資CFおよび財務CFがマイナスとなっており、本業で創出した資金で借入返済と投資を賄う健全型のパターンを示しています。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.8%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は5.5%であり、いずれも市場平均を下回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 469億円 709億円
投資CF -2,651億円 -2,932億円
財務CF 42億円 -61億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「地域・お客さま・従業員と分かち合える豊かな未来を共創する」を長期ビジョンとして掲げています。顧客の顕在・潜在ニーズに応えながら地域社会から必要とされ続ける企業グループを目指し、地域社会と相互に発展するビジネスモデルの確立を目標としています。金融を中心とした総合サービス業へと進化することで、地域全体の付加価値を高め、グループ全体の企業価値向上を図っています。

(2) 企業文化


ミッション(グループ経営理念)、ビジョン(経営ビジョン)、バリュー(ちゅうぎんバリュー)、コードオブコンダクト(企業行動規範・行動指針)の実践をサステナビリティの基本方針としています。役職員一人ひとりが取組みの意義を理解し、自律的に行動することで、未来世代にとって安心・安全で豊かな地域づくりへの貢献を重視する文化が醸成されています。

(3) 経営計画・目標


長期経営計画『Vision 2027「未来共創プラン」』の最終年度(2026年度)の計数目標を設定しています。足元の経営環境や今後の見通しを反映し、良質なアセットの拡大やDXによる業務プロセス改革などの効果を見込み、以下の目標を掲げています。

* 親会社株主に帰属する当期純利益:400億円以上
* ROE:7%以上

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画『未来共創プラン ステージIII』に基づき、持続的なビジネスモデルの構築に向けた3つの成長戦略に取り組んでいます。具体的には、地方創生SDGsの「深化」、DXや他企業との協業によるイノベーションの創出、人財ポートフォリオの可視化や人的資本投資などのグループ経営基盤の強化に注力し、地域社会の発展と企業価値向上の好循環を創出します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人事戦略のコンセプトとして「性別や年齢を問わず、個性的でやる気のある従業員が育ち、活躍する」ことを掲げています。ダイバーシティ&インクルージョンを推進するとともに、多様なキャリアパスを提供し、専門性を持った人財の育成を目指しています。また、従業員の自律的な挑戦をサポートするため、「キャリアチャレンジ制度」等の整備や人的資本への積極的な投資を行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 40.7歳 16.7年 9,505,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.2%
男性育児休業取得率 124.4%
男女賃金差異(全労働者) 49.8%
男女賃金差異(正規雇用) 54.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 74.5%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(53.1%)、障がい者比率(2.54%)、有給休暇取得率(75.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 信用リスクと特定業種等への与信集中


地域経済の低迷や世界的な経済の不確実性の高まりにより、与信先の財務状況が悪化し不良債権や与信コストが増加するリスクがあります。また、特定の与信先や業種への与信集中、複雑化するストラクチャードファイナンス等においても、環境の悪化が多額の損失を招く恐れがあります。同社は厳正な審査やモニタリングによる予兆把握を通じ、統合的なリスク管理を実施しています。

(2) 金利や株価などの市場リスク


国内・海外の金利上昇や株価の下落など、市場リスク・ファクターの変動により、保有する有価証券等の評価損益や売買損益が悪化するリスクがあります。また、低金利環境の長期化による資金利益の減少も想定されます。これに対し、同社は運用残高やリスク量に対する限度額の設定・管理、ストレステストの実施などを通じて市場リスクをコントロールしています。

(3) システム関連およびオペレーショナル・リスク


大規模なシステム障害や高度化するサイバー攻撃などにより、顧客情報の漏えいやサービスの停止が発生するリスクがあります。これらは損害賠償請求や社会的な信用の失墜に繋がる可能性があります。同社は、事業継続計画(BCP)の策定やシステムのセキュリティ対策強化、グループ内CSIRTを中心とした迅速な対応態勢を整備し、リスクの最小化に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。