テリロジーホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テリロジーホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テリロジーホールディングスは、東証スタンダード市場に上場するネットワーク・セキュリティ分野の技術商社グループです。海外先端技術の輸入販売や自社開発製品、多言語通訳サービスなどを展開しています。2025年3月期は、旺盛なセキュリティ需要やインバウンド回復を取り込み、大幅な増収を達成しました。


※本記事は、株式会社テリロジーホールディングス の有価証券報告書(第3期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. テリロジーホールディングスってどんな会社?


ネットワーク・セキュリティ製品の輸入販売や構築を行う技術商社機能を核に、自社製品開発や法人向けソリューション提供も行う企業グループです。

(1) 会社概要


2022年11月、株式会社テリロジーの単独株式移転により持株会社として設立され、東証スタンダード市場に上場しました。その後、2023年にイスラエルのファンドへ出資、2024年にログイット株式会社を完全子会社化するなど、M&Aや提携を通じて事業領域を拡大しています。

連結従業員数は305名、単体では22名体制です。筆頭株主は元代表取締役の津吹憲男氏で、第2位には資本業務提携先である兼松エレクトロニクスと高千穂交易が同率で並んでおり、業界内での強固なパートナーシップがうかがえます。

氏名 持株比率
津吹 憲男 13.42%
兼松エレクトロニクス 5.01%
高千穂交易 5.01%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は鈴木達氏です。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
鈴木 達 代表取締役社長 日商岩井、アイ・ティー・エックス取締役等を経て2016年にテリロジー入社。同社取締役副社長、テリロジー社長などを歴任し、2024年4月より現職。
阿部 昭彦 代表取締役会長 高千穂交易、住商エレクトロニクスを経て1989年にテリロジー入社。同社常務、専務、副社長を経て2017年に社長就任。2022年11月より現職。
廣谷 慎吾 取締役副社長情報開示担当 日商岩井、アイ・ティー・エックス等を経て、スマートリンク等のCFOを歴任。2019年にテリロジー入社し、2024年4月より現職。
甲賀 武 取締役 日商岩井、アイ・ティー・エックス等を経て2015年にテリロジー入社。テリロジーサービスウェア社長などを経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、尾高雅美(ウィザーズ国際法律事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ネットワーク部門」、「セキュリティ部門」および「ソリューションサービス部門」を展開しています。

(1) ネットワーク部門


企業内情報通信システムやインフラの設計・構築、ルータ、スイッチ、無線LAN、DNS/DHCP等のネットワーク機器の販売を行っています。また、自社開発製品による運用監視やクラウド性能監視サービスも提供し、24時間365日の保守体制を整備しています。

主な収益は、機器やソフトウェアの販売代金、システム構築費用、および納入後の保守サービス料です。運営は主に株式会社テリロジーが行っています。

(2) セキュリティ部門


サイバー攻撃対策として、ファイアウォールや侵入検知・防御システム、情報漏えい対策製品、ワンタイムパスワード製品等の販売・構築を行っています。また、サイバー脅威情報(CTI)の提供や、ログ管理・分析クラウドサービスの展開も進めています。

主な収益は、セキュリティ製品の販売代金、サービス利用料、および保守業務による収益です。運営は株式会社テリロジーや株式会社コンステラセキュリティジャパンなどが担っています。

(3) ソリューションサービス部門


多言語映像通訳サービス「みえる通訳」やRPAツール「EzAvater」、VPNサービス、WEB会議サービス等を提供しています。また、訪日インバウンドメディアを活用したプロモーションや、コンタクトセンター向けソリューションも手掛けています。

主な収益は、ソフトウェアやクラウドサービスの利用料、プロモーション費用、システム開発・運用費などです。運営は株式会社テリロジーサービスウェア、株式会社IGLOOO、クレシード株式会社、ログイット株式会社などが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は着実に拡大しており、直近の2025年3月期には87億円規模に達しています。一方、利益面では経常利益が減少傾向にあり、利益率は低下しています。積極的な事業拡大に伴うコスト増や投資の影響が見られます。

項目 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 57億円 69億円 87億円
経常利益 1.3億円 4.0億円 3.3億円
利益率(%) 2.2% 5.8% 3.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.5億円 1.9億円 1.8億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も拡大しています。一方で、販売費及び一般管理費も増加しており、営業利益の伸びは限定的です。事業規模の拡大に合わせ、人員増強や投資を積極的に行っていることが読み取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 69億円 87億円
売上総利益 23億円 28億円
売上総利益率(%) 33.3% 32.6%
営業利益 2.7億円 2.7億円
営業利益率(%) 4.0% 3.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が9.2億円(構成比36%)、支払手数料が2.8億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで増収を達成しています。特にソリューションサービス部門は、インバウンド需要の回復やM&A効果により売上が急拡大しました。セキュリティ部門も製造業や社会インフラ向けの需要増により好調に推移しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
ネットワーク 16億円 17億円
セキュリティ 30億円 34億円
ソリューションサービス 23億円 36億円
連結(合計) 69億円 87億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

テリロジーホールディングスは、事業活動を通じて資金を獲得し、それを投資や財務活動に充てることで事業基盤を強化しています。

営業活動では、主に税金等調整前当期純利益を計上したものの、前渡金の増加や売上債権の増加により、使用した資金が生じました。投資活動では、有形固定資産や無形固定資産の取得により、資金を使用しました。財務活動では、自己株式処分による収入等により、資金を得ました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 3.2億円 -0.5億円
投資CF -5.8億円 -2.3億円
財務CF -1.3億円 0.5億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「デジタルの力で現場課題と社会課題を解決する」というミッションを掲げています。デジタル社会の変化に自ら対応・進化し、顧客が求める最適・的確なソリューションとサービスを提供し続けられる「テクノロジーオーガナイズ企業グループ」を目指しています。

(2) 企業文化


「自由な発想力、着実な行動力、そして実現力を保有するプロフェッショナルなイノベーション力溢れる企業集団」を目指す姿としています。また、「常に『学習』する組織」をバリューとして掲げ、社員一人ひとりが仕事に誇りを持ちスキルを高めることを重視しています。

(3) 経営計画・目標


新中期経営計画「挑戦と更なる成長」を策定し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に取り組んでいます。2025年度の連結業績目標として以下の数値を掲げています。

* 売上高:97億円
* 営業利益:4.5億円
* 経常利益:4.5億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:2.8億円

(4) 成長戦略と重点施策


デジタル変革の期をチャンスと捉え、「安心・安全なデジタルの活用を支えるサイバーセキュリティ技術の提供」「簡単で負担を感じないクラウドサービスの提供」「ログ解析・管理からデータマネージメント技術の提供」を軸にDX推進に貢献する方針です。

* グループ事業価値の創造、拡大
* M&Aアライアンスの推進、投資育成対象会社の支援強化
* ボーダーレス取引、事業機会の増大によるグローバル戦略の推進

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「プロフェッショナルなイノベーション力溢れる企業集団」を実現するため、社員のスキルアップや育成への積極投資を行っています。また、多様な人材が活躍できるようダイバーシティを推進し、2025年度よりグループ人事本部を設立して人事施策を加速させています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 40.1歳 2.1年 5,513,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、男性社員の育休取得率(100%)、新卒採用において、採用した労働者に占める女性労働者の割合(33%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 技術革新への対応


同社グループが取り扱うネットワーク・セキュリティ関連製品は技術革新が極めて速く、ライフサイクルが短いです。海外の最新技術情報の収集等に努めていますが、技術革新に追随できず市場適合商品を供給できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 競合との競争激化


ネットワークインテグレーション市場には大手システムインテグレータを含め多数の競合が存在し、競争が激化しています。競合による優れたシステム提供や価格・サービス競争のさらなる激化により、事業展開に影響が出る可能性があります。

(3) 技術者の確保


最適なネットワーク環境を提供するためには、最新技術を熟知した技術者の確保が重要です。社内教育や採用活動に注力していますが、必要な技術者を十分に確保できない場合、事業展開に支障をきたす可能性があります。

(4) 為替変動の影響


海外メーカー製品の輸入や外貨建て仕入を行っており、仕入総額に対する外貨建て割合が高くなっています。為替予約等の対策を講じていますが、予想を超える急激な円安等の為替変動により仕入価格が上昇し、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。