**大栄環境転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態**
※本記事は、大栄環境株式会社の有価証券報告書(第47期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 大栄環境ってどんな会社?
大栄環境は、廃棄物処理や資源循環を中心とした環境関連事業を全国的に展開する企業です。
■(1) 会社概要
1979年に産業廃棄物取扱業務を行うことを目的に設立され、1980年に管理型最終処分場を開設し最終処分事業および収集運搬事業を開始しました。1986年には中間処理・再資源化事業を開始し、その後もエネルギー創造事業やコンサルティング事業など環境分野で多角的に事業を拡大し、2022年に上場を果たしました。
同社グループの従業員数は連結で2,428名、単体で1,137名となっています。筆頭株主は代表取締役会長の資産管理会社であるウイングトワで、第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ウイングトワ | 61.49% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 5.86% |
| RBC IST 15 PCT NON LENDING ACCOUNT - CLIENT ACCOUNT | 2.65% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性2名の計7名で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長執行役員の下田守彦氏らが経営を牽引しています。取締役7名のうち、社外取締役は3名です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 金子文雄 | 代表取締役会長 | 大栄衛生入社。三重中央開発の取締役等を経て1991年同社取締役。2007年同社社長。2026年より現職。 |
| 下田守彦 | 代表取締役社長 | 清和工業等を経て1999年同社入社。執行役員社長室長や総合政策本部長を歴任し、2026年より現職。 |
| 大田成幸 | 取締役 | 架裕建設設立し取締役に就任。健裕開発(現三重中央開発)を経て2007年同社常務取締役。2026年より現職。 |
社外取締役は、村上知子(アーカス総合法律事務所パートナー)、村井一雅(村井公認会計士事務所代表)、北嶋紀子(フェニックス法律事務所共同代表)です。
2. 事業内容
同社グループは、「環境関連事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 廃棄物処理・資源循環事業
産業廃棄物および一般廃棄物の収集運搬から中間処理、再資源化、最終処分に至るまでのワンストップサービスを提供しています。主にメーカー、ゼネコン、医療機関のほか、多数の自治体を顧客として請け負っています。
収益源は、排出事業者や自治体からの廃棄物処理の受託料金です。事業の運営は主に大栄環境および三重中央開発などの子会社が行っています。
■(2) 土壌浄化および施設建設・運営管理事業
土壌浄化事業では建設会社に対して汚染土壌の調査から処理までのソリューションを提供しています。また、施設建設・運営管理事業では自治体のごみ処理施設の建設や維持管理、建物の解体工事などを実施しています。
収益源は、建設会社からの土壌調査・処理費用や、自治体からの施設建設・運営受託費用、解体工事の請負代金などです。運営は同社やジオレ・ジャパン等の子会社が行っています。
■(3) その他事業(有価資源リサイクル・スポーツ振興等)
有価資源リサイクル事業として、アルミ缶などから高純度なアルミペレットを製造し高炉メーカーへ販売するほか、リサイクルプラスチックパレットの製造・販売を行っています。また、女子プロサッカークラブの運営も手掛けています。
収益源は、アルミペレットやプラスチックパレットの販売代金や、スポーツクラブの運営収入などです。運営は同社やアイナックフットボールクラブなどの関連会社が担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は5期連続で増加しており、直近の2026年3月期には879億円を達成しました。経常利益も順調に拡大を続け、224億円に達しています。利益率も継続して20%以上の高い水準を維持しており、安定した収益基盤と持続的な成長傾向が確認できます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 650億円 | 677億円 | 730億円 | 802億円 | 879億円 |
| 経常利益 | 133億円 | 167億円 | 206億円 | 215億円 | 224億円 |
| 利益率(%) | 20.5% | 24.7% | 28.2% | 26.8% | 25.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 76億円 | 91億円 | 90億円 | 88億円 | 92億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益も着実に成長しています。売上総利益率は43%台を維持しており、営業利益率も25%を超える高水準を保っています。事業拡大による増収が、利益の拡大に直結する良好な収益構造となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 802億円 | 879億円 |
| 売上総利益 | 349億円 | 380億円 |
| 売上総利益率(%) | 43.5% | 43.2% |
| 営業利益 | 215億円 | 222億円 |
| 営業利益率(%) | 26.8% | 25.3% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当が45億円(構成比28%)、賞与引当金繰入額が6億円(同4%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である環境関連事業の売上高が順調に伸長し、全体の成長を牽引しています。関東エリアでの廃棄物受け入れ強化や、九州エリアのスカラベサクレの連結子会社化による事業拡大が寄与しました。一方、その他事業はアルミペレット製造ラインの休止などが影響し、微減となりました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 環境関連事業 | 775億円 | 852億円 |
| その他 | 27億円 | 26億円 |
| 連結(合計) | 802億円 | 879億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 230億円 | 255億円 |
| 投資CF | -190億円 | -651億円 |
| 財務CF | -35億円 | 414億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は42.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「われわれは、創造・改革・挑戦の信念をもって、人間生活・産業・自然との共生を目指し、社会に貢献します。」との経営理念のもと、サステナブルな明るい未来社会を実現するより良い環境づくりを目指して、「事業の永続性を高め、環境創造企業として進化する」という経営ビジョンを掲げています。
■(2) 企業文化
同社の事業は、地域の皆さまからの「信頼」がなくては成り立たない事業であり、これまでに積み上げてきた「信頼」により地域に根差した事業を展開していることが最大の強みです。「未来は、信頼から生まれる。」という創業の原点をサステナビリティ基本方針として位置付け、4つの組織行動として「DINSステートメント」を定めています。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画「D-Plan2028」において、2028年3月期の財務目標を掲げています。飛躍に向けた基盤づくりの期間として、着実な利益成長を意識した経営によりEPSの最大化を図る方針です。
・売上高:1,000億円
・EBITDA:380億円
・EBITDAマージン:35.0%以上
・営業利益:250億円
・営業利益率:25.0%以上
・EPS:169.46円
■(4) 成長戦略と重点施策
資源循環システムの高度化、自治体との関係深化、M&Aによる事業エリアの拡大を推進しています。動脈市場への再生原料の供給量拡大や、最終処分場の価値最大化を図り、長期的には焼却等熱処理施設能力の拡大や地域循環共生圏の構築に向けた公民連携事業(PPP)にも注力しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様な人財が事業に誇りと使命感を持ち、やりがいを感じる土壌を創ることが持続的な成長に繋がると考え、「多様な人財の採用と確保」「スキル向上とキャリア開発」「従業員エンゲージメントの向上」「業務プロセスの効率化」を重要課題としています。次世代リーダーの育成や、多様な人財が最大限に能力を発揮できる社内環境整備を重点的に進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 42.4歳 | 9.0年 | 6,009,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.5% |
| 男性育児休業取得率 | 104.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 73.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 75.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 66.3% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性新卒採用比率(大卒以上)(50.0%)、定年退職者の再雇用率(73.7%)、有給休暇取得率(76.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 費用の増加
労働人口の減少や人財不足による人件費の増加のほか、燃料、電力、消耗品等の価格変動の影響を大きく受けます。これらの費用の増加を顧客からの処理受託価格に適時転嫁できない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 競合他社との競争激化
廃棄物処理業界において、海外事業者や他産業からの新規参入、既存の競合他社による企業買収などを活用した事業領域の拡大により競争が激化した場合、価格競争力の低下や既存顧客の維持が困難になる可能性があります。
■(3) 廃棄物の排出量の減少
少子高齢化や人口減少、景気後退による経済活動の停滞などで、建設業および製造業を中心とした廃棄物の排出量が減少する可能性があります。また、循環経済への移行に伴うリサイクル推進等により受託量が減少するリスクが存在します。



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