※本記事は、フーディソンの有価証券報告書(第13期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フーディソンってどんな会社?
生鮮流通のDXを推進し、テクノロジーの活用によって飲食店や消費者へ水産品等を届ける流通プラットフォームを展開しています。
■(1) 会社概要
フーディソンは2013年4月に設立され、2014年5月に飲食店向けの食品Eコマースサービス「魚ポチ」を開始しました。翌2015年2月には個人向け鮮魚セレクトショップ「sakana bacca」をオープンし、2017年4月には食品事業者向け人材紹介サービスを開始しています。そして2022年12月に東京証券取引所グロース市場へ株式上場を果たしました。
現在の従業員数は、連結・単体ともに103名体制で事業を運営しています。大株主の構成を見ると、筆頭株主は創業者であり代表取締役CEOを務める山本徹氏で、第2位はリープラジャパン、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 山本 徹 | 43.58% |
| リープラジャパン | 14.36% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 8.51% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役CEOは山本徹氏が務めています。社外取締役の比率は37.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山本 徹 | 代表取締役CEO | 2001年ゴールドクレスト入社。2003年エス・エム・エス取締役。2013年同社設立、代表取締役CEO就任。2019年フーディソン大田代表取締役就任。 |
| 内藤 直樹 | 取締役CFO | 2006年みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)入行。2016年同社入社。2018年より現職。 |
社外取締役は、福武英明(元キーエンス・現在ベネッセホールディングス取締役会長)、野地春菜(元Wolt Japan代表取締役・現在newmo取締役)、大倉忠司(現在エターナルホスピタリティグループ代表取締役社長CEO等)です。
2. 事業内容
同社グループは、「生鮮流通プラットフォーム事業」を展開しています。
■(1) BtoBコマースサービス
生産者や卸業者等から仕入れた食品を自社ウェブサイト「魚ポチ」に掲載し、主に飲食店等のユーザーへ直接販売しています。当日掲載された豊富な商品から必要な分量を注文でき、趣向性に合った商品のレコメンド機能も備えています。
収益源は飲食店等のユーザーからの商品購入代金です。単価とユーザーエンゲージメントが高く、既存ユーザーの利用が定常的に積み上がるストック型の収益モデルとなっています。運営は主に同社および関係会社のフーディソン大田が行っています。
■(2) BtoCコマースサービス
一般消費者向けに、スーパーマーケットではあまり販売していない魚種や産地仕入れにこだわった水産品等を中心に販売する鮮魚セレクトショップ「sakana bacca」を、首都圏の交通の利便性が高い立地に展開しています。
収益源は店舗を訪れる一般消費者からの商品購入代金です。多様化する消費者ニーズに対し、同社グループ独自の流通ルートを活用した仕入れによって強みを発揮しています。運営は同社が行っています。
■(3) HRサービス
労働力不足が深刻な食産業の課題解決を目指し、食品事業者向けに人材を紹介する「フード人材バンク」を運営しています。主に飲食店やスーパーマーケットに対して、食品を取り扱う技術を持った正社員候補者を紹介しています。
収益源は、求職者が紹介先の食品事業者に入社した際に受け取る人材紹介手数料です。BtoBコマースサービスで培った飲食店のネットワークを活用し、求人ニーズを獲得して最適なマッチングを実現しています。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は直近5期間を通じて継続的な増加傾向にあり、順調な事業拡大がうかがえます。経常利益は2022年3月期にマイナスを計上していましたが、翌期以降は黒字転換を果たし、その後も安定して利益を創出する体制を確立しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 35.9億円 | 52.8億円 | 63.5億円 | 68.7億円 | 78.2億円 |
| 経常利益 | -0.1億円 | 1.4億円 | 2.0億円 | 1.7億円 | 1.9億円 |
| 利益率(%) | -0.2% | 2.6% | 3.1% | 2.5% | 2.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.1億円 | 1.0億円 | 2.0億円 | 1.3億円 | 1.5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期から順調に伸長しており、それに伴い売上総利益も増加しています。売上総利益率は若干の低下が見られるものの、営業利益率は同水準を維持しており、事業規模の成長に伴って着実に営業利益を積み上げる収益構造となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 68.7億円 | 78.2億円 |
| 売上総利益 | 24.5億円 | 26.7億円 |
| 売上総利益率(%) | 35.7% | 34.2% |
| 営業利益 | 1.7億円 | 1.8億円 |
| 営業利益率(%) | 2.4% | 2.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が8.4億円(構成比33.8%)、荷造運送費が5.2億円(同20.9%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力のBtoBコマースサービスが順調に成長し、全社の売上増加を力強く牽引しています。BtoCコマースサービスも店舗の増減を伴いながら好調に推移し増収となりましたが、HRサービスは採用市場の競争激化等の影響により減収となっています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| BtoBコマースサービス | 54.7億円 | 63.5億円 |
| BtoCコマースサービス | 10.0億円 | 11.4億円 |
| HRサービス | 3.9億円 | 3.4億円 |
| 連結(合計) | 68.7億円 | 78.2億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業CFがプラス、投資CFと財務CFがマイナスとなる「健全型」です。営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.7億円 | 1.0億円 |
| 投資CF | - | -0.2億円 |
| 財務CF | -3.4億円 | -1.2億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.3%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も71.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「世界の食をもっと楽しく」をミッションに掲げ、「生鮮流通に新しい循環を」というビジョンのもと、生鮮食品の流通プラットフォーム構築とDX推進を通じて食産業の発展に貢献することを目指しています。生産者から消費者までを一気通貫でつなぐことで産地から食卓までの距離を縮め、適正な収益確保と安定供給の両立を図っています。
■(2) 企業文化
同社は、全従業員共通の価値観として「型を破ろう / Think Big」「全力でコミットしよう / Full Commitment」「チームでやろう / Team Means More」「誠実であろう / With Integrity」という4つの「フーディソンバリュー」を定めています。このバリューを軸に人材の採用・育成や評価制度の設計を行っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は持続的な成長に向けて、売上高、売上総利益、EBITDA、OPEX比率を重要指標としています。また、主力のBtoBコマースサービスにおいては、アクティブユーザー数とARPU(ユーザー当たりの月間平均売上高)を中長期的に成長させていくことを事業KPIとして重視し、毎期その向上に努めています。
■(4) 成長戦略と重点施策
主力のBtoBコマースサービスを軸に、ARPU、アクティブユーザー、顧客深耕の同時拡大を進め、持続的な成長を目指しています。具体的には、オンボーディング体験の向上や取扱カテゴリの拡大による「顧客ロイヤリティ向上」、首都圏でのシェア拡大やエリア拡張による「新規顧客開拓」を推進します。さらに、各サービス間のシナジーを強化します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「事業と組織の成長が相乗効果を生む循環をつくりだす」ことを組織に関する基本戦略としています。食産業における労働環境を変革し、従業員が心身ともに健康に働き続けられる中長期的な職場づくりを推進しています。また、多様な人材の活躍を支援するとともに、新卒・中途の積極的な採用や全社的なデジタルスキルの底上げを図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 37.7歳 | 4.7年 | 5,033,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 14.3% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | - |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | - |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | - |
※同社は男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の額の差異について、女性活躍推進法等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) BtoB Eコマース市場の成長性と競争激化
同社の主力であるBtoBコマースサービスは、食品Eコマース市場の拡大を背景に成長を続けています。しかし、市場が予測通りに拡大しない場合や、より魅力的なサービスや競争力のある条件を提供する競合他社の出現により競争が激化した場合には、同社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 卸売市場への依存と規制変更
同社は、大田市場の仲卸としての許可を有し、商品の調達や物流機能の大部分を東京都中央卸売市場に依存しています。市場内の法令・ルールの変更や大企業の新規参入など、卸売市場を取り巻く環境が大きく変化した場合には、事業運営に支障をきたし、同社の業績に影響を与える恐れがあります。
■(3) 食品の安全性確保と品質事故
食品を取り扱う企業として、同社は食品の安全性確保を経営上の最重要課題と位置付け、衛生管理や品質保証体制の強化に取り組んでいます。しかし、予期せぬ品質事故による大規模な商品回収や製造物責任賠償等が発生した場合には、社会的信用の失墜や多額の費用負担が生じるリスクがあります。
■(4) システム障害とサイバー攻撃
同社の事業はインターネットを介したサービス基盤に依存しています。アクセスの急増や予期せぬシステムダウン、ランサムウェア等の高度化したサイバー攻撃、自然災害などによってシステムが停止した場合、顧客へのサービス提供に支障が生じ、同社の業績やブランドイメージに深刻な影響を及ぼす可能性があります。



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