※本記事は、株式会社フーディソン の有価証券報告書(第12期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フーディソンってどんな会社?
生鮮流通プラットフォーム事業を展開し、「世界の食をもっと楽しく」をミッションに掲げる企業です。
■(1) 会社概要
2013年4月に設立され、2014年に飲食店向け食品EC「魚ポチ」を開始しました。その後、2015年に鮮魚セレクトショップ「sakana bacca」、2017年に人材紹介サービス「フード人材バンク」を開始し事業を拡大しています。2021年には豊洲市場の買参権を取得し、2022年12月に東京証券取引所グロース市場へ上場しました。
連結従業員数は110名(単体110名)です。筆頭株主は創業者の山本徹氏で、第2位はリープラジャパン、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 山本 徹 | 42.83% |
| リープラジャパン | 14.11% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 8.43% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役CEOは山本徹氏が務めており、社外取締役比率は60.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 山本 徹 | 代表取締役CEO | 2001年ゴールドクレスト入社。エス・エム・エス取締役を経て、2013年4月に同社設立し現職。2019年よりフーディソン大田代表取締役を兼任。 |
| 内藤 直樹 | 取締役CFO | 2006年みずほコーポレート銀行入行。2016年10月に同社入社し、2018年10月より現職。 |
社外取締役は、谷村格(エムスリー代表取締役)、福武英明(公益財団法人福武財団理事長)、野地春菜(newmo取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「生鮮流通プラットフォーム事業」を展開しています。
■(1) BtoBコマースサービス
生産者や市場から仕入れた水産品等の生鮮食品を、自社ウェブサイト「魚ポチ」を通じて飲食店等のユーザーに販売しています。8,000種類以上の商品を掲載し、最短翌日に配送する利便性を提供しています。
収益は主に飲食店等のユーザーに対する商品販売代金です。運営は同社および子会社のフーディソン大田が行っています。
■(2) BtoCコマースサービス
鮮魚セレクトショップ「sakana bacca」を都内エキナカ等で展開し、一般消費者向けに鮮魚や加工品を販売しています。産地直送や市場仕入れによる多様な魚種を取り扱っています。
収益は来店客に対する商品販売代金です。運営は主に同社が行っています。
■(3) HRサービス
食品業界に特化した人材紹介サービス「フード人材バンク」を運営し、飲食店やスーパーマーケット等の食品事業者に対して正社員候補者を紹介しています。
収益は人材を採用した食品事業者から受け取る紹介手数料です。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は第8期の30億円から第12期の69億円まで、5期連続で増加しており成長が続いています。利益面では第10期に黒字転換を果たし、第11期には経常利益2.0億円まで拡大しましたが、第12期は売上成長に伴うコスト増などの影響により減益となりました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 30億円 | 36億円 | 53億円 | 64億円 | 69億円 |
| 経常利益 | -0.6億円 | -0.1億円 | 1.4億円 | 2.0億円 | 1.7億円 |
| 利益率(%) | -2.0% | -0.2% | 2.6% | 3.1% | 2.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.6億円 | -0.1億円 | 1.0億円 | 2.0億円 | 1.4億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費も増加しました。特に販売費及び一般管理費の伸びが売上総利益の伸びを上回った結果、営業利益は前期を下回り、営業利益率は低下しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 64億円 | 69億円 |
| 売上総利益 | 23億円 | 25億円 |
| 売上総利益率(%) | 36.1% | 35.7% |
| 営業利益 | 2.0億円 | 1.7億円 |
| 営業利益率(%) | 3.1% | 2.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が7.5億円(構成比33%)、荷造運送費が4.3億円(同19%)を占めています。売上原価は売上高に対し64%の構成比となっています。
■(3) セグメント収益
各サービスとも売上高は堅調に推移しました。主力であるBtoBコマースサービスはアクティブユーザー数の増加により増収となりました。BtoCコマースサービスは一部店舗の閉店がありながらも微増、HRサービスも営業活動の進捗により増収を達成しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| BtoBコマースサービス | 50億円 | 55億円 |
| BtoCコマースサービス | 10億円 | 10億円 |
| HRサービス | 4億円 | 4億円 |
| 連結(合計) | 64億円 | 69億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
フーディソン社のキャッシュ・フローの状況についてご説明します。
営業活動では、事業活動から得られた資金がプラスとなりました。投資活動では、定期預金の払い戻し等により資金が増加した一方、設備投資や保証金の差し入れ等で資金が使用されました。財務活動では、株式発行による収入があったものの、借入金の返済や自己株式の取得等で資金が使用されました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 1.3億円 | 0.7億円 |
| 投資CF | -0.4億円 | -0.0億円 |
| 財務CF | 0.2億円 | -3.4億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「世界の食をもっと楽しく」をミッションに掲げ、「生鮮流通に新しい循環を」というビジョンを実現することを目指しています。テクノロジーを活用して食産業の情報をデータベース化し、生産性と効率性を向上させることで、生鮮流通プラットフォームを構築し、社会に貢献していく方針です。
■(2) 企業文化
全従業員共通の価値観として、「フーディソンバリュー」を定めています。具体的には、「型を破ろう / Think Big(挑戦と変化)」、「全力でコミットしよう / Full Commitment(情熱と当事者意識)」、「チームでやろう / Team Means More(多様性と協調)」、「誠実であろう / With Integrity(責任ある行動)」の4つを掲げ、これらを軸に人材育成や評価を行っています。
■(3) 経営計画・目標
持続的な成長に向けて、売上高、売上総利益、営業利益の向上を重視しています。特に全社売上の比率が高いBtoBコマースサービスの成長が収益性向上につながると考え、同サービスのアクティブユーザー数およびARPU(ユーザー1人当たりの平均売上高)を中長期的な成長のための重要指標と位置付けています。
■(4) 成長戦略と重点施策
「コアグロース戦略」として、BtoBでは商品拡充やCRM強化、物流・ITインフラへの投資を推進し、BtoCでは「sakana bacca」のエキナカ等への新規出店、HRでは営業人員拡充による生産性向上を図ります。また「プラットフォーム戦略」として、独自商品開発やサービス間シナジーの創出、事業者向けサービスの拡大に取り組む方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「組織の成功モデル」を定義し、事業と組織の成長が相乗効果を生む循環を作ることを基本戦略としています。当面は業容拡大に伴うミドルマネジメント(管理職)の量・質の向上を課題とし、採用・育成を強化するとともに、女性管理職比率などの指標を重視して組織体制の強化を図っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 37.0歳 | 4.3年 | 4,656,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 16.7% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規) | - |
| 男女賃金差異(非正規) | - |
※同社は公表義務の対象ではないため、有報には男性育児休業取得率および男女賃金差異の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 食品EC市場の成長性
食品分野のEC化率は他産業に比べ低水準であり、今後の成長が期待されています。しかし、予測通りに市場が拡大しなかった場合、同社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 食品の安全と品質管理
食品を取り扱う事業者として安全確保を最重要課題とし、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理や表示義務の遵守を行っています。しかし、予期せぬ品質事故や食中毒等が発生した場合、大規模な回収や信用の失墜により、業績に重大な影響を与える可能性があります。
■(3) システムトラブルの影響
事業の多くがインターネットを介して行われているため、通信ネットワークやシステムへの依存度が高くなっています。アクセス集中による負荷やサイバー攻撃、自然災害等によりシステムがダウンした場合、サービス提供に支障が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 業績の季節変動
主要顧客である飲食店の繁忙期(忘年会シーズン等)にあたる第3・第4四半期に売上や利益が偏重する傾向があります。一方、第2四半期は需要が減少する傾向にあり、季節要因による変動が業績に影響を与える可能性があります。



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