※本記事は、株式会社Rebaseの有価証券報告書(第12期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. Rebaseってどんな会社?
同社はレンタルスペースのマッチングプラットフォームを中心に事業を展開しています。
■(1) 会社概要
同社は2014年4月に設立され、同年5月に主軸サービスであるレンタルスペースのマッチングプラットフォーム「インスタベース」をリリースしました。その後、順調に掲載スペース数を拡大し、2022年12月に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしました。2023年11月にはコミュニティイベントサービス「TOIRO」の提供も開始しています。
同社の従業員数は単体で50名です。大株主については、筆頭株主が代表取締役である佐藤海氏の資産管理会社であるelpidoであり、第2位は佐藤海氏本人、第3位は取締役の髙畠裕二氏の資産管理会社であるEl Monte Garageとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| elpido | 31.31% |
| 佐藤海 | 16.58% |
| El Monte Garage | 8.05% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役は佐藤海氏が務めています。取締役4名のうち、社外取締役は1名です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐藤海 | 代表取締役 | elpidoを設立し代表取締役に就任。2014年に同社取締役に就任し、2016年より現職。 |
| 髙畠裕二 | 取締役 | 複数企業の取締役CTOを経て2014年に同社取締役に就任。El Monte Garage代表取締役などを経て現職。 |
| 大辻琢磨 | 取締役 | ヤフーやサイジニアを経て2017年に同社へ入社。コーポレートディレクターなどを経て現職。 |
社外取締役は、平垣内久隆氏(元国土交通省航空局次長・現日本海事センター理事長)です。
2. 事業内容
同社グループは、マッチングプラットフォーム事業の単一セグメントで事業を展開しています。
■マッチングプラットフォーム事業
同社は、空間を貸したい人と使いたい人をインターネット上で繋ぐマッチングプラットフォーム「インスタベース」を運営しています。会議室やテレワークスペース、ダンススタジオ、撮影スタジオなど多様な用途に対応した遊休スペースを提供しており、フリーランスや個人、法人など幅広い利用者のニーズに応えています。
収益源は、スペース利用者が支払う利用料に対してスペース掲載者から受け取る手数料(最大35%)です。利用者の予約率を最大化するため、利用者側からの手数料は徴収していません。また、スペース予約と同時に飲食物の手配ができる関連サービス等も提供しており、事業の運営は同社が単独で行っています。
3. 業績・財務状況
同社の業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
同社の売上高は直近5年間で継続的な増収トレンドを描いており、利用総額の着実な拡大が伺えます。一方、経常利益については前期間まで順調に拡大して高い利益率を維持していましたが、直近の事業年度では将来の成長に向けた積極的な広告宣伝費の投下や本社移転費用などの先行投資により、大幅な減益となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 8.9億円 | 11.6億円 | 14.9億円 | 19.3億円 | 21.8億円 |
| 経常利益 | 2.1億円 | 2.5億円 | 3.4億円 | 4.9億円 | 1.0億円 |
| 利益率(%) | 23.7% | 21.4% | 22.6% | 25.5% | 4.6% |
| 当期純利益 | 1.4億円 | 1.6億円 | 2.3億円 | 3.6億円 | 0.7億円 |
■(2) 損益計算書
売上総利益率は非常に高い水準を維持しており、プラットフォームビジネス特有の高収益構造が定着しています。しかし、直近の事業年度では販売費及び一般管理費が大きく増加した影響により、営業利益および営業利益率は前事業年度から大幅に低下する結果となりました。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 19.3億円 | 21.8億円 |
| 売上総利益 | 18.6億円 | 21.0億円 |
| 売上総利益率(%) | 96.7% | 96.2% |
| 営業利益 | 4.9億円 | 1.0億円 |
| 営業利益率(%) | 25.3% | 4.5% |
販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が6.1億円(構成比31%)、支払手数料が3.4億円(同17%)、給料及び手当が3.0億円(同15%)を占めています。売上原価は0.8億円で、減価償却費が0.3億円(構成比36%)、地代家賃が0.2億円(同28%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社はマッチングプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、事業全体の収益がそのままセグメント収益となります。直近の事業年度においては、掲載スペース数や利用数の増加により、予約単価の変動が小さい中で利用総額が拡大し、継続的な増収を達成しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| マッチングプラットフォーム事業 | 19.3億円 | 21.8億円 |
| 合計 | 19.3億円 | 21.8億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」の傾向を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4.6億円 | 0.5億円 |
| 投資CF | -0.9億円 | -3.3億円 |
| 財務CF | 0.5億円 | -0.7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.6%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は56.5%で、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
ビジョン「Where It Starts / ことのはじまり」、ミッション「Get Together / 和をひろげる」を掲げています。人と人のつながりや一人ひとりの無限の可能性を広げる機会やきっかけを提供することで、多様な「はじまり」に満ち溢れた世界の実現を目指しています。場所の制限にとらわれず、誰もが思う存分に活動し、自身を表現できる世界の創造を目標としています。
■(2) 企業文化
ミッションドリブンでサービスを展開することを重視し、物理的な場所を通して生まれる「和(わ)」を広げていくことを軸としています。また、AIツールを単なる効率化の手段に留めず、個人の能力を拡張するパートナーとして位置付け、少人数組織でありながらも高い生産性と提供価値を継続的に実現する組織風土を構築しています。
■(3) 経営計画・目標
事業運営において、中長期的に安定して売上を拡大させることを重要視しています。特に「利用総額」を重要なKPIとして位置付け、これを最大化するために「利用数」と「掲載スペース数」の最大化を中心とした取り組みを推進しています。また、既存サービスで蓄積されたデータをもとに、新たな収益の柱となるサービスを確立し、最適な事業ポートフォリオの構築を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
中長期的な成長に向けて、主軸である「インスタベース」のさらなる利用拡大に加え、蓄積された有用なデータやノウハウをもとに周辺領域における新規サービスを展開していく方針です。特にシェアリングエコノミー市場だけでなく、空き家問題の解決に繋がる住宅リフォーム市場や、クリエイターエコノミーを含むフリーランス市場などの周辺市場へのアプローチを強化し、事業の拡大を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
飛躍的な成長を実現するための原動力は「人材」にあると認識しており、ミッションに共鳴し変革をリードできる即戦力人材の獲得に注力しています。また、フレックスタイム制の導入や、業務内容に応じて最適な場所を選択できる新オフィスの活用により、柔軟な働き方と高い生産性を両立できる環境整備を推進し、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる組織を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 36.3歳 | 3.0年 | 7,348,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は女性活躍推進法等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) マッチングプラットフォーム市場の競争激化
同社が提供するサービス領域においては類似会社や競合が存在しており、サービスコンセプトや機能、顧客対応などで多面的に差別化を図っています。しかし、同業他社による方針転換や新規参入の増加、技術革新等によって競争が激化し、同社の優位性が保てなくなった場合には事業や業績に影響が及ぶ可能性があります。
■(2) システム障害及び情報セキュリティ
同社のサービスはインターネット回線の利用を前提としているため、サイバー攻撃や不正アクセス、予期せぬシステム障害によるサービス停止のリスクがあります。外部・内部からの不正侵入に対するセキュリティ対策やシステムの冗長化、AI利用に関するガイドラインの整備等を進めていますが、重大な障害が発生した場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 検索エンジン経由の集客への依存
同社サービスにおける顧客獲得チャネルの多くは外部検索エンジンからの流入に依存しています。検索エンジンのロジック変更に対する技術的対応や他チャネルの強化を進めていますが、生成AIを活用した検索機能の普及などで検索エンジン経由の集客力が構造的に低下した場合、事業や業績に影響を及ぼす恐れがあります。
■(4) 法令規制や業界ルールの変更
同社の事業は不動産関連法令や旅行業・旅館業関連法令など、多様な法令の規制を受けています。コンプライアンス体制の充実を図り社内規程の整備や研修を実施していますが、今後インターネット関連事業者やシェアリングエコノミーに対する新たな法的規制の整備が行われた場合、対応コストの増加などで業績に影響が及ぶ可能性があります。



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