BTM 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

BTM 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所グロース市場に上場するBTMは、全国の地方人材を活用したITエンジニアリングサービスおよびDXソリューションサービスを中心とするDX推進事業を展開しています。直近の連結業績は、企業の旺盛なIT・DX投資需要を背景にエンジニアの稼働が拡大し、増収増益を達成して成長を続けています。


※本記事は、株式会社BTMの有価証券報告書(第15期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. BTMってどんな会社?


地方人材を活用したDX推進事業を展開するIT企業です。

(1) 会社概要


2011年に設立され、2014年の大阪支社開設を皮切りに地方拠点展開を開始しました。2017年に現在のBTMへ社名変更し、2022年に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしています。2025年にはクエスト・システム・デザインを子会社化するなど、継続的な事業拡大を推進しています。

現在の従業員数は連結で262名、単体で230名体制となっています。筆頭株主は代表取締役会長の資産管理会社であるyoshida investmentで、第2位は代表取締役社長の資産管理会社であるMTインベストメント、第3位は代表取締役社長の田口雅教氏個人となっています。

氏名 持株比率
yoshida investment 39.05%
MTインベストメント 7.99%
田口 雅教 7.11%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長兼CEOは田口雅教氏です。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
田口 雅教 代表取締役社長兼CEO 2004年衆議院議員事務所入所、2006年レバレジーズ入社を経て2012年に同社入社。2014年に取締役、2020年より現職。
吉田 悟 代表取締役会長 2003年KDDIテレマーケティング入社、2005年個人事業主として開業。2011年に同社を設立し代表取締役社長、2020年より現職。
懸川 高幸 取締役兼CFO 2008年あずさ監査法人入所、2015年スカイマーク入社を経て2020年に同社入社。2021年より現職。


社外取締役は、長井宏和(元アライドアーキテクツ取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「DX推進事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

(1) ITエンジニアリングサービス


顧客企業のシステム開発案件において、人的リソースが不足している場合に最適なエンジニアを提供しています。業界や事業規模を問わず、業務システムからコンシューマー向けアプリまで幅広い案件に対応しており、自社エンジニアに加え、全国の外部協力企業やフリーランスのネットワークを活用してニーズに応えています。

収益源は、提供するエンジニアの稼働に応じた顧客企業からの業務委託報酬や派遣料金です。準委任契約が多くを占めますが、ニーズに合わせて派遣契約となる場合もあります。日々の大量の案件情報と人材情報をデータベース化し、最適なマッチングを実現しています。運営はBTMが行っています。

(2) DXソリューションサービス


顧客企業のシステム開発案件について、人的リソースの提供にとどまらず成果までを期待される場合のサービスです。数名程度のチームによる受託開発に近い形態で、顧客側で開発内容が確定していないケースなどにも柔軟に対応するため、準委任契約を主に採用しています。

収益源は、システム開発やインフラ構築などのプロジェクト遂行に応じた顧客企業からの委託報酬です。Webアプリケーション領域からITインフラ領域まで、上流から下流までのすべての工程をワンストップで受託できる体制を整えています。運営はBTMおよび子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近2期間の業績推移を見ると、企業の旺盛なデジタルトランスフォーメーション投資需要を背景に、売上高および各利益項目ともに堅調な成長を遂げています。特に当期は、エンジニアの採用強化や外部協力企業とのネットワーク拡大が奏功し、増収増益のトレンドを維持しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 51億円 60億円
経常利益 0.9億円 1.0億円
利益率(%) 1.7% 1.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.6億円 1.0億円

(2) 損益計算書


売上高の拡大に伴い、売上総利益および営業利益も順調に増加しています。人材投資や採用活動を積極的に行いながらも、利益率を維持・向上させており、安定した収益構造を確保していることが伺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 51億円 60億円
売上総利益 7.7億円 9.3億円
売上総利益率(%) 15.1% 15.4%
営業利益 0.9億円 1.1億円
営業利益率(%) 1.8% 1.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が3.5億円(構成比43%)、人材採用費が0.8億円(同10%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社グループはDX推進事業の単一セグメントであるため、全社の売上高推移を示しています。全国に拠点を展開し、エンジニアリソースの確保や営業体制の拡充を進めた結果、売上規模は着実に拡大しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
DX推進事業 51億円 60億円
連結(合計) 51億円 60億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 0.2億円 0.8億円
投資CF -0.4億円 -1.2億円
財務CF 0.9億円 2.3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は35.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「日本の全世代を活性化する」というミッションを掲げています。日本全国のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することで、地方創生に貢献することを社会的意義のある取り組みとして位置づけています。既存エンジニアへの多様な機会提供や未経験からのエンジニア輩出を促進し、地方の活性化を一層進めることを目指しています。

(2) 企業文化


地方に小規模開発拠点である「ラボ」を積極的に開設し、地元意識の強いエンジニアを採用して育成する体制を構築しています。リモートワークを推奨し、多様な技術領域と就業環境の案件を地方エンジニアへ提供することで、全国どこにいても最先端のトレンドに触れられる機会を創出する文化を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、売上総利益、営業利益、売上総利益率および営業利益成長率を中期経営計画に掲げています。また、売上成長の源泉となる外部協力企業の営業担当等のアカウント数、営業人員数、自社エンジニア数、顧客企業との平均取引継続期間の拡大を重要な経営指標としてモニタリングしています。

(4) 成長戦略と重点施策


今後の成長戦略として、全国的な営業体制の拡充と、独自のナレッジ共有サイト等を用いた自社エンジニアの早期戦力化に注力しています。また、外部協力企業等のデータベースを活用した人材調達の維持・拡大を図ります。さらに、自社採用に加えて積極的なM&Aを成長戦略の重要施策とし、即戦力人材の迅速な獲得と組織体制の一層の強化を推進していく方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、地方人材を積極的に採用・育成する方針を掲げています。独自のナレッジ共有サイトや提案型プログラミング教育を通じて、若手や未経験者を早期に戦力化し、自律型フルスタックエンジニアへ育成する体制を構築しています。また、各個人の要望に応じたキャリア形成支援や、研修制度・福利厚生の充実を図ることで、エンジニアの定着率向上を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 35.9歳 3.8年 4,951,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 12.5%
男性育児休業取得率 77.8%
労働者の男女の賃金の差異 -


※労働者の男女の賃金の差異については、同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員の住居がある都道府県数(36)、労働災害発生件数(0件)、年間平均残業時間(16.03時間/月)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競争激化と技術革新への対応


DX関連市場は成長が見込まれる一方で多数の競合が存在し、価格競争による単価下落や稼働率の低下が懸念されます。また、生成AIをはじめとする急激な技術進化に十分に対応できない場合、市場での競争力を失い業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) エンジニアの確保と稼働率の維持


事業の拡大には優秀なエンジニアの継続的な確保が不可欠です。計画通りに自社採用や外部人材の確保が進まない場合や、景気動向等の変化によって常時雇用しているエンジニアの稼働率が低下した場合、収益性が悪化するリスクがあります。

(3) プロジェクトの採算悪化と品質低下


受託開発プロジェクトにおいて、当初想定できなかった追加コストの発生や納期遅延、あるいはシステムの不具合による損害賠償が生じた場合、プロジェクトの採算が悪化するとともに、同社の社会的信用の低下につながるおそれがあります。

(4) 労働関連法令等の規制違反


労働者派遣法や職業安定法などの法的規制の下で事業を運営しています。意図せず偽装請負等の問題が発生し、法令違反や許可の取り消し等を受けた場合、事業の停止など継続に重大な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。