※本記事は、株式会社BTM の有価証券報告書(第14期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. BTMってどんな会社?
地方人材を活用したDX推進事業を主軸に、ITエンジニアリングやソリューションサービスを展開する企業です。
■(1) 会社概要
2011年に設立され、IT関連事業を開始しました。その後、大阪や福岡に拠点を広げ、2017年に現社名へ変更しました。2019年には労働者派遣事業許可を取得し、全国各地に「ラボ」と呼ばれる開発拠点を開設して地方創生を推進しています。2022年12月には東京証券取引所グロース市場への上場を果たしました。
現在、連結従業員数は193名(単体192名)体制で事業運営を行っています。筆頭株主は会長の資産管理会社であるyoshida investmentで、第2位は社長の資産管理会社であるMTインベストメント、第3位は社長の田口雅教氏となっており、経営陣およびその関連会社が主要株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| yoshida investment | 39.05% |
| MTインベストメント | 7.99% |
| 田口 雅教 | 7.96% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長兼CEOは田口雅教氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 田口 雅教 | 代表取締役社長兼CEO | 2006年レバレジーズ入社。2012年同社入社。2020年6月より現職。 |
| 吉田 悟 | 代表取締役会長 | 2011年同社設立とともに代表取締役社長就任。2020年6月より現職。 |
| 懸川 高幸 | 取締役兼CFO | 元あずさ監査法人、スカイマーク。2020年同社入社。2021年2月より現職。 |
社外取締役は、長井宏和(アライドアーキテクツ元取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「DX推進事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) ITエンジニアリングサービス
顧客企業のシステム開発においてエンジニアリソースが不足している場合に、最適な人材を提供するサービスです。ベンチャーから大企業まで幅広い顧客に対し、業務システムからアプリ開発まで多岐にわたる技術支援を行っています。自社社員に加え、全国の外部協力企業やフリーランスのネットワークを活用し、多様なニーズに対応しています。
収益は、顧客企業からのサービス対価(準委任契約や派遣契約に基づく報酬)によって構成されています。エンジニア情報と案件情報のマッチング効率を高めることで収益性を確保しており、運営は主にBTMが行っています。
■(2) DXソリューションサービス
システム開発案件において、人材提供にとどまらず成果物の提供までを行う受託開発型のサービスです。Webアプリケーションからインフラ構築までワンストップで対応可能な体制を整えています。地方にある「ラボ」を活用し、コストメリットや柔軟なチーム編成を提供できる点が特徴です。
収益は、顧客企業からの開発案件受託による対価(準委任契約または請負契約)から得ています。自社エンジニアを中心としたチーム体制で高付加価値な案件を獲得しており、運営は主にBTMが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、第14期のみを表示します。売上高は約51億円、経常利益は約0.9億円で着地しており、経常利益率は1.7%となっています。
| 項目 | 2025年3月期 |
|---|---|
| 売上高 | 51.0億円 |
| 経常利益 | 0.9億円 |
| 利益率(%) | 1.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.6億円 |
■(2) 損益計算書
当期は売上高に対し売上原価が約85%を占め、売上総利益率は15.1%となっています。販売費及び一般管理費を差し引いた営業利益率は1.8%です。
| 項目 | 2025年3月期 |
|---|---|
| 売上高 | 51.0億円 |
| 売上総利益 | 7.7億円 |
| 売上総利益率(%) | 15.1% |
| 営業利益 | 0.9億円 |
| 営業利益率(%) | 1.8% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が2.8億円(構成比40.6%)を占めています。
■(3) キャッシュ・フローと財務指標
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は41.7%で市場平均を下回っています。
| 項目 | 2025年3月期 |
|---|---|
| 営業CF | 0.2億円 |
| 投資CF | -0.4億円 |
| 財務CF | 0.9億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは「日本の全世代を活性化する」をミッションに掲げ、ITを活用して地方の活性化につなげることを目指しています。地方に拠点を展開してDX推進事業を行うことで、都心部と地方の機会格差を解消し、地方創生に貢献することを経営の基本方針としています。
■(2) 企業文化
同社は地方人材の活用を重視しており、全国に支社や「ラボ」と呼ばれる開発拠点を展開しています。リモートワークを含む多様な就業環境を提供することで、場所にとらわれない働き方を推奨しています。また、未経験者への育成プログラムやエンジニア同士の勉強会などを通じて、技術力の向上とキャリア形成を支援する風土があります。
■(3) 経営計画・目標
中期経営計画において、売上高、売上総利益、営業利益などの財務指標に加え、外部協力企業の営業担当等のアカウント数や、顧客企業との平均取引継続期間を重要な経営指標(KPI)として設定しています。これらをモニタリングし、成約案件数の増加や良質なマッチングの実現を目指しています。
* アカウント数:9,248件(2025年3月期実績)
* 顧客企業との平均取引継続期間:21.8ヶ月(2025年3月期実績)
■(4) 成長戦略と重点施策
需給ギャップが拡大するIT市場において、全国への拠点展開を加速し、営業体制の拡充とエンジニアリソースの確保に注力しています。具体的には、新規拠点の開設、営業担当の増員、自社エンジニアの採用・育成強化を進めています。また、M&Aや資本業務提携を通じてAI領域などの技術力を強化し、より高付加価値な案件の獲得を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
地方へ機会提供を行うため、積極的に地方人材を採用・育成する方針を掲げています。未経験・微経験者に対しても短期育成プログラムを通じてエンジニアとして輩出するほか、既存エンジニアに対しては多様な案件やキャリア支援を提供し、離職率の低下を図っています。また、リモートワークを推奨し、安全で健康的な就業環境の整備に努めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 35.7歳 | 3.6年 | 4,695,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 14.3% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | -% |
| 男女賃金差異(正規) | -% |
| 男女賃金差異(非正規) | -% |
※同社は公表義務の対象ではないため、有報には男女賃金差異の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 市場動向の変化
DX関連市場は拡大が見込まれていますが、予期せぬ法的規制や企業のIT投資意欲の減退により市場成長が鈍化した際、業績に悪影響が及ぶ可能性があります。同社は市場トレンドを注視し、エンジニアへの研修を通じてニーズに合った技術習得に努めています。
■(2) 同業他社との競合
ITエンジニアリングやソリューションサービスの市場には多数の競合が存在します。価格競争による単価下落やエンジニアの稼働率低下が発生した場合、業績が悪化するリスクがあります。同社はエンジニアの教育研修により付加価値を高め、競争力維持を図っています。
■(3) 技術革新への対応遅れ
IT業界では技術革新が急速に進んでおり、同社の経験やノウハウが通用しない新技術が普及した場合、適時に対応できなければ競争力を失う恐れがあります。これに対し、外部研修や書籍購入補助、社内勉強会などを通じて技術力の向上に取り組んでいます。



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