※本記事は、日本ナレッジ株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
日本ナレッジは、主にソフトウエアシステムの検証サービスを提供する検証事業と、システム受託開発や業務系パッケージソフトウエアの開発・販売を行う開発事業を主軸に展開しています。2001年度からは、開発事業で培ったノウハウを活かし、ソフトウエアテストに関する専門的な知見と技術を提供する検証事業に注力しています。
単体従業員数は462名、連結従業員数は491名です。セグメントは検証事業、開発事業の2つです。
主な国内グループ会社は、(連結子会社)アルテックスなどです。
同社グループは、株式会社アルテックスの株式取得を実施し、連結の範囲に含めました。これにより、開発事業における連携強化と新たな事業機会の創出を図っています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
日本ナレッジは、ITサービス業界において、人材を価値創造の源泉と位置づけ、その育成と活用に注力している企業です。従業員の定着を促しつつ、多様なキャリア形成を支援する働き方を推進しています。給与水準や働き方の特徴を理解することで、同社グループでのキャリアパスを具体的にイメージできるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、比較的若い年齢層の従業員が多く、平均勤続年数も短めであることから、活発な人材の流動性や成長機会が期待できる環境であると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,237,000円 |
| 平均勤続年数 | 6.0年 |
| 平均年齢 | 36.9歳 |
| 単体従業員数 | 462人 |
| 連結従業員数 | 491人 |
| 単体のグループ内比率 | 94.1% |
(退職給付制度)
同社は従業員の退職給付に充てるため、確定拠出制度を採用しています。確定拠出型は、会社が拠出した資金を従業員が自ら運用し、その運用実績によって将来の給付額が決まる制度です。
適用範囲は国内の従業員です。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人材を価値創造および競争優位の源泉と位置づけ、「人材が育ち、人材で勝つ会社」を目指すことを人材戦略の基本方針としています。特に、上流工程に参画できる人材、品質保証コンサルティングを担える人材、AIを活用できる人材、プロジェクトを推進できる人材の採用・育成、および若手・未経験者の早期戦力化を重要な課題としています。
給与その他の給付は、職務内容、職責、能力、経験、勤務成績、会社業績、および外部労働市場の水準を総合的に勘案し、社内規程に基づき決定されます。基本給は職務・役割、能力、経験、市場水準を踏まえて決定され、賞与は会社業績および個人の業績・貢献度を考慮して決定されます。
具体的な施策としては、体系的基礎教育スキーム「NKC-Knowledge」やナレッジ活用AI支援ツール「NKC-Knowledge Guide」、各種研修制度、エルダー制度等を通じて、若手・未経験者の早期戦力化と高度技術者の育成を推進しています。また、優秀な技術者の積極採用や充実した社内研修制度による未経験人材の早期戦力化、同社グループ独自技術分野における高度技術者の育成、外部人材の有効活用などを積極的に推進しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 5.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 90.4% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 91.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 81.6% |
人材育成・エンゲージメント
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 技術者採用数 | 65名 |
| 技術者採用費用 | 20百万円 |
| 技術者教育費用 | 26百万円 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
日本ナレッジは、ソフトウエアの検証サービスとシステム開発を主軸とする事業を展開しています。同社グループは、専門性の高いIT技術を通じて顧客のビジネスを支援し、収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主にソフトウエアシステムの検証サービスを提供する「検証事業」と、システム受託開発や業務系パッケージソフトウエアの開発・販売等を行う「開発事業」を主たる事業として展開しています。IT人材不足を背景に、ソフトウエアの品質担保に関するテスト工程のアウトソーシングが加速する市場環境において、同社グループは顧客の高品質なソフトウエア開発を総合的に支援しています。
検証事業
この事業では、ソフトウエアの開発工程におけるテスト計画の立案からテストの分析設計、実行、コンサルティングまでの一連のサービスを提供しています。特に、開発事業で培った業務知識やシステム構造のノウハウを活かしたエンタープライズ系システムや、テスト自動化技術によるコスト効率化と品質担保を強みとしています。収益は、検証サービスから得ています。運営は、日本ナレッジが行っています。
開発事業
この事業では、大手ベンダー製のERPパッケージソフトウエア導入に伴うカスタマイズの受託開発、鋼材業や建材・木材卸業向けの業種テンプレートの開発・販売、およびセキュリティ製品の開発・販売・保守を中心に行っています。ERPパッケージのカスタマイズ開発は参入障壁が高く、業種テンプレートは業界特有の商習慣に対応することで顧客の費用負担を抑えています。収益は、パッケージソフトウエアのカスタマイズ・受託開発およびセキュリティ製品の開発・販売から得ています。運営は、日本ナレッジおよび子会社のアルテックスが行っています。
同社グループの事業は、本邦以外の外部顧客への売上高がないため、海外比率は低い状況です。また、株式会社大塚商会が検証事業と開発事業の両方において主要な顧客の一つとなっています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 検証事業 | - | 26.8億円 |
| 開発事業 | - | 18.8億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
日本ナレッジグループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しており、直近の業績は当期のみ開示されています。売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも、当期の実績が示されています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | 45.6億円 |
| 経常利益 | - | - | - | - | 1.3億円 |
| 経常利益率 | - | - | - | - | 2.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | - | 87百万円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | - | 20.88 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
日本ナレッジグループの収益性と生産性を示す指標として、従業員1人あたりの売上高と営業利益が確認できます。当連結会計年度は連結財務諸表作成初年度であるため、前期との比較はできませんが、当期の数値は同社グループの事業活動による稼ぐ力を示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | - | 9.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | - | 0.1百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
日本ナレッジの財務状況は、本業で着実に資金を生み出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている段階を示しています。これにより、同社グループが事業の成長と安定性の両面を追求していることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
日本ナレッジの財務基盤は、自己資本比率が53.5%と、プライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあります。ROE(自己資本利益率)は7.2%となっており、プライム市場平均を下回っています。手元資金として6.7億円の現金及び預金を保有しており、事業運営における一定の安定性を示しています。これらの財務状況は、従業員の雇用や給与の安定性にも影響を与える要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 11.4億円 | 12.1億円 |
| 自己資本比率 | - | 53.5% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 7.2% |
| 現金及び預金 | 6.7億円 | 6.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
日本ナレッジのキャッシュフローは、本業で資金を生み出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている状況を示しています。営業活動によるキャッシュフローは57百万円のプラスとなりました。これは主に税金等調整前当期純利益や減価償却費、のれん償却額の計上により資金が増加した一方で、売上債権の増加や法人税等の支払いにより資金が減少したことによるものです。
投資活動によるキャッシュフローは△1.1億円のマイナスとなっており、主に有形固定資産の取得や子会社株式の取得による支出が影響しています。財務活動によるキャッシュフローは△10百万円のマイナスで、長期借入金の返済や配当金の支払いがあった一方で、長期借入れによる収入も計上されています。フリーキャッシュフローは△56百万円となっており、本業で得た資金を成長投資に充てている状況です。この資金の流れは、同社グループが事業拡大を目指していることを示しており、将来的な雇用や給与の安定性、成長性につながる可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | 57百万円 |
| 投資CF | - | △1.1億円 |
| 財務CF | - | △10百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | △56百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、主要取引先である株式会社大塚商会グループへの売上依存度が高いことをリスクとして認識しています。また、テスト・検証サービス市場において、価格競争の激化や大手企業の新規参入により、競合が厳しさを増す可能性があることを挙げています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、開発事業および検証事業の拡大には優秀な技術者の確保と育成が不可欠であると認識しています。市場の拡大に見合った人員の確保・育成ができない場合、事業拡大に支障が生じる可能性があることをリスクとして挙げています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
日本ナレッジは、IT技術の進化に対応し、顧客が安心・安全にITサービスを利用できる社会の実現に貢献することを目指しています。人と技術を育み、デジタル社会の未来を支えることをミッションに掲げ、事業を展開しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「Mission:人と技術を育み、安心できるデジタル社会の未来を支える」を掲げています。また、「Vision:お客様の長期的パートナーとして選ばれ、安心と成功を届ける企業へ」を目指しています。
検証事業と開発事業を両輪とし、顧客満足を追求しています。IT技術の高度化が進展する中で、顧客がより安心・安全にITサービスを利用できる社会の実現に貢献したいと考えています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、「夢や希望を決して諦めない」「成功は行動から」「ユーモアをもって笑顔で」をValueとして掲げています。サステナビリティに関する企業コンセプトとして、「人的資本経営を軸に、学び続ける仕組みと多様なキャリアで次世代を育む」ことを重視しています。
経営理念や経営ビジョンのもと、SDGsの「産業と技術革新の基盤をつくろう」「質の高い教育をみんなに」「働きがいも経済成長も」「つくる責任つかう責任」「パートナーシップで目標を達成しよう」の5つの重要課題に取り組んでいます。同社グループは「人材」を価値創造、競争優位の源泉と位置づけ、「人材が育ち、人材で勝つ会社」を目指す方針です。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、持続的な成長力と強固な経営基盤、財務基盤を確立するために、対処すべき課題を定めています。検証事業においては、システムの品質改善に継続的に貢献する企業を目指し、品質の見える化やソフトウェア品質の国際規格への取り組み、テスト自動化などを積極的に進めています。
また、テスト技術者の確保と教育、機能テストに加え安全性や操作性などの利用者品質を重視したテストサービス領域への拡大を重要な課題としています。開発事業では、業種特化型パッケージソフトウェア事業のクラウド型への移行、セキュリティ製品「monoPack」のOSバージョンアップへの迅速な対応が課題となっています。これらの実現のため、既存のグループ内エンジニアの育成・活用はもちろんのこと、外部から優秀なエンジニアを確保することを重要視しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
日本ナレッジは、健全で透明性の高い経営管理システムを確立し、コーポレート・ガバナンスを有効に機能させることを重視しています。同社は現在、監査役会設置会社ですが、株主総会での承認を経て監査等委員会設置会社へ移行する予定です。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
日本ナレッジの筆頭株主はウィステリアトラストであり、同社の取締役が代表を務めています。また、代表取締役社長の藤井洋一氏も上位株主の一人です。従業員持株会も上位に名を連ねており、創業家や従業員が同社の資本構成を支えていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ウィステリアトラスト | 43.06% |
| 大塚商会 | 9.68% |
| 光通信KK投資事業有限責任組合 | 6.63% |
| 日本ナレッジ従業員持株会 | 6.25% |
| UHPartners2投資事業有限責任組合 | 5.37% |
なお、同社は2025年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っており、上記株式数は当該株式分割後の株式数です。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
日本ナレッジの役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は藤井洋一氏が務めています。社外取締役比率は0.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 藤井 洋一 | 代表取締役社長 | 1985年日本スペースソフト設立、代表取締役就任。1988年同社代表取締役社長就任。一般社団法人IT検証産業協会名誉会長も務めるより現職。 |
| 長谷川 貴志 | 取締役 | 1989年同社入社。2012年同社取締役に就任し、開発事業部技術部長、開発事業本部長、事業統括本部長、DX推進本部長などを歴任より現職。 |
| 青木 一男 | 取締役 管理本部長 | 1977年日本電気工事(現NECネッツエスアイ)入社。同社で経理部財務室長、監査部長を歴任後、キューアンドエー常勤監査役を経て、2019年同社取締役管理本部長に就任より現職。 |
| 藤井 勇佑 | 取締役 事業支援室長 | 2008年NECネッツエスアイ・サービス入社。2011年同社入社後、ウィステリアトラスト代表取締役就任。同社では開発事業本部副本部長、執行役員営業本部長などを経て、2026年同社取締役事業支援室長に就任より現職。 |
社外取締役は、渡辺照男氏(Re・Favor代表取締役社長)、小泉妙美氏(Amazia常勤監査役)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会を設置しています。監査役会は全員が社外監査役で構成され、取締役の職務執行を監督しています。なお、2026年6月26日開催予定の定時株主総会で監査等委員会設置会社へ移行する議案が提案されており、承認可決された場合、同総会終結時をもって移行する予定です。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
日本ナレッジの役員報酬体系は、業績の持続的向上と企業価値の最大化に向けたインセンティブとして機能するよう設計されています。報酬は固定報酬と非金銭報酬で構成され、非金銭報酬として中長期的な企業価値向上を目的とした譲渡制限付株式を業務執行取締役に付与しています。固定報酬と株式報酬の割合は、固定報酬を100とした場合に株式報酬が10〜30となることを目安としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 66百万円 | 16.5百万円 |
| 社外取締役 | 2名 | 5百万円 | 2.4百万円 |
| 社外監査役 | 3名 | 13百万円 | 4.2百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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