【平均年収688万円】南海化学 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収688万円】南海化学 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

南海化学は、化学品事業と各種塩事業をグループ各社とともに展開する化学品メーカーです。直近の売上高は増加し、経常利益も堅調に推移しました。当期純利益は大きく伸びました。


目次

※本記事は、南海化学株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。

1. 企業概要:どんな会社?


南海化学は1906年創業の化学品メーカーです。同社グループは「化学品事業を通じて地球環境と豊かな社会の創生に貢献する」を企業理念に掲げ、基礎化学品、機能化学品、アグリ、環境リサイクル、各種塩の5つの事業を展開しています。

単体従業員数は263名、連結従業員数は319名です。報告セグメントは化学品事業と各種塩事業の2つです。

主な国内グループ会社は、南海化学(当社)、(連結子会社)、ATNグラファイト・テクノロジー (持分法適用関連会社)、エヌエムソルト(連結子会社)などです。

2025年4月1日付でエヌシー環境を吸収合併し、同年12月24日付で富士アミドケミカルの清算を結了しました。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


南海化学は、化学品事業を通じて地球環境と豊かな社会の創生に貢献するという企業理念のもと、安定した事業基盤を築いています。従業員の平均勤続年数や年齢からは、長期的なキャリア形成が可能な環境であることがうかがえます。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社は、従業員が長く働きやすい環境を提供しており、人材の定着を重視している傾向が見られます。平均勤続年数と平均年齢からは、バランスの取れた年齢構成で、経験豊富な社員が活躍していることが示されています。

項目 数値
平均年間給与 6,876,000円
平均勤続年数 8.2年
平均年齢 43.7歳
単体従業員数 263人
連結従業員数 319人
単体のグループ内比率 82.4%

退職給付制度


同社グループは、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型の制度を設けています。確定給付型とは、給与や勤続年数に応じて将来の給付額があらかじめ決まっている制度です。

適用範囲は国内の当社および連結子会社です。当社は確定給付企業年金制度と退職一時金制度を、連結子会社は退職一時金制度を設けています。

退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。

なお、退職給付債務は7.1億円、年金資産は9.4億円となっています。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


同社は、100年を超える歴史の中で培った基盤を活かしつつ、変化の激しい時代において持続的な成長と新たな価値創出を実現するため、社員一人ひとりが変革の担い手となることを不可欠と考えています。これからの企業価値向上を牽引する人材として、「興味・好奇心」に基づく探究力、「環境変化に適応する可変力・チャレンジ精神」、そして「最後までやり切る実行力・責任感」の3つの要素を備えた人材の育成・確保に努めています。

給与その他の給付制度は、企業理念と経営指針に基づき、能力の発揮と開発意欲を引き出し、正当な人材登用・処遇を行うことで、従業員の自律的な成長と持続的な企業価値向上を牽引する人材の確保・定着を図ることを基本方針としています。給与体系は役割等級制度を基盤とし、一般職は人事考課の絶対評価による職務加算給、管理職は年度ごとの相対評価に基づく業績給と役割給で決定されます。管理職以上の従業員向けには、中長期的な業績向上への貢献意欲を高め、優秀な人材の定着を促すため、株式給付信託(BBT)制度を導入しています。

また、同社は2021年10月に「健康経営宣言」を策定し、社員の心身の健康づくりに取り組んでいます。従業員の健康意識向上や生活習慣改善、ストレスチェックによるメンタルヘルス対策の強化といった施策を戦略的かつ計画的に進めています。さらに、女性の活躍推進を含む社内の多様性への取り組みとして、性別や国籍等にかかわらず採用活動を行い、2018年7月からは「女性活躍推進タスクフォース」を発足し、働き方改革に資する制度改定提案などに取り組んでいます。社員一人ひとりのニーズを把握し、仕事と育児の両立支援や、多様な人材が安心して活躍できる職場環境を構築するため、年次、職位、職能ごとに求められる能力・専門知識の習得を目的とした研修制度も実施し、継続的な人材育成に力を入れています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体のデータを示します。管理職に占める女性労働者の割合および労働者の男女の賃金の差異は、女性活躍推進法に基づく公表義務の対象項目として選択しておらず、公表されていません。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、記載を省略しています。

指標 数値
男性労働者の育児休業取得率 100.0%

人的資本・多様性への対応(任意開示)


同社グループがサステナビリティの実現のために必要となる多様な人材の確保を目的に、設定している指標です。

指標 数値
採用者に占める女性割合 17.6%
管理職及びリーダーに占める女性割合 5.6%
男性社員育児休業平均取得率 100.0%

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


南海化学は、1906年の創業以来、化学品メーカーとして事業を展開しています。同社グループは「化学品事業を通じて地球環境と豊かな社会の創生に貢献する」という企業理念のもと、多岐にわたる化学製品と塩の加工・販売を手掛けています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、基礎化学品から機能化学品、農薬、環境リサイクル、そして各種塩の製造・加工・販売まで、幅広い事業を展開しています。国内市場が収益の大部分を占めており、特定の顧客に売上が集中することなく、多様な顧客基盤を持っています。

化学品事業

この事業では、水資源関連、医療、食品分野で利用される苛性ソーダや次亜塩素酸ソーダなどのクロール・アルカリ製品、浄水場やプール水の衛生管理に使われる塩素系殺菌・消毒剤、工場排水や下水排水処理に用いられる水処理凝集剤などを提供しています。また、廃硫酸のリサイクル技術を活用した硫酸の製造、食品添加物である酢酸ナトリウムや健康食品のグルコサミン、医療機器洗浄剤や樹脂添加剤の受託製造も手掛けています。さらに、土壌殺菌剤クロルピクリンなどの農薬の製造・販売も行っています。収益は、これらの多種多様な化学製品の製造・販売および受託製造から得ています。前期と比較して、売上高、セグメント利益ともに増加しています。

各種塩事業

この事業では、食品や産業分野で利用される高品質でコストパフォーマンスに優れた天日塩の製造、加工、販売を行っています。収益は、加工された塩製品の販売から得ています。前期と比較して、暖冬の影響による凍結防止剤の出荷減少などにより、売上高、セグメント利益ともに減少しています。

セグメント 売上高(2025年3月期) 売上高(2026年3月期)
化学品事業 163億円 170億円
各種塩事業 45.5億円 40.8億円

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの直近5期間の業績は、売上高が緩やかに増加傾向にあり、経常利益も変動しながらも堅調に推移しています。特に当期は、親会社株主に帰属する当期純利益が大きく増加しました。これは、中期経営計画の重点施策である収益基盤の強化や製造原価・一般管理費の削減に取り組んだ結果、営業利益が増加したことに加え、特別利益として子会社の土地売却益を計上したことが主な要因となっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 174億円 196億円 200億円 209億円 211億円
経常利益 7.2億円 8.9億円 17.8億円 14.6億円 17.6億円
経常利益率 4.1% 4.5% 8.9% 7.0% 8.4%
親会社株主に帰属する当期純利益 4.6億円 5.0億円 11.6億円 10.2億円 27.8億円
1株当たり当期純利益(円) 359.83 391.94 586.71 505.79 1,375.57

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたりの売上高は前期からわずかに減少しましたが、従業員1人あたりの営業利益は増加しています。これは、売上高の伸びが緩やかである一方で、利益率の改善が進んだことを示唆しています。組織全体の効率化や収益性の向上が、従業員一人ひとりの稼ぐ力に反映されていると考えられます。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
従業員1人あたり売上高(連結) 67.9百万円 66.0百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 4.2百万円 5.3百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


同社グループの財務状況は、本業からの資金流出が見られる一方で、投資活動による資金流入が大きく、全体として資金の増加を示しています。これは、事業構造の変化や資産売却が影響している状況です。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均を上回る水準にあり、安定した状態を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を大きく上回っており、効率的な資本活用が進んでいることがうかがえます。手元資金である現金及び預金も増加しており、事業運営における資金の柔軟性が確保されている状況です。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
純資産 85.0億円 112億円
自己資本比率 37.4% 56.8%
ROE(自己資本利益率) 12.8% 28.6%
現金及び預金 17.0億円 20.4億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


同社グループのキャッシュフローは、営業活動による資金が支出となりました。これは主に売上債権の増加や仕入債務の減少、法人税等の支払額などによるものです。一方で、投資活動では有形固定資産の売却による収入が大きく、資金の流入を示しています。

その結果、フリーキャッシュフローはプラスとなり、事業活動と投資活動を合わせた資金は増加しました。財務活動では、短期借入金や長期借入金の返済、自己株式の取得により資金が支出されており、財務体質の改善に向けた動きが見られます。本業での資金消費があるものの、資産売却による資金確保と財務健全化への取り組みは、今後の事業運営の安定性につながる可能性があります。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 1.8億円 △2.6億円
投資CF △4.9億円 28.7億円
財務CF 2.4億円 △23.1億円
フリーCF(営業CF+投資CF) △3.1億円 26.1億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループは、国内外の経済情勢や市場の動向、競合他社の事業展開により、製品マーケットの縮小や市況の下落、シェア低下が生じる可能性があります。また、製品に使用する原材料の確保が困難になった場合や、原材料価格が急激に変動した場合も、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

③ 人材・組織に関するリスク

同社グループは、今後の事業展開において適切な人材の確保・育成が重要であると認識しています。適切な人材を十分に確保できなかった場合、事業遂行に制約が生じ、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


南海化学は、化学品事業を通じて地球環境と豊かな社会の創生に貢献することを企業理念に掲げ、持続可能な社会の実現を目指す企業です。顧客ニーズに応えるマーケットイン型の企業体質への転換を進め、サステナブルな明日を創ることをスローガンに掲げています。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


南海化学グループは、「化学品事業を通じて地球環境と豊かな社会の創生に貢献する」を企業理念に掲げています。この理念のもと、「水をつくり、土を活かし、人を育む」という考え方を経営に生かしています。

2013年の親会社からの独立を機に、プロダクトアウト型から顧客ニーズをふまえたマーケットイン型の企業へと体質を大きく転換しました。顧客に近接した工場立地と、硫黄や水素などの原料を自社製造できるコスト競争力を強みとし、商品提案力に磨きをかけ、さらなる発展に繋げていく方針です。同社グループは、2027年3月期までの中期経営計画において「サステナブルな明日を創る」をスローガンとしています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


南海化学グループは、企業理念のもと、サステナビリティ基本方針として、環境リサイクル事業の先駆者として持続的な成長とサステナブル経営の実践を通じて、環境、社会、経済における中長期的課題の解決に積極的に取り組むことを掲げています。企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指しています。

2021年10月には「健康経営宣言」を策定し、社員の心身の健康づくりに取り組み、社員の働きがいと経済成長に貢献することを目指しています。社員の健康状況を把握し、継続的に改善する取り組みを、個人と組織のパフォーマンス向上に向けた重要な投資と捉えています。

また、サステナビリティの実現のために必要となる多様な人財の確保を目的に、性別や国籍等にかかわらず採用活動を行っています。2018年7月からは「女性活躍推進タスクフォース」を発足し、働き方改革に資する制度改定提案に取り組むなど、仕事と育児の両立支援や多様な人財が安心して活躍できる職場環境の構築を目指しています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


南海化学は、2023年4月に東京証券取引所スタンダード市場に上場を果たし、今後も上場企業に相応しいガバナンスの強化とコンプライアンスの徹底の下でステークホルダーの満足度向上に向けた施策を実施していく方針です。

同社グループは、中期経営計画のスローガン「サステナブルな明日を創る」のもと、以下の重点施策の達成に向けた諸施策を適切に実施しています。具体的には、収益基盤の強化として、事業ポートフォリオの最適化や業務効率化の推進、地域立脚を活かした差別化、既存製品の高付加価値化へのリソース集中に取り組んでいます。

また、環境リサイクル事業領域の拡大として、廃硫酸リサイクル事業の伸長、2023年10月から土佐工場で開始した脱塩事業の拡大、新たなリサイクル事業の創出に取り組んでいます。サステナブル経営の推進においては、環境リサイクル事業を通じた環境・社会貢献、BCPを念頭に置いた安心・安全な持続的製販体制の強化、人材育成、DE&I施策推進による人的資本投資の拡充を進めています。

同社グループは、事業活動に潜在する様々な内外リスクを全社的かつ適切に管理するために「リスクマネジメント基本規程」を定めるとともに、「サステナビリティ委員会規程」に基づき、リスク管理活動を推進しています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


南海化学は、全てのステークホルダーを重視した経営を基本方針としています。監査等委員会設置会社として、取締役会における監査監督機能の強化と企業価値向上を目指しています。また、指名・報酬諮問委員会や経営会議を設置し、経営の透明性向上と執行機能の効率化を図っています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


南海化学の株主構成を見ると、筆頭株主は信託銀行である日本カストディ銀行(信託口)です。次いで従業員持株会が上位に位置しており、従業員による株式保有が進んでいることがうかがえます。また、事業会社である東亞合成も主要な株主の一つとなっています。

株主名 持株比率
日本カストディ銀行(信託口) 11.70%
南海化学従業員持株会 3.81%
東亞合成 3.25%
ソーダニッカ 2.92%
大中物産 2.53%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長執行役員は杉岡伸也氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
杉岡 伸也 代表取締役社長執行役員 三菱商事にて化学品グループクロールアルカリ部、独国三菱商事Department Manager、中央化学特販担当副本部長兼商品部長、三菱商事化学品グループ合成樹脂部長、リヤード事務所長、三菱商事プラスチック代表取締役社長を経て、2024年同社入社、2025年4月より現職。
長津 徹 取締役執行役員業務本部長 チーフコンプライアンスオフィサー 三井物産にて非鉄金属・繊維会計部、カラチ事務所化学品グループ所長代理、関西支社有機化学品部有機化学品室長、ベトナム三井物産有限会社化学品室長、経営企画部海外室次長、公益社団法人関西経済連合会国際部部長を経て、2021年同社入社、2024年6月より現職。
吉門 孝芳 取締役執行役員製造管掌役員 1984年同社入社。生産管理部長、富士アミドケミカル取締役、エヌシー環境代表取締役社長、同社執行役員、取締役執行役員青岸工場長兼研究開発本部長、事業開発本部長兼環境事業部長を経て、2025年4月より現職。


社外取締役は、堀尾知樹氏(元旭化成アドバンス執行役員)、伊集院薫氏(甲南化成専務取締役・監査等委員)、海部行延氏(元アグロ カネショウ上席執行役員経営企画本部長・監査等委員)、渡邉りつ子氏(弁護士・監査等委員)です。

同社は監査等委員会設置会社であり、監査等委員である取締役が取締役会における議決権を保有することで、監査監督機能の強化を図っています。社外取締役は取締役会や経営会議に出席し、経営全般の重要事項について意見交換を行っています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


南海化学の役員報酬は、固定報酬である基本報酬、業績連動報酬、そして非金銭報酬である業績連動型株式報酬で構成されています。取締役(監査等委員を除く)の報酬は、指名・報酬諮問委員会の答申を経て取締役会で決定されます。社外取締役および監査等委員である取締役には、独立性確保のため固定の基本報酬のみが支給され、業績連動報酬は支給されません。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。