※本記事は、コージンバイオ株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、細菌検査用培地、体外診断用医薬品、細胞培養用培地の製造・販売、および細胞加工の受託を主な事業としています。医療・研究分野における基盤製品とサービスを提供しています。
単体従業員数は150名、連結従業員数は176名です。セグメントは組織培養事業、微生物事業、細胞加工事業の3つです。
主な国内グループ会社は、エンバイオ(微生物事業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
コージンバイオは、従業員の成長と働きやすさを重視し、多様な人材が活躍できる環境づくりに注力しています。給与水準は個人の役割や成果に基づいて公平に決定され、ワークライフバランスを支援する柔軟な働き方も導入されています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の長期的な定着を支援する環境を整備しており、平均勤続年数と平均年齢から、比較的安定したキャリア形成が可能な職場であることがうかがえます。従業員一人ひとりが能力を発揮し、長く働き続けられるような取り組みが進められています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,535,000円 |
| 平均勤続年数 | 6.1年 |
| 平均年齢 | 38.6歳 |
| 単体従業員数 | 150人 |
| 連結従業員数 | 176人 |
| 単体のグループ内比率 | 85.2% |
同社は従業員の退職給付に充てるため、確定給付型の退職一時金制度を設けています。この制度は国内の従業員に適用され、給付金の一部は中小企業退職金共済制度からの支給額で充当されます。退職一時金制度では、退職給付として給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、高度な専門的知識、技能及び経験を有する多様な人材の確保と育成を、成長戦略を実現するための不可欠な要素と位置付けています。人的資本を重要な経営資源の一つとして捉え、持続的な成長と企業価値向上に貢献する人材戦略を推進しています。
従業員の給与や賞与を含む処遇については、事業の持続的な成長と人材の確保・定着を図る観点から、役割、責任、及び成果を考慮し、公平性と納得性を基本方針として決定しています。給与水準や賞与の決定にあたっては、職務内容や職責、個人及び組織の成果、人材の育成・確保の観点、法令及び社会的要請などを総合的に勘案しています。
また、多様化するワークライフバランスに対応するため、フレックスタイム制や時差出勤制度を導入し、働きやすい環境の整備に努めています。特に、女性管理職比率の向上や育児休業取得率の向上を目標とし、ライフステージの変化に対応したキャリア継続を支援しています。男性労働者の育児休業取得人員も重要な管理指標の一つとしており、男女問わず仕事とプライベートを両立できる公平で柔軟な人事制度設計と風土醸成に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男性労働者の育児休業取得率は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 25.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | 69.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 76.3% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 59.0% |
多様性・登用
これらの指標に関する目標及び実績は、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、提出会社におけるデータを示しています。
| 指標 | 2026年度目標 | 2025年度実績 |
|---|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 25%以上 | 25.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 75%以上 | 69.5% |
育児・介護支援
これらの指標に関する目標及び実績は、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、提出会社におけるデータを示しています。
| 指標 | 2026年度目標 | 2025年度実績 |
|---|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得人員 | 1名以上 | 0名 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
コージンバイオは、細菌検査用培地や体外診断用医薬品、細胞培養用培地の製造・販売、および細胞加工の受託を主な事業として展開しています。同社グループは、これらの事業を通じて感染症対策や再生医療の発展に貢献しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、主に「組織培養事業」「微生物事業」「細胞加工事業」の3つのセグメントで事業を展開しています。各事業は、医療や研究分野における基盤技術を提供し、それぞれの専門性に応じた収益を上げています。
組織培養事業
この事業では、ヒト、動物、昆虫などの細胞を増殖させるための細胞培養用培地の開発、製造、販売を行っています。特に再生医療分野や抗体医薬品の製造に不可欠な無血清培地の開発に注力しており、間葉系幹細胞や免疫細胞を培養する培地が主力製品となっています。収益は、国内外の研究機関や企業への培地の販売から得ています。運営は、コージンバイオ、高金生物科技(上海)有限公司、味の素コージンバイオが行っています。
微生物事業
感染症や食品汚染の原因となる微生物を特定するための製品の開発、製造、販売を手掛けています。長年培ったノウハウを活かした細菌検査用培地や、抗原抗体反応を利用した体外診断用医薬品を提供しています。新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの抗原検査キットなども開発しています。収益は、病院での臨床検査用途や産業用途向けの培地、および体外診断用医薬品の販売から得ています。運営は、コージンバイオおよびエンバイオが行っています。
細胞加工事業
「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づき、医療機関からの依頼を受けて特定細胞加工物の製造受託や、再生医療等法規対応サポートを行っています。免疫療法や幹細胞治療に用いられる細胞の培養加工を、厚生労働省の許可を得た施設で実施しています。収益は、医療機関からの細胞加工受託や法規対応サポートの提供から得ています。運営は、コージンバイオが行っています。
当連結会計年度においては、組織培養事業が計画を上回る実績を確保し、同社グループの収益基盤を支えました。一方で、微生物事業では感染症関連製品の需要減少による反動減、細胞加工事業ではインバウンド患者数の低迷がみられました。海外売上高は全体の約2割を占め、特に中国の顧客である康宁生命科学(吴江)有限公司への販売が全体の1割強を占めています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 組織培養事業 | 22.7億円 | 25.4億円 |
| 微生物事業 | 17.8億円 | 14.2億円 |
| 細胞加工事業 | 11.6億円 | 9.7億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績推移を見ると、売上高は概ね増加傾向にありましたが、当連結会計年度は減少に転じました。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、当連結会計年度において大幅な減少となりました。これは、微生物事業における感染症関連製品の反動減や、細胞加工事業におけるインバウンド患者数の低迷が主な要因となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 39.5億円 | 47.4億円 | 47.7億円 | 52.1億円 | 49.4億円 |
| 経常利益 | 9.2億円 | 12.4億円 | 6.4億円 | 10.7億円 | 3.4億円 |
| 経常利益率 | 23.3% | 26.2% | 13.3% | 20.5% | 6.9% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 5.9億円 | 8.3億円 | 3.8億円 | 7.9億円 | 2.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 173.50 | 199.23 | 92.43 | 157.57 | 49.11 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から減少しました。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から減少する結果となりました。これらの指標の変動は、当連結会計年度における売上高と利益の減少が影響していると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 31.2百万円 | 28.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 5.9百万円 | 1.9百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
コージンバイオは、本業で資金を生み出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている状況です。財務基盤は安定しており、今後の事業拡大に向けた動きが見られます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
コージンバイオの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の製造業平均を上回る水準で推移しており、安定した状態を示しています。手元資金である現金及び預金は減少していますが、一定の厚みを維持しています。ROEは前期から低下しており、収益性の改善が今後の課題となる可能性があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 57.8億円 | 59.5億円 |
| 自己資本比率 | 63.8% | 66.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 17.4% | 4.3% |
| 現金及び預金 | 31.5億円 | 24.9億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
コージンバイオのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが当期もプラスを維持しています。これは主に売上債権の増減額による収入があったものの、税金等調整前当期純利益の減少や法人税等の支払額増加により、前期と比較して収入は減少しました。
投資活動によるキャッシュフローは、新工場用地や新細胞加工施設に係る有形固定資産の取得による支出が継続しており、当期も支出超過となっています。これにより、事業活動で得た資金を将来の成長に向けた設備投資に充てている状況が示されています。
財務活動によるキャッシュフローは、長期借入金の返済や配当金の支払いにより支出超過となりました。フリーキャッシュフローは当期もマイナスとなっており、本業で得た資金を上回る投資を行っている成長投資フェーズにあることがうかがえます。これは、将来の事業拡大に向けた積極的な姿勢を示しており、中長期的な視点での雇用安定性や成長性が期待できる状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 9.2億円 | 7.0億円 |
| 投資CF | △10.9億円 | △8.7億円 |
| 財務CF | 13.8億円 | △3.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △1.8億円 | △1.7億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの細胞加工事業では、日中関係の悪化等を背景とした中国人来日者数の減少により、インバウンド患者数が低迷しました。これにより、外国人患者を中心とした細胞加工受託件数が計画を大きく下回っています。
また、同社グループは常に他社との技術革新に関する開発競争が展開される状況にあります。これらの競争の結果によっては、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、変化する顧客ニーズへ対応し顧客満足度を高めていくため、適切な人材確保が重要課題の一つと認識しています。各部門に配属可能な高い専門性を有する人材の確保と育成に注力していますが、他業界に比べ比較的人材が流動的である傾向があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
コージンバイオは、「考える人(考人)の組織集団」として、バイオテクノロジーの発展に貢献することを目指しています。顧客第一主義と品質第一主義をモットーに、社会に貢献する企業文化を育んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
コージンバイオグループは、「考える人(考人)の組織集団」として、「顧客第一主義・品質第一主義」をモットーにバイオテクノロジーの発展に貢献していくことを経営理念としています。
ビジョンとしては、グローバル企業としての位置を確立し、培地業界における国内シェア1位を目指しています。また、新規事業を開拓し、高付加価値サービスを提供し続けることを目標としています。
社是には「敬天愛人成善」を掲げ、「公明正大 謙虚な心で仕事にあたり 人に恥じることなく 人を愛し 仕事を愛し 善業を成す」という精神を大切にしています。基本理念では「常に誠心誠意で仕事をする」「今、必要とされている最先端の製品を世に出す」「喜びに満ち満ちた会社である」ことを重視しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
コージンバイオグループでは、以下の5つの行動指針を掲げ、日々の業務に取り組んでいます。顧客の理解と満足が得られる製品であること、品質最優先で製造された高品質な製品であること、社会が今必要としている最先端の製品であること、一人一人が品質に自覚と責任を持てる製品であること、そして各種法規・規格・標準を遵守することです。
同社グループは、社会や顧客から信頼される企業であり続けるため、製品・サービスの安全性及び品質の確保を最優先事項としています。ライフサイクル全体を通じた品質管理に取り組む姿勢です。
また、多様な人材が能力を発揮できる、安心・安全で働きやすい職場環境の整備に努めています。国内外の法令・規制を遵守し、高い倫理観に基づいた公正かつ透明な事業運営を行うことで、ステークホルダーからの信頼維持・向上を図ることを重視しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
コージンバイオグループは、優先的に対処すべき課題として人材の採用・育成を挙げています。主要事業において専門スキルを持つ人材が不可欠であるため、グローバルな人材の確保に注力する方針です。
また、組織規模の拡大・多様化に対応した会社組織としてのガバナンス、従業員サポート、教育の質的向上にも尽力しています。
さらに、同社は過去に再生医療等安全性確保法に基づく行政処分を受けており、これを厳粛に受け止めています。必要な是正措置と再発防止策を速やかに講じ、関係法令を遵守しながら特定細胞加工物等の製造事業を継続していくことを課題としています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
コージンバイオは、監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会を設置しています。独立した社外役員が経営の監督と監視を担う体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は代表取締役社長の中村孝人氏です。同氏の資産管理会社であるTAKAコーポレーションも上位株主となっています。これにより、創業家が同社の経営に強い影響力を持つ資本構成となっています。また、GOLDMAN SACHS INTERNATIONALなどの機関投資家も主要な株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 中村 孝人 | 43.20% |
| TAKAコーポレーション | 8.20% |
| GOLDMAN SACHS INTERNATIONAL | 7.60% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は中村孝人氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 中村 孝人 | 代表取締役社長 | 1973年丸大食品株式会社入社、1981年同社設立、代表取締役社長就任。孝仁生物控股(香港)有限公司Chairman、高金生物科技(上海)有限公司董事長、TAKAコーポレーション株式会社取締役などを歴任し現職。 |
| 中村 雄一 | 専務取締役営業統括 | 2001年大和証券株式会社入社、2009年同社入社、2010年同社取締役就任。エンバイオ株式会社代表取締役社長、高金生物科技(上海)有限公司董事、TAKAコーポレーション株式会社取締役などを歴任し現職。 |
| 對比地 久義 | 取締役研究統括 | 2006年奈良先端科学技術大学院大学博士研究員、2009年同社入社、2015年同社バイオ研究部長。金沢医科大学非常勤講師、高金生物科技(上海)有限公司董事、味の素コージンバイオ株式会社取締役などを歴任し現職。 |
社外取締役は、原稔氏(税理士・京橋総合税理士法人共同代表社員)、山本龍太朗氏(弁護士・弁護士法人大江橋法律事務所パートナー)、山野智也子氏(公認会計士・公認会計士山野智也子事務所開設)です。
同社は監査役会設置会社であり、業務執行と監査機能の組織体を分断することで、経営の透明性確保と信頼性向上を図っています。取締役会は社外取締役3名を含む6名で構成され、独立した立場から経営への監督と監視を的確かつ有効に実行できる体制を構築しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は金銭報酬のみで構成されており、業績連動報酬は採用していません。社外取締役と監査役は、客観的な立場から経営の監督・監査を行う役割を担うため、基本報酬(固定報酬)のみが支給されています。社外取締役を除く取締役には、役位や職責、在任年数などを考慮した月例の固定報酬が支払われています。報酬水準は、他社水準や経営環境、同社の業績、従業員給与の水準などを総合的に勘案して決定されています。報酬の決定にあたっては、過半数を社外取締役で構成する任意の指名・報酬委員会の審議を経て、客観性と透明性を確保しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 98百万円 | 32.7百万円 |
| 社外取締役 | 4名 | 14百万円 | 3.6百万円 |
| 社外監査役 | 3名 | 12百万円 | 4.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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