※本記事は、株式会社京都フィナンシャルグループ の有価証券報告書(第2期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年06月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 京都フィナンシャルグループってどんな会社?
京都銀行を中核とする地域金融グループです。銀行業務に加え、リース、証券、投資、コンサルティング等の幅広い金融サービスを提供しています。
■(1) 会社概要
同社は2023年10月、京都銀行の単独株式移転により持株会社として設立されました。中核となる京都銀行は1941年に創立され、1953年に本店を京都市へ移転、1984年には東証・大証の一部(現プライム)へ上場しました。グループ再編に伴い、リースや証券、コンサルティングなどの関連会社を同社の直接出資子会社とし、2024年には債権回収会社を設立するなど、体制を強化しています。
同社グループの連結従業員数は3,580名、単体では22名です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位は外国法人のノーザン・トラスト・カンパニー、第3位は日本生命保険となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 11.74% |
| NORTHERN TRUST CO.(AVFC)RE SILCHESTER INTERNATIONALINVESTORS INTERNATIONAL VALUEEQUITY TRUST | 3.82% |
| 日本生命保険 | 3.76% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性4名の計12名で構成され、女性役員比率は33.0%です。代表取締役社長は土井伸宏氏です。社外取締役比率は41.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 土井 伸宏 | 代表取締役社長 | 1980年京都銀行入行。同行代表取締役頭取、代表取締役会長を経て、2023年10月より現職。 |
| 幡 宏幸 | 代表取締役 | 1987年京都銀行入行。同行専務取締役を経て、2023年10月より現職。 |
| 安井 幹也 | 取締役 | 1987年京都銀行入行。同行代表取締役頭取を経て、2023年10月より現職。 |
| 奥野 美奈子 | 取締役 | 1989年京都銀行入行。同行取締役を経て、2023年10月より現職。 |
| 羽渕 完司 | 取締役 | 1993年京都銀行入行。同行取締役を経て、2023年10月より現職。 |
| 本政 悦治 | 取締役 | 1993年京都銀行入行。同行取締役を経て、2023年10月より現職。 |
| 岩橋 俊郎 | 取締役(監査等委員) | 1986年京都銀行入行。同行代表取締役専務、特別顧問を経て、2023年10月より現職。 |
社外取締役は、大藪千穂(岐阜大学教育学部教授)、植木英次(元エヌ・ティ・ティ・データ代表取締役副社長執行役員)、中務裕之(中務公認会計士・税理士事務所代表)、田中素子(元神戸地方検察庁検事正)、和泉志津恵(滋賀大学データサイエンス学部教授)です。
2. 事業内容
同社グループは、「銀行業」および「その他」事業を展開しています。
■銀行業
中核事業として、預金業務、貸出業務、内国・外国為替業務、有価証券投資業務などを行っています。個人および法人顧客に対し、資金の貸付や資産運用、決済サービスを提供しています。
収益は、貸出金利息や有価証券利息配当金などの資金利益、為替手数料や投資信託販売手数料などの役務取引等利益が主な源泉です。運営は主に株式会社京都銀行が担っており、地域経済の活性化や顧客の資産形成を支援しています。
■その他
銀行業以外の金融関連サービスとして、リース業務、クレジットカード業務、金融商品取引業務、コンサルティング業務などを展開しています。
収益は、リース料、クレジットカードの手数料、証券取引に係る手数料、コンサルティング報酬などから得ています。運営は、京銀リース株式会社、京都クレジットサービス株式会社、京銀カードサービス株式会社、京銀証券株式会社、株式会社京都総研コンサルティングなどのグループ各社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
当期は、法人向け貸出金利息の増加などを主因とした経常収益の増加と、経費の増加などにより、経常利益は増加となりました。これらの結果、当期純利益も増加しました。過去からの趨勢としては、経常収益、経常利益ともに増加傾向で推移しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 経常収益(億円) | 13,769 | 16,726 |
| 経常利益(億円) | 4,357 | 5,091 |
| 当期純利益(億円) | 3,157 | 3,655 |
■(2) 損益計算書
当期は、貸出金利息の増加などを主因とした経常収益の増加と、経費の増加などにより、経常利益は増加しました。また、当期純利益も増加しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 経常収益 | 13,769 | 16,726 |
| 経常費用 | 9,411 | 11,634 |
| 経常利益 | 4,357 | 5,091 |
| 当期純利益 | 3,163 | 3,655 |
■(3) 役務取引等収益の内訳
同行の非金利収益である役務取引等収益は、当期において前期比で増加しました。最も規模が大きいのは預金・貸出業務であり、次いで為替業務となっています。
| 区分 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 役務取引等収益 合計 | 1,735 | 1,843 |
| 預金・貸出業務 | 726 | 766 |
| 為替業務 | 397 | 405 |
| 証券関連業務 | 290 | 301 |
| 代理業務 | 231 | 240 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
京都フィナンシャルグループは、銀行業における資金調達の中心をお客様からの預金とし、貸出金及び有価証券を中心とする運用に対して安定した資金調達を維持しております。
営業活動によるキャッシュ・フローは、預金の増加等により大幅なプラスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得等によりマイナスとなりましたが、前連結会計年度と比較すると減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い等によりマイナスとなりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | △36 | 5,016 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △1,755 | △848 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △254 | △240 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「地域社会の繁栄に奉仕する」という経営理念を掲げています。これまで築き上げてきた顧客基盤や信用・信頼をもとに、より良い方向へ変化していくことで、豊かな地域社会の創造と地元産業の発展に貢献し続けることを目指しています。
■(2) 企業文化
同社グループは、経営理念・経営方針の実現に向けた行動指針を定めています。地域に根ざした「総合ソリューション企業」としての責務を果たすため、「地域経済の活性化」「グループ全体の成長」「サステナビリティ経営の実践」という重点テーマに取り組み、地域と共に未来を創造する姿勢を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、第1次中期経営計画(2023年10月~2026年3月)の最終年度目標を前倒しで達成したことを受け、新たな戦略目標を公表しました。「金利のある世界」への回帰等の環境変化を踏まえ、成長角度を大幅に引き上げ、成長を加速させる方針です。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社グループは、「地域経済の活性化」「グループ全体の成長」「サステナビリティ経営の実践」を重点テーマとしています。地域企業の創業・成長支援や事業承継、M&A支援を強化するとともに、証券やキャピタル、M&Aアドバイザリーなどのグループ会社との連携により、多様化・複雑化する課題に対しワンストップで付加価値の高いソリューションを提供します。また、脱炭素への取り組み支援や人的資本投資、ガバナンス強化を通じて、長期持続的な企業価値向上を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、「人は財産であり、企業価値向上の源泉である」との考えのもと、中長期的な視点から人財ポートフォリオを最適化することを目指しています。適正人員の確保と適所適財の配置を行い、積極的な人財育成と働きがいのある職場環境づくりを推進します。これにより、全従業員のエンゲージメントを高め、専門性を有する多様な従業員が躍動する組織づくりを展開しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 47.0歳 | 24.1年 | 8,488,000円 |
※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 17.9% |
| 男性育児休業取得率 | 111.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 60.6% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 71.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 70.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性役席比率(25%)、専門資格の取得(CFP・FP1級)(659名)、専門資格の取得(AFP・FP2級)(1,992名)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) オペレーショナル・リスク
事務処理のミスや不正、システム障害、情報漏洩、自然災害など、業務運営に伴う多様なリスクを指します。同社グループはこれらを重要な経営課題と位置づけ、一元的に把握・分析し、対応策を協議する体制を整備していますが、これらのリスクが顕在化した場合、業務運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) マネー・ローンダリング等リスク
マネー・ローンダリングやテロ資金供与対策の不備により、同社グループの業務が悪用されるリスクです。これにより、金融当局からの制裁や取引先からの取引解消などが発生した場合、同社グループの業務運営や業績、財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 当社グループの業績等に影響しうる他の要因
金融業界における競争激化や、営業戦略が想定通りの成果を上げられないリスク、特定地域(京都府)の経済動向による影響、格付け低下、退職給付債務の変動、各種規制変更、感染症の流行、気候変動などが挙げられます。これらの要因が発生した場合、同社グループの事業や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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