ミガロホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミガロホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミガロホールディングスは東証プライムに上場し、顔認証プラットフォーム等によるDX推進事業と、デジタル活用を強みとするDX不動産事業を展開しています。積極的な先行投資やM&Aの効果が早期に表れ、直近では過去最高の増収ならびに大幅な増益を達成し、力強い成長を続ける注目の企業グループです。


※本記事は、ミガロホールディングス株式会社の有価証券報告書(第3期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ミガロホールディングスってどんな会社?


顔認証サービス等のDX推進事業と、AIを活用した生産性の高い不動産事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


2004年にプロパティエージェントとして設立され、投資用不動産開発などで成長を遂げました。2018年に東証一部(現プライム)へ上場し、2020年には顔認証サービスを展開するDXYZを設立しました。アヴァントのグループ化等でDX事業を急速に拡大させ、2023年に持株会社体制へ移行しました。

現在の従業員数は連結で480名、単体で30名体制となっています。大株主の構成は、筆頭株主が代表取締役社長の資産管理会社であるアールジェイピーで47.91%を保有しています。また、第2位および第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
アールジェイピー 47.91%
上遠野俊一 2.76%
瀬尾美美 2.73%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は中西聖氏です。社外取締役比率は40.0%となっています。

氏名 役職 主な経歴
中西聖 代表取締役社長 西砂建設などを経て、2004年プロパティエージェント設立、代表取締役社長就任。2023年より現職。
村田貴志 取締役 2006年プロパティエージェント入社、2014年同社取締役。2023年より現職。
岩瀬晃二 取締役経営企画部部長兼財務経理部部長兼人事総務部部長 監査法人トーマツ等を経て、2014年プロパティエージェント入社。2023年より現職。


社外取締役は、井河元広(レジデスト社長)、黒田恵吾(クロスパス・アドバイザーズ社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「DX推進事業」および「DX不動産事業」を展開しています。

DX推進事業


顔認証IDプラットフォーム「FreeiD」の導入や運用、AIソリューションの提供を中心に、社会や企業のDXを推進しています。また、クラウドシステムの導入支援やAWSをベースにしたDX関連システムの受託開発など、デジタルインテグレーション事業も幅広く手掛けています。

顔認証プラットフォームのリカーリング収益や機器の販売、クラウドシステム・ソフトウェアの開発や保守にかかる役務提供を主な収益源としています。事業の運営は主にDXYZ、アヴァント、TIERO、CloudTechPlusなどのグループ会社が担っています。

DX不動産事業


19万人を超えるDX不動産会員を基盤とし、AIを用いた買取査定システムや商談の自動化など、徹底したDXによる高い生産性が強みです。新築マンションの開発販売をはじめ、中古マンションの買取再販、クラウドファンディング、賃貸・建物管理などを展開しています。

会員に対する不動産販売収益のほか、賃貸や建物管理サービスの提供による手数料収入、収益不動産から得られる賃料収入が主な収益源です。運営は主に、プロパティエージェント、AKIコマース、アソシア・プロパティが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近3期間の業績を見ると、売上高および経常利益ともに順調に拡大を続けています。特に当期は、DX推進事業における先行投資の収益化や、DX不動産事業での力強い販売動向に支えられ、大幅な増収と増益を記録しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 427億円 517億円 575億円
経常利益 20億円 21億円 23億円
利益率(%) 4.8% 4.1% 4.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 11億円 14億円 14億円

(2) 損益計算書


売上高の成長に伴い、売上総利益も着実に増加しています。利益率も安定した水準を維持しており、営業利益は当期において31億円に達するなど、規模の拡大と併せて高い収益力を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 517億円 575億円
売上総利益 81億円 92億円
売上総利益率(%) 15.6% 15.9%
営業利益 27億円 31億円
営業利益率(%) 5.2% 5.3%


販売費及び一般管理費(61億円)のうち、給料及び手当が16億円(構成比27%)を占め、次いで広告宣伝費が10億円(同16%)、支払手数料が8億円(同12%)となっています。売上原価(484億円)には、主に不動産の仕入や開発にかかる費用が計上されています。

(3) セグメント収益


両事業ともに増収増益を達成しています。特にDX推進事業は売上成長率が高く、利益率が大きく改善して黒字幅を拡大させています。主力であるDX不動産事業も堅調に収益を伸ばし、全体を力強く牽引しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
DX推進事業 36億円 45億円 0.8億円 3.7億円 8.2%
DX不動産事業 481億円 532億円 39億円 42億円 8.0%
連結(合計) 517億円 575億円 27億円 31億円 5.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -73億円 38億円
投資CF -1億円 -0.5億円
財務CF 54億円 -7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.9%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は26.3%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「デジタルとリアルの融合で新たな価値を創造し、社会の課題解決に貢献する」という企業理念を掲げています。デジタルの力を活用した価値創造を目指し、非連続にイノベーションを起こし続けることで、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めています。

(2) 企業文化


長期ビジョンとして「イノベーションを起こし続けるビジョナリーカンパニー」を掲げ、「AI・DX」と「不動産」で価値を創造する企業グループというコンセプトを重視しています。各事業で培ったAI・DXのノウハウをグループ全体で共有し、相互に連携しながらシナジーを発揮する組織文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は中期的目標として、それぞれのセグメントにおいて高い売上規模を目指すとともに、企業価値の飛躍的な向上を目標として掲げています。

* DX推進事業:売上高100億円
* DX不動産事業:売上高1,000億円
* グループ全体:時価総額1,000億円

(4) 成長戦略と重点施策


AIの活用による事業再構築と生産性向上を進めるとともに、M&Aや人材採用を通じた人的資本経営の強化を図ります。また、顔認証プラットフォーム等のマーケティング力の強化や、DX不動産事業における情報力・機動的な資金力を活かした物件調達力の強化に注力します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を最も重要な経営資源と位置づけ、能力と成果を重視した採用・登用を行っています。新卒・中途採用に加え、M&Aを通じた人材の獲得やグループ横断的な配置を推進しています。また、AI・DXリテラシーの向上を重要課題とし、リスキリングや資格取得支援などの能力開発に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 36.3歳 2.6年 9,673,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 -
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) -
男女賃金差異(正規労働者) -
男女賃金差異(非正規労働者) -


※同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には女性管理職比率および男女賃金差異の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 資産運用型不動産の販売動向と投資リスク


資産運用目的の不動産販売においては、入居率の悪化や家賃相場の下落、金利上昇によるローン返済負担の増加など、顧客の投資収支に悪影響を及ぼすリスクがあります。また、景気動向や個人消費の低迷により顧客の購入意欲が低下し、業績に影響を与える可能性があります。

(2) 建築費の高騰および物件調達リスク


用地取得における他社との競争激化や、資材価格・人件費などの建築費の高騰が想定以上に進んだ場合、開発案件の収益性が低下する恐れがあります。また、施工外注先の倒産や工期の遅延等が発生した場合、計画通りの収益認識ができなくなる可能性があります。

(3) 情報セキュリティとサイバー攻撃のリスク


同社は事業拡大とDX化の推進により、顧客や取引先の個人情報・機密情報を多数保有しています。サイバー攻撃や不測の事態によってこれらのデータが外部に流出し、あるいはシステムがダウンした場合、損害賠償の発生や社会的信用の失墜につながる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。