ミガロホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ミガロホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所(プライム市場)に上場しており、顔認証プラットフォーム等のDX推進事業と、不動産開発・販売を行うDX不動産事業を展開しています。直近の業績は売上高517億円(前期比21.2%増)、営業利益27億円(同8.5%増)と、DX推進事業の成長や不動産販売の好調により増収増益を達成しています。


※本記事は、ミガロホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第2期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ミガロホールディングスってどんな会社?


同社は、「デジタルとリアルを融合」させ、顔認証プラットフォームや不動産開発・販売を展開する企業です。

(1) 会社概要


2004年に前身となるプロパティエージェントが設立され、2015年に上場を果たしました。その後、2018年に東証一部へ市場変更し、2020年には顔認証事業を行うDXYZを設立しています。2023年には単独株式移転により持株会社であるミガロホールディングスを設立し、現在の持株会社体制へ移行しました。

同社グループの従業員数は連結で381名、単体で17名です。筆頭株主はアールジェイピーで、第2位は個人株主の上遠野俊一氏、第3位も個人株主の瀬尾美美氏となっています。

氏名 持株比率
アールジェイピー 52.65%
上遠野 俊一 3.18%
瀬尾 美美 3.00%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性0名の計8名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は中西 聖氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
中西 聖 代表取締役社長 2004年にプロパティエージェントを設立し社長に就任。DXYZやバーナーズなどのグループ会社代表を経て、2023年10月より現職。
村田 貴志 取締役 2006年プロパティエージェント入社。同社取締役を経て、2023年10月より現職。AKIコマースおよびアソシア・プロパティ代表取締役を兼任。
岩瀬 晃二 取締役経営企画部部長兼財務経理部部長兼人事総務部部長 有限責任監査法人トーマツを経て2014年プロパティエージェント入社。同社取締役を経て、2023年10月より現職。


社外取締役は、井河 元広(レジデスト代表取締役)、黒田 恵吾(クロスパス・アドバイザーズ代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「DX推進事業」、「DX不動産事業」の2つの報告セグメントを展開しています。

(1) DX推進事業


顔認証プラットフォームサービス「FreeiD」や、生成AIを活用したクラウドシステムの導入・運用支援、AWSをベースにしたDX関連システムの受託開発などを提供しています。主な顧客は、DXを推進したい企業やスマートシティソリューションを導入する施設等です。

収益は、顔認証サービスのリカーリング収益や機器販売収益、ソフトウェア開発・運用・保守等による役務提供収益から成ります。運営は主に、DXYZ、アヴァント、バーナーズ、シービーラボ、CloudTechPlus、オムニサイエンス、ドレスコード、ベスト・プラクティスが行っています。

(2) DX不動産事業


DX不動産会員向けの新築マンション開発販売や中古収益マンションのマッチング(スマートセカンド)、クラウドファンディング(Rimple)、賃貸・建物管理などを提供しています。AIを活用した用地仕入や業務自動化により生産性を高めている点が特徴です。

収益は、不動産販売収益や賃貸・建物管理サービスの手数料収入、収益不動産からの賃料収入等が柱です。運営は主に、プロパティエージェント、AKIコマース、アソシア・プロパティが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近2期間の業績を見ると、売上高は427億円から517億円へと大きく拡大しています。経常利益も20億円から21億円へと微増しており、事業規模の拡大とともに利益も確保しています。特に当期利益はマイナスからプラスへ転じており、収益性が改善傾向にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 427億円 517億円
経常利益 20億円 21億円
利益率(%) 4.8% 4.1%
当期利益(親会社所有者帰属) -3億円 14億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も71億円から81億円へと増加しています。売上総利益率は約16%前後で推移しており、安定した収益構造が見て取れます。営業利益についても増益基調を維持しており、事業拡大に伴うコスト増を吸収して利益を伸ばしています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 427億円 517億円
売上総利益 71億円 81億円
売上総利益率(%) 16.6% 15.6%
営業利益 25億円 27億円
営業利益率(%) 5.9% 5.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が15億円(構成比27%)、広告宣伝費が8億円(同15%)を占めています。売上原価においては、土地や建物等の不動産販売原価が大半を占めていると考えられます。

(3) セグメント収益


DX推進事業は、顔認証サービスの導入拡大やM&A効果により売上が大幅に増加し、営業損益も黒字化しました。DX不動産事業は、販売戸数の増加や中古物件の買取再販が好調で、増収かつ営業増益を達成しています。全社費用等の調整額を除いた連結ベースでも増収増益となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
DX推進事業 26億円 38億円 -1億円 1億円 2.0%
DX不動産事業 401億円 481億円 38億円 39億円 8.0%
連結(合計) 427億円 517億円 25億円 27億円 5.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -7億円 -73億円
投資CF -4億円 -1億円
財務CF 31億円 54億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は20.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「デジタルとリアルの融合で新たな価値を創造し、社会の課題解決に貢献する」という企業理念を掲げています。「DX(AI)」と「不動産」で価値を創造する企業グループをコンセプトとし、「イノベーションを起こし続けるビジョナリーカンパニー」を長期ビジョンとしています。

(2) 企業文化


同社は「環境」「品質」「社会」「雇用」に注力し、持続可能な社会作りを目指しています。特に雇用においては、国籍や性別等に関係なく能力・実績に応じて平等に評価する方針です。また、自己成長と自浄機能を備え、コンプライアンスを遵守する公正かつ透明性のある経営を実現し、ステークホルダーとの協働を目指しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、イノベーションを起こし続けるビジョナリーカンパニーを目指し、時価総額1,000億円を目標としています。具体的な中期目標として、DX推進事業とDX不動産事業の2事業を柱に以下の数値を掲げています。

* 2027年3月期 DX推進事業売上高50億円
* 2029年3月期 DX不動産事業売上高1,000億円

(4) 成長戦略と重点施策


DX推進事業では、AI活用によるソリューション提供やM&A、人材採用を積極的に行い、DX支援のリーディングカンパニーを目指します。DX不動産事業では、デジタルマーケティングやブランド力の強化、会員基盤を活かした物件調達力の向上、厳選した仕入によるリスク耐性強化に注力し、業界トップを目指す方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、DX推進事業の成長源泉である専門人材の確保と育成を重視しています。優秀な人材獲得のためにM&Aや多様な採用手法を活用するとともに、エンゲージメント向上や働き方改革、リスキリング、ダイバーシティ推進に取り組み、人的資本経営を強化することで生産性向上を図る方針です。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 37.9歳 3.3年 8,617,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
男性育児休業取得率 0.0%
女性管理職比率 -%
男女賃金差異(全労働者) -%
男女賃金差異(正規雇用) -%
男女賃金差異(非正規雇用) -%


※「管理職に占める女性労働者の割合」および「労働者の男女の賃金の差異」については、同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、DX人材(298名(グループ全体の60%以上))などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 資産運用型マンション販売について


同社が販売する投資用不動産には、空室リスクや金利上昇による収益悪化リスクがあります。顧客への説明不足等で訴訟が発生した場合や、経済情勢の変化で顧客の投資収支が悪化した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社はコンプライアンス教育やリスク説明の徹底、賃貸管理サービスの提供等で対策を講じています。

(2) 経済状況等の影響について


不動産販売は景気や金利動向に左右されます。個人消費の低迷や供給過剰による価格下落、建築費の高騰等が起きた場合、収益性が低下する可能性があります。同社は将来予測に基づく計画的な仕入や販売、施工外注先の分散発注等によりリスク低減を図っています。

(3) 引渡し時期による業績変動


不動産事業は物件引渡し時に収益を認識するため、四半期ごとの業績に偏りが生じることがあります。工事遅延等で引渡しが遅れた場合、計画通りの収益計上ができなくなる可能性があります。同社は月次定例会議等で進捗を厳格に管理し、遅延リスクに対応しています。

(4) サイバーセキュリティについて


DX推進に伴い多くの電子情報を保有しており、サイバー攻撃による情報流出やシステム停止が発生した場合、損害賠償や社会的信用の失墜により業績に影響を及ぼす可能性があります。同社はサイバーセキュリティ経営ガイドラインに基づき、リスク管理体制の構築や対策資源の確保を行っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。