#記事タイトル:ライズ・コンサルティング・グループ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社ライズ・コンサルティング・グループ の有価証券報告書(第5期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. ライズ・コンサルティング・グループってどんな会社?
総合コンサルティングファームとして、顧客企業に常駐し課題解決を実行支援まで伴走するスタイルが特徴です。
■(1) 会社概要
同社の源流は2010年に設立された株式会社ライズアンドカンパニーに遡り、2012年に経営コンサルタント業務を開始しました。2020年にLBO(レバレッジド・バイ・アウト)のため持株会社を設立し、2021年に事業会社を吸収合併して現在の商号に変更しました。その後、順調に成長を続け、2023年9月に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしました。
2025年2月28日時点で、連結従業員数は330名(単体330名)です。筆頭株主は投資ファンドのSunrise CapitalⅢ,L.P.で17.44%を保有し、第2位は資産管理を行う株式会社日本カストディ銀行(信託口)(14.17%)、第3位は同じくSunrise Capital系列のファンド(9.85%)となっており、ファンドが主要株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| Sunrise CapitalⅢ,L.P. | 17.44% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 14.17% |
| Sunrise CapitalⅢ(JPY),L.P. | 9.85% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性3名の計11名で構成され、女性役員比率は27.0%です。代表取締役CEOは北村俊樹氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 北村 俊樹 | 代表取締役CEO | フューチャーアーキテクト、野村総合研究所を経て、2016年に旧ライズ・コンサルティング・グループ入社。2021年より同社代表取締役社長、2025年5月より現職。 |
| 松岡 竜大 | 代表取締役社長COO | PwCコンサルティング、シグマクシス常務執行役員などを経て、2022年に同社入社。常務執行役員、ビジネスディベロップメント部長を歴任し、2025年5月より現職。 |
| 和田 学 | 代表取締役副社長 | ベイカレント・コンサルティングを経て、2012年に旧ライズ・コンサルティング・グループ入社。2021年より同社代表取締役副社長・コンサルティング本部長として現職。 |
| 進藤 基浩 | 取締役CFO | ジェーシービー、ブロードメディア等を経て、2020年に旧ライズ・コンサルティング・グループ執行役員。2021年より同社執行役員管理本部長、2025年5月より現職。 |
社外取締役は、武田智行(弁護士)、奥田高志(元日本GE専務執行役員)、大倉奨貴(SHIFT DAAE統括部長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「コンサルティング事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
**コンサルティング事業**
同社は、業種や業界を限定せず、戦略策定から実行支援までを一気通貫で支援する総合コンサルティングサービスを提供しています。顧客企業は多岐にわたり、経営課題の解決、業務改革、IT導入、DX推進などを支援しています。特徴として、報告書の作成よりも実行支援に重きを置く「More than Reports」、スコープを固定せず柔軟に対応する「Scopeless」、顧客先に常駐し一体となって課題に取り組む「Hands-on Style」を掲げています。
収益は、顧客企業から受け取るコンサルティングフィー(報酬)が主な源泉です。契約形態は準委任契約が中心であり、コンサルタントの稼働に応じた月額固定報酬を得るモデルが基本となっています。主な運営はライズ・コンサルティング・グループが行っており、連結子会社のライズ・クロスは協力会社プラットフォームを運営し、外部人材の活用によるリソース確保を担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近4期間の業績を見ると、売上収益は毎期順調に拡大し、右肩上がりの成長を続けています。税引前利益および当期利益も増益基調にあり、事業規模の拡大とともに利益額も着実に積み上がっています。利益率も高い水準を維持しており、収益性の高いビジネスモデルであることがわかります。
| 項目 | 2022年2月期 | 2023年2月期 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 34億円 | 48億円 | 62億円 | 77億円 |
| 税引前利益 | 8億円 | 13億円 | 18億円 | 19億円 |
| 利益率(%) | 24.1% | 27.6% | 28.9% | 24.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 7億円 | 10億円 | 13億円 | 14億円 |
■(2) 損益計算書
売上収益の増加に伴い、売上総利益および営業利益も増加しています。売上原価や販管費も増加していますが、これは事業拡大に伴う人件費等の増加によるもので、増収効果がこれらを吸収しています。営業利益率は前期より若干低下したものの、依然として25%を超える高収益体質を維持しています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 62億円 | 77億円 |
| 売上総利益 | 36億円 | 42億円 |
| 売上総利益率(%) | 57.7% | 55.1% |
| 営業利益 | 18億円 | 20億円 |
| 営業利益率(%) | 29.3% | 25.5% |
販売費及び一般管理費のうち、人件費が14億円(構成比63%)、支払手数料が4億円(同17%)を占めています。コンサルティングビジネスの特性上、人件費がコストの主要部分を占めています。
■(3) セグメント収益
同社はコンサルティング事業の単一セグメントですが、コンサルタントの増員や高稼働率の維持により、売上収益は前期比で大幅に増加しました。特に、新規案件の獲得や既存顧客との取引拡大が寄与しています。
| 区分 | 売上(2024年2月期) | 売上(2025年2月期) | 利益(2024年2月期) | 利益(2025年2月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| Total | 62億円 | 77億円 | 18億円 | 20億円 | 25.5% |
| 連結(合計) | 62億円 | 77億円 | 18億円 | 20億円 | 25.5% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業の営業活動から得た資金で借入金の返済を進める、堅実な「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 12億円 | 14億円 |
| 投資CF | -0.0億円 | -0.2億円 |
| 財務CF | -5億円 | -9億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は24.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.4%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「PRODUCE NEXT ~しあわせな未来を、共に拓く。~」をMISSIONとして掲げています。また、VISIONとして「TOP of MIND ~いつの時代も、いちばん必要とされる存在に。~」を目指し、顧客企業の成果を上昇させることで、日本全体の再生と発展に貢献することを使命としています。
■(2) 企業文化
同社はVALUEとして「RISE above RISE ~絶えず進化を、絶えず成長を。~」を掲げています。また、経営の基本方針として「ピュアコンサルティングタイムの最大化」と「社員のケイパビリティの最大化」のバランスを重視しており、オープネス(開放性)とフェアネス(公正性)な環境整備を通じて、社員個人の成長と働きやすさを追求する文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
同社は2026年2月期から2030年2月期までの5年間を対象とした中期経営計画を策定しています。コンサルティング事業を主軸としつつ、事業規模の拡大を目指し、以下の数値目標を掲げています。
* 売上収益の年平均成長率(CAGR):20~25%
* 最終年度(2030年2月期)における営業利益率:25~30%
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は「スケーラビリティ確保」と「TAM(獲得可能な最大市場規模)の拡大」を成長戦略の柱としています。スケーラビリティ確保に向けては、採用強化による人材獲得、プラクティス拡充やCRM強化による案件獲得、生成AI活用による品質・生産性向上に取り組みます。TAM拡大に向けては、上流案件からの一気通貫支援による高付加価値化や、IT・DX関連企業との提携を通じたシステム領域の事業拡大を推進します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は人材を最重要経営資源と位置づけ、優秀な人材の採用と育成に注力しています。特定の領域に限定されず多様なプロジェクトを経験できる「One Pool制」と、専門性を深める「プラクティス」を併用し、プロフェッショナルを育成しています。また、体系的な研修カリキュラムやOJTにより早期戦力化を図るとともに、高い給与水準や柔軟な働き方を提供することで、社員のモチベーション維持と定着率向上を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年2月期 | 33.5歳 | 2.3年 | 11,833,000円 |
※平均年間給与は、正社員と契約・嘱託社員に対して支給された総課税給与額(賞与含む)を基に算出されています。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.6% |
| 男性育児休業取得率 | 30.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 51.0% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 53.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 15.0% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、定期健康診断受診率(94%)、有給休暇取得率(75%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 特定クライアントへの依存
同社の売上高において、特定の主要顧客(株式会社NTTデータ等)への依存度が高い状況にあります。取引関係の維持・強化に努めていますが、主要顧客の経営方針の変更や業績悪化、契約の終了や縮小が生じた場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、営業力強化による新規顧客の開拓を進め、顧客基盤の分散を図っています。
■(2) 人材の採用・育成・流失
コンサルティング事業は人材が競争力の源泉であるため、優秀なコンサルタントの確保が重要です。しかし、人材獲得競争の激化により計画通りの採用が進まない場合や、既存社員の流出が生じた場合、競争力の低下や事業拡大の制約となる可能性があります。これに対し、採用チャネルの多様化や研修制度の充実、高い報酬水準の維持やエンゲージメント向上施策により、人材の確保と定着に努めています。
■(3) 業界における競争激化
コンサルティング市場には大手ファームを含む多数の競合が存在し、競争環境は厳しさを増しています。差別化ができず価格競争に陥った場合や、高品質なサービスを提供できない場合、売上や収益性が低下するリスクがあります。同社は「Hands-on」等の独自のスタイルや高品質なサービスの提供、専門性の強化を通じて競争優位性の確保を図っています。



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