ライズ・コンサルティング・グループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ライズ・コンサルティング・グループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ライズ・コンサルティング・グループは、東京証券取引所グロース市場に上場し、総合コンサルティング事業を展開する企業です。直近の業績では人員拡大を背景に売上収益が前期比で増収となり84億円に拡大した一方、人員構成の変化に伴う稼働率の低下等の影響により減益となりました。顧客に伴走する支援に強みを持ちます。


※本記事は、株式会社ライズ・コンサルティング・グループの有価証券報告書(第6期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月28日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. ライズ・コンサルティング・グループってどんな会社?


総合コンサルティング事業を展開し、顧客の本質的な課題解決に伴走する企業です。

(1) 会社概要


2010年にライズアンドカンパニーとして設立され、2011年に現在の社名へと変更しました。2021年のサンライズキャピタルとのLBOプロセスを経て旧社を吸収合併し、事業を承継しました。2023年に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たし、2025年にはSHIFTと資本業務提携を締結しています。

従業員数は単体・連結ともに397名です。筆頭株主は事業会社のSHIFTで、第2位は資産管理業務を行う信託銀行、第3位は創業者の朝日竜樹氏です。

氏名 持株比率
SHIFT 33.19%
日本カストディ銀行(信託口) 5.11%
朝日竜樹 5.02%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性3名の計11名で構成され、女性役員比率は27.0%です。代表取締役CEOは北村俊樹氏、代表取締役社長COOは松岡竜大氏が務めています。

氏名 役職 主な経歴
北村俊樹 代表取締役CEO 元野村総合研究所、2016年旧ライズ・コンサルティング・グループ入社、2021年同社代表取締役社長、2025年より現職。
松岡竜大 代表取締役社長COO 元シグマクシス常務執行役員。2022年同社入社(常務執行役員)、2024年ビジネスディベロップメント部長、2025年より現職。
和田学 代表取締役副社長 元ベイカレント・コンサルティング。2012年旧ライズ・コンサルティング・グループ入社、2021年より現職(コンサルティング本部長兼任)。
進藤基浩 取締役CFO 元ベルテクス・パートナーズ。2020年旧ライズ・コンサルティング・グループ入社(執行役員)、2024年同社取締役、2025年より現職。


社外取締役は、武田智行(アクシス税理士法人社員税理士)、奥田高志(オーシャンアソシエイツ代表社員)、崔真淑(グッド・ニュースアンドカンパニーズ代表取締役)、大倉奨貴(SHIFT事業部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「コンサルティング事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

幅広い領域における総合コンサルティング事業を展開しています。報告書作成よりも実行支援に注力し、顧客自身が事業を推進できるようになるまで伴走するサービスを提供します。あえて明確なスコープを設定せず、プロジェクトの変化に柔軟に対応しながら本質的な課題解決にコミットする点が特徴です。

収益源は、顧客企業から受け取るコンサルティング報酬です。特定の業界に限定しないワンプール制を採用し、顧客ニーズに応じたチームを編成します。運営は同社が担うほか、子会社のライズ・クロスが協力会社プラットフォームを運営し、外部のコンサルタント人材を活用して案件受注を拡大させています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上収益は右肩上がりで持続的な拡大を続けており、第6期には84億円に到達しました。一方、税引前利益と当期利益は第5期まで増加傾向にありましたが、第6期は人員増加に伴う人件費の負担等により減益に転じました。利益率も20%台を維持しているものの、直近ではやや低下傾向にあります。

項目 第2期 第3期 第4期 第5期 第6期
売上収益 34億円 48億円 62億円 77億円 84億円
税引前利益 8億円 13億円 18億円 19億円 17億円
利益率(%) 24.1% 27.6% 28.9% 24.9% 20.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 10億円 13億円 14億円 12億円

(2) 損益計算書


売上収益の拡大に合わせ、売上総利益も順調に増加しています。利益率は高水準を維持しており、付加価値の高いサービスを提供していることがうかがえます。一方で、将来の成長を見据えた人員確保による人件費の増加が利益を押し下げる要因となっています。

項目 第5期 第6期
売上高 77億円 84億円
売上総利益 42億円 46億円
売上総利益率(%) 54.9% 54.7%
営業利益 20億円 17億円
営業利益率(%) 25.5% 20.2%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が14億円(構成比50%)、のれん償却費が7億円(同25%)、支払手数料が4億円(同14%)を占めています。売上原価についても、人件費が29億円(構成比77%)、外注費が8億円(同22%)と大部分を占めており、人材が価値の源泉となるコンサルティング事業の特性が表れています。

(3) セグメント収益


同社はコンサルティング事業の単一セグメントであるため、全社的な業績の動向がそのままセグメント業績に反映されています。コンサルタント人員数の増加が売上成長を牽引した一方で、人員構成の変化に伴う案件獲得への影響から利益水準は低下しました。

区分 売上(第5期) 売上(第6期) 利益(第5期) 利益(第6期) 利益率
コンサルティング事業 77億円 84億円 20億円 17億円 20.2%
連結(合計) 77億円 84億円 20億円 17億円 20.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CF・財務CFがマイナスとなっており、本業で安定して現金を創出し、その資金を借入金の返済や自社株買いなどの財務活動にあてながら、必要な投資も自己資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状態です。

項目 第5期 第6期
営業CF 14億円 14億円
投資CF -0.2億円 -0.6億円
財務CF -9億円 -10億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.5%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は65.1%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「PRODUCE NEXT ~しあわせな未来を、共に拓く。~」をミッションに掲げています。コンサルティング活動を通じて顧客企業にとって上昇し続ける成果のスパイラルを生み出すことで、次の未来を創造し、日本の再生に貢献することを目指しています。また、ビジョンとして「TOP of MIND ~いつの時代も、いちばん必要とされる存在に。~」を定めています。

(2) 企業文化


同社はバリューとして「RISE above RISE ~絶えず進化を、絶えず成長を。~」を掲げています。クライアントバリューの最大化にこだわり、「ピュアコンサルティングタイムの最大化」と「社員のケイパビリティの最大化」のバランスを重視しています。開放性と公正性のある環境を整備し、個人の志向に沿った柔軟なキャリア形成を支援する文化を育んでいます。

(3) 経営計画・目標


2026年2月期から2030年2月期までの5年間を対象とした中期経営計画において、継続的な企業価値の向上を図る目標を掲げています。既存事業を軸としながら採用と営業を強化し、事業規模の拡大を目指します。

* 売上収益の年平均成長率(CAGR):20~25%
* 最終年度(2030年2月期)における営業利益率:25~30%

(4) 成長戦略と重点施策


スケール化に向けた基盤強化と対象市場の拡大を成長戦略に掲げています。インサイドセールスを活用した案件獲得や、生成AIの活用による生産性向上を進めます。また、システム領域の事業拡大に向け、IT関連企業等とのアライアンスを強化します。

* 人員構成の適正化と採用体制の強化
* プロジェクト推進領域と戦略策定領域の連動による変革スピードの向上
* AIの自社経営基盤への実装およびコンサルティング価値の向上

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を最重要経営資源と位置づけ、仮説思考型の優秀な人材の獲得と育成に注力しています。特定の業界や領域に捉われないワンプール制を採用し、多岐にわたるプロジェクトを経験させることで、プロフェッショナルとしての成長を促します。また、多種多彩な研修制度やスキルマトリックスを用いた客観的な評価体制を整備し、モチベーションの維持・向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
第6期 33.2歳 2.3年 11,079,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.1%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 59.4%
男女賃金差異(正規雇用) 61.6%
男女賃金差異(非正規雇用) 39.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、定期健康診断受診率(92%)、有給休暇取得率(82%)、月平均所定時間外労働(26時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定のクライアントへの依存


売上高全体のうち、上位10社の合計販売比率が60%以上を占め、特にNTTデータへの依存度が高い状況にあります。積極的な営業活動による新規顧客獲得を通じて依存度の緩和を図っていますが、顧客の経営方針の変更や契約の早期終了が生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) コンサルティング市場の競争激化


大手コンサルティング会社等との価格競争や市場への新規参入が激化しており、同社の優位性を十分に訴求できない場合、売上減少などの影響が出る可能性があります。厳選採用による人材確保と専門性強化によってサービス品質を持続的に向上させ、競争力の維持に努めています。

(3) 優秀な人材の採用と流出防止


コンサルティング業界での人材獲得競争が激しさを増す中、優秀な人材の採用・育成が計画通りに進まない場合や、人材流出が発生した場合には、事業成長の制約となるリスクがあります。採用オペレーションの高度化や研修の拡充、高い労働対価の提供等を通じて、人材の定着とエンゲージメント向上に取り組んでいます。

(4) サイバー攻撃と情報セキュリティ


業務で利用する端末がウイルス感染や不正アクセスを受けた場合や、取り扱う機密情報・個人情報が外部に漏洩した場合には、事業運営に重大な支障をきたし社会的信用を毀損するリスクがあります。端末の集中管理や情報セキュリティ規程の整備、モラル教育の徹底によりインシデントの未然防止を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。