※本記事は、株式会社 くすりの窓口 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
くすりの窓口は、2015年8月にEPARKの調剤薬局部門として事業を開始しました。医・薬・介護、個人ユーザー(患者)をつなぐプラットフォームとして、調剤薬局だけでなく医療機関や介護施設向けのシステム・サービスも展開しています。
単体従業員数は321名、連結従業員数は491名です。同社グループは単一セグメントで事業を運営しています。
主な国内グループ会社は、ファーマリー(販売促進及び受注代行業務)、ピークウェル(医療用医薬品売買サイトの運営)、エーシーエス、モイネットシステム、EPARK人間ドックなどです。
くすりの窓口グループは、2026年1月に株式会社メディ・ウェブを子会社化し医療機関ポータルサイト事業に本格参入しました。また、2026年3月期からは未病予防事業も本格稼働しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
くすりの窓口は、ヘルスケア領域で新しい価値提供を目指す企業です。従業員の平均年齢や勤続年数から、比較的若い人材が活躍し、キャリアを築いている傾向が見られます。同社グループは、事業を通して社会課題の解決に貢献するサステナビリティ経営を重視しており、人材育成にも力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
くすりの窓口では、比較的若い年齢層の従業員が中心となっており、平均勤続年数も短めであることから、活発な組織であることがうかがえます。これは、新しい事業領域での成長フェーズにある同社グループの特徴を反映していると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 4,688,000円 |
| 平均勤続年数 | 3.5年 |
| 平均年齢 | 34.0歳 |
| 単体従業員数 | 321人 |
| 連結従業員数 | 491人 |
| 単体のグループ内比率 | 65.4% |
一部の連結子会社では、従業員の退職に充てるため、確定拠出年金制度・中小企業退職金共済制度を採用しています(確定拠出型=会社が拠出した資金を従業員が運用する)。適用範囲は国内グループ会社です。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
くすりの窓口グループは、ヘルスケア領域で新たな価値を提供し、事業基盤を強化し継続的な成長を維持するためには、優秀な人材の確保と育成、そして性別や国籍にとらわれない多様な人材の登用が必要であると考えています。そのため、各種情報発信による採用活動の継続、社内研修制度の充実、適切な人材配置、人事評価の実施等を通じて組織強化に努めています。
従業員の給与は、職階ごとの給与テーブルに基づき、職務内容、能力・経験、市場水準を踏まえて決定される基本給と、会社業績や個人評価に基づく賞与で構成されています。特に営業部門では、個人目標・部門目標の達成状況に応じた成功報酬が設定されており、大きなインセンティブとなっています。
営業部門の従業員が成功報酬を獲得できるよう、職階に応じたカリキュラムとライセンス付与の教育制度を整備しています。目標未達が続く従業員に対しては、離職防止の観点も踏まえ、個人別の状況改善策を検討し、リスク管理会議で報告・協議を行うなど、きめ細やかな対応を行っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 6.0% |
| 男性育児休業取得率 | 44.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 69.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 70.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 81.6% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
くすりの窓口は、医療・薬局・介護、そして個人ユーザーをつなぐプラットフォームの構築を目指し、多岐にわたるサービスを展開しています。ITやAI技術を活用し、ヘルスケア領域のDX化を推進している同社グループの事業構造について見ていきましょう。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
くすりの窓口は、調剤薬局向けのインターネット予約サービスから事業を開始し、その後、独自のシステム・サービスを開発・展開してきました。医療機関や介護施設向けのシステム・サービスも提供し、「医・薬・介護、個人ユーザー(患者)をつなぐプラットフォーム」としての機能拡充を図っています。
同社グループは単一セグメントですが、主に「メディア事業」「みんなのお薬箱事業」「基幹システム事業」「未病予防事業」の4つの事業を運営しています。これらの事業収益は、サービス導入前のコンサルティング等による「ショット売上」と、月額利用料や手数料など継続的に得られる「ストック売上」に区分されます。
「メディア事業」では、薬局の検索・処方箋ネット受付サービス「EPARKくすりの窓口」や電子お薬手帳アプリ「EPARKお薬手帳」、病院・クリニックの検索サイト「EPARK病院・クリニック」などを展開し、患者の利便性向上と薬局の効率化を支援しています。
「みんなのお薬箱事業」では、医薬品の仕入れを効率化する「仕入れサポートサービス」や、医薬品の在庫管理・自動発注システム「eオーダーシステム」、不動在庫医薬品の売買を仲介する「みんなのお薬箱」を提供し、医薬品の流通改善と薬局経営の効率化を支援しています。
「基幹システム事業」では、医療機関、薬局、介護施設に必要な事務処理システムや情報システム等を販売し、データ連携プラットフォームの充実を図っています。
「未病予防事業」は2026年3月期から本格稼働を開始し、人間ドック・健康診断の予約サービスや、健康保険組合からの委託による特定保健指導サービスなどを提供しています。
同社グループの売上高は、メディア事業が全体の約4割を占め、みんなのお薬箱事業と基幹システム事業がそれぞれ約3割弱を占めています。未病予防事業とその他事業はそれぞれ約1%となっています。同社グループの売上高は本邦の外部顧客への売上高が90%を超えており、特定の主要な顧客への売上集中はありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5期にわたり売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向にあります。特に直近の2期では、各利益が大きく伸びています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 64.9億円 | 74.2億円 | 87.2億円 | 112億円 | 123億円 |
| 経常利益 | 8.2億円 | 9.4億円 | 13.3億円 | 19.4億円 | 26.7億円 |
| 経常利益率 | 12.6% | 12.7% | 15.2% | 17.3% | 21.6% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 5.2億円 | 3.9億円 | 8.7億円 | 20.3億円 | 29.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 67.82 | 42.64 | 86.48 | 184.89 | 263.23 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から当期にかけて増加しており、従業員一人あたりの稼ぐ力が高まっている傾向が見られます。これは、同社グループが事業を拡大しつつ、効率的な経営を進めていることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 23.1百万円 | 25.1百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.0百万円 | 5.5百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、医療・ヘルスケア領域でITサービスを展開しており、財務基盤の安定性は事業継続の重要な要素です。手元資金の状況やキャッシュフローの動向から、経営の健全性を確認できます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率やROEの推移からその健全性を把握できます。自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して高い水準にあり、安定した経営基盤を示しています。ROEも高い水準で推移しており、効率的な資本活用が行われていることがうかがえます。手元資金も増加傾向にあり、事業運営における資金の厚みがある状態です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 85.2億円 | 115億円 |
| 自己資本比率 | 69.5% | 63.7% |
| ROE(自己資本利益率) | 27.5% | 29.8% |
| 現金及び預金 | 21.0億円 | 52.0億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業で得た資金がどのように使われているかを示しています。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純利益の増加などにより、前期の支出から獲得へと大きく転換しました。これは本業で安定的に資金を生み出せるようになったことを示しています。
投資活動によるキャッシュフローは、無形固定資産(ソフトウエア等)の取得による支出が主な要因となり、継続して資金の支出となっています。これは将来に向けた事業基盤の強化やサービス開発への投資が活発に行われている状況です。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金や長期借入金による収入があった一方で、短期借入金の返済や自己株式取得による支出もあり、資金の獲得となりました。
これらの結果、フリーキャッシュフローは前期のマイナスからプラスに転じており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出せる状態となっています。このキャッシュフローの改善は、同社グループの事業が安定し、将来の成長に向けた投資余力も確保されていることを示しており、雇用や給与の安定性にも良い影響を与える傾向にあると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | △53.3億円 | 29.5億円 |
| 投資CF | △18.0億円 | △22.9億円 |
| 財務CF | △53.6億円 | 22.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △71.3億円 | 6.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、EPARKサービスに関する事業の売上が連結会計年度の40.7%を占めており、株式会社EPARKとのオフィシャルパートナーシップ契約に予期せぬ変更や解約が生じた場合、経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。また、顧客のIT投資意欲の減退や競合他社のサービス向上など、市場環境の変化や競争激化が同社グループの経営成績に影響を与えるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、競合他社と差別化された新たなサービスを継続的に提供するため、能力を持った人材の確保と育成を課題としています。情報通信分野は人材の流動性が高く、計画通りに十分な人員を確保できない場合、同社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
くすりの窓口グループは、ヘルスケア領域に新たな価値を提供し、医療関係者と個人ユーザーをつなぐプラットフォームの形成を目指しています。社会課題の解決に貢献し、持続的な成長を追求する企業風土が特徴です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
くすりの窓口グループは、「ヘルスケア領域にこれまでにない新しい価値を提供する」ことを経営方針としています。調剤薬局、医療機関、介護施設、健康保険組合などの顧客の収益と生産性向上に貢献することを目指しています。
また、個人ユーザー(患者)にはこれまでにない利便性を提供することを念頭に置いています。医療関係者と個人ユーザーをつなぐ医療プラットフォームを形成し、医療関係者にとってなくてはならない存在となることを目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、事業を通して社会課題の解決に貢献し、持続的な成長を目指すサステナビリティ経営を重視しています。株主、顧客、個人ユーザー、債権者、従業員、地域社会といったステークホルダーからの信頼と評価を継続的に得られる経営を目指しています。
そのため、適切なガバナンス体制の確立と経営の健全性、透明性の確保に努めています。顧客のニーズを速やかにサービスに反映できる開発力を強みとし、PDCAサイクルを迅速かつ適切に回すことを重視するカルチャーがあります。性別、国籍、人種等にとらわれない多様性のある人材の登用も必要と考えています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループが対処すべき課題として、顧客基盤の拡大とサービス利用の深耕が挙げられています。医療分野及びヘルスケア分野への展開を強化し、顧客と個人ユーザーの利便性向上を図ることも重要視されています。
また、競合との差別化を図り、新サービスの開発と提供のスピードを向上させることも課題です。事業基盤を強化し成長を継続するためには、優秀な人材の確保と育成、そして多様性のある人材の登用が重点テーマとなっています。これには採用活動の継続、社内研修制度の充実、適切な人材配置、人事評価の実施が含まれます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
くすりの窓口は、株主総会、取締役会、監査役会、会計監査人を設置する監査役会設置会社です。経営の健全性と透明性を確保するため、各機関が連携して機能する体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
くすりの窓口の株主構成を見ると、事業会社が上位を占めています。筆頭株主はEPARKであり、同社グループの経営を支える主要な存在です。特定の株主が大きな持株比率を占める傾向が見られます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| EPARK | 39.40% |
| SBIイノベーションファンド1号 | 15.73% |
| NBSE | 5.97% |
| BNYM SA/NV FOR BNYM FOR BNYM GCM CLIENT ACCTS M ILM FE | 3.32% |
| 木下 圭一郎 | 2.95% |
なお、前事業年度末現在主要株主であったNBSEヘルステック投資事業有限責任組合は、投資期限到来に伴い保有株式を全て出資者に分配したことから主要株主でなくなっています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は7名(男性6名・女性1名)で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役会長は田中伸明氏、代表取締役社長は堤幸治氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 田中 伸明 | 代表取締役会長 | 1995年8月有限会社リセット設立、取締役就任。2000年5月フリービット・ドットコム(現フリービット)設立、代表取締役副社長就任。2016年9月同社代表取締役社長。2020年11月同社代表取締役会長より現職。 |
| 堤 幸治 | 代表取締役社長 | 1999年2月光通信入社。2014年10月EPARK代表取締役副社長。2015年6月同社取締役。2020年11月同社代表取締役社長より現職。 |
社外取締役は、山本純偉氏(筑波大学附属病院 教授)、村岡丈到氏(コニカミノルタ株式会社 在籍・厚生労働省医政局兼務)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役会と監査役会が経営を監督する体制です。社外取締役は客観的な意見陳述と助言を通じて業務執行を監督し、社外監査役は主に会計面や法務面から監査を実施しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
くすりの窓口の役員報酬は、株主総会で定められた総額限度内で決定されています。取締役の報酬は固定報酬と業績連動報酬で構成され、連結営業利益成長率の実績に応じて変動する仕組みです。個々の報酬額は代表取締役社長に一任され、職務内容や実績、外部調査データなどを考慮して決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 78百万円 | 26.1百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 25百万円 | 5.0百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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