jig.jp(ジグ・ジェーピー) 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

jig.jp(ジグ・ジェーピー) 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

jig.jpは、東京証券取引所グロース市場に上場し、ライブ配信サービス「ふわっち」を主力事業として展開しています。直近の決算では、売上高138億円(前期比12.6%増)、営業利益20億円(同11.5%増)と増収増益を達成しており、堅調な業績トレンドを示しています。


※本記事は、株式会社jig.jp の有価証券報告書(第22期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. jig.jpってどんな会社?


jig.jpは、ライブ配信サービス「ふわっち」を中心に、モバイル関連ソフトウェアの企画・開発・提供を行う企業です。

(1) 会社概要


2003年に設立され、翌2004年に携帯電話向けフルブラウザ「jigブラウザ」の提供を開始しました。2015年に現在の主力サービスであるライブ配信アプリ「ふわっち」をリリースし、事業を拡大させました。2022年12月に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしています。

連結従業員数は102名、単体従業員数は46名です。筆頭株主は創業者で取締役の福野泰介氏で、第2位は社外取締役でありインキュベイトファンド株式会社の代表取締役を務める赤浦徹氏です。第3位は創業メンバーで取締役の岸周平氏となっています。

氏名 持株比率
福野 泰介 25.02%
赤浦 徹 12.98%
岸 周平 11.39%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性3名の計11名で構成され、女性役員比率は27.3%です。代表取締役社長CEOは川股将氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
川股 将 代表取締役社長CEO 2016年野村證券入社。2021年同社入社。執行役員事業戦略担当を経て2024年6月より現職。
田中 雄一郎 取締役CFO 2016年野村證券入社。JPモルガン証券を経て2023年同社入社。2024年6月より現職。
福野 泰介 取締役 創業者 2003年同社設立し代表取締役社長就任。2024年6月より現職。IchigoJam財団代表理事も務める。
岸 周平 取締役 2000年アクシブドットコム入社。2003年同社設立に伴い取締役に就任し、以来現職。


社外取締役は、赤浦徹(インキュベイトファンド代表取締役)、菅沼匠(リンクパートナーズ法律事務所代表パートナー)、矢島里佳(和える代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「一般消費者向け関連」および「自治体向け・企業向け関連」事業を展開しています。

(1) ライブ配信事業(ふわっち)

誰でも手軽に配信・視聴ができるライブ配信サービス「ふわっち」を提供しています。30代から40代をメインユーザー層とし、アマチュア配信者が中心の多様なコンテンツが特徴です。

主な収益源は、視聴ユーザーが配信者を応援するために購入するデジタルアイテムの販売収益です。運営は連結子会社の株式会社A Inc.が行っています。

(2) ブラウザ事業

フィーチャーフォン向けのフルブラウザアプリ「jigブラウザ」を提供しています。PC向けやスマートフォン向けのWebサイトをフィーチャーフォンから閲覧可能にするサービスです。

収益は、利用者からの月額または年額の利用料金および広告掲載による報酬です。運営は株式会社jig.jpが行っています。

(3) VTuber事業

モーション・キャプチャー技術とアニメルック・アバターを用いたバーチャル・エンターテイナー「VTuber」のキャラクターIP開発や、応援プラットフォームの開発・運営を行っています。

当事業は株式会社jig.jpが運営を行っています。

(4) 飲食店予約代行事業

飲食店への予約電話代行アプリ「Pecotter(ペコッター)」の開発・運営を行っています。「世界の食卓を明るくにぎやかにする」をミッションに掲げています。

運営は連結子会社の株式会社C Inc.が行っています。

(5) 自治体向け・企業向け関連事業

プログラミング専用こどもパソコン「IchigoJam」や、自治体向け「オープンデータプラットフォーム」を提供しています。教育機関や自治体のDX支援に活用されています。

こどもパソコンはライセンス料、オープンデータプラットフォームは利用料を収益としています。運営は株式会社B Inc.が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近の業績を見ると、売上高は順調に拡大傾向にあり、経常利益も増加基調を維持しています。当期は売上高、経常利益ともに過去最高を更新しました。利益率も高い水準を保っていますが、当期純利益については前期比で減少しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 90億円 105億円 122億円 138億円
経常利益 -2.5億円 10億円 18億円 19億円
利益率(%) -2.8% 9.4% 14.9% 13.5%
当期利益(親会社所有者帰属) -2.2億円 5億円 4億円 1億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い売上総利益も拡大しており、高い収益性を維持しています。営業利益についても増益となっており、本業の好調さがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 122億円 138億円
売上総利益 117億円 131億円
売上総利益率(%) 95.5% 94.8%
営業利益 18億円 20億円
営業利益率(%) 14.7% 14.6%


販売費及び一般管理費のうち、ポイント引当金繰入額が61億円(構成比55%)、決済手数料が19億円(同17%)を占めています。売上原価の主な内訳は、サーバー費用等の経費です。

(3) セグメント収益


一般消費者向け関連事業が売上の大半を占めており、当期も増収となりました。自治体向け・企業向け関連事業は全体に占める割合は小さく、減収となっています。なお、同社は一般消費者向け関連事業の割合が高いため、セグメント利益の記載を省略しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
一般消費者向け関連事業 122億円 138億円
自治体向け・企業向け関連事業 0.3億円 0.2億円
連結(合計) 122億円 138億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラスで、投資CFと財務CFがマイナスであることから、本業で稼いだ現金を借入返済や株主還元に充てつつ、必要な投資も自己資金で賄えている「健全型」と言えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 19億円 16億円
投資CF -0.8億円 -1.3億円
財務CF -1.6億円 -4.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は29.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は60.6%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「利用者に最も近いソフトウェアを提供し、より豊かな社会を実現する。」を企業理念として掲げています。この理念のもと、利用者の生活を豊かにするためのサービス開発に取り組んでいます。

(2) 企業文化


同社グループは、サステナビリティの観点から「時代の変化に合わせたスピーディーなサービス開発力」を重視しています。また、誰もが便利で、楽しく、軽やかに利用できるソフトウェアを世の中に創出していくことを目指し、従業員の多様なバックグラウンドや主体性を尊重する風土を持っています。

(3) 経営計画・目標


経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、主力サービス「ふわっち」における「配信ユニークユーザー数」「課金ユニークユーザー数」および「ARPPU(課金ユーザー1人当たりの平均課金額)」を重視しています。これらを継続的に増大させ、企業価値の向上を図る方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


「ふわっち」の売上高拡大に向け、アイテムの拡充やイベントの実施、配信ユーザーの多様化による新たな視聴ユーザー層の獲得に注力します。また、収益性向上のため、広告宣伝費の効率化や決済チャネルの分散による手数料圧縮を進めます。

* バーチャル配信機能の提供による新規ユーザー層の獲得
* デジタルコンテンツ販売(ボイスやグッズ等)による利益率向上

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


従業員を重要な資本と位置づけ、多様なバックグラウンドを持つ自走可能な人材の採用・育成に注力しています。エンジニアにとって最適な環境を整えた開発拠点や、成長支援制度の導入、株式報酬制度などにより、人的資本の価値最大化を図っています。また、高等専門学校との連携による若手エンジニアの確保も進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 36.8歳 6.5年 6,692,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、離職率(定年退職者除く)(2.0%)、有給消化率(72.8%)、女性取締役・監査役数(3名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) ライブ配信サービスへの依存


同社グループの収益の約99%はライブ配信サービスにおけるアイテム販売が占めています。法的規制の変更や予期せぬ要因により当該サービスが想定通りに伸長しない場合、業績に重大な影響を与える可能性があります。

(2) 特定のプラットフォーム事業者の動向


売上の多くがスマートフォンアプリ経由であるため、Apple Inc.やGoogle Inc.等のプラットフォーム事業者に収益を依存しています。手数料率の変動やガイドライン変更によるアプリ削除等は、事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

(3) サービスの健全性に関するリスク


不特定多数のユーザーが利用するため、不適切な利用によるトラブルが発生するリスクがあります。監視体制の強化に努めていますが、トラブルに起因する法的責任や風評被害が生じた場合、業績や社会的信用に影響を与える可能性があります。

(4) システムに関するリスク


事業は通信ネットワークやコンピュータ・システムに依存しており、自然災害やアクセス集中、サイバー攻撃等によるシステム障害が発生した場合、サービスの提供に支障をきたし、業績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。