1. あいちフィナンシャルグループってどんな会社?
銀行業務を中心に、証券、リースなどの金融サービスを展開する持株会社です。愛知県を主要基盤としています。
■(1) 会社概要
2021年に愛知銀行と中京銀行が経営統合に基本合意し、2022年10月に共同株式移転により同社が設立されました。同日、東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場に上場しました。2025年1月には傘下の愛知銀行と中京銀行が合併し、あいち銀行として新たに営業を開始しています。
現在の連結従業員数は2,575名、単体では186名です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位は名古屋市の不動産会社であるミソノサービス、第3位は株式会社日本カストディ銀行(信託口)となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 9.43% |
| ミソノサービス | 7.90% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 4.76% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性2名の計14名で構成され、女性役員比率は14.2%です。代表取締役社長執行役員は伊藤行記氏が務めています。社外取締役比率は35.7%です。
社外取締役は、江本泰敏(弁護士)、柴田雄己(元名古屋鉄道代表取締役社長)、村田知英子(税理士)、我妻巧(元インテック常務執行役員)、板倉麻子(特定社会保険労務士)です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 伊藤 行記 | 代表取締役社長執行役員 | 1980年中央相互銀行(現あいち銀行)入行。同行頭取を経て、2022年10月同社代表取締役社長に就任。2025年4月より現職。 |
| 藏冨 宣彦 | 代表取締役専務執行役員 | 1981年中央相互銀行入行。あいち銀行専務取締役等を経て、2025年1月同社代表取締役に就任。2025年4月より現職。 |
| 早川 誠 | 代表取締役常務執行役員 | 1985年中京相互銀行(現あいち銀行)入行。あいち銀行常務取締役等を経て、2025年1月同社代表取締役に就任。2025年4月より現職。 |
| 吉川 浩明 | 取締役常務執行役員 | 1985年中央相互銀行入行。あいち銀行常務取締役等を経て、2022年10月同社取締役に就任。2025年4月より現職。 |
| 鈴木 規正 | 取締役常務執行役員 | 1986年中央相互銀行入行。あいち銀行常務取締役等を経て、2022年10月同社取締役に就任。2025年4月より現職。 |
| 伊藤 謙二 | 取締役常務執行役員 | 1987年中央相互銀行入行。あいち銀行常務取締役等を経て、2022年10月同社取締役に就任。2025年4月より現職。 |
| 鈴木 武裕 | 取締役執行役員 | 1988年中央相互銀行入行。あいち銀行取締役営業本部長等を経て、2024年6月同社取締役に就任。2025年4月より現職。 |
| 瀬林 寿志 | 取締役執行役員 | 1986年中京相互銀行入行。あいち銀行取締役執行役員等を経て、2022年10月同社取締役に就任。2025年4月より現職。 |
| 加藤 政宏 | 取締役(常勤監査等委員) | 1985年中央相互銀行入行。あいち銀行取締役(監査等委員)を経て、2022年10月より現職。 |
2. 事業内容
同社グループは、「銀行業」「リース業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 銀行業
あいち銀行の本支店において、預金、貸出、為替、投資信託・保険商品の窓口販売、証券業務、信託代理店業務などを行っています。地域金融機関として利便性の高いサービスを提供しています。
収益は主に貸出金利息や各種手数料収入などから得ています。運営は株式会社あいち銀行が行っています。
■(2) リース業
総合リース業務を行っています。顧客に対し、設備機器などの賃貸借サービスを提供しています。
顧客からのリース料収入を主な収益源としています。運営は愛銀リース株式会社が行っています。
■(3) その他
クレジットカード業務、信用保証業務、集金代行業務、電算機による業務処理、銀行事務サービス、ファンド運営、ソフトウェア開発、広告代理業などを行っています。
収益源は加盟店手数料、信用保証料、業務受託手数料などです。運営は株式会社愛銀ディーシーカード、株式会社中京カード、株式会社エイエイエスシーなどが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
当期は増収減益となりました。経常収益は、貸出金利息及び役務取引等収益、株式等売却益等が増加したことにより、前連結会計年度比123億49百万円増収の1,010億36百万円となりました。一方、経常費用は、預金利息及び営業経費やシステム統合にかかる費用、国債等債券売却損等の増加により、前連結会計年度比146億52百万円増加の907億54百万円となりました。その結果、経常利益は前連結会計年度比23億2百万円減益の102億82百万円となりました。過去5期を見ると、経常収益は増加傾向で推移していますが、経常利益は変動が見られます。
| 項目 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|
| 経常収益(億円) | 729 | 887 | 1,010 |
| 経常利益(億円) | 52 | 126 | 103 |
| 当期純利益(億円) | 818 | 83 | 91 |
■(2) 損益計算書
当期は増収となりましたが、経常費用も増加したため、経常利益は前期比で減少しました。経常収益は、貸出金利息及び役務取引等収益、株式等売却益等が増加したことが主な要因です。一方、経常費用は、預金利息及び営業経費やシステム統合にかかる費用、国債等債券売却損等の増加が影響しました。当期純利益は前期比で増加しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 経常収益 | 887 | 1,010 |
| 経常費用 | 761 | 908 |
| 経常利益 | 126 | 103 |
| 当期純利益 | 83 | 91 |
■(3) 役務取引等収益の内訳
同行の役務取引等収益合計は、当期において前期比で増加しました。最も規模が大きいのは預金・貸出業務であり、次いで代理業務となっています。
| 区分 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 役務取引等収益 合計 | 126 | 126 |
| 預金・貸出業務 | 68 | 69 |
| 為替業務 | 12 | 12 |
| 証券関連業務 | 10 | 10 |
| 代理業務 | 10 | 10 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
あいちフィナンシャルグループは、営業活動によるキャッシュ・フローが貸出金等の増加により支出となった一方、投資活動によるキャッシュ・フローは有価証券の売却及び償還等により収入となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは配当金の支払いにより支出となりました。これらの結果、現金及び現金同等物は増加しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | △160,573 | △105,076 |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | 64,784 | 117,584 |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △12,096 | △4,961 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、経営ビジョン「VISION」として「金融サービスを通じ、地域社会の繁栄に貢献する」ことを掲げています。また、「MISSION」として「愛知県No.1の地域金融グループ」を目指すことを定めています。
■(2) 企業文化
同社は、経営統合の効果最大化に向けた第1次中期経営計画のテーマとして「Speed , Fusion & Chemistry」を掲げ、合併新銀行のスタートダッシュに向けた準備を進めてきました。また、目指す人財像として「チャレンジし続ける人財」や「顧客体験を変えるプロフェッショナル人財」等を定め、変革に挑戦する風土を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
2025年4月から2028年3月までを期間とする「第2次中期経営計画」において、シナジー効果の早期発現を目指しています。さらに、2031年3月までの「第3次中期経営計画」では合併シナジーの最大化を目指す方針です。
- 2024年度貸出金利息実績: 398億円
- 2024年度役務収益実績: 167億円
■(4) 成長戦略と重点施策
「第2次中期経営計画」では「銀行を超えたトータルサポートグループ」をテーマに掲げ、「コンサルティング・ソリューション型ビジネスモデルの深化」「グループ経営基盤の強化」「DX戦略の加速化」の3つを基本戦略としています。銀行法の規制緩和も活用し、新たな金融ビジネスを切り拓くことで持続的な収益基盤の構築を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社グループは、「人事基本方針」に基づき、「あいちフィナンシャルグループの経営理念に基づき、チャレンジし続ける人財」等の目指す人財像を定義しています。新ビジネスモデルへの移行に向け、営業店プロフェッショナル人財や本部ソリューションエキスパート等の「戦略人財」の創出・育成に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 49.9歳 | 26.3年 | 10,439,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 5.4% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社は公表義務の対象ではないため、労働者の男女の賃金の差異については有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、あいち銀行の女性管理職比率(11.8%)、あいち銀行の女性役職者比率(18.5%)、あいち銀行の従業員満足度スコア(78.3P)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 銀行持株会社の収益構造リスク
同社は銀行持株会社であり、収入の大部分を銀行子会社からの配当等に依存しています。銀行法等の規制や子会社の利益状況により、同社への配当支払いが制限された場合、同社株主への配当支払いに影響が生じる可能性があります。
■(2) 事務・システム等のオペレーショナルリスク
役職員の事務ミスや事故、コンピュータシステムの障害、サイバー攻撃等が発生した場合、業務遂行に支障をきたし、損害賠償や信用の低下を招く可能性があります。これらは同社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 自己資本比率の低下リスク
国内基準に基づく自己資本比率が4%を下回った場合、業務停止命令等を受ける可能性があります。信用コストの増加、株価下落による保有有価証券の減損、税効果会計の影響等により自己資本比率が低下した場合、業務運営や資金調達に影響が出る可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。