リョーサン菱洋ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

リョーサン菱洋ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社は東京証券取引所プライム市場に上場しており、半導体・電子部品を扱う「デバイス事業」とIT製品やソリューションを提供する「ソリューション事業」を展開するエレクトロニクス商社グループです。2024年4月の経営統合により設立された第1期連結会計年度の売上高は3,598億円、経常利益は71億円となりました。


※本記事は、株式会社リョーサン菱洋ホールディングス の有価証券報告書(第1期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. リョーサン菱洋ホールディングスってどんな会社?


リョーサンと菱洋エレクトロの経営統合により誕生した、デバイスとITソリューションを展開するエレクトロニクス商社グループです。

(1) 会社概要


2023年5月にリョーサンと菱洋エレクトロが経営統合に関する基本合意書を締結し、同年10月に最終契約書を締結しました。同年12月に両社の臨時株主総会で株式移転計画が承認され、2024年4月に両社の完全親会社として同社が設立され、東京証券取引所プライム市場へ新規上場しました。

現在の従業員数は連結1,649名、単体60名です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)、第2位はエス・エッチ・シー有限会社、第3位は日本生命保険相互会社です。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.76%
エス・エッチ・シー有限会社 5.29%
日本生命保険相互会社 3.45%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性3名の計12名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長執行役員は中村守孝氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
中村 守孝 代表取締役社長執行役員 1984年伊勢丹(現三越伊勢丹)入社。三越伊勢丹HD常務執行役員等を経て2017年菱洋エレクトロ入社。同社社長を経て2024年4月より現職。
稲葉 和彦 代表取締役副社長執行役員 1990年リョーサン入社。電子部品事業本部長等を経て2020年同社社長。2024年4月より現職。
遠藤 俊哉 取締役常務執行役員 1988年リョーサン入社。リョーサンタイランド社長、同社取締役執行役員営業統括本部長等を経て2024年4月より現職。
大橋 充幸 取締役常務執行役員 1985年菱洋電機(現菱洋エレクトロ)入社。同社取締役常務執行役員営業統括本部長等を経て2024年4月より現職。
髙橋 則彦 取締役常務執行役員 1987年三菱銀行入行。リョーサン経営戦略室長、執行役員企画本部長等を経て2024年4月より現職。
脇 清 取締役(常勤監査等委員) 1983年三菱銀行入行。菱洋エレクトロ代表取締役専務執行役員等を経て2024年4月より現職。


社外取締役は、髙田信哉(元三越伊勢丹HD代表取締役専務)、川辺春義(元ニュートラル社長)、白石真澄(関西大学名誉教授)、小川真人(ACEコンサルティング代表取締役)、大井素美(大井公認会計士事務所代表)、福田佐知子(弁護士・公認会計士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「デバイス事業」および「ソリューション事業」を展開しています。

(1) デバイス事業


半導体および電子部品の仕入・販売を行っています。主な取扱製品には半導体、電子部品などがあり、自動車や産業機器、デジタル家電向けの市場を対象としています。

収益は主に製品の販売代金から得ています。運営は主に株式会社リョーサン、菱洋エレクトロ株式会社、および香港、中国、台湾、シンガポール、マレーシア、タイ、インド、韓国、米国、ドイツなどの海外現地法人が行っています。

(2) ソリューション事業


IT製品の仕入・販売およびこれらに付随するソリューションの提供を行っています。主な取扱製品・商品にはIT製品、ソリューションなどがあり、企業のDX推進やシステム構築の需要に対応しています。

収益は主にIT製品の販売代金やソリューション提供の対価から得ています。運営は主に菱洋エレクトロ株式会社、株式会社スタイルズ、およびシンガポール、香港、マレーシア、タイなどの海外現地法人が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2025年3月期は、経営統合初年度として売上高3,598億円、経常利益71億円を計上しました。当期利益は94億円となり、利益率は2.6%となっています。統合に伴う特別利益等の影響も含んでいます。

項目 2025年3月期
売上高 3,598億円
経常利益 71億円
利益率(%) 2.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 59億円

(2) 損益計算書


当期の売上高は3,598億円、売上総利益は349億円で、売上総利益率は9.7%となりました。営業利益は85億円、営業利益率は2.4%です。

項目 2025年3月期
売上高 3,598億円
売上総利益 349億円
売上総利益率(%) 9.7%
営業利益 85億円
営業利益率(%) 2.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が84億円(構成比32%)を占めています。

(3) セグメント収益


当期はデバイス事業が売上高の約7割を占め、営業利益の過半を稼ぎ出しています。ソリューション事業も売上高1,002億円と一定の規模を有し、利益貢献しています。

区分 売上(2025年3月期)
デバイス事業 2,596億円
ソリューション事業 1,002億円
連結(合計) 3,598億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、運転資金を銀行借入やコマーシャル・ペーパーの発行により調達しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や棚卸資産の減少等により、資金が増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社株式の取得等により、資金が減少しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少等により、資金が減少しました。

項目 2025年3月期
営業CF 132億円
投資CF -153億円
財務CF -176億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「デバイス事業」と「ソリューション事業」を展開するエレクトロニクス商社として、『お客様のニーズにお応えし 社会に必要とされる企業になる』をビジョンに掲げています。顧客のものづくりと事業成長を支援することを通じて、その先のエンドユーザーの課題解決に貢献することを追求しています。

(2) 企業文化


同社グループは、「貢献・協働・賞賛」を行動指針としています。これらに基づくコミュニケーションを活発に行うことで、お互いから学びあうことができる企業文化を醸成し、社員一人ひとりが活躍し、成長できる環境づくりを進めています。

(3) 経営計画・目標


統合2年目となる2025年度以降において、「生産性の向上」「統合シナジーの創出」「独自性の創出」を徹底的に推進し、お客様接点の拡大に注力する方針です。これらの取り組みを加速させ、早ければ2026年4月にリョーサンと菱洋エレクトロの事業子会社2社を統合することも視野に入れています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、経営統合による両社の強みの融合により、個社の成長限界を打破し、バリューチェーン全体への価値向上を目指しています。今後は、お客様接点の絶対量の拡大とニーズを把握する仕組みの強化、両社の強みに基づく絞り込まれた取り組みによる統合シナジーの創出、競争優位性のあるノウハウの確立・強化による独自性の創出に重点的に取り組みます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「自ら考え、自ら行動する人材」および「会社を更なる繁栄に導くことができるリーダー」の育成に注力しています。経営陣と社員の対話を通じたビジョン浸透や、自律的思考を促す仕組みを構築し、挑戦と失敗成功体験を積み重ねた社員を「貢献・協働・賞賛」の指針に基づき評価する制度の定着を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 47.4歳 18.5年 7,921,513円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 0.0%
男性育児休業取得率 0.0%
男女賃金差異(全労働者) 60.8%
男女賃金差異(正規) 68.2%
男女賃金差異(非正規) 11.1%


※「パート・有期労働者」に該当する女性労働者が年度途中入社であり且つ少数であることが男女賃金差異の要因です。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 世界マクロ経済環境の変化によるリスク


米国、欧州、中国、新興国や日本の景気が減速する場合、個人消費や設備投資の低下をもたらし、顧客が販売する製品に対する需要が減少する可能性があります。これにより、同社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 固定資産に関する減損リスク


同社グループは、当連結会計年度末時点において固定資産を272億円保有しています。資産価値の下落に起因する減損リスクを有しており、これにより同社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) 仕入先に関するリスク


国内外の複数の仕入先と代理店契約を締結しており、仕入先各社とは良好な取引関係を維持していますが、仕入先の事業再編や販売チャネル政策の見直しが行われた場合、同社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。