※本記事は、株式会社ジンジブの有価証券報告書(第11期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ジンジブってどんな会社?
高校生のための新卒求人サイト「ジョブドラフトNavi」を運営し、高卒就職支援に特化する企業です。
■(1) 会社概要
同社の源流は、1998年に佐々木満秀氏が創業した広告代理店にあります。2014年に旧事業子会社を設立して人材紹介事業を開始し、2015年には持株会社体制へ移行するとともに、高校生向け求人ナビサービスをスタートさせました。2020年にグループ内組織再編を行い、社名を現在のものに変更しました。その後、2024年に東京証券取引所グロース市場への上場を果たしています。
同社(単体)の従業員数は186名です。筆頭株主は創業者の佐々木満秀氏で、第2位は証券会社、第3位は投資事業有限責任組合となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 佐々木 満秀 | 55.81% |
| SBI証券 | 9.08% |
| 三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合 | 6.89% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名、計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は佐々木満秀氏です。取締役6名中、社外取締役の比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐々木 満秀 | 代表取締役社長 | 運送会社等を経て1998年にピーアンドエフを個人創業。2015年に同社(当時は人と未来グループ)を設立し代表取締役社長に就任。グループ再編を経て現職。 |
| 森 隆史 | 専務取締役 | 2006年ピーアンドエフ入社。取締役を経て、旧事業子会社の代表取締役社長や常務取締役を歴任。2023年7月より現職。HRコンサルティング部及び営業推進部を管掌。 |
| 新田 圭 | 常務取締役 | ワッツ、エレコム等を経て、やる気スイッチグループHD取締役等を歴任。2017年に同グループ入社。2023年7月より現職。経営企画部及び経営管理部を管掌。 |
| 星野 圭美 | 取締役 | 2003年ベンチャー・オンライン入社。旧事業子会社取締役、保険モバイル代表取締役等を歴任。2022年9月より現職。キャリア教育開発部及びカスタマーサポート部を管掌。 |
社外取締役は、池田良介(ウィルグループ取締役会長)、杉浦佳浩(代表世話人株式会社代表取締役)です。
2. 事業内容
同社は、「高卒人材採用支援事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 高卒人材採用支援事業(採用領域)
高校生向け求人情報メディア「ジョブドラフトNavi」や、職業体験イベント「おしごとフェア」、合同企業説明会「ジョブドラフトFes」等を運営しています。高校生や教員に対し、求人票だけでは伝わりにくい企業の魅力を発信し、就職活動を支援しています。
収益は、掲載企業からのサイト掲載料やイベント参画料等から得ています。運営は同社が行っています。
■(2) 高卒人材採用支援事業(企画制作・代行支援領域)
企業の採用活動を支援するため、パンフレットや紹介動画の制作、高校訪問や求人票発送の代行サービスを提供しています。また、中小企業向けの人事機能パックサービス等も展開し、採用活動の効率化をサポートしています。
収益は、企業からの制作費や業務委託費等から得ています。運営は同社およびパートナー企業が行っています。
■(3) 高卒人材採用支援事業(教育領域)
高校生向けのキャリア教育支援「ジョブドラフトCareer」や、企業向けの高卒新人育成研修「ROOKIE’S CLUB」、社会人向けのデジタルマーケティング研修「DMU」等を提供しています。入社後の定着支援やスキルアップを目的としています。
収益は、企業や高校からの委託費、研修受講料等から得ています。運営は同社が行っています。
■(4) その他
高卒第二新卒や既卒者を対象とした就職・転職支援サービス「ジョブドラフトNext」等を展開しています。早期離職した若手人材などに研修を提供しつつ、再就職を支援しています。
収益は、企業からの人材紹介に関する成功報酬等から得ています。運営は同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は順調に拡大しており、直近5期間で継続的な増収傾向にあります。一方で、利益面では変動が見られます。2024年3月期までは黒字を維持していましたが、直近の2025年3月期には税金費用の負担増などにより最終赤字となりました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 6.9億円 | 9.7億円 | 15.2億円 | 20.8億円 | 24.0億円 |
| 経常利益 | -3.0億円 | -0.9億円 | 0.6億円 | 2.5億円 | 0.6億円 |
| 利益率(%) | -43.2% | -9.6% | 4.3% | 12.2% | 2.5% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -3.0億円 | -0.7億円 | 0.4億円 | 1.4億円 | -1.8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加しましたが、売上原価および販売費及び一般管理費の増加により、営業利益率は低下しました。特に販売費及び一般管理費の増加が利益を圧迫しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 20.8億円 | 24.0億円 |
| 売上総利益 | 17.6億円 | 20.5億円 |
| 売上総利益率(%) | 84.5% | 85.3% |
| 営業利益 | 2.7億円 | 0.6億円 |
| 営業利益率(%) | 13.1% | 2.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が7.6億円(構成比38%)、広告宣伝費が1.6億円(同8%)を占めています。売上原価では、外注費が3.5億円(構成比100%)を占めています。
■(3) セグメント収益
全ての領域で増収となりました。特に教育領域は前期比で大幅な伸びを示しています。採用領域も堅調に推移し、全体の売上拡大を牽引しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 採用領域 | 19.8億円 | 22.5億円 |
| 教育領域 | 0.9億円 | 1.3億円 |
| その他 | 0.2億円 | 0.2億円 |
| 連結(合計) | 20.8億円 | 24.0億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
**パターン:勝負型**
営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなる一方で、財務活動で資金を調達しており、将来の成長に向けた投資や事業拡大を進めている段階と考えられます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 5.0億円 | -1.3億円 |
| 投資CF | -1.2億円 | -0.7億円 |
| 財務CF | 0.3億円 | 2.4億円 |
財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は18.6%で市場平均を下回っています。ROE(自己資本利益率)については、当期純損失計上のため算出されていません(前期は29.2%)。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「これからを生きる人の夢を増やす」というパーパスを掲げ、「若者に希望を与えるNo.1企業になる」というビジョンのもと事業を展開しています。深刻化する若手人材不足という社会課題の解決に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「夢は、18才からはじまる。」というスローガンを掲げています。高校生の就職活動において、彼らが自己決定の上で社会で活躍できる機会や、仕事や人生に夢を持てる世界を創造するためのサービス提供を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、高卒就職支援市場のリーディングカンパニーとして市場を牽引し、高い成長性を継続することを目指しています。経営上の重要な指標として以下を設定しています。
* 全社売上高
* 営業利益
* 採用領域に関する受注高
* ジョブドラフトNavi掲載企業数
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は、金融機関との連携による紹介獲得数の向上や、Web商談チーム新設による営業効率の向上、AI活用などによる全社生産性の向上に取り組んでいます。また、既存サービスの付加価値向上や、学校への普及促進を通じて、事業基盤の拡大を図る方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、多様な人材が能力を発揮できるよう、個々のライフスタイルに合わせたテレワークや業務時間の選択を推奨しています。また、従業員のレイヤーに沿った研修コンテンツを提供し、人材育成に注力しています。女性活躍推進にも取り組み、「大阪市女性活躍リーディングカンパニー」の認証を取得しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 30.2歳 | 3.1年 | 3271000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、取締役を含めた管理職に占める女性の割合(38.8%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 就職支援事業の動向について
同社の事業は労働市場の需給バランスの影響を受けやすく、景気悪化により企業の採用意欲が低下した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対し、事業エリアの拡大や高卒第二新卒までカバーするサービス展開により、特定領域への依存度低減を図っています。
■(2) 競合について
Web求人広告事業は参入障壁が比較的低く、資本力のある企業や新規参入者との競争が激化した場合、同社の優位性が低下する恐れがあります。同社は単なる求人広告にとどまらず、イベント運営や研修、キャリア教育支援などを総合的に展開することで差別化を図っています。
■(3) 業績の季節変動について
売上の過半を占める採用支援サービスは、契約更新時期やイベント開催時期などの影響で売上が下期や特定の月に偏重する傾向があります。また、顧客事情による検収遅延が発生した場合、期間業績に影響を与える可能性があります。季節変動を考慮した計画策定と納期管理の徹底を進めています。
■(4) 高卒採用活動に関するガイドラインの変更
同社は、厚生労働省や都道府県労働局が定める高校生の就職活動に関するルール(選考日の規制、学校訪問の規制等)に準拠してサービスを提供しています。これらのガイドラインが大幅に変更された場合、採用活動の在り方が変わり、同社の事業活動や業績に影響を及ぼす可能性があります。



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