※本記事は、株式会社ジンジブの有価証券報告書(第12期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. ジンジブってどんな会社?
高校生と企業を繋ぐ採用支援と教育サービスを通じて、若手人材不足の社会課題解決に取り組む企業です。
■(1) 会社概要
1998年に創業した広告代理店をルーツとし、2014年に中小企業の人材不足解消を目指して旧ジンジブを設立しました。2015年に高校生向け求人ナビサービスを開始し、2020年のグループ内組織再編を経て現社名に変更しました。2024年に東証グロース市場へ上場し、2026年には進路情報事業を買収しています。
従業員数は単体で176名です。筆頭株主は創業者の佐々木満秀氏で、第2位は人と未来、第3位はSBI証券となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 佐々木満秀 | 45.77% |
| 人と未来 | 11.29% |
| SBI証券 | 9.62% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は佐々木満秀氏です。取締役会は6名で構成され、うち2名が社外取締役です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 佐々木満秀 | 代表取締役社長 | 1998年に個人創業、2015年に人と未来グループ(現ジンジブ)を設立し代表取締役社長に就任。2020年の吸収合併を経て現職。 |
| 森隆史 | 専務取締役HRコンサルティング部及び営業推進部管掌 | 2006年にピーアンドエフへ入社し、2018年に旧ジンジブの代表取締役社長を経験。2023年より現職。 |
| 新田圭 | 常務取締役経営企画部及び経営管理部管掌 | エレコムややる気スイッチグループ等を経て、2017年に同社へ入社。2023年より現職。 |
| 星野(渡邊)圭美 | 取締役キャリア教育開発部及びカスタマーサポート部管掌 | ベンチャー・オンライン等を経て2014年に旧ジンジブの取締役に就任。執行役員等を経て2022年より現職。 |
社外取締役は、池田良介(ウィルグループ取締役会長)、杉浦佳浩(代表世話人代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「高卒人材採用支援事業」を展開しています。
■(1) 採用支援サービス・企画制作・代行支援サービス
高校生向け就職求人サイト「ジョブドラフトNavi」の運営や、合同企業説明会「ジョブドラフトFes」等のイベント開催を行っています。あわせて、求人票の作成や企業紹介動画の制作を行うほか、高校訪問や求人票発送の代行、人事課題を解決する「人事部パック」などを提供し、企業の採用活動をサポートしています。
収益源は、掲載企業からの求人サイト掲載料やイベント参画料、サービス導入企業からの制作費および委託費です。同事業の運営はジンジブが行っています。カスタマーサポートによるノウハウ提供や定期的なミーティングなどを通じて、顧客企業と高校生のミスマッチを軽減し、高校新卒採用の成功確率を高める支援を行っています。
■(2) 教育研修サービス・その他
高校生向けキャリア教育支援「ジョブドラフトCareer」や、新人育成定着支援研修「ルーキーズクラブ」、社会人向けデジタルマーケティング研修などを提供しています。また、早期離職者や既卒者を対象とした就職・転職支援サービス「ジョブドラフトNext」も展開し、若手人材の教育と活躍を支援しています。
収益源は、サービスを導入する企業や一部の高校からの委託費、および人材紹介の成約に伴う成功報酬です。同事業の運営はジンジブが行っており、入社後のミスマッチ防止と定着率の向上、若手人材不足に悩む企業への新たな採用ルートの提供を通じて、これからの社会を担う若者のキャリア形成と企業の成長を支えています。
3. 業績・財務状況
同社の業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は一貫して右肩上がりで推移しており、直近5年間で約2.8倍に拡大しています。経常利益は一時的な先行投資等による増減が見られますが、直近の決算では金融機関からの顧客紹介の増加やオプション販売の好調により、大幅な増収増益と当期純利益の黒字転換を達成しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 9.7億円 | 15.2億円 | 20.8億円 | 24.0億円 | 26.9億円 |
| 経常利益 | -0.9億円 | 0.6億円 | 2.5億円 | 0.6億円 | 1.7億円 |
| 利益率(%) | -9.6% | 4.3% | 12.2% | 2.5% | 6.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -0.7億円 | 0.4億円 | 1.4億円 | -1.8億円 | 1.8億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の成長に伴い、売上総利益および営業利益ともに大きく増加しています。特にオプション商品の内製化等の施策により売上総利益率が改善し、全社的なコスト削減と生産性向上に取り組んだ結果、営業利益率は前期から大幅に向上しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 24.0億円 | 26.9億円 |
| 売上総利益 | 20.5億円 | 23.2億円 |
| 売上総利益率(%) | 85.3% | 86.3% |
| 営業利益 | 0.6億円 | 1.7億円 |
| 営業利益率(%) | 2.6% | 6.2% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が7.7億円(構成比36%)、支払手数料が2.2億円(同10%)を占めています。売上原価は外注費が3.7億円(構成比100%)となっています。
■(3) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業を示す「健全型」のキャッシュ・フローとなっています。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は37.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は24.9%で市場平均を下回っています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -1.3億円 | 3.0億円 |
| 投資CF | -0.7億円 | -1.2億円 |
| 財務CF | 2.4億円 | -0.9億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「これからを生きる人の夢を増やす」というパーパスのもと、「若者に希望を与えるNo.1企業になる」というビジョンを掲げています。深刻化する若手人材不足という日本社会の課題解決に貢献すべく、未来を担う高校生と成長に向かう企業を輝かせ、人生のあらゆるシーンで寄り添う企業を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、高校就職というニッチな市場において、デジタルを活用しながらも「人が介在する」独自のサポート体制を重視しています。独自に構築した全国の高校との強いネットワークを基盤に、システムだけでは解決できない「企業と生徒の直接的な出会い」や「キャリア教育の伴走」を提供するなど、社会課題解決に向けて顧客や学校と深く関わる文化があります。
■(3) 経営計画・目標
同社は、高卒就職支援市場のリーディングカンパニーとして、当該市場を牽引・拡大することにより高い成長性を継続することを目指しています。これを実現し、また高い成長性を維持するために積極的な投資を行う方針であり、全社売上高、営業利益、採用領域に関する受注高およびジョブドラフトNavi掲載企業数を経営上重要な客観的指標として設定しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は事業基盤と収益の強化に向けて、複数の戦略を推進しています。進路情報事業の買収による進学支援領域への進出をはじめ、金融機関との提携強化による紹介獲得数の向上や、既存顧客向けのアップセルを担う営業体制の改善に取り組みます。あわせて、AIや外部委託の活用による生産性向上や、リアルなイベントとシステムをシームレスに繋ぐプラットフォームへの進化を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、様々な人材が多様な働き方で能力を発揮できるよう、従業員個々のライフスタイルに合わせたテレワークや業務時間の選択を推奨しています。また、従業員のレイヤーに沿った研修コンテンツの提供を行うなど、人材の育成および働きやすい社内環境の整備に注力しており、女性役員や女性管理職の比率向上にも継続的に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 30.0歳 | 3.5年 | 4,087,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 30.8% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | - |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | - |
※同社は公表義務の対象ではないため、男性育児休業取得率および男女賃金差異の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 就職支援・進学支援事業の動向
同社の事業は景気変動や少子化の影響を受けやすく、景気悪化に伴う企業の採用意欲の低下や、進学希望者の減少などが発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、事業展開エリアの拡大や、高卒第二新卒から社会人のリスキリングまでをカバーするサービス展開により、特定の需要に依存しない体制の構築を図っています。
■(2) 競合の存在と他社との差別化
求人広告事業は比較的容易に参入が可能であり、強力な資本を持つ新規参入企業との競争が激化した場合、当社の優位性が薄れるリスクがあります。そのため、単なるWeb求人広告にとどまらず、就職イベントの開催や定着支援研修、キャリア教育支援など、人が介在する総合的なサービスを提供することで差別化を図っています。
■(3) 業績の季節変動
採用支援サービスの受注は高校新卒採用の結果が出る下期に集中する傾向があり、またイベントの開催時期や求人情報解禁のタイミングにより、売上高が特定の月に偏重する構造となっています。季節的変動を考慮した計画の策定を行うとともに、納期管理の徹底を通じて期間業績への影響を最小限に抑えるよう努めています。
■(4) 高卒採用活動のガイドライン変更と法的規制
高校生の就職活動は行政のガイドラインに沿って行われており、ルールの大幅な変更があった場合には採用活動の在り方が変わり、事業に影響を及ぼす可能性があります。また、求人広告の支援において各種法的規制に抵触しないよう、審査体制の構築や優良募集情報等提供事業者としての認定取得など、法令遵守体制を強化しています。



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