アズパートナーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アズパートナーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アズパートナーズは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、介護付きホームなどを展開するシニア事業と、老朽化不動産の再生などを行う不動産事業を主力としています。直近の業績では、両事業が好調に推移し、売上高が前期比32.1%増、経常利益が同19.7%増の増収増益を達成しています。


※本記事は、株式会社アズパートナーズの有価証券報告書(第22期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アズパートナーズってどんな会社?


アズパートナーズは、首都圏を中心に介護付きホームなどのシニア事業と不動産事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


2004年に設立され、2005年に神奈川県横浜市で介護付きホームとデイサービスの1号店を開設しました。2009年に収益不動産事業、2012年に老朽化不動産の再生を行うソリューション事業を開始し、不動産領域も拡大しました。2024年に東京証券取引所スタンダード市場へ上場を果たしています。

現在の従業員数は単体で985名です。大株主については、筆頭株主は資産管理会社のブレスで、第2位はMIRARTHホールディングス、第3位は創業者の植村健志氏となっています。

氏名 持株比率
ブレス 34.84%
MIRARTHホールディングス 9.53%
植村 健志 4.53%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.0%です。
代表取締役社長兼 CEOは植村健志氏が務めています。取締役9名のうち社外取締役は2名で、比率は22.2%です。

氏名 役職 主な経歴
植村 健志 代表取締役社長兼 CEO リクルートコスモス(現コスモスイニシア)、宝工務店(現MIRARTHホールディングス)常務取締役等を経て、2004年同社設立。2017年より現職。
伊藤 啓敏 取締役 兼 専務執行役員(事業本部 本部長) リクルートコスモス(現コスモスイニシア)を経て、2008年同社入社。不動産事業部部長等を経て、2017年より現職。
松尾 篤人 取締役 兼 常務執行役員(管理本部 本部長) モック、ロックストーンを経て、2010年同社入社。経営企画部部長、執行役員等を経て、2025年より現職。
山本 皇自 取締役 兼 上席執行役員(事業推進部 部長) リクルートコスモス(現コスモスイニシア)、宝工務店(現MIRARTHホールディングス)を経て、2006年同社入社。2025年より現職。


社外取締役は、緒方克吉氏(元コスモスモア代表取締役社長)、伊藤華代氏(TRAY代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「シニア事業」および「不動産事業」を展開しています。

シニア事業


首都圏を中心に、介護付きホーム、デイサービス、ショートステイを運営し、介護ニーズのある高齢者にサービスを提供しています。IoTプラットフォーム「EGAO link」を活用した業務効率化や、入居者の自己実現を目指す個別ケアが特徴です。

入居者・利用者からの家賃、管理費、食費等の利用料や、介護保険からの介護報酬が主な収益源です。事業の運営はアズパートナーズが行っています。

不動産事業


介護付きホーム等の土地建物を自社開発するシニア開発事業、老朽化した集合住宅等の不動産の再生を行うソリューション事業、賃貸マンションや事務所等の賃貸を行う収益不動産事業を展開しています。

不動産事業者や投資家への物件・土地の売却益、およびテナントや賃借人からの賃貸収入が主な収益源です。事業の運営はアズパートナーズが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間で売上高は右肩上がりの成長を続けており、特に直近では大幅な増収を達成しています。経常利益も売上拡大に伴い増加傾向にあり、利益率も改善しながら安定的な成長を実現しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 115億円 128億円 172億円 179億円 237億円
経常利益 3億円 2億円 9億円 14億円 16億円
利益率(%) 2.6% 1.9% 5.0% 7.5% 6.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 5億円 2億円 6億円 10億円 12億円

(2) 損益計算書


売上高の拡大に伴い売上総利益および営業利益は順調に増加していますが、原価等の増加により売上総利益率と営業利益率はわずかに低下しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 179億円 237億円
売上総利益 39億円 43億円
売上総利益率(%) 21.6% 18.0%
営業利益 13億円 15億円
営業利益率(%) 7.3% 6.4%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が6億円(構成比22%)、租税公課が6億円(同21%)を占めています。売上原価では、労務費が66億円(構成比34%)、販売用不動産原価が60億円(同31%)を占めています。

(3) セグメント収益


シニア事業は新規施設の開設等により増収となったものの、先行費用の影響などでわずかに減益となりました。一方、不動産事業はシニア開発事業やソリューション事業における販売用不動産の売却が好調に推移し、大幅な増収増益を牽引しました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
シニア事業 137億円 155億円 15億円 14億円 9.2%
不動産事業 42億円 82億円 16億円 20億円 24.2%
連結(合計) 179億円 237億円 13億円 15億円 6.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 8億円 45億円
投資CF -46億円 -54億円
財務CF 45億円 6億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は25.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は21.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「私たちアズパートナーズは、『世代を超えた暮らし提案型企業』として、あらゆる世代の方々の幸せを追求し、私たちに関わる全ての人々が幸せになることを目指します。」という使命(MISSION)を掲げています。超高齢社会や介護人材不足といった社会課題に挑み、持続可能な社会づくりに貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


「思いやり」「謙虚かつ誠実」「人の笑顔をつくる」「自ら考え行動する」「成長を楽しむ」「信頼される」「人を幸せにする」の7つからなる従業員行動規範を重視しています。これらの実践を通じ、従業員がやりがいを持ち、成長を実感しながらお客様が望む暮らしを共創する文化を育んでいます。

(3) 経営計画・目標


全社的な経営指標として、シニア事業と不動産事業を両輪として安定的に成長していくための「営業利益」を重視しています。また、シニア事業においては売上・収益に直結する「稼働率」を重要指標として設定し、高い水準を維持することを目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


シニア事業では、IoTプラットフォーム「EGAO link」を核とした介護DXを推進し、業務効率化と科学的介護による生産性向上を図ります。不動産事業では、シニア開発事業を段階的に拡大します。さらに、介護DXコンサルティングの事業化を新たな成長戦略の柱として掲げています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「提案人材(チャレンジや変化を楽しみ、自らの役割を超えて積極的に経営に参加し、組織の成長に貢献する人材)」の育成を最重要課題と位置付けています。採用強化、キャリアパス構築、心身の健康管理、ダイバーシティ推進、ウェルビーイング向上を通じて、個人の成長と組織の発展を両立させます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 33.7歳 4.2年 4,556,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 35.6%
男性育児休業取得率 92.3%
男女賃金差異(全労働者) 79.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 91.4%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 92.7%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性育休復帰率(95.5%)、新卒採用人数(171人)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 介護保険制度による影響


シニア事業は介護保険法に基づく指定を受けて運営されており、介護報酬が売上の大部分を占めます。制度改正により介護保険の給付範囲が制限されたり、介護報酬の給付単価が引き下げられるなど、事業者に不利な改正がなされた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 生産年齢人口の急減に伴う人材確保のリスク


介護業界における慢性的な人材不足が課題となっています。IT機器の積極的導入による負担軽減や処遇改善、新卒採用の強化に努めていますが、これらの施策の効果が十分に得られず、必要な従業員を確保・定着できない場合、事業展開やサービス品質に支障をきたす可能性があります。

(3) 不動産市況等の変動リスク


不動産事業は景気動向、金利、地価、建築価格などの経済状況の影響を強く受けます。急激な市況の悪化や建築コストの上昇、あるいは販売の遅延等が発生した場合、開発の遅延や在庫の滞留が生じ、棚卸資産の評価損が計上されることで財務状況に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。