アズパートナーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アズパートナーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

アズパートナーズは東証スタンダード上場企業。介護付きホーム運営を中心とするシニア事業と、不動産開発・再生を行う不動産事業を展開。2025年3月期は、介護事業の高稼働や不動産販売が寄与し、売上高・各利益ともに過去最高を更新する増収増益となった。


※本記事は、株式会社アズパートナーズ の有価証券報告書(第21期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. アズパートナーズってどんな会社?


介護付きホーム運営等のシニア事業と、シニア向け施設開発等の不動産事業を両輪とする企業です。

(1) 会社概要


2004年にタカラレーベンの子会社として設立され、翌2005年に介護付きホーム「アズハイム横浜東寺尾」を開設しました。2017年にはIoT/ICTプラットフォーム「EGAO link」を全ホームへ導入開始し、DXを推進。2022年に初の自社開発物件を開設してシニア開発事業を開始し、2024年4月に東証スタンダード市場へ上場しました。

単体従業員数は879名です。筆頭株主は社長の資産管理会社で、第2位は設立時の親会社である不動産会社です。

氏名 持株比率
株式会社ブレス 34.95%
MIRARTHホールディングス株式会社 14.45%
植村 健志 4.53%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.0%です。代表取締役社長 兼 CEOは植村 健志氏、社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
植村 健志 代表取締役社長兼 CEO リクルートコスモス、宝工務店を経て2004年同社設立。一般社団法人全国介護付きホーム協会副代表理事等を兼任し、2017年より現職。
伊藤 啓敏 取締役 兼 専務執行役員 リクルートコスモスを経て2008年同社入社。不動産事業部部長等を歴任し、2017年より現職。
松尾 篤人 取締役 兼 常務執行役員 モック、ロックストーンを経て2010年同社入社。経営企画部長、執行役員等を歴任し、2025年より現職。
山本 皇自 取締役 兼 上席執行役員 リクルートコスモス、宝工務店を経て2006年同社入社。取締役兼執行役員を経て、2025年より現職。


社外取締役は、緒方 克吉(元コスモスモア社長)、伊藤 華代(TRAY社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「シニア事業」「不動産事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) シニア事業


介護付きホーム「アズハイム」を中心に、デイサービス、ショートステイを運営しています。IoT/ICTプラットフォーム「EGAO link」による業務効率化や科学的介護を強みとし、首都圏エリアでドミナント戦略を展開しています。

収益は、入居者からの家賃・管理費・食費等の利用料、および国からの介護保険に基づく介護報酬からなります。運営は主に同社が行っています。

(2) 不動産事業


介護現場のノウハウを活かした介護付きホーム等の土地建物を開発する「シニア開発事業」、老朽化した集合住宅等を再生する「ソリューション事業」、賃貸マンション等を保有する「収益不動産事業」を展開しています。

収益は、開発・再生した不動産の売却による売却益、および保有不動産のテナントや賃借人からの賃貸料収入からなります。運営は主に同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は右肩上がりで推移しており、特に直近の第21期は過去最高を更新しました。利益面でも、経常利益・当期純利益ともに大幅な増益傾向にあり、収益性が向上しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 109億円 115億円 128億円 172億円 179億円
経常利益 7億円 3億円 2億円 9億円 14億円
利益率(%) 5.9% 2.6% 1.9% 5.0% 7.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 5億円 2億円 6億円 10億円

(2) 損益計算書


増収効果に加え、原価率の改善等により売上総利益が伸長しました。営業利益率は前年の4.7%から7.3%へと大きく改善し、収益体質の強化が進んでいます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 172億円 179億円
売上総利益 31億円 39億円
売上総利益率(%) 18.1% 21.6%
営業利益 8億円 13億円
営業利益率(%) 4.7% 7.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が6億円(構成比23%)、租税公課が6億円(同22%)を占めています。また、売上原価においては、労務費が60億円(構成比43%)、販売用不動産原価が24億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


シニア事業は施設稼働率の向上等により増収増益となりました。不動産事業は売上高こそ減少したものの、利益率の高い物件販売により大幅な増益を達成しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
シニア事業 121億円 137億円 13億円 15億円 11.1%
不動産事業 51億円 42億円 12億円 16億円 37.7%
連結(合計) 172億円 179億円 8億円 13億円 7.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

アズパートナーズのキャッシュ・フローの状況は、事業活動による収入が前事業年度から減少したものの、棚卸資産の販売や助成金の受取が主な要因となりました。投資活動においては、シニア開発事業における有形固定資産の取得により、支出が大幅に増加しました。財務活動では、シニア開発事業等における長期借入れや新株式の発行による収入が増加し、大幅な収入超過となりました。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「世代を超えた暮らし提案型企業」として、あらゆる世代の方々の幸せを追求し、関わる全ての人々が幸せになることを目指しています。子供から高齢者まで各世代に対し良質なサービス提供や暮らしの提案を行い、社会に貢献できる企業であることを使命としています。

(2) 企業文化


従業員行動規範として「思いやり」「謙虚かつ誠実」「人の笑顔をつくる」「自ら考え行動する」「成長を楽しむ」「信頼される」「人を幸せにする」の7つを定めています。これらの実践を通じて、従業員がやりがいを持ち、成長を実感しながらお客様の望む暮らしを共創する文化です。

(3) 経営計画・目標


事業を展開する各地域において介護サービスを利用してもらう観点と、収益に直結する指標である点から、「稼働率」を重要指標としています。また、全社的にはシニア事業と不動産事業を両輪として安定的に堅実に成長していくため、「営業利益」を経営指標として掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


シニア事業では、「EGAO link」による科学的介護の深化とDX推進、首都圏におけるドミナント戦略による事業拡大を進めます。不動産事業では、介護運営ノウハウを活かしたシニア開発事業を拡大します。また、新たな柱として介護DXコンサルティングの事業化を目指します。

* 2026年3月期に介護付きホーム4事業所、デイサービス2事業所の開設を予定

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「提案人材」の育成を最重要課題と位置付け、採用戦略強化、従業員育成、健康管理、ダイバーシティ、エンゲージメント向上を柱とする人的資本経営を推進しています。特に新卒採用を重視し、理念に共感する人材を確保するとともに、介護DX人材としての育成に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 32.5歳 4.3年 4,552,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 40.4%
男性育児休業取得率 81.8%
男女賃金差異(全労働者) 80.2%
男女賃金差異(正規雇用) 92.9%
男女賃金差異(非正規雇用) 88.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性育休復帰率(90.5%)、女性育休復帰後定着率(85.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 介護保険制度による影響


シニア事業は介護保険法に基づく介護報酬が売上の大部分を占めるため、制度改正や報酬改定の影響を受けます。給付単価の引下げや給付範囲の制限、また人員・設備基準を満たせず行政処分を受けた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 介護人材の確保


生産年齢人口の減少に伴い、介護人材の確保は業界全体の課題です。人員基準を満たす従業員を採用・定着できない場合、事業運営に支障をきたす可能性があります。同社はICT活用による業務負担軽減や処遇改善に取り組んでいますが、リスクは残ります。

(3) 有利子負債への依存


シニア開発事業や不動産事業の資金を主に借入金で調達しており、総資産に対する有利子負債依存度は43.5%です。金利上昇による支払利息の増加や、金融情勢の変化により資金調達が困難になった場合、業績や資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。