ハンモック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ハンモック 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場する同社は、IT資産管理等のネットワークソリューション、営業支援ツール等のセールスDX、AI-OCRを活用したデータエントリーの3事業を展開しています。第31期は主力製品のクラウド移行や新規開拓が奏功し、売上高47億円(前期比9.9%増)、営業利益8億円(同18.1%増)の増収増益でした。


※本記事は、株式会社ハンモック の有価証券報告書(第31期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ハンモックってどんな会社?


法人向けソフトウェア開発企業です。IT資産管理、営業支援、AI-OCRの3領域で業務効率化を支援しています。

(1) 会社概要


1994年に設立され、FAX/スキャナー対応OCRソフトの提供を開始しました。2000年には統合型IT運用管理ツール「AssetView」、2014年には営業支援ツール「ホットプロファイル」の提供を開始し、事業を拡大しています。2024年4月には東京証券取引所グロース市場への上場を果たしました。

従業員数は単体で220名です(連結子会社はありません)。筆頭株主は代表取締役社長の若山大典氏で、第2位は創業家一族と推測される若山正美氏、第3位は若山悠氏となっており、創業家が主要株主として名を連ねています。

氏名 持株比率
若山 大典 35.44%
若山 正美 13.48%
若山 悠 8.54%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は若山大典氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
若山 大典 代表取締役社長 1997年アルファ入社。カーナルアソシエーツを経て2000年同社入社。2009年取締役、2014年常務取締役を経て、2018年4月より現職。
冨來 美穂子 取締役CFO 兼 管理本部長 リクルート、あずさ監査法人等を経て、エスエルディー取締役、フォーデジット取締役CFOなどを歴任。2021年9月より現職。
中山 憲二 取締役 日本アイ・ビー・エムを経て、日本オフィス・システム取締役常務執行役員などを歴任。エバーグリーン代表取締役社長を経て2016年同社入社。2020年4月より現職。


社外取締役は、小林保裕(セレス常務取締役)、後藤恒久(ネットイヤーグループ内部監査室長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ネットワークソリューション」「セールスDXソリューション」「AIデータエントリーソリューション」の3つのソリューションを展開しています。

ネットワークソリューション


企業のPCやネットワーク等のIT資産管理、セキュリティ対策を統合的に管理するソフトウェア「AssetView」シリーズを開発・販売しています。IT資産の管理、セキュリティ対策、ログ管理などの課題を解決し、企業の信頼性向上を支援しています。民間企業から官公庁まで幅広い顧客に導入されています。

収益源は、オンプレミス型製品の販売および保守・導入サービス収益と、クラウド型サービスの利用料(リカーリング収益)です。運営は主にハンモックが行っています。

セールスDXソリューション


法人営業の生産性向上と売上拡大を支援する営業支援ツール「ホットプロファイル」および新規顧客開拓ツール「ホットアプローチ」を提供しています。「名刺管理」「SFA/CRM」「MA」の機能を統合したプラットフォームにより、営業プロセスの効率化とデジタル化を推進しています。

収益源は、クラウド型サービスの利用プランに応じた月額利用料(リカーリング収益)です。運営は主にハンモックが行っています。

AIデータエントリーソリューション


AI OCR技術を活用したデータ入力業務効率化ソリューションを提供しています。主力製品には、オンプレミス型の「AnyForm OCR」、クラウド型データエントリーサービス「WOZE」、帳票設計不要のクラウド型AI-OCRサービス「DX OCR」があります。手書き文字や非定型帳票にも対応し、入力業務の自動化を支援します。

収益源は、オンプレミス型製品の販売および保守・導入サービス収益と、クラウド型サービスの従量課金または固定料金によるリカーリング収益です。運営は主にハンモックが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移です。売上高は第27期以降、右肩上がりの成長を続けています。利益面では第27期に広告宣伝投資により損失を計上しましたが、第28期以降は黒字化し、高い利益率を維持しています。特に第31期は売上高47億円を超え、成長基調を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 31.3億円 36.5億円 39.9億円 42.8億円 47.1億円
経常利益 -4.2億円 4.1億円 5.0億円 7.8億円 8.3億円
利益率(%) -13.6% 11.2% 12.6% 18.2% 17.6%
当期利益(親会社所有者帰属) -3.2億円 9.3億円 4.2億円 6.5億円 6.2億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を分析します。売上高の増加に伴い、売上総利益も順調に拡大しており、高い売上総利益率を維持しています。営業利益も増加傾向にあり、収益性の高さがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 42.8億円 47.1億円
売上総利益 20.0億円 20.6億円
売上総利益率(%) 46.7% 43.8%
営業利益 6.7億円 7.9億円
営業利益率(%) 15.6% 16.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が4.1億円(構成比32%)、広告宣伝費が1.5億円(同12%)を占めています。売上原価においては、経費が20.1億円(構成比66%)と大半を占めており、その主な内訳は外注費8.7億円、減価償却費4.6億円、通信費4.1億円となっています。

(3) セグメント収益


各ソリューションともに増収となりました。特にネットワークソリューションはクラウド型への移行が進み売上を伸ばしています。セールスDXソリューションも営業DX化ニーズを捉え、2桁成長を達成しました。AIデータエントリーソリューションも新製品の投入などにより売上を拡大させています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
ネットワークソリューション 26.6億円 28.7億円
セールスDXソリューション 12.1億円 13.6億円
AIデータエントリーソリューション 4.2億円 4.8億円
連結(合計) 42.8億円 47.1億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ハンモック社は、AIと人の確認を組み合わせたクラウドサービス「WOZE」や、帳票設計不要な「DX OCR」の提供により、事業領域を拡大しています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等の支払いにより前期より減少しましたが、堅調な事業活動から資金を獲得しています。投資活動では、有価証券の償還による収入があった一方で、無形固定資産の取得により資金が支出されました。財務活動では、株式発行による収入があったものの、配当金の支払いにより資金が支出されました。

これらの活動の結果、現金及び現金同等物は前期末に比べて増加し、期末には潤沢な資金を確保しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 10.6億円 9.2億円
投資CF -4.0億円 -3.7億円
財務CF -0.8億円 -0.4億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「テクノロジーの力で、未来をつくる新しい体験を提供し、ひとりひとりが輝く社会へ」というパーパスを掲げています。顧客の課題やニーズをITで解決するため、今までにない機能をスピーディーに開発し、高品質かつ適切な価格で提供することで、顧客の企業価値向上に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、業種業態や企業規模を問わず導入可能な製品・サービスを目指しています。市場のニーズを的確に捉え、自社開発の強みを活かして新機能や新製品を開発し、顧客へ提案するサイクルを高速で回すことを重視しています。また、「法人営業になくてはならない製品」を目指し、利用者目線に立った製品開発を行う文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社は、主にリカーリング型のビジネスモデルを展開していることから、継続的な売上成長を重視しています。経営指標として「売上高成長率」と「営業利益」を掲げています。

* 2026年3月期(予想):売上高成長率 8.8%
* 2026年3月期(予想):営業利益 8.7億円

(4) 成長戦略と重点施策


リカーリング型ビジネスモデルへの移行を進め、成長加速と利益率向上を図る方針です。具体的には、市場ニーズを捉えた新機能・新製品の自社開発による事業領域の拡大と、カスタマーサクセス強化による既存顧客の契約継続率向上に取り組みます。各ソリューションにおいては、クラウドサービスの拡充やAI機能の搭載を推進します。

* ネットワークソリューション:クラウド型「AssetView Cloud+」の投入と移行促進。
* セールスDXソリューション:AI搭載による次世代営業プラットフォームへの進化。
* AIデータエントリーソリューション:新製品「DX OCR」による顧客ニーズの獲得。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材を最も重要な資産と位置づけ、優秀な人材の確保と育成を重視しています。自律的なキャリア構築を支援するため、能力開発目標の設定や資格合格報奨金制度を導入しています。また、多様な人材が活躍できるよう、フレックスタイム制やリモートワーク環境を整備し、ワークライフバランスの向上にも努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 36.2歳 6.1年 5,961,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 13.7%
男性労働者の育児休業取得率 -
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) -
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) -
労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) -


※同社は公表義務の対象ではないため、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異については、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業界動向及び市場ニーズの変化


DX化やクラウド化に伴い市場ニーズは拡大傾向にありますが、IT業界は技術革新やビジネスモデルの変化が激しい環境です。市場ニーズの方向性が大きく変化した場合、同社製品への需要が減少し、事業運営や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 優秀な人材の確保及び育成について


継続的な成長には各部門での優秀な人材確保が不可欠です。しかし、エンジニア不足等により採用が計画通り進まない場合や、想定以上の退職が発生した場合、事業運営に影響が出る可能性があります。同社は働き方の多様化やパーパスの浸透により、採用強化と定着率向上に努めています。

(3) 競合について


各ソリューションにおいて競合他社が存在します。同社は機能や品質、価格設定などで差別化を図っていますが、機能的に優れた新規参入や価格競争の激化が起きた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は顧客ニーズを捉えた製品開発を継続し、優位性の確保に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。