AIフュージョンキャピタルグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

AIフュージョンキャピタルグループ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

AIフュージョンキャピタルグループは、東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。金融ソリューション、DXソリューション、マーケティングソリューション事業を展開し、自己投資やファンド運営を行っています。当期の連結業績は、売上収益が33億円と増収となったものの、営業損失を計上し減益となりました。


※本記事は、AIフュージョンキャピタルグループ株式会社の有価証券報告書(第2期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月29日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はIFRSです。

1. AIフュージョンキャピタルグループってどんな会社?


金融ソリューションとAI・DX、マーケティングを組み合わせた事業を展開する持株会社です。

(1) 会社概要


2024年にミライドア(旧フューチャーベンチャーキャピタル)の単独株式移転により持株会社として設立され、東京証券取引所スタンダード市場に上場しました。その後、河合青果やショーケースをはじめ、ラバブルマーケティンググループ、タメニーなどの企業を次々と連結子会社化し、多角的に事業を拡大しています。

現在の従業員数はグループ全体で662名、単体で18名となっています。筆頭株主は代表取締役社長の澤田大輔氏が代表を務めるDSG1であり、第2位は個人の上原俊彦氏、第3位はモルガン・スタンレーMUFG証券となっています。

氏名 持株比率
DSG1 22.52%
上原 俊彦 15.48%
モルガン・スタンレーMUFG証券 2.74%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は澤田大輔氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
澤田 大輔 代表取締役社長 1996年個人事業主として開業。2018年DSG1代表取締役。2023年ミライドア代表取締役会長兼社長を経て、2024年より現職。
松本 高一 取締役副社長 2003年AGSコンサルティング入社。SMBC日興証券等を経て、2018年アッピア代表取締役。2025年同社取締役副社長に就任し現職。


社外取締役は、久保隆(天満総合法律事務所パートナー)、砂田有史(RSコンサルティング代表社員)、加來武宜(KingMakers創業者・代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「金融ソリューション事業」「DXソリューション事業」「マーケティングソリューション事業」および「その他」事業を展開しています。

金融ソリューション事業


ベンチャー企業への投資や育成支援を行うファンド事業、上場企業の私募増資を引き受けるPIPEs事業を展開しています。事業に付随する様々なニーズに対し、最適な資金調達や事業提携等の投資銀行サービスも提供しています。

収益源は、投資事業組合契約に基づく管理運営サービスによる組合管理収入や、株式投資によるキャピタルゲイン等です。運営は主にミライドアが行っています。

DXソリューション事業


DXを目的としたWebサイト最適化サービスや、オンライン手続きプラットフォームサービスの提供等を行っています。顧客にオンラインビジネスの成約率向上を実現するSaaS型サービス等を提供しています。

収益源は、サービスの提供期間の経過に応じた利用料や、アクセス数などの従量課金による利用料等です。運営は主にショーケースが行っています。

マーケティングソリューション事業


SNSマーケティングにおける戦略策定から運用支援、SaaS型ツールの提供、人材教育までをワンストップで提供しています。また、Webサイトの構築や運用を通じたDX支援も行っています。

収益源は、SNSアカウント運用支援などの役務提供による報酬や、SaaS型SNS運用支援ツールの契約期間に応じた利用料です。運営は主にラバブルマーケティンググループおよびコムニコ等が行っています。

その他


報告セグメントに含まれない事業として、暗号資産関連事業や生活者向けサービス事業、青果物卸売業などを展開しています。

暗号資産の投資事業による収益や、青果卸売等の売上を計上しています。運営は主に同社や、河合青果、ミライウェルスマネジメント等の子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上収益は事業規模の拡大により増加傾向にありますが、直近の期間では損失を計上する結果となっています。積極的な投資活動やM&Aによる一時的な費用の増加などが影響しているとみられます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上収益 31億円 33億円
税引前利益 14億円 -14億円
利益率(%) 46.0% -42.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 7億円 -12億円

(2) 損益計算書


売上収益は増加しているものの、営業費用が大幅に増加したことで、営業利益は赤字に転じています。積極的な事業拡大に伴うコスト増が主な要因です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 31億円 33億円
売上総利益 1億円 3億円
売上総利益率(%) 3.9% 8.0%
営業利益 14億円 -14億円
営業利益率(%) 46.2% -42.1%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給付費用が10億円(構成比40%)、支払手数料が6億円(同24%)を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントの増減について、DXソリューション事業が大幅な増収となったほか、新たにマーケティングソリューション事業が業績に寄与し、全体の売上を牽引しています。一方で金融ソリューション事業は減収となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
金融ソリューション事業 12億円 5億円
DXソリューション事業 4億円 13億円
マーケティングソリューション事業 - 13億円
その他 17億円 5億円
調整額 -2億円 -3億円
連結(合計) 31億円 33億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に税引前損失の計上(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -2億円 -6億円
投資CF 9億円 7億円
財務CF -12億円 44億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-26.2%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も37.5%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、株主共同の利益のため、過去から続く経営資源を合理的に活用し、適切なコーポレート・ガバナンス体制を確立することを基本方針としています。AIと金融の力を融合することでビジネスの成長を加速させる金融ソリューションを提供し、新しい資本主義の未来を創造し、日本の成長を支えるグループを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、企業倫理推進体制の強化に取り組んでおり、「AIフュージョンキャピタルグループ行動規範」に則り、役職員への企業倫理の定着・浸透を図っています。また、人材の多様性を尊重し、様々な経験・スキル・ポテンシャルを有する人材を継続的に採用し、多様なバックグラウンドをもつ人材が平等に活躍できる文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


戦略的投資・金融活動により日本の成長を支えるキャピタルグループを目指し、中長期的なマイルストーンとして時価総額目標を掲げています。

* 2028年3月期に時価総額1,000億円
* 2028年度に売上高500億円、営業利益50億円

(4) 成長戦略と重点施策


自己投資、ファンド、PIPEs、投資銀行の4つの領域で事業を展開し、積極的な投資活動の実行と、投資先やグループ会社とのシナジー効果の追求を成長戦略の柱としています。また、今後は新規設立する投資ファンドの規模増大や投資領域の拡大に努め、利益成長の実現を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業領域およびグループ会社数の増加に伴い、持続的な成長を実現するため、専門性を有する人材の確保および組織体制の強化を重要な課題と認識しています。投資、DX、マーケティング、事業運営等の各領域における専門人材や管理部門人材の採用・育成を進めるとともに、グループ間の連携強化や業務効率化により組織基盤の強化に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 46.8歳 0.8年 7,238,315円

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 52.0%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 66.6%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 69.8%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 132.4%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 知名度および信用度リスク


投資業務において知名度と社会的信用は事業の根幹であり、役職員や関係者による不適切な行為が発覚した場合、取引先や金融業界からの信用が失墜するリスクがあります。同社は、倫理規定の周知徹底や内部通報制度の強化、定期的なコンプライアンス監査によりリスクの未然防止に努めています。

(2) ファンド残高の減少による収益悪化


ファンドの運用成績不振や顧客ニーズを捉えた商品設計の欠如などにより、投資家からの信頼を喪失した場合、新規ファンドの設立や募集が困難になる可能性があります。これにより管理報酬が減少し、同社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(3) M&A実行後の事業展開への影響


事業拡大のために積極的に地域企業等のM&Aを検討・実行していますが、買収後の統合プロセス(PMI)が円滑に進まない場合や対象企業の事業計画が未達成に終わった場合、想定したシナジー効果を得られないリスクがあります。事前のデューデリジェンス強化や専門家チームの組成によりリスク低減を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。