#記事タイトル:AIフュージョンキャピタルグループ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、AIフュージョンキャピタルグループ株式会社 の有価証券報告書(第1期、自 2024年10月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. AIフュージョンキャピタルグループってどんな会社?
AIと金融を融合させた事業を展開する持株会社です。金融ソリューションやSaaS事業を主力としています。
■(1) 会社概要
2024年10月、ミライドア(旧フューチャーベンチャーキャピタル)の単独株式移転により持株会社として設立され、東証スタンダード市場に上場しました。同年12月にはSaaS事業を展開するショーケースを連結子会社化し、事業領域を拡大しています。2025年1月には暗号資産投資を行うミライコインを設立しました。
連結従業員数は137名、持株会社単体では6名です。筆頭株主は代表取締役社長が代表を務める法人で、第2位は個人株主、第3位は証券会社となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| DSG1 | 24.88% |
| 上原 俊彦 | 5.24% |
| 松井証券 | 2.62% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は澤田大輔氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 澤田 大輔 | 代表取締役社長 | 1996年個人事業主として開業。DSG1代表取締役を経て、2023年ミライドア代表取締役会長兼社長。2024年10月より現職。 |
| 松本 高一 | 取締役副社長 | 新光証券、SMBC日興証券等を経て、アンビグラム代表取締役就任。2025年6月より現職。 |
| 金 一寿 | 常務取締役 | 有限責任あずさ監査法人を経て、金一寿公認会計士事務所代表。2024年10月より現職。 |
| 八角 大輔 | 常務取締役 | インタートレード入社後、デジタルアセットマーケッツ取締役等を経て、2025年6月より現職。 |
社外取締役は、久保隆(天満総合法律事務所パートナー)、砂田有史(マラトンキャピタルパートナーズパートナー)、蒲生武志(蒲生武志公認会計士・税理士事務所所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「金融ソリューション事業」、「SaaS事業」、「情報通信関連事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 金融ソリューション事業
ベンチャー企業への投資・育成、ファンドの組成・運営、上場企業の私募増資を引き受けるPIPEs事業、およびこれらに付随する投資銀行サービスを提供しています。AI関連企業や地域課題解決を目指す企業を主な投資対象としています。
収益源は、ファンド管理運営による管理報酬や成功報酬、投資先からの配当・売却益、コンサルティング手数料などです。運営は主にミライドアや同社グループが行っています。
■(2) SaaS事業
DXを推進するクラウドサービスや、Webサイト最適化、オンライン手続きプラットフォームなどを提供しています。企業の業務効率化やセキュリティ強化を支援するサービスが中心です。
収益源は、クラウドサービスの利用料(サブスクリプション収入)や開発・導入支援費用などです。運営は主にショーケースが行っています。
■(3) 情報通信関連事業
スマートフォン、タブレット、パソコンを中心とした中古端末(リユース製品)の買取および販売を行っています。
収益源は、中古端末の販売代金です。運営はReYuu Japanが行っていましたが、当該期間中に株式譲渡により連結から除外されています(期間損益は含まれます)。
■(4) その他
上記セグメントに含まれない新規事業やグループ全体の管理業務などが含まれます。2025年1月より開始した暗号資産投資事業もこの区分となります。
収益源は、暗号資産の運用益やグループ会社からの経営指導料などです。運営は同社およびミライコインなどが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2024年10月の設立初年度であるため、第1期の数値のみとなります。売上収益は約31億円、税引前利益は約14億円を計上しました。当期利益(親会社所有者帰属)は約7億円となり、初年度から黒字を確保しています。利益率は税引前利益ベースで46.0%と高い水準を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 |
|---|---|
| 売上収益 | 31億円 |
| 税引前利益 | 14億円 |
| 利益率(%) | 46.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 7億円 |
■(2) 損益計算書
設立初年度の第1期における損益構成です。売上収益31億円に対し、売上総利益は1億円、営業利益は14億円となりました。その他の収益として関係会社株式売却益などが計上されたことで、営業利益が売上総利益を上回っています。
| 項目 | 2025年3月期 |
|---|---|
| 売上収益 | 31億円 |
| 売上総利益 | 1億円 |
| 売上総利益率(%) | 3.9% |
| 営業利益 | 14億円 |
| 営業利益率(%) | 46.2% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給付費用が3億円(構成比33%)、その他が3億円(同30%)を占めています。売上原価は売上収益に対し約56%を占めています。
■(3) セグメント収益
第1期の実績では、情報通信関連事業が売上収益の最大比率を占めましたが、利益面ではSaaS事業が最も貢献しました。金融ソリューション事業も安定した利益を生み出しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 金融ソリューション事業 | 12億円 | 5億円 | 41.6% |
| SaaS事業 | 4億円 | 12億円 | 296.7% |
| 情報通信関連事業 | 14億円 | -0億円 | -0.7% |
| その他 | 3億円 | -1億円 | -25.0% |
| 調整額 | -2億円 | -2億円 | - |
| 連結(合計) | 31億円 | 14億円 | 46.2% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社グループは、子会社株式の売却や投資の売却等により、投資活動において資金の流入がありました。一方で、営業活動では、税金等調整前当期純利益があったものの、棚卸資産の増加等により資金の流出となりました。財務活動では、自己株式の取得や借入金の返済等により、資金の流出が見られました。
| 項目 | 2025年3月期 |
|---|---|
| 営業CF | -2億円 |
| 投資CF | 9億円 |
| 財務CF | -12億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、AIを軸とした「自己投資事業」「ファンド事業」「PIPEs事業」「投資銀行事業」の4事業と暗号資産事業を通じ、日本の成長を支えるキャピタルグループを目指しています。株主共同の利益のため、経営資源の活用とガバナンス体制の確立により、中長期的な企業価値向上に邁進する方針です。
■(2) 企業文化
日常行動の基本的な考え方や判断基準をまとめた「AIフュージョンキャピタルグループ株式会社行動規範」を制定し、役職員への企業倫理の定着を図っています。また、リスクマネジメント委員会や内部通報制度を通じ、コンプライアンス意識の高い組織文化の醸成に努めています。
■(3) 経営計画・目標
2028年3月期には時価総額1,000億円を達成することを重要なマイルストーンとして掲げています。これは単なる数値目標ではなく、長期ビジョンである「日本の成長を支えるキャピタルグループ」としての地位を確立するための進捗指標と位置付けています。
■(4) 成長戦略と重点施策
AIを軸とした4つのコア事業領域におけるシナジー効果の発揮と、暗号資産事業の拡大を重点施策としています。地域の金融機関や自治体とのネットワークを活用した投資活動の実行、投資ファンドの規模拡大、AIソリューション企業への特化型ファンド組成などに取り組みます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
ベンチャーキャピタル事業等の特性上、「個人の力」を重視し、多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材の確保と育成を課題としています。女性キャピタリストの積極採用や、性別・国籍に関係なく公正な評価を行う制度の導入、フレックス勤務等の環境整備を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 52.2歳 | 0.5年 | 7,238,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 知名度および信用度リスク
投資業務において知名度と社会的信用は根幹を成す要素です。役職員等の不適切な行為により信用が失墜した場合、新規投資機会の喪失や資金の引き上げ、人材獲得難などを招き、経営成績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 人材確保、育成
成長の源泉は投資担当者の能力に依存しており、管理部門も少人数体制です。競合による引き抜きやキャリア志向の変化等により人材が流出した場合、投資判断の遅延や質の低下、業務の停滞などを招き、事業運営に支障をきたす可能性があります。
■(3) ファンド残高の減少
運用成績の悪化や出資者対応の不備等により信頼を損なった場合、ファンドの解約や新規募集の困難化に繋がります。これにより管理報酬が減少し、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 暗号資産価値の変動
保有する暗号資産の価格はボラティリティが高く、市場環境の急変により価値が急落するリスクがあります。これにより評価損が発生し、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。



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