※本記事は、飛島ホールディングス株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
飛島ホールディングスは持株会社であり、単体従業員数は73名、グループ連結従業員数は1,596名です。
同社グループは、主として飛島建設が担う土木、建築を中心とした建設事業と、不動産開発、建設関連、建設DXサポートなどを手掛けるグロース事業等を主な事業内容としています。連結子会社19社、関連会社1社を中心に事業を展開しています。
主な国内グループ会社は、飛島建設(建設事業・グロース事業等)、E&CS(グロース事業等)などです。
当連結会計年度において、同社グループはたち建設とその子会社5社を新たに連結の範囲に含め、グループ体制を強化しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
飛島ホールディングスグループは、持株会社としてグループ全体の経営戦略を統括し、人財を最も重要な経営資源と位置付けています。従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、安心して働き続けられる環境整備に注力しています。多様な人財が活躍できる企業文化の醸成と、持続的な成長を目指す方針です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
飛島ホールディングスでは、平均勤続年数が長く、従業員の定着性が高い傾向が見られます。平均年齢も比較的高い水準にあり、経験豊富な人財が安定して活躍している様子がうかがえます。なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,929,211円 |
| 平均勤続年数 | 18.5年 |
| 平均年齢 | 45.6歳 |
| 単体従業員数 | 73人 |
| 連結従業員数 | 1,596人 |
| 単体のグループ内比率 | 4.6% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両方の退職給付制度を設けています。これらの制度は国内グループ会社を対象としています。退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。確定給付型の退職給付債務は58.3億円、年金資産は96.0億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
飛島ホールディングスグループは、「Innovate the future plan」に基づき、企業文化の変革と人財戦略の再構築を進め、人財を最も重要な経営資源と位置付けています。「変革と連携による成長」を基本テーマに、多様な専門性を持つ人財が結集することでグループシナジーを生み出し、事業価値の創出を目指しています。
2026年4月にはグループ共通の新人事制度を構築し、2027年4月から本格運用を開始する予定です。この制度では、等級、評価、報酬制度を連動させ、職務内容や責任、人財要件を明確化した上で、成果や貢献度、職務遂行度を総合的に評価し、処遇に反映する仕組みを導入します。
給与・報酬の決定においては、人財戦略と企業戦略の整合性を重視し、市場競争力や物価変動も考慮した公正かつ透明性の高い処遇を目指しています。また、人財育成では「未来の産業振興・発展を支える企業グループ」の実現に向け、革新と挑戦の精神を持ち、自ら学び続けるプロフェッショナル人財の育成に注力しています。
階層別・役割別の教育体系や専門分野の知識・スキル高度化に加え、新人事制度を通じた統合的な人財マネジメントを推進し、適材適所の配置を実現します。さらに、多様な人財が能力を最大限に発揮できるよう、ダイバーシティ基本方針に基づく企業文化の醸成や、健康経営基本方針に基づく心身ともに健康で活力ある職場環境の整備にも取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.9% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 65.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 64.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 0.0% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 連結子会社1
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.4% |
| 男性育児休業取得率 | 69.2% |
▼ 連結子会社2
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 14.3% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
人的資本・多様性
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 人権啓発研修受講率 | 100% |
| ワークエンゲージメント | 50.8 |
| ダイバーシティ率(従業員のうち 女性・キャリア採用・外国人・障がい者の割合) | 44.8% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
飛島ホールディングスは、建設事業を主軸とし、不動産開発、建設関連、建設DXサポートなどのグロース事業も展開する持株会社です。同社グループは、多様な事業を通じて収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、建設事業とグロース事業等を主な事業内容としています。建設工事の請負を主な収益源としつつ、M&Aによる子会社増加も伴うグロース事業等で事業領域を拡大しています。外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先はなく、特定の顧客への収益集中は見られません。また、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、国内市場が主要な事業基盤となっています。
建設事業(土木事業)
土木工事の請負及びこれに付帯する事業を行っています。収益は、主に土木工事の完成工事高から得ています。運営は、主として飛島建設が担っています。当連結会計年度においては、完成工事高が前期から減少し、セグメント利益も減少しました。
建設事業(建築事業)
建築工事の請負及びこれに付帯する事業を行っています。収益は、主に建築工事の完成工事高から得ています。運営は、主として飛島建設が担っています。当連結会計年度においては、完成工事高が前期から増加し、セグメント利益も増加しました。
グロース事業等
建設関連事業、不動産関連事業、建設DXサポート事業、並びにいずれの事業にも属さないその他の事業を行っています。収益は、これらの多様な事業からの売上高で構成されています。運営は、その他の連結子会社等が担っています。当連結会計年度においては、売上高が前期から大きく増加し、セグメント利益も増加しました。M&Aによる子会社の増加もこの増加要因の一つとなっています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 土木事業 | 687億円 | 602億円 |
| 建築事業 | 511億円 | 515億円 |
| グロース事業等 | 185億円 | 275億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、当連結会計年度において前期からわずかに増加しました。経常利益は前期から増加傾向にあり、親会社株主に帰属する当期純利益も前期から増加しています。全体として、売上高、利益ともに堅調な推移を示しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | 1,383億円 | 1,393億円 |
| 経常利益 | - | - | - | 57.3億円 | 59.7億円 |
| 経常利益率 | - | - | - | 4.1% | 4.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | - | - | 37.2億円 | 48.5億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | - | - | 194.46 | 253.01 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、当連結会計年度において前期から減少しました。一方で、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から減少しています。これらの指標は、同社グループの生産性を示すものとなっています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 94.1百万円 | 87.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.4百万円 | 4.3百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動で資金を生み出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている段階を示しています。これにより、事業の成長と安定性の両面から現在の状況を把握することができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率がプライム市場の非製造業平均を上回る水準にあり、安定した経営基盤を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均に近い水準で推移しており、効率的な資本活用が行われていることがうかがえます。手元資金である現金及び預金は前期から減少していますが、事業運営に必要な流動性は確保されている状況です。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性を判断する上で重要な要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 504億円 | 544億円 |
| 自己資本比率 | 32.0% | 33.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.5% | 9.3% |
| 現金及び預金 | 258億円 | 209億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の事業活動で資金を生み出している状況です。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは35.3億円の資金増加となりました。これは税金等調整前当期純利益の計上や預り金の増加、売上債権の減少などが主な要因となっています。
一方で、投資活動によるキャッシュフローは46.5億円の資金減少となり、事業用資産投資に伴う有形固定資産の取得による支出などが主な内訳です。その結果、フリーキャッシュフローは11.2億円のマイナスを示しており、事業活動で得た資金を上回る投資を行っている成長投資フェーズにあることがうかがえます。
財務活動によるキャッシュフローは40.2億円の資金減少となりました。これは長期借入れによる収入があったものの、長期借入金の返済や短期借入金の純減額が影響しています。同社グループは将来の成長に向けた投資を積極的に進めており、これが雇用や給与の安定性、そして今後の成長性につながる可能性があります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 28.1億円 | 35.3億円 |
| 投資CF | △12.9億円 | △46.5億円 |
| 財務CF | 3.1億円 | △40.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 15.1億円 | △11.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主力事業である建設事業においては、国内建設市場の急激な縮小や競争環境の激化が業績への懸念材料となる可能性があります。また、建設資機材価格や労務費等の高騰、資機材の納期遅延が生じた場合、工事採算が悪化し業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
建設業に従事する技能労働者の減少が顕著になっており、建設市場の動向によっては確保が困難になることが想定されています。同社グループは、この点を想定すべきリスクとして認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
飛島ホールディングスは、持株会社としてグループ全体の企業価値向上を目指しています。創業の精神を基盤に、未来の産業を支える「なくてはならない企業」であり続けることを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループの経営ビジョンは、「創業の精神」を時代と社会の変化に合わせて再定義し、そのDNAの昇華で、未来の産業振興・発展を支える「なくてはならない企業」であり続けることです。また、描く「ブランドストーリー」は、未来のConstructionをつくる「New Business Contractor」への変革です。
これは、共創の精神で繋がるビジネスプラットフォームを形成し、建設業の枠を超えて自らが新たなビジネスを創造するとともに、多様な人々のビジネス創造を支援し、その実現を約束するビジネスパートナーとしてあり続けることを意味しています。同社グループは、複合企業体としてドメイン・ポートフォリオ・戦略・ビジネスモデル・オペレーションの変革を推進し、企業価値の向上とトランスフォーメーションの実現を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、サステナビリティ基本方針として、グループビジョンである「New Business Contractor」になるための3つのバリュー「創造」「共創」「共生」を掲げています。これらのバリューを通じて、グループ各社が持つ力を結集し、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指す方針です。
人財を最も重要な経営資源の一つと位置付け、「未来の産業振興・発展を支える企業グループ」の実現に向けて人財育成を経営上の重要課題として推進しています。飛島グループ人財育成基本方針に基づき、現状に満足せず、革新と挑戦の精神を持ち、自ら学び続ける姿勢を備えた人財の育成を基本としています。
また、飛島グループダイバーシティ基本方針に基づき、性別、年齢、国籍等にかかわらず多様な人財を尊重し、その多様性を組織の力として活かす企業文化の醸成を進めています。従業員一人ひとりが能力を最大限に発揮し、安心して働き続けられる職場環境の整備が、持続的な成長と企業価値の向上につながると考えています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
中長期的な企業価値の向上と持続的成長を図るため、ホールディングカンパニーへの移行を契機に、飛島グループの経営指針として「未来を革新するStory」を策定しています。この経営指針は、『グループビジョン』『企業変革の道筋である「Innovate the future plan」』『中期経営計画(~2027年度)』で構成されています。
アクションプランの実践においては、ホールディングス機能を活用し、資本効率、事業成長、サステナビリティへの適合という3つの視点から事業ポートフォリオの不断の見直しを行い、企業価値向上と持続的成長を目指しています。
サステナビリティ全般に関わる課題については、「リスクマネジメント部会」「コンプライアンス部会」を設置し、課題の整理、施策の立案、展開、進捗管理を行っています。これらの検討内容は、内部統制委員会を通じて取締役会へ定期的に報告されています。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
飛島ホールディングスは持株会社として、グループ全体の経営戦略とガバナンスを統括しています。同社は監査等委員会設置会社として、経営の効率性と透明性の向上に努める体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
飛島ホールディングスの株主構成を見ると、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が筆頭株主となっています。また、トビシマ共栄会や飛島ホールディングス従業員持株会といった同社グループに関連する団体も上位株主として名を連ねています。これらの株主は、同社の安定的な経営基盤を支える存在であると考えられます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 12.68% |
| トビシマ共栄会 | 6.75% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 2.31% |
| 飛島ホールディングス従業員持株会 | 2.28% |
| 上田八木短資 | 2.04% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性5名・女性3名)で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役社長上席執行役員社長は髙橋光彦氏が務めています。社外取締役比率は62.5%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 髙橋光彦 | 代表取締役社長上席執行役員社長 | 1985年飛島建設入社、経営企画室室長、執行役員、常務執行役員、専務執行役員、取締役兼専務執行役員、取締役を経て、2024年より同社代表取締役社長兼上席執行役員社長。 |
社外取締役は、政井貴子氏()、大塚久美子氏()、相原敬氏()、名取俊也氏()、中西晶氏()です。
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役による意思決定と業務執行の監督機能を強化しています。また、経営の透明性及び客観性を確保するため、過半数を独立社外取締役とする指名・報酬委員会を設置しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
飛島ホールディングスの役員報酬は、企業価値の持続的な向上を促すインセンティブとして設計されています。取締役(監査等委員及び社外取締役を除く)の報酬は、月例の固定報酬である基本報酬と業績連動型株式報酬で構成されています。一方、社外取締役(監査等委員を除く)と監査等委員である取締役の報酬は、基本報酬のみとなっています。同社は業績連動型株式報酬制度として「株式給付信託(BBT)」を導入しており、連結売上高や連結営業利益、ROEなどのKPI達成度を総合的に勘案して給付額を決定しています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 2名 | 75百万円 | 37.5百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 19百万円 | 19.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 36百万円 | 6.0百万円 |
なお、社外役員の人数及び報酬等の総額には、期中において退任した者も含みます。また、業績連動型株式報酬の総額は、当事業年度分として計上した役員株式給付引当金の繰入額です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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