visumo 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

visumo 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証グロース市場に上場する同社は、ビジュアルマーケティングプラットフォーム「visumo」の開発・提供を主軸事業としています。直近の決算では売上高8.3億円、経常利益0.7億円と増収増益を達成。企業のSNS活用やDX推進を背景に、SaaS型モデルによる安定的なストック収益の拡大を続けています。


※本記事は、株式会社visumo の有価証券報告書(第6期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. visumoってどんな会社?


SaaS型ビジュアルマーケティングプラットフォームを提供し、企業のデジタル活用を支援するIT企業です。

(1) 会社概要


同社の事業は、2017年に株式会社ecbeingが開発したプラットフォーム「visumo」の提供から始まりました。2019年に同社が設立され、会社分割により事業を承継しています。その後、2022年に親会社であるソフトクリエイトホールディングス等による増資を経て体制を強化し、2024年12月に東京証券取引所グロース市場へ株式を上場しました。

現在の従業員数は連結・単体ともに37名です。筆頭株主は親会社でありITソリューション事業等を展開する株式会社ソフトクリエイトホールディングスで、第2位はネット証券大手の楽天証券株式会社、第3位は野村證券株式会社となっています。

氏名 持株比率
ソフトクリエイトホールディングス 53.01%
楽天証券 4.58%
野村證券 1.73%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は井上 純氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
井上 純 代表取締役社長 ecbeingを経て2019年より同社取締役。2023年4月より現職。
林 雅也 取締役会長 ソフトクリエイトホールディングス代表取締役副社長などを兼任。2025年4月より現職。
千林 正太朗 常務取締役兼 執行役員 エイトレッド営業本部長などを経て2020年入社。2025年4月より現職。
見城 壮彦 取締役 兼 執行役員 ecbeing開発部長などを経て2022年入社。2025年4月より現職。


社外取締役は、甲斐 真樹(イー・エージェンシー代表取締役)、石川 憲和(元ソフトバンク・テクノロジー代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ビジュアルマーケティングプラットフォーム事業」を展開しています。

ビジュアルマーケティングプラットフォーム事業


同社は「visumo(ビジュモ)」というプラットフォームを通じて、企業がInstagramやYouTubeなどのSNSに投稿された写真・動画(UGC)や自社制作のコンテンツを、自社のECサイトやブランドサイト等で有効活用するためのサービスを提供しています。主な機能として、SNS上の投稿をオウンドメディアに転載する「visumo social」、スタッフが撮影した動画等を投稿できる「visumo snap」、動画データ管理に特化した「visumo video」などがあり、これらをノーコードで簡単に実装できる点が特徴です。主な顧客はECサイトを持つアパレル、食品、美容業界などの事業者です。

収益は主に、サービスの利用対価として事業者から受け取る月額固定費用(ストック売上ベース)と、リクエスト数や通信量に応じた従量課金(ストック売上従量)から成るSaaSモデルです。これに加え、初期導入費用などのフロー売上も発生します。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は着実な右肩上がりを続けています。第4期までは利益率が低下傾向にありましたが、第5期以降は増収に伴い利益額・利益率ともに改善傾向にあります。特に直近の第6期では、売上高が8億円台に達するとともに、経常利益も大幅に伸長しており、成長投資と収益確保の両立が進んでいる様子がうかがえます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1.8億円 3.4億円 5.2億円 6.8億円 8.3億円
経常利益 0.4億円 0.4億円 0.1億円 0.2億円 0.7億円
利益率(%) 21.6% 11.2% 2.5% 2.9% 8.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.3億円 0.3億円 0.1億円 0.1億円 0.5億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で増加し、それに伴い売上総利益も拡大しています。売上総利益率は約67%と高い水準を維持しています。営業利益についても前期から大幅に増加し、営業利益率は約10%に改善しました。事業拡大に伴うコスト増を吸収しつつ、収益性が向上していることが読み取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 6.8億円 8.3億円
売上総利益 4.6億円 5.6億円
売上総利益率(%) 67.6% 67.3%
営業利益 0.2億円 0.8億円
営業利益率(%) 2.7% 9.6%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が1.2億円(構成比25%)、広告宣伝費が0.9億円(同18%)を占めています。売上原価においては、経費が1.5億円(売上原価比57%)、労務費が1.4億円(同51%)となっており、開発体制強化やインフラコストへの投資が行われています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、ビジュアルマーケティングプラットフォーム事業は、SNS活用ニーズの高まりやDX推進を背景に、新規顧客の獲得と既存顧客のアップセルが進み、売上高は前期比22.1%増と好調に推移しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
ビジュアルマーケティングプラットフォーム事業 7億円 8億円
連結(合計) 7億円 8億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

visumoは、事業運用に必要な流動性と資金源泉の安定確保、財務体質強化、事業拡大のための資金活用を方針としています。

営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動から生み出される資金の源泉となります。投資活動によるキャッシュ・フローは、将来の事業成長に向けた設備投資や資産の取得・売却等を示します。財務活動によるキャッシュ・フローは、資金調達や返済の状況を表します。

同社は、運転資金、設備資金、業務・資本提携に伴う資金ニーズに対し、銀行借入や公募増資等の調達方法を総合的に勘案して決定します。当面は自己資金を運転資金等に充当する方針です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 0.9億円 1.3億円
投資CF -0.8億円 -1.1億円
財務CF 0.0億円 1.0億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「ブランドの想いが詰まったクリエイティブを消費者に最適な形で届ける」をミッションに、「誰でも簡単にデジタル活用ができる世界を創る」をビジョンとして掲げています。専門知識を持たない人でもオウンドメディアのコンテンツ作成に携われる仕組みを提供し、ビジュアルを活用したマーケティングの推進を目指しています。

(2) 企業文化


同社は5つのバリューを掲げています。「customer obsessed(顧客の先の消費者のために考える)」、「honesty and integrity(誠実に行動する)」、「respect others(敬い協力する)」、「share knowledge(ナレッジをシェアする)」、「stay positive(ポジティブな状態であり続け未来を創る)」を行動指針とし、組織の価値最大化を図っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、将来にわたる安定成長のために売上高と経常利益の拡大を目標としています。特にSaaSビジネスの健全性を示すKPIとして以下の指標を重視し、継続的な増加と低解約率の維持を目指しています。

* ストック売上(ベース):1.8億円(2025年3月期第4四半期)
* アクティブ社数:676社(同上)
* ARPU(1社あたり平均売上):104,072円(同上)
* 解約率:0.98%(同上)

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、IT人材不足を背景とした「誰でも簡単に」使えるツールの需要拡大を好機と捉えています。今後は、既存EC市場の深耕に加え、観光業や教育機関など非EC市場への導入拡大を進めます。また、生成AI技術を取り入れた新機能開発によるARPU向上や、将来的には海外展開も視野に入れています。これを支えるため、セールス部門の採用強化や知名度向上のためのマーケティング施策を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、持続的成長のために人材を最も重要な経営資源と位置づけ、多様性のある人材の確保と育成に注力しています。採用ではエージェント開拓やBPO活用を進め、育成面では資格取得費用の会社負担や全社勉強会によるナレッジ共有を実施しています。また、定期的な1on1面談や社内イベントを通じて、組織の一体感醸成と従業員のキャリア支援を行っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 32.4歳 2.1年 6,070,608円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定のSNSプラットフォームへの依存


同社のサービスはInstagram等のSNSプラットフォーム上の写真・動画を活用する機能を中核としており、特にInstagramへの依存度が高くなっています。連携するSNSサービスの不具合や仕様変更、利用者数の減少等が発生した場合、同社サービスの利用や価値に影響が及び、業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(2) 市場環境の変化と単一事業のリスク


同社はビジュアルマーケティングプラットフォーム事業の単一セグメントで運営されています。ECサイト構築支援やデジタルマーケティング市場は拡大傾向にありますが、経済環境の悪化によるIT投資の低迷や、競合他社との競争激化、技術革新への対応遅れ等が生じた場合、単一事業であるため業績への影響を大きく受ける可能性があります。

(3) 人材の確保と育成


事業の継続的な発展には技術者を中心とした優秀な人材の確保が不可欠ですが、IT業界の人材不足は深刻化しています。採用難や人材流出が生じた場合、事業運営に支障をきたす可能性があります。また、同社は小規模な組織であるため、事業拡大に見合った内部管理体制の構築や人員配置が追いつかない場合、経営に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。