visumo 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

visumo 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

visumoは東京証券取引所グロース市場に上場し、UGCや動画を活用したマーケティングプラットフォームの開発および提供を主力事業としています。直近の業績は売上高が9.7億円、当期純利益が0.7億円と順調に拡大しており、増収増益のトレンドを維持しながら企業のマーケティング支援領域で成長を続けています。


※本記事は、株式会社visumoの有価証券報告書(第7期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月16日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. visumoってどんな会社?


企業のマーケティング活動を支援するSaaSプラットフォーム「visumo」を展開しています。

(1) 会社概要


2017年9月にecbeingがプラットフォームの提供を開始し、2019年4月に設立されて事業を承継しました。2024年12月に東京証券取引所グロース市場へ上場を果たしています。その後、2026年1月にレビューマーケティングプラットフォームを展開するReviCoを吸収合併し、事業基盤をさらに拡大しています。

従業員数は単体で50名です。筆頭株主は親会社であり事業会社のソフトクリエイトホールディングスで、第2位は南直美氏、第3位は金融機関の野村證券です。

氏名 持株比率
ソフトクリエイトホールディングス 62.49%
南 直美 2.97%
野村證券 1.28%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性0名の計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長執行役員は井上純氏が務めています。取締役8名のうち社外取締役は2名で、比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
井上 純 代表取締役社長執行役員 ecbeingを経て2019年に同社取締役へ就任。2023年に代表取締役社長となり、2026年より現職。
高橋 直樹 代表取締役会長執行役員 ソフトクリエイト、ecbeing等を経て、ReviCo代表取締役社長に就任。2026年より現職。
千林 正太朗 取締役常務執行役員 エイトレッド営業本部長やセールスフォース等を経て2020年に同社へ入社。2026年より現職。
見城 壮彦 取締役上席執行役員 ecbeing開発部長、ソフトクリエイト等を経て2022年に同社へ入社。2026年より現職。
林 雅也 取締役 ecbeing社長やソフトクリエイトホールディングス副社長などを兼務。2026年より現職。
中桐 雅宏 取締役 ソフトクリエイトホールディングス取締役専務執行役員などを歴任し、2026年より現職。


社外取締役は、甲斐真樹(元ジャパンサーチエンジン代表取締役)、石川憲和(元ソフトバンク・テクノロジー代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「マーケティングプラットフォーム事業」を展開しています。

同社は、SNSに投稿されたUGCやレビュー、動画コンテンツなどを収集・活用し、企業のECサイトやブランドサイトにおけるマーケティング活動を支援するプラットフォームを提供しています。専門的な開発知識がなくても簡単に掲載できる仕組みを備え、顧客体験価値の向上と事業成長を推進しています。

収益は主に、SaaS型で提供するプラットフォームの月額利用料であるストック売上と、リクエスト数等に応じた従量課金、初期導入等のフロー売上から得ています。事業の運営は同社が行い、外部の顧客管理システムやマーケティング支援ツールとのデータ連携も進めています。

3. 業績・財務状況


同社の業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、企業のDX推進やデジタルマーケティング投資の拡大を背景に、売上高は順調な成長を続けています。経常利益と当期純利益についても黒字基調を維持しつつ、事業規模の拡大に伴い着実に利益を積み上げており、全体として安定した成長軌道を描いています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 3.4億円 5.2億円 6.8億円 8.3億円 9.7億円
経常利益 0.4億円 0.1億円 0.2億円 0.7億円 0.8億円
利益率(%) 11.2% 2.5% 2.9% 8.2% 8.5%
当期純利益 0.3億円 0.1億円 0.1億円 0.5億円 0.7億円

(2) 損益計算書


2期間の損益を比較すると、売上高の成長に伴って売上総利益も拡大しています。機能強化のための開発投資や人員増強などの費用を吸収しながら、営業利益および営業利益率ともに安定した水準を維持し、収益力の向上を図っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 8.3億円 9.7億円
売上総利益 5.6億円 5.9億円
売上総利益率(%) 67.3% 60.5%
営業利益 0.8億円 0.8億円
営業利益率(%) 9.6% 8.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が1.4億円(構成比28.5%)、業務委託費が0.7億円(同13.9%)を占めています。売上原価の主な内訳としては、経費が2.4億円(構成比61.9%)、労務費が2.0億円(同51.9%)となっています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントであるため、事業全体の売上高の推移を示しています。既存サービスのストック売上が積み上がるとともに、新規顧客の獲得や既存顧客へのクロスセルが好調に推移し、継続的な売上拡大を実現しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
マーケティングプラットフォーム事業 8.3億円 9.7億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で利益を出し、借入等によって積極投資を行う状態にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 1.3億円 1.6億円
投資CF -1.1億円 -2.2億円
財務CF 1.0億円 -


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.6%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.7%であり、いずれも市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「共感と信頼を生み出す情報を、最適な体験として届ける」というミッションを掲げています。また、「AI時代の事業変革を共創する」ことをビジョンとし、企業と消費者のより良いコミュニケーションの実現を目指すことで、社会の持続的な発展に貢献していくことを経営の基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は価値観として以下のバリューを掲げています。顧客や消費者の視点を持つ「customer obsessed」、誠実に行動する「honesty and integrity」、出会う人を敬い協力する「respect others」、知見を共有する「share knowledge」、常に前向きな「stay positive」を重んじて組織運営を行っています。

(3) 経営計画・目標


同社は、安定した成長と企業価値の向上を継続するため、SaaSビジネスの健全性を評価する客観的な指標を管理しています。具体的には、ストック売上(ベース)の拡大、アクティブ社数、ARPU(1社あたりの平均売上)、および解約率(グロスレベニューチャーンレート)の推移を重要指標として掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社はエンタープライズ企業などを対象に、顧客単価の向上とシェア拡大を両立させることで持続的な成長を目指しています。一次情報をAIが活用できる形で蓄積する次世代データ基盤の構築や、AI検索対応の機能開発を進めるほか、戦略的M&Aを通じて技術獲得や事業領域の拡大を推進していく方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、持続的な成長には人材が最も重要な経営資源であると認識しており、多様性のある人材の確保と維持に努めています。定期的な面談でキャリア支援を行うほか、資格取得や書籍購入費用の会社負担を通じて自己研鑽を支援し、全社勉強会や社内イベントにより組織の一体感を醸成する環境整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はグロース市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 31.6歳 2.3年 6,343,767円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 特定のSNSプラットフォームへの依存


同社のサービスはInstagramを中心としたSNSの写真や動画を活用するマーケティング手法を主力としています。そのため、連携するプラットフォームの不具合や仕様変更によりサービスが利用できなくなったり、SNSの利用者数減少でコンテンツ価値が低下した場合には、事業に影響を及ぼす可能性があります。

(2) デジタルマーケティング市場の競争


ECサイト構築支援サービスやデジタルマーケティングの市場は成長が見込まれる一方で、競合他社や新規参入企業との競争が激化するリスクがあります。また、経済環境の悪化などで企業のIT・システム投資が低迷した場合、単一事業である同社の業績に影響を与える可能性があります。

(3) AI等技術革新への対応


生成AIやAI検索技術など、IT業界は技術革新のスピードが非常に早く、消費者行動や顧客ニーズも大きく変化しています。市場動向を適切に捉えた新技術への対応が遅れたり、競合による革新的なサービスが登場して優位性が低下した場合には、顧客の獲得や維持が困難になるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。