※本記事は、株式会社IACEトラベル の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
IACEトラベルは、法人顧客向けの国内・海外出張マネジメントサービス(BTMサービス)を主軸とする旅行会社です。独自のクラウド出張手配システム「Smart BTM」を通じて、顧客企業の業務出張の最適化を支援しています。
単体従業員数は114名、連結従業員数は137名です。同社グループは旅行業の単一セグメントで事業を展開しています。
国内においてはIACEトラベルが法人顧客向けのBTMサービス、官公庁・公務サービス、個人サービス、米軍サービスを一手に担っています。海外子会社2社を通じてグローバルに事業を展開しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
株式会社IACEトラベルは、BTMサービスを核に事業を展開しており、デジタルとヒューマンサービスを融合したハイブリッドサービスを強みとしています。同社グループでは、専門性とデジタル活用能力を兼ね備えた人材の育成に注力し、多様な人材が活躍できる職場環境の整備を進めています。従業員の成長と企業価値向上の好循環を目指す方針が示されています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高い水準にあります。これは、従業員が長期にわたってキャリアを築きやすい環境が整っていることを示唆しています。専門性の高い業務において、経験豊富な人材が定着している傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,322,000円 |
| 平均勤続年数 | 16.0年 |
| 平均年齢 | 40.0歳 |
| 単体従業員数 | 114人 |
| 連結従業員数 | 137人 |
| 単体のグループ内比率 | 83.2% |
退職給付制度に関する記載はありません。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、人材を持続的成長を支える重要な経営資本と位置付けています。業務渡航に関する専門知識に加え、DX推進やデータ活用に関する知見を有する人材の確保・活用を競争力向上において重要視しています。従業員の役割、能力、成果および貢献度等を総合的に勘案し、公正性および透明性を重視した給与・評価制度に基づき給与その他の給付を決定しています。
中長期的な人材育成方針との整合性を踏まえた処遇体系の整備も進めており、評価においては定量的な業績評価だけでなく、コンプライアンス意識、組織貢献、顧客対応品質等の定性的な評価項目も総合的に判断しています。また、創業以来培ってきた「IACE's Culture」の実践を通じて、企業理念の浸透と組織文化の醸成を図り、業務渡航に関する専門知識やDX推進、データ活用に関する知識・スキルの習得、業務改善能力の向上を支援しています。従業員一人ひとりの主体的な学習や挑戦を支援し、教育研修制度の充実およびリスキリングの推進を通じて、事業環境の変化に対応できる人材基盤の強化に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データを示します。連結子会社は日本の労働関連法規が適用外のため、対象外としています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 23.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 70.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 75.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 78.6% |
DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 23.3% |
| ワーキングマザー比率 | 50.0% |
| 月平均時間外労働時間 | 24.0時間 |
成長支援(育成・リスキリング)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| ITパスポート取得(率) | 96.3% |
| 社内推奨資格取得(率) | 75.4% |
健康経営の推進
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 特定保健指導対象者率 | 21.1% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
IACEトラベルグループは、主に法人顧客を対象とした業務出張の包括的なマネジメントサービス(BTMサービス)を提供しています。また、官公庁や在日米軍向けの旅行サービス、個人顧客向けの旅行商品の企画・販売も手掛けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
IACEトラベルグループは、法人顧客の国内・海外出張における航空券や宿泊の手配、出入国情報の提供、査証代行申請、精算代行、危機管理、出張データの提供など、多岐にわたるサービスを展開しています。近年では、独自のクラウド出張手配システム「Smart BTM」を開発し、オンライン予約を軸とした業務出張全体の最適化を支援しています。このシステムは、顧客自身で簡便に予約でき、出張に関する情報を一元管理できるのが特徴です。
同社グループの収益モデルは、予約件数ごとに手数料を徴収する仕組みを採用しており、初期費用や年間利用料は徴収していません。複雑な旅程やオンラインで完結しない手続きには、自社オペレーターが24時間体制で対応する「ハイブリッドサービス」を提供し、安心・安全な業務出張をサポートしています。
主力サービスであるBTMサービスは、同社グループの取扱高の大部分を占めており、クラウド出張手配システム「Smart BTM」の利用企業が堅調に増加し、予約件数も増加しています。官庁・公務サービスでは、中央省庁を中心に国内・海外出張手配を行い、国内出張では複数の省庁の指定旅行会社となっています。米軍サービスは、在日米軍基地内に店舗を展開し、軍人やその家族向けの国内・海外旅行手配を行っています。
一方、個人サービスはポータルサイト経由のオンライン予約をメインチャネルとし、国内・海外旅行の販売・手配を行っていますが、海外パッケージツアーの受注が減少しています。海外サービスはカナダとメキシコに現地子会社を持ち、現地に進出した日系企業向けに出張手配を行うほか、現地在住者や外国人向けの旅行手配も行っていますが、メキシコ子会社での法人出張受注が減少しています。同社グループは海外に子会社を持ち、海外での売上高も一定の割合を占めているため、為替変動の影響を受ける可能性があります。特定の顧客への売上集中は見られません。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| BTMサービス | 1兆2,882億円 | 1兆5,495億円 |
| 個人サービス | 4,396億円 | 4,033億円 |
| 海外サービス | 4,147億円 | 3,856億円 |
| 官庁・公務サービス | 2,694億円 | 3,336億円 |
| 米軍サービス | 1,695億円 | 1,972億円 |
| その他 | 1,126億円 | 1,460億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
IACEトラベルグループの過去5期間の業績は、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも継続的に増加傾向を示しています。特に直近の期では、売上高、各利益ともに大きく伸長しており、堅調な成長がうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | 16.5億円 | 24.2億円 | 26.9億円 | 30.2億円 |
| 経常利益 | - | 1.8億円 | 4.3億円 | 5.9億円 | 7.6億円 |
| 経常利益率 | - | 10.8% | 17.7% | 21.8% | 25.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | - | 2.2億円 | 3.4億円 | 3.9億円 | 5.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | - | 58.26 | 90.76 | 103.87 | 111.39 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
IACEトラベルグループの従業員1人あたりの売上高および営業利益は、前期から当期にかけて増加しています。これは、同社グループの生産性が向上している傾向を示しており、事業の効率化が進んでいる可能性を示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 18.7百万円 | 22.0百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.2百万円 | 5.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務基盤は、自己資本比率や手元資金の厚みから安定した状態を示しています。本業で得た資金を元手に、事業活動と投資活動を通じて資金を創出している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率とROEから安定した状態を示しています。当期の自己資本比率は74.3%であり、プライム市場の非製造業平均24.2%を大きく上回る水準です。ROE(自己資本利益率)は14.8%で、プライム市場平均の9.4%を上回っています。手元資金である現金及び預金も15.3億円と潤沢であり、事業運営の安定性につながる要素です。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にも寄与すると考えられます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 28.5億円 | 42.9億円 |
| 自己資本比率 | 58.4% | 74.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 14.8% | 14.8% |
| 現金及び預金 | 11.9億円 | 15.3億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは当期に4.5億円の収入となりました。これは税金等調整前当期純利益の計上や売上債権、仕入債務の増加などが主な要因です。投資活動によるキャッシュフローは当期に収入となりましたが、前期は支出でした。財務活動によるキャッシュフローは1.3億円の支出となり、短期借入金の減少や株式の発行による収入が影響しました。結果として、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは4.6億円のプラスであり、本業で安定的に資金を創出し、かつ投資活動でも収入を得ている状況です。この資金創出力は、同社グループの安定した事業運営と将来の成長に向けた基盤を支えるものと言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 4.1億円 | 4.5億円 |
| 投資CF | - | - |
| 財務CF | △0.9億円 | △1.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 3.5億円 | 4.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、国内人口の減少や少子高齢化に伴う出張需要の縮小リスクを認識しています。また、既存の旅行会社との競争に加え、新興企業の参入や航空会社等のサプライヤーによる直販強化、技術革新の遅れによる競争力低下のリスクも存在します。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、労働市場における人材不足や競争の激化により、求めるスキルや経験を持つ人材を確保できないリスク、および人材が流出した場合に事業運営や将来の成長戦略に影響を及ぼすリスクを認識しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
IACEトラベルは、社会に価値を提供し、幸福を創造することを通じて、必要とされる存在となることを目指している会社です。出張をもっとスマートにするというミッションを掲げ、デジタル化を推進しながら顧客体験の向上に努めています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
IACEトラベルは、「社会に価値を提供し、幸福を創造することにより、必要とされる存在となる」を企業理念としています。ミッションには「出張をもっとスマートに」を掲げています。同社グループはBTM(ビジネストラベル・マネジメント)サービスをコアサービスとし、より良い社会づくりへの貢献と全関係者の幸せに寄与することを目指しています。
中長期的な経営戦略「Vision2030」では、日本の業務出張市場において「BTMで一番多くの企業に利用されるデジタルサービスとなる」ことを目標としています。アナログ対応が多い出張手配・管理のデジタル化を推進し、ミッションの実現を目指しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
IACEトラベルは、企業理念に基づき、多様な価値観や人材、持続可能性を重視しています。ステークホルダーとの協働を通じて、多様性がもたらすイノベーション創出と持続可能な社会の発展に貢献する考えです。同社グループでは、創業以来培ってきたコアバリューである「IACE's Culture」を実践し、組織文化の醸成を図っています。
「IACE's Culture」は、『公明正大な企業文化』『仕事への情熱』『変化へのチャレンジ』『迅速な行動』『顧客目線とプロフェッショナル精神』『周囲への感謝』の6つの要素で構成されています。また、社内環境整備方針として、『多様な人材が互いに尊重し、自身の持てる能力を最大限に発揮して活躍できる職場環境』『心身ともに健康で、安全かつ安心して働くことができる職場環境』『仕事と生活の調和のとれた、いきいきとした働き方ができる職場環境』を掲げ、多様な人材が活躍できる環境づくりを推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、優先度の高い対処すべき課題として、デジタルトランスフォーメーションの推進を挙げています。クラウド出張予約システム「Smart BTM」の機能強化や業務の自動化など、デジタル化をより一層推進しています。一方で、24時間365日のサポートデスクやオペレーター対応も継続しています。
また、マーケティングの強化も重点テーマの一つです。同社グループの認知度向上および信頼性などの企業イメージの向上が重要要素と認識しており、多様なマーケティングを実施しています。営業の強化においては、旅行業の知識に加え、顧客の業務・会計システムとのデータ連携に関する知識やコンサルティング能力を持つ営業人員の育成を課題と認識しています。継続的な教育と営業管理の強化を通じて、顧客の継続率および満足度上昇に努めています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
株式会社IACEトラベルは、監査役会設置会社として、取締役会と監査役会を設置しています。経営の効率性と健全性を確保するため、透明・公正かつ迅速な意思決定を重視したガバナンス体制を構築しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
IACEトラベルの株主構成を見ると、代表取締役社長執行役員である西澤重治氏が筆頭株主となっています。また、取締役専務執行役員の灰田俊也氏や取締役上席執行役員の横田卓也氏、さらに従業員持株会も上位株主に名を連ねています。同社の経営陣や従業員が主要な株主として名を連ねる資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 西澤 重治 | 23.46% |
| 灰田 俊也 | 10.86% |
| IACEトラベル従業員持株会 | 9.67% |
| 横田 卓也 | 3.47% |
| アドベンチャー | 3.46% |
なお、前事業年度末現在主要株主であった瀧上 大輔、岡村 拓樹、小原 竜雄は当事業年度末では主要株主ではなくなり、アドベンチャー、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、野村信託銀行(投信口)が新たに主要株主となりました。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は9名(男性8名・女性1名)で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長執行役員は西澤重治氏が務めています。社外取締役比率は0.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 西澤 重治 | 代表取締役社長執行役員 | 1987年4月同社入社、2000年12月代表取締役社長を経て、2019年4月より代表取締役社長執行役員現職。株式会社ビジネスマネジメント代表取締役社長も務めています。 |
| 灰田 俊也 | 取締役専務執行役員 | 1997年4月同社入社、2016年5月取締役経営管理本部長、2019年4月取締役上席執行役員を経て、2022年6月より取締役専務執行役員現職。 |
| 横田 卓也 | 取締役上席執行役員 | 2002年1月同社入社、2016年4月西日本統括営業部部長、2019年4月執行役員を経て、2022年6月より取締役上席執行役員現職。 |
社外取締役は、川中浩平氏(ユナイト法律会計事務所 代表パートナー)、酒井大輔氏(LALALA Plus 代表取締役)、浦部智壽子氏(品川リフラクトリーズ 社外取締役監査等委員)です。
同社は監査役会設置会社を採用しています。社外取締役は、企業法務に精通した弁護士や豊富なビジネス経験を持つ企業経営者、財務・会計分野の実務経験者で構成されており、経営判断の迅速化と監督機能の強化に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
IACEトラベルの役員報酬は、株主総会で決議された総額の範囲内で、会社業績や各役員の職務遂行状況を総合的に考慮して決定されています。個別の報酬額は、過半数を社外取締役が占める指名報酬諮問委員会での審議を経て、取締役会で最終決定される仕組みです。監査役の報酬は監査役会での協議により決定されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 3名 | 55百万円 | 18.4百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 14百万円 | 13.5百万円 |
| 社外取締役 | 3名 | 9百万円 | 2.9百万円 |
| 社外監査役 | 2名 | 6百万円 | 2.9百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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